英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『白き幻王』

「……………」

 

「ケビン…」 「ケビンさん……」

 

魔槍ロアの発動によってルビカンテを滅したケビン

 

………だが、未だにその表情は、隣にいるレーヴェ同 様強ばっていた

 

「気を抜くな。まだ終わった訳じゃない」

 

「そや。まだ多分レーヴェとリーシャ、リクの時と 同じように………」

 

その瞬間、地面に不気味な法陣が現れ、ナニカがそ れから出てくる

 

「「なっ……!?」」

 

「………!!」

 

「薄々は気付いていたが…」

 

「ここでくるんかいな……………ケイジ(偽)!!」

 

リースとリクは驚き、ヨシュアがその気配に身構え 、ケビンとレーヴェはゆっくりと武器を構える

 

法陣から出てきたナニカは、グリモアが擬態したケ イジであった

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ……はぁ……」

 

「おかしいだろ………あの悪魔の数倍は手強かったぞ …!」

 

何とかケイジ(偽)を退けたケビン達

 

だが、やはりダメージは大きく、リースを含む全員 が地面に座り込んでいた

 

キィィィィン

 

そしてケビン達の目の前に金色に輝く宝石のような 石が現れる

 

ケビンが前に出て手を伸ばすと、二つの石はケビン の手の中に収まった

 

「あ………」

 

「フン……今の奴が持ってたんか…」

 

『フフ…上出来だ。ケビン・グラハム』

 

『!』

 

ケビンが呟いた時、どこからともなくかすれた声が 聞こえてくる

 

すると、さっきと同じような法陣の中から、今度は かなり奇抜な格好をした人物が現れた

 

『《ーー次なるは獣の道。新たなる供物を喰らい、 汝が印を発現させるがいい。さすれば煉獄の炎はさ らに猛り、我が王国は真の完成に近づく》 ……まさに伝えた通りだったであろう?」

 

「…………」

 

『ふむ……黙りか。それもまぁよい。これで太陽の 娘と白き幻王が解き放たれる。そちらの駒も一通り 揃い、ようやく本格的な遊戯盤が用意できるという ものだ ………まぁ、幻王には剣帝同様《枷》を着けさせても らうが』

 

そう言うと、再び奇抜な格好の人物は法陣の中へ沈 んでいった

 

「…………」

 

「成る程……通りで思うように体が動かないわけだ 」

 

「……ケビン、あの…」

 

「ま、色々あるとは思うけど……とりあえず話は後 にしとこう」

 

そう言ってケビンは振り返り、他のメンバーにさっ きの石を見せる

 

「あ……」

 

「『太陽の娘』と『白き幻王』……みんなお待ちか ねの大本命や………皇太女殿下とか特にな」

 

「そうだな……まずは二人を解放するとしよう。細 かい話はそれからでも遅くないだろう」

 

そうしてケビン達は、『隠者の庭園』へと戻るのだ った


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