『G』の日記   作:アゴン

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今回、主人公がある資格検定に合格します。

ヒント“人外”


そして物語の方ですが、主人公が直接関わっていない所は基本的に原作通りになぞっています。

本格的に変わるのは原作50話以降になります。




その44

W月β日

 

明日、日本でトゥウィンクルプロジェクトのコンサートが開かれるという事で、アイドル達を護衛する事になったZEXIS達と自分はコンサート会場のすぐ近くで待機しており、その最中ZEXISの面々はある話題で持ちきりとなっていた。

 

早乙女アルトとランカ=リー、そしてシェリル=ノームの間で繰り広げられる三角関係、果たしてアルト君はどちらの女性を選ぶのかという話。

 

アルト君は確かに美形だし最前線で戦う度胸もある。猛者揃いのZEXISの中でもエースの実力を持った彼ならば、それはモテる事だろう。三角関係というものは少しでもバランスを崩せばBADEND直行の難しい人間関係だが、ここには事情を知った人間が多くいるみたいだし、彼等ならきっと上手くフォローしてくれるだろう。

 

“nice boat.”な結末にならないよう、自分は離れた位置で彼等の関係を祈る事にする。その後竹尾ゼネラルカンパニーの木下さんから現在のアイドルの中で誰のファンですかと訊ねられ、自分はファイヤーボンバーとだけ答えた。勿論ランカちゃんやシェリルさんの歌も好きだが、バサラさんの歌が自分には一番グッとくるのだ。自分は結構悩んだりした時もあるので、彼の歌からは何度も元気を貰えた。

 

自分がZEXISに参加してからは余計にその歌を聴かせてもらえる機会が増えたので、ファンとしては役得した気分である。S.M.Sのリーダーであるオズマさんもファイヤーボンバーの熱狂的なファンという事で、その時が来れば是非話を聞きたい所だ。

 

さて、本当はこのままほんわかとした会話で終わらせたい所だが、そうもいかないのが現実の厳しい所、ランカ=リーの活動しているトゥウィンクルプロジェクトは、あのグレイス=オコナーが手掛けたプロジェクトだ。裏で奴が何か企んでいるのではないのかと疑問に思いジェフリー艦長に相談したのだが……どうやら、奴は既に行方を眩ましていたようだ。

 

表向きは体調不良という事で姿を消しており、現在はランカちゃんの所属する事務所がトゥウィンクルプロジェクトを担当しているらしいのだが、自分はそれが奴の次の行動を開始したのだという証に思えた。

 

アムロさん達に伝えたグレイス=オコナーの話はジェフリー艦長の耳にも届いているらしく、自分の話もすんなりと受け入れてもらえた。何でもジェフリー艦長も個人的にグレイス=オコナーに対して不審に思う点が幾つかあるらしく、オズマさんが秘密裏にグレイスに対する調査を行っているのだとか。

 

あの人がマクロス・クォーターにいないのはその為か。用意周到なジェフリー艦長に成る程なと感心しながら俯いていると、艦長からそこまで独自で調べられる君は大したモノだと褒められた。

 

別に大した話じゃない。自分がグレイスを不審に思ったのは奴が自分を利用しようとしたからだ。奴に報復すべく行った殆ど憶測と当てずっぽうによる推測に過ぎず、今回は偶々それで当たりを引いたに過ぎない。と、そんな感じに伝えると、ジェフリー艦長は呆れた様に溜息を吐いてた。

 

不思議に思う自分だが、今はそんな事はどうでもいいのでスルーする。グレイス=オコナーに関してはオズマさんが持ち帰る情報次第という事で保留となっているが、ジェフリー艦長自身はグレイスの事をほぼ黒として見ているらしく、今後は奴の動向に注意するよう各艦長に伝える事で今回はそれで話を終える事にした。

 

え? 何でお前はジェフリー艦長とそんな話をしているのかって? いやね、実はジェフリー艦長ってああ見えてサーフィンが得意らしいんだよ。自分もリモネシアにいた頃は復興作業の合間や終わりによくサーフィンをしていたものだ。……誰もやる人がいなくて殆ど一人だったけどね。と、そんな話から始まった談笑の最後も今度は自分にもサーフィンを教えて下さいと約束を取り付けた事で終わりにし、自分はブリッジを後にした。

 

そして、その後の自分はZEXISの面々の機体を調整、整備の手伝いをさせてもらったりした。プトレマイオス2(以降トレミー)の扉を壊した件で少しでも貢献できるよう自分なりに努力しているのだが、如何せんここは戦いが常であるZEXISだ。機体の消耗は凄まじく、直しても直しても次から次へと新たな問題箇所を見つけてしまう。

 

ロジャーさんは、扉を破壊した事は君をZEXISに参加させる為の方便なのだから休むようにと言ってくれた。けれど、それを抜きにしても酷い。連戦に続く連戦だから仕方のない事かもしれないが、それでもこれからはもっと手強い相手と戦わなくてはならないのだ。整備に手を抜くわけにも行かないので、ロジャーさんにはそれでも自分も壊した原因の一つですとその言葉をやんわりと断った。

 

仕事人だなと呆れながらも機体整備を手伝ってくれたロジャーさんはマジ紳士、ドロシーさんも毒舌ながらもおにぎりを用意してくれたりと従者ップリを発揮してくれた。

 

その後はイアンさんを始めとした整備士の方達、並びにハロ達の手伝いもあってZEXISの機体は全て万全にしておいた。いやー、働くって素晴らしいね。会場の下見から戻ってきたZEXISの面々は自分の機体を見るなり驚いてた。

 

そんな彼等を見て自分は意外と整備士に向いているのではないのかと思ったりした。整備の基礎を叩き込んでくれたゴウトさんには本当に心から感謝しています。

 

あ、勿論グランゾンの整備もちゃんとやりましたよ。自分の大事な専用機だからな、心を込めて整備しようと思う。

 

ただ一つ気になる事があるのだが、勝平君だけは自分の整備士の格好を見るなり逃げてしまった。一体どうしたのだろう?

 

 

 

W月Q日

 

……今日、久し振りに奴と遭遇した。コンサートの途中ランカちゃんと獣戦機隊の沙羅さんが誘拐され、二人を助け出そうと変貌した中央情報局に救出メンバーの一人として潜入した時、奴と遭遇した。

 

グレイス=オコナー。今まで身を潜めていた奴がこの時になって出てきた事に俺は警戒しながらも歓喜した。漸く本願の一つが果たせる。奴は自分を世界の敵として仕立て上げた張本人だが、実のところもうそれ自体に怒りはさほど感じてはいない。何せ情報統制が常となっている世の中だ。仮に破界事変の時に奴の策略に乗らなくても、いずれ自分は世界の敵となっていただろう。

 

けれど、だからといって奴が自分を利用した事実は変わらない。奴をここで捕縛して企みの全てを吐かせてやろうと思ったが、厄介な奴が邪魔してきた。

 

“ゲシュタルト”暗黒の王と名乗る奴は超能力というオカルト攻撃で此方の邪魔をしてきた。手からビームやら衝撃波なるものを出して自分の邪魔をし、その合間にグレイスに逃げられてしまった。

 

邪魔された事による怒りで奴を殴り飛ばしたが、そのマスクの上からでは表情を読みとる事は出来ず、今度は分身して数の暴力で攻めて来やがった。

 

分身の半分を倒した所で後から来たタケル君と合流。なんでもゲシュタルト自体が凄まじい超能力の使い手でここにいる連中全てが超能力による分身なのだという。

 

まんまと騙された自分をゲシュタルト(分身)はバカめと嘲笑う。グレイスを逃がしてしまい頭に血が昇っていた自分はプッツンして、ここでまたガモンさんから教わった奥義を出してしまった。

 

“猛羅総拳突き”空手のあらゆる突きを“刹那的に繰り出す”奥義、捻り貫手と違い殺傷能力はそれほど高くはないが、それでもゲシュタルトの幻を全て消し飛ばす事は出来た。分身という事だけあって衝撃には弱いのか、どれもこれも呆気なく消えていく分身に自分はこんな奴に手こずったのかと悔しくなった。

 

タケル君の方はバラの騎士という人物に助けられたらしく、どうにか窮地を脱する事が出来たらしい。救援に駆けつけたロゼさんも一緒の所を見ると、どうやら本当にゲシュタルトを撃退出来たようだ。お互い無事で何よりだと言うと、何故かタケル君は引きつった笑みを浮かべていた。ロゼさんも白目になって気絶していたし、余程ゲシュタルトとの戦いが熾烈だったのだろう。

 

獣戦機隊の人達も沙羅さんを救出できたようで、残った救出対象はランカちゃんだけとなった。急いで救出に向かいたいと思ったが、外での戦闘が激しさを増してきた所で救出はアルト君に任せ、自分達も戦線に参加する。

 

その後はムゲ=ゾルバドスなる怨念使いと戦い、これに勝利した。……え? 呆気無さ過ぎる? だって自分は湧き出てくる雑魚とばかり戦っていたのだもの、仕方ないじゃない。

 

Dr.ヘルとの戦いを教訓に前に出過ぎる戦いは控え、皆が敵の大将の撃破に専念出来るよう、湧き出てくる雑魚を一掃していました。

 

ムゲが言うにはムゲ自身がいる限り敵は無限に出てくるという事なので、自分はZEXISの皆に寄り付かないようずっとワームスマッシャーで貫いていました。

 

自分のやった事がワームスマッシャーで敵を貫くだけの簡単なお仕事だなんて言わないで欲しい。これでも皆を巻き込まないよう計算して撃っているのだからそれなりに神経を使うのだ。尤も、アフリカタワーの時とは違い落ち着いて計算出来たのでそれほど疲れはしなかったけどね。お陰でワームスマッシャーの雨も途切れる事なく打ち続ける事が出来た。

 

勿論自分だけが戦った訳じゃない、アムロさんやカミーユ君等のZEXISの面々はワームスマッシャーに耐えた怪獣みたいなロボットに止めを差したり、自分に近付いてくる連中はカレンちゃんやヨーコちゃん、キタンさんが片付けくれた。

 

これぞチームプレイ! 今まで体感する事の無かった結束感に自分は嬉し涙を仮面の奥で流していました。しかもバサラさんがそんな自分を祝福するかのように歌うモノだから号泣必死である。

 

そして、そんな自分の援護の甲斐あってか、葵さんのダンクーガと忍さんのダンクーガによる同時攻撃でムゲを撃破、再び地球を危機から救う事が出来た。

 

本当は諸手を挙げて喜びたかったのだが、ランカちゃんがどこかに行方を眩ましたという事で素直に喜ぶ事が出来なかった。何でもランカちゃんはバジュラの幼体を飼っていたらしく、その子を故郷に返すべく旅立ったのだとか。

 

グレイス=オコナーとの決着の日も近い。その事をどこかで確信していたのか、ランカちゃんの行方不明の話を聞いてもさほど驚く事はなかった。

 

それに、何も悲観的な話ばかりじゃない。大塚長官の策がこの戦いで発令して自分達ZEXISの戦いが全世界に配信される事になったのだ。今まで秘匿されてきた連邦の一部隊が陽の光に当たる事によって、これまでの彼等の正当性が世論によって確固たるものとなった。

 

その中には自分の事も含まれており、今まで世界の悪として囁かれていた魔神が、実は世界の為に戦っていた。そんな事実に全市民は驚き、ちょっとしたパニックになっているという。

 

そんな衝撃的な話が世界中に飛び交う中、もっと大きな衝撃が地球を襲う事になる。“地球連邦代表であるリリーナ=ピースクラフトの解任”今まで地球を支えてきた彼女の解任に世界は動揺し、更にブリタニアの皇帝であるシャルル=ジ=ブリタニアが地球連邦の代表になるという事実に、世界は再び変動する事になる。

 

特にゼロはこの事実に思う所があったのか、シャルル皇帝の地球連邦代表就任という話に誰よりも動揺していた。

 

果たして世界はどう動くのか、シャルル皇帝の独特な演説を耳にしながら今日の所は終わりにしたいと思う。

 

……あ、そうそう。この間から悩みの種だった扉の修理費に関する話だけど、先日自分が全ての機体を整備した事が幸いし、全額返済する事が出来ました。しかもそのお礼という事で、お金も貰えちゃったりしました。

 

スメラギさんは少ないけれどと言っていたけれど、ZEXISは普段が戦いの毎日で整備や武装の供給がある為にそんな余裕はあまり無いはず。それなのに特別手当を貰えるなんて思っておらず、自分は飛び上がるのを必死に堪えてスメラギさんから受け取った。

 

大事に使おう。そう思いながら自分は特別手当と掛かれた封筒をグランゾンのコックピットにしまう事にしました。え? 何故グランゾンに仕舞うのかだって? だって普段グランゾンはワームホールに仕舞っていますもの、これ以上安心できる場所はそうない。そうでしょ?

 

 

 

 




次回、遂に物語の分かれ目に突入します。



今回のすれ違い

タケル「シュウジさん、助けに来まし……」

主人公「猛羅総拳突き!! ……ん? どうしたの?」

タケル「な、なんでも……」

ロゼ「あのゲシュタルトを一撃で──キュー……」

次回もまた見てボッチ!

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