魔法科高校の劣等生〜我が世界に来たれ魔術士〜   作:ラナ・テスタメント

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はい、テスタメントです。入学ラストとなる今話……ええ文字数が。
いや、あれですよ。ここまでなるとか思ってませんでした。
おっかしいな……プロット立てた時は、一万くらいだったのに(汗)
さて、そんな訳で入学完結です。しかし最初に言っておくと前編的な爽やかさは後編にはありません。
その辺、どうかお覚悟の程を。ではでは、入学編第十六話エピローグ後編、どうぞー。


入学編第十六話――エピローグ#Ⅰ――「彼女はただ叫んで」(後編)

 

「ふぅ……」

 

 夜、司波達也は自宅のソファに息を吐きながら身を沈める。深雪が苦笑しながら横に座った。

 あの後、急いで向かった打ち上げ先――喫茶店アイネブリーゼで、エリカとレオが早々にテンションをぶち上げており、酒でも飲んでいるんではなかろうかと言う騒ぎっぷりを見せたのだ。

 まぁ達也が人知れずに貸し切りにしていたおかげか、他の客の迷惑になると言う事は無かったのだが、しかし流石にあのテンションの二人には疲れさせられた。おかげで同好会設立の件は全く話せていない始末である。達也としては、あの打ち上げに参加したメンバーに入って貰いたかったのだが。

 ちなみにと言うか当たり前なのだが、深雪はこの話しを聞いた段階で既に参加が決定している。兄ある所自分あり。流石のブラコンっぷりであった。

 ともあれ、ようやく人心地つく事ができ、達也は安堵の息を吐く。これからいろいろ手続きに奔走する事にはなるだろうが、それは言い出しっぺの責務だろう。

 

「お兄様、前もこんな事がありましたね」

「ん……ああ、部活勧誘期間が終わった時か。あの時はまさかこんな事になるとは思っていなかったよ」

「そうですね。でも、深雪は嬉しく思います。お兄様が、楽しそうになされているように見えましたから」

「楽しそう? 俺が?」

「はい」

 

 微笑みながら頷く深雪に、達也はふむと考えを巡らせる。

 叔母が提案し、母が実行した実験により、自分は妹に向ける以外の感情は、フォーマットされたと言える。激情を抱けなくなったのだ。感情は喪失した訳では無い。だが、表に出せないと言う意味では大した違いは無いだろう。それが楽しそうに見えたと深雪は言った。

 理性はそれを否定する。だが、第一高校に入学して以来、確かに全く経験が無い事ばかりが起きた。それを自分は楽しいと感じていたのか……達也に判断は出来ない。

 

「正直に言うと、私は不安だったのです。お兄様は、私の為に無理をしていないかと。お兄様の実力なら高校に通う必要なんてありません。それを蔑まれてまで通う事に、苦心されていないかと……」

「…………」

 

 深雪の言葉に思い出すのは、つい数時間前にオーフェンへと告げた台詞だ。

 第一高校に教育機関としてのそれは期待していなかったと言うもの。深雪にも、それは見抜かれていた。だけど、彼女はそんな兄に微笑み続ける。

 

「でも、今はそう思っておりません。友達とのたわいないやり取りも、風紀委員としての勤めも、オーフェン先生との掛け合いも、キースさんの騒動すら楽しんでる。そう、深雪は思います」

「……最後のだけは同意しかねるな」

 

 そう言って苦笑し、達也は思い浮かべる。そしてようやく認めた。自分は楽しかったのだ、まだ三週間にも満たない、このドタバタとした日常が。

 まぁ、あの執事の件は別としてもだ。この学校生活に、やり甲斐を見出だしつつあるのは確かだった。慈愛の笑みを浮かべている深雪に表情にこそ出さないものの、小恥ずかしい感覚を覚え、達也は肩を竦める。

 

「……そうだな。楽しんでいるのかも知れないな」

「はい」

 

 嬉しそうにする深雪に達也も微笑む。そんな兄に満足気に頷いて、彼女はゆっくりと立ち上がった。

 

「お兄様、お疲れになったでしょうし、コーヒーは如何でしょうか」

「そうだな。頼むよ」

 

 二つ返事で請け負い深雪の姿がキッチンへと消える。後ろ姿を見届けて、彼女が戻るまでの間、暫くボーとしていたくなり目を閉じた――ところでヴィジホンの呼び出し音にそれを中断させられた。

 少々煩わしかったが無視する訳にもいかない。深雪がキッチンからリビングに戻って来ようとするが、手を上げて制止するとターミナルへと歩き、操作しようとして――息を飲んだ。表示された名前にだ。先の空気が全て吹き飛ぶ。

 長く……だが実際は数秒ほどの時間を持って、達也はターミナルを操作し、ディスプレイを展開する。そしてその向こうに現れた人物に改まって頭を下げたのだった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 天世界の門は訓練に、七草が用意した地下の訓練施設を使う。そこには他にオーフェンが沈黙魔術の研究と、その成果である魔術文字が刻まれた兵装が並ぶ、言わば研究所があった。

 オーフェンはここ二年ですっかり馴染んだ端末を操作し、データ取りを行う。その相手は渡辺摩利だった。彼女は一つの長剣を手に取っている。だが、その剣は鞘に納められたままだった。

 

「オーフェン師、発動してもいいですか?」

「厳密にはもう発動してるんだがな。ああ、展開を命じてみろ。それだけで鞘から抜ける」

 

 言われ、摩利はその剣――魔剣を掲げる。剣に発動の命令を送る必要は無い。ただ自分がこの剣を使用しているという自覚があればいい。剣は既に働いているのだから。それさえ間違わなければ、剣は作用する。

 オーフェンが最近作り上げた、沈黙魔術の剣、蟲の紋章(コルクト)の剣だ。ざぁっ、と虫の羽音にも似た響きと共に何かが広がっていく。同時に剣が白く輝く刀身を顕した。

 蟲の紋章の剣。かつてオーフェンの兄弟子であり、元部下である所のエド・サンクタムと因縁のある剣だ。月の紋章の剣と同じく感傷を喚起させられる剣でもある。だがそれはそれだ。オーフェンは端末に表示された蟲の紋章の剣が、機能を十全に発揮しているか、データに目を通す。

 この剣の銘の由来は、その機能から来ている。本体は剣では無く鞘だ。鞘は人の目には捉えられないほど極少の虫の集合体で――この虫は魔術文字そのものだ――機能状態では分離して使用者の周囲に展開しており、鞘から抜かれた刀身は虫を操る中枢、言わばアンテナの役割を持っている。そして虫だ。これは相互に干渉して特殊な力場を線状に発生させる。二つの虫で一本の力場を、三つの虫で三本の力場、四つなら六本、五つで十本、このように力場を増やしていく。ちなみに鞘が一体何体の虫に分離しているかは、作った当のオーフェンですらうんざりとする数であると言う所で察して頂きたい。

 オーフェンが見る端末では展開した虫の分布が表示されていた。摩利の周囲を覆っている。虫達は互いに近い距離にいるほど力場も強くなり、中央に位置する使用者は刀身で守られるので、たとえ魔術を跳ね返す程に強まった力場の中にいても動く事が出来る。また大雑把にではあるが、力場も自在に動かす事も可能で、効果範囲は数十メートルから百メートル以下だ。防御型ではあるが、おおよそ隙の無い万能兵器である。

 オーフェンは摩利に視線を戻し、手を上げる。彼女がそれを見て頷いたと同時に構成を瞬時に発動させた。

 

「我は放つ光の白刃」

 

 熱衝撃波が手より放たれ、摩利へと直撃する――事も無く虫により弾かれ、明後日の方向に着弾する。更に擬似球電、重力渦、極冷気、おまけに空間爆砕を仕掛けるも全て弾いたのを確認し、オーフェンはふむふむと頷いた。

 

「よし、もういいぞマリ」

「は、はい」

 

 立て続けに殺傷性抜群の魔術に晒されたせいか、若干びくつくようにして摩利は剣の機能を終了させる。虫が鞘へと瞬時に戻った。

 防御に関して、オリジナルと寸分違わぬ性能を発揮した事はこれで証明された。後は攻撃だ。本来の蟲の紋章の剣も展開した力場による攻撃が可能だったが、オーフェンはこれにCADと掛け合わせ、魔法を兼用する事も目論んでいる。摩利の”あの”魔法と掛け合わせれば、非常に強力な攻撃手段となる事が予想された。だがまぁ今日の所はここまで。今日取ったデータから調整して試すべきだろう。……この調整が実は苦手で、出来ればその辺を任せられるエンジニアが欲しい所なのだが――。

 

「お疲れさん。いいデータが取れた」

「いえ、しかし改めて強力ですね。この剣……」

「そりゃあな」

 

 摩利から蟲の紋章の剣を受け取り、脇に置いてあった封印用のケースに納める。そうしながら笑ってみせた。

 

「俺達の世界の魔術。ドラゴン種族の魔術でも一、二を争うレベルの強力さだからな。いや、精霊魔術のような例外もあるが」

「そう言えば聞いていませんでしたが、ドラゴン達が扱う魔術はどれが一番強力なのですか?」

「……ドラゴン種族ともなると、魔術の強弱だけじゃ計れないんだがな。まぁ最強の魔術と言うと、ウォー・ドラゴン=スレイプニルの破壊魔術と言われているな」

「言われて?」

「実際には見た事無いんだよ。唯一見ていない魔術と言えるか……よく考えなくても、全ドラゴン種族に会った事があるの、俺だけなのか」

「それは……凄い事なんでしょうか?」

「今生きてるのが不思議ってレベルだ。いや、本当によく生きてるな俺……」

 

 二十年前にキエサルヒマを横断する旅で、オーフェンはほぼ全てのドラゴン種族と会っている。三種のドラゴン種族は始祖魔術士しか会ってはいないのだが、ある意味偉業と言えなくも無かった。だとしてもオーフェンからすると、「厄介事ばっかりな旅路」となる訳だが。一瞬俺の人生何でこんなんばっかなのかと落ち込みそうになったが、深く考える事を止め、話しを戻す。

 

「破壊魔術は、ただ破壊だけを行う魔術と言われているな。それだけしか出来ないんだと。ただし威力は強力無比だろう。媒体も……まぁ大体は予想している」

「媒体――サイオンみたいなものですか」

「そうだ。俺が音声を媒体とするように、魔術発動の媒体はその魔術と密接に繋がる。ドラゴン種族は生来の強靭さで本能的に構成を編めて、制御出来るからな。人間の魔術士とは、比べものにならない」

「……ちなみに、そのスレイプニルとか言うドラゴンはどのような媒体とオーフェン師は予想しているのですか?」

「意思……だろうな」

「意思?」

「そうだ。破壊を念じれば、その意思が媒体となって破壊の魔術が行使されると俺は見てる。正面から勝てる存在は、まぁいないだろうな」

 

 神人種族と言う例外を除いて、と内心ではつけ加え、オーフェンは肩を竦めた。賢者会議の始祖魔法士――この世界の魔法士を巨人化させて作り上げられたアイルマンカーだが、いくつかは倒せる算段をオーフェンは持っている。だが問題はこのスレイプニルともう一体のドラゴン種族だ。ディープ・ドラゴン=フェンリル。スレイプニルがドラゴン種族の王で、ノルニルが女王だとするなら、フェンリルは戦士だ。ドラゴン種族の戦士。その力は二十年前にも散々味わった。

 この二種の獣王だけは、未だ勝てる見込みをオーフェンは持てなかった。いや、どのドラゴン種族も厄介な事に変わりは無いが。

 

「……と、これ以上は話しが長くなるな。マリ、今日はもう上がりだ」

「はい。オーフェン師はこの後、調整に?」

「ああ。出来れば今月中には仕上げておきたい。……来週頭から、”アレ”があるしな」

「ああ……」

 

 嫌そーな顔をするオーフェンに、これまた嫌そーな顔で頷く摩利。今年もやって来たのだ、アレが。

 去年はいろいろ情報が漏れたせいで新入生の大半を逃してしまい、二、三年生も強制参加となったアレ……オリエンテーションが。だが単なるオリエンテーションでは勿論無い。有り得ない。具体的には何も言えないが……。

 

「……今回も、そうなんですか?」

「あの野郎、妙に校長のウケが良いらしくてな。今年も是非にと頼まれたそうだ。引率は勿論俺だ――教頭以下から泣いて頼まれたぞ」

「ところで前から気になっていたのですが、あの場所は地球上なんでしょうか?」

「気にするな。気にしたら負けだと俺は悟ったぞ」

 

 諦めきった台詞に、それでいいのかとばかりに摩利が見て来るが、あれに関しては考えるだけ無駄だ。ある意味巨人化のようなものである。予想が一切つかないと言う所が特に。

 納得いっていなさそうな彼女に手を振って再度上がるよう指示すると、摩利は大人しく一礼して引き上げた。シャワー室にでも向かったのだろう。今なら先に訓練を終えた真由美、鈴音、スクルドとも合流出来る筈だった。しかし……。

 

(娘の時も散々思ったが、なんで女は汗を流すだけであんなに時間掛かるかね)

 

 と言ってもオーフェンが居た世界ではシャワーも無かったのだが。あんな便利なものがあって何で時間が掛かるのか、微妙に理解出来ない。首を捻りながら蟲の紋章の剣を納めたケースを手に取り、研究室へと戻ろうとした所で携帯端末から着信音が響いた。ポケットから取り出し、誰からの着信かを見る。着信は司波達也からであった。もう21時になろうと言うのに何の用なのか。

 

「……まさか早々と同好会の準備が出来ましたとか言わんだろうな」

 

 ちょっと有り得そうではある。ともあれ、オーフェンは操作すると携帯端末を耳に当てた。

 

「もしもし、タツヤか?」

『オーフェン先生。夜分申し訳ありません』

「構わねぇよ。で、何の用だ? 同好会の件なら週が明けてから――は無理か。その後にしろよ」

『……何で無理なのかひたすら気になるんですが』

「タツヤ、気にしても仕方ない事はある。諦めろ」

『何かあるんですね?』

「諦めろと言ったぞ」

 

 勘の鋭い奴だなとオーフェンは苦笑し、”作戦を考える”。達也には最低でも十師族クラスを充てるべきだろう。克人とかが最適か。その上で魔術文字の縄あたりも用意しておくか。

 

『……何か、物騒な事を考えてませんか』

「いや別に。ただ学校を休む事があったら、キースを見舞いにでもやろうと思ってな」

『脅迫ですか……!?』

「人聞きの悪い事を言う奴だなぁ。例え話だよ例え話」

 

 はっはっはと朗らかに笑うオーフェンに、携帯端末越しでも分かる程に達也が不信がっているのが分かる。だが間違っても逃がす訳には行かない――去年の二の舞を演じて二、三年生に恨まれたくは無かった。

 やがて嘆息し、達也は気を取り直したのか、本題に入った。

 

『今から少し時間を貰えますか? 外に出て欲しいんですが』

「今からか? 別に構わんが本格的に何の用件なんだ」

『オーフェン先生に会いたいと言う人がいまして』

「……俺に?」

『はい』

 

 誰だと言外に告げるが、達也はあえて無視した事をオーフェンは悟る。同時に厄介な事になっているとも理解した。そうでなければ会わせたい人物を隠す必要が無い。

 暫く考え、やがてオーフェンはため息を吐く。どうして厄介事は何もしなくても自分の所に来るのかと思いながら。

 

「待ち合わせ場所はどこだ?」

 

 そう達也に告げたのだった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 たまたまキースの身が空いていたので、とっ捕まえて車を出させ(オーフェンは免許の類を一切持っていない)、オーフェンは待ち合わせ場所へと到着した。

 第一高校にほど近い公園だ。そこそこ大きいその公園の入口に立つ達也と深雪を、オーフェンは見た。車から降り、二人の傍まで歩くと兄妹は揃って頭を下げた。

 

「急な呼び出しに応えて頂いてありがとうございます」

「別に、やる事が無い訳じゃないが……まぁ前倒しの罪滅ぼしみたいなもんだ。気にすんな」

「本当に週始めに何があるんですか一体」

「タツヤ……」

 

 そこでオーフェンはぽんと達也の肩を叩くと真剣な顔となった。そして言ってやる。色んな経験を積んだ自分が至った、真理を。

 

「世の中な、諦めと許容が大事なんだ。そうしたら人生楽になれる」

「……悟ってどうするんですか」

 

 ジト目で見てくる達也を誤魔化すように笑いながら、オーフェンは横を抜ける。どうせ週が明けたら嫌でも知る事になるのだ。その時に存分に悟ればいい。

 そして公園へと入ろうとすると、ぽつりと彼は呟いて来た。

 

「気をつけて下さい」

「……何にだ?」

「行けば分かります。ただ――俺も先に謝っておきます。すみません」

 

 そう言って再び頭を下げる達也。深雪も申し訳なさそうに目を伏せていた。

 訝しむように彼等を見ながら謝罪の意味を聞こうとして、止めた。言えない何らかの理由があるのは、先にも分かっていた事だからだ。下げ続けられている達也の頭を叩いてやり、オーフェンは公園の中に入る。暫く歩いていくと、開けた場所に出た。中央に噴水が設えてある。そこに一人の女性が居た。

 外見は二十後半から三十代前半を思わせる、凄まじい美女だ。入口にいる深雪とはまた別の、異様に妖艶な美しさを持つ女性である。夜をイメージさせる黒のドレスに身を包み、怪しく微笑んでこちらを見ていた。

 ……何となく直感する、彼女の正体を。それは顔に出さず、オーフェンは近くまで歩み寄った。

 

「いい夜だな、とでも言えばいいんだかな。あんたが俺を呼び付けた相手でいいんだよな?」

「ええ、その通りです……貴方は敬語を使わないのですね」

「必要ある相手なら使うが、あんたに必要だとは思えない。だからあんたも使わなくていい」

「あんた、なんて呼ばれた事自体初めてなので新鮮だけれども……そうね、敬語は必要無いでしょう。でも、そろそろ名前で呼んで欲しいわ。自己紹介をしましょうか?」

 

 にこやかに問うて来る美女にオーフェンは首を横に振る。これは経験論だが……大体美女と言う奴は、自分にろくな話しを持って来ないのだ。彼女もきっとそうなのだろうと半ば確信しながら、名前を告げてやった。

 

「四葉マヤ。はじめましてと言っておこうか」

「ええ、オーフェン・フィンランデイ。はじめまして」

 

 にっこりと童女のように笑って、彼女、十師族が一つ、四葉家当主、四葉真夜は頷いたのであった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 話しに聞く所によれば、彼女の歳は四十を超えている筈だ――彼女とかつて婚約していたと言う七草弘一と同世代なのだから。

 だが見た目は明らかにそれより若い。薄いドレスは彼女の身体を浮き出しているが見事なプロポーションを見せている。

 今更そんなものにどきまぎすると言う事も無く、オーフェンは冷めた視線を彼女に送った。スウェーデンボリーの話しを信じるなら、達也と深雪を合成人間にして作り上げた張本人の一人だ。もう一人、実の母は死亡したとの事だが。

 

(考えてみれば二者面談なのかこれ)

 

 そんな愚にもつかない事を思いながらも、オーフェンは口を開く。

 

「引き篭りだと聞いたがな。十年以上篭りきりとか言う話しじゃ無かったか?」

「ええ。前回の師族会議以来かしら? 外に出るのは久しぶりよ。こんないい夜なのは、日頃の行いが良いからかも知れないわね」

「……自分で言ってて寒くないかそれ」

「……貴方も貴方で、女性に対する礼儀を知るべきだと思うのだけれども」

 

 拗ねたように軽く睨んで来る彼女に、オーフェンはふんと息を吐いた。どうでもいいと言わんばかりにだ。そんな態度を取られる事自体初めてなのか、真夜は少しだけ困惑の表情を見せる。だがオーフェンは構わず、ぞんざいに手を振った。

 

「世間話をしに来たって訳でも無いだろ。単刀直入に聞く。何しに来た?」

「ええ……そうね。正直、用件があると言う訳では無いの。貴方の顔を見たかっただけ」

 

 笑みを消して、じっと夜色の瞳を向ける真夜に、しかしオーフェンは全く動じ無かった。嘆息してキロリと睨む。

 

「何の用も無いのに俺を呼び出したと。しかも、引き篭りのあんたが? 馬鹿も休み休み言え」

「事実なのだから仕方ないでしょう。……ところで貴方、目付き怖いわよ」

「やかましい。元々――じゃあ、まぁないが、一応天然ものだ。今更どうこう出来るか」

「どんな人生歩んだらそんな風に目が吊り上がるのかしら……可哀相に」

 

 マジな哀れみを送る真夜に、オーフェンはこめかみが引き攣るのを感じる。しまいには魔術でも叩き込んでやろうかと思った所で、ぷっと唐突に彼女が吹き出した。そしてクスクスと笑い始める。

 

「……あんたな」

「あは……ご、ゴメンなさい。こんな風なやり取り初めてで、面白くって……!」

 

 目尻に浮かんだ涙を拭いながらも、彼女は笑い転げる。そんな彼女に今度はオーフェンが惑うような表情となってため息を吐いた。何と言うか……毒気が抜かれた。だからと言う訳でも無いが、彼女の笑いが治まるまで大人しく待つ事にする。勿論、半眼付きではあったが。

 暫くしてハンカチでもう一度目尻を拭い、ようやく落ち着いたのか、居住まいを正した。

 

「失礼したわ」

「本当だよ。で、そろそろ本題に入ってくれるか」

「と言っても本当に顔を見に来ただけなのだけれども。……そうね、おじ様が言うより顔立ちは整っているのかしら」

「……おじ様?」

「ええ。貴方にはこう言った方がいいでしょう。スウェーデンボリー……彼を私はおじ様と呼ばせて貰ってます」

 

 半ば予想はしていた。してはいたのだが、まさか真正直に告げられるとは思ってもおらず、オーフェンは口を引き攣らせる。思い出すのはブランシュ日本支部でスウェーデンボリーが達也と深雪に告げた言葉だ。つまり、彼女はまだ――。

 

「スウェーデンボリーと繋がりを持ってる、て訳か」

「個人的にね。四葉は彼に関与していません。何故なら、四葉の魔法師の大半を、彼は破滅させたのだから」

「大漢の絶望……」

「そう、私を引き金にしたあの事件。大漢に復讐しようとした四葉におじ様は接触して来たのよ。結果は知ってのとおり、大漢は崩壊したわ。けど四葉の大半も破滅したの」

 

 それ以来、四葉は賢者会議を徹底的に忌避するようになった。アンタッチャブルと呼ばれる四葉が、皮肉にも賢者会議に触れるべからざると決めたのである。だが、その中でたった一人だけ彼と接触を持ち続けたのが、これまた皮肉にも当主である彼女であった。真夜は夢見る乙女のように手を組んで、歌でもそらんじるように言って来た。

 

「おじ様は私にとって恩人なのよ。私の願いを叶えてくれた――いいえ、叶える方法を教えてくれた」

 

 オーフェンは何も答えない。ただ頭を過ぎったのはやはりスウェーデンボリーの言葉だった。彼女達は世界の破滅を望んでいた――。

 

「そう」

 

 目を潤ませながら頷く。当の魔王から話しでも聞いていたのか、こちらの返答を待たずして続けて来た。

 

「達也さん。あの子を世界の破壊者として生み出す方法を、おじ様は教えてくれたのよ」

「合成人間……」

「貴方達は解決者と呼ぶんですってね? イデアからデザインされ、人の肉に直接産み落とした存在。彼等は一つの事項を自らの存在目的にする――貴方も知っている事よね」

 

 知っている。認めたくなくても、オーフェンはそれを嫌と言うほど知っていた。

 アルマゲスト・ベティスリーサ。彼はキエサルヒマ大陸における全ての人民の生命を護る事を。

 ロッテーシャ・クリューブスター。彼女は召喚機を起動させる事を。二人は意識的にせよ無意識的にせよ、存在目的としていた。

 偶発的に生み出されたマルカジットと言う合成人間でさえ、複雑化した世界を仕切り直す事を存在目的にしていた。なら、達也は。

 

「達也さんの存在目的は、世界の破壊」

 

 思い出すのは数時間前の達也の表情。

 

「この世界への報復――私から過去と未来と、ささやかな幸せを奪った残酷で理不尽な世界への復讐」

 

 自分の感情に戸惑いながらも、自分へと教えを願った純粋な少年の、無表情の中にあった、確かな想い。

 

「私が願い、姉さんが形にしてくれた、憎悪の願望。私の祈りは姉さんの魔法を通じて、あの子をイデアから生み出した。ふふ、素敵だと思わない?」

 

 自分を超えろと言う条件に、いつか必ずと笑いながら誓った目。

 その全てを、彼女は知らないままに否定した。オーフェンの顔から表情が消える。だが真夜は気付かぬままに続けた。

 

「けど姉さんはあの子がそうして生まれた存在だと言う事を知っていたのね。だから深雪さんと言うストッパーを作り上げた」

「ストッパー? ミユキが?」

「そう。深雪さんもまた合成人間――ある意味、真のね。その存在目的は達也さんを止める事。あの子が存在する限り、達也さんは世界を破壊しない。代わりに深雪さんが消えれば、達也さんは世界を破壊するでしょう」

 

 ちらりと真夜が視線を移す。その先ではガーディアンの代役として指名した達也と、付き添いの名目で同行した深雪が居た。あの二人は兄妹以上の絆で結ばれている――合成人間と言う機能による絆を。それは一見美しく見えるが、実際はひどく機械的な悍ましい代物だった。あの二人が仲陸つまじくしている。それだけで、真夜は世界への溜飲を下げられた。

 

「正直に言うと、どちらでも良いの。達也さんが世界を破壊するのも、そうでないのも。達也さんが世界を破壊した時、私は復讐を成し遂げられる。そして、達也さんが深雪さんにより止められ続けたなら、別の意味でも復讐が出来る」

「……成る程な」

 

 満足気に語り尽くした真夜に、何故彼女が自分に会いに来たのかをオーフェンは悟った。真夜は自分に親近感を持ったのだ。

 世界の破壊者。全てをぶち壊したいと言う願望を持っていると、復讐したいと願っていると、自分と同類だと、そう思ったのだろう。おそらくスウェーデンボリーから自分の事を聞きかじったか。

 心に広がるのは一つの納得と、諦観だった。真夜を見る。彼女は生まれて初めて出来た友達を見る目で自分を見ていた。期待に満ち満ちた目、その目を、オーフェンは。

 

「下らない」

 

 迷わず裏切った。

 

 真夜が呆然としている。期待に輝いていた目が困惑に揺れていた。だがオーフェンはその一切を捨てる。

 

「そんな下らない事に、子供を使ったのか」

「くだらない……?」

「ああ、下らない。……なあマヤ。お前、”本当は世界への復讐なんて考えてなかったろ”」

 

 その言葉を聞いて、真夜が絶句する。だがオーフェンは彼女の全てを無視した。

 

「世界への復讐の為にタツヤをデザインさせたと言ったな? 世界を破壊させる為に」

「そう……そうよ! 私が、そうさせたの! 貴方だって――!」

「そうだな。そっちの勘違いから、まず否定しようか。確かに、俺は何もかんもをぶち壊したさ。当時のキエサルヒマの在りようをな。だが、お前とは違う」

「何が違うの!?」

「俺はただ、誰か一人が世界をどうにか出来ると言う逃避を認め無かっただけだ」

 

 オーフェンが決めたのは、それだけだ。誰が望むのでも無い、だがやらなければならない事。それをしただけだ。そして、全ての人類にリスクを振り撒いた。確かな絶対の守りと言う矛盾を破壊して、それを押し付けた。

 それは世界への復讐などでは無い。世界へと、また突き付けただけだ。俺はこうしたぞ? お前はどうする? 絶望のみを答えとした世界に他の答えもあるだろうと問い直した。それが……破壊だと言われたなら、肯定せざるを得ない。だが彼女とは違う。真っ直ぐに真夜の瞳を射抜いて、オーフェンは続ける。

 

「俺とお前は同類じゃない。そして、お前もまた俺と一緒じゃない。世界の破壊なんて、本当は望んじゃいない」

「なんで、そんな……」

「なんで? ”なら何故ミユキが居るんだ”」

 

 オーフェンが突き付けた問いに、真夜が息を飲んだ。

 いろいろ理由を付けていたが、世界に対する憎しみを、世界に対する復讐を、世界に対する報復を願っていたなら、むしろ深雪の存在は邪魔でしか無い。なのに当時既に当主に就いていた真夜は、姉の深夜が深雪を生み出す事に反対しなかったのだ。むしろ望んだ。破壊に対する制止が復讐の代わりになると思い込むように。

 オーフェンはゆっくりと、しかし確かに、真夜の願望を解体していく。矛盾を突き付ける。誰もきっとしなかったに違い無い事を、自分がする。

 

「おかしいだろ。世界を壊したいなら、タツヤだけで十分だ。俺は知らないが――あいつにはそれが可能な力があるんだろう?」

「そう、そうよ。だから深雪さんと言うストッパーが」

「”世界への憎悪しか頭にないなら、そんな事はそもそも思い付かないんだよ”」

 

 ようやく見付けた自己矛盾の逃げ道を、しかし容赦無くオーフェンは潰す。彼は知らない事だが……真夜がそうなったのは無理からぬ事だった。何故なら、世界への憎悪となる源泉の体験を、記録へと変換されていたから。事件直後に、姉の深夜によって。

 憎悪しか無い? それはありえない。むしろ憎悪すら消された。悲しみも苦しみも絶望も記録にされてしまったから。

 だから、思い込むしか無かった。自分は世界に復讐しなくてはと。それが願望なのだと、刻み込むしか無かった。そうして、必死に見ないフリをした。

 だが、その努力を。少女が自分を保つ為に自分に重ねた嘘を、オーフェンが無理矢理直視させる。

 

「お前は矛盾だらけだ、マヤ」

「……なんで?」

 

 なんでと繰り返して真夜は呟く。なんで、なんでなのかと。オーフェンはもうそれに答え無かった。ただ真夜をじっと見る。

 

「私は本当に願ったの。こんな理不尽で、甲斐の無い世界なんて、壊れてって。それがいけない事なの?」

「……そんなもんは誰に決められるものじゃないさ。お前が本当にそう願うなら、お前自身の手で行うべきだった。誰かに委ねるでも、托すでもなく、自分が復讐するべきだった」

「だって、私には世界を壊す力なんて無いもの」

「だとしてもだ。他人に任せて、復讐の主体性を預けるなんて言うのは……もう復讐じゃないだろ」

「……お友達になれると思ったのに」

 

 呟かれる言葉は、それだけ彼女が期待したと言う事。本当にそう願ったと言う事。オーフェンはそれを聞いて、そうだなと内心頷いた。

 

「残念だったな」

 

 そして、口で否定する。次の瞬間、真夜が動いた。

 サイオンが彼女の身体を包み、魔法式を展開する。それは一瞬で「夜」を形成した。

 「流星群(ミーティア・ライン)」。空間の光分布に作用する収束系の系統魔法である。そして四葉真夜を極東の魔王、夜の女王と言わしめる所以となった魔法だった。

 光の分布を偏らせることで光が百パーセント透過するラインを作り出し、有機、無機、硬度、可塑性、弾力性、耐熱性と言った全ての妨害物を問わず、対象物に光が通り抜けられる穴を穿つと言う魔法である。

 この魔法は光を介して間接的に物質の構造に干渉し、熱や圧力によらず固体、液体を気化させる――つまり気体へと分解する分解魔法の一種とも言え、光子を反射、屈折、遮断させる障壁は意味を成さない。則ち、絶対の貫通性を持つ魔法と言える。十文字家のファランクスですら、これを防ぐ事は出来ないのだ。その「夜」が、オーフェンへと殺到する。だが、もう彼は構成を編み上げ終えていた。変換鎖状構成を持って編まれた構成は、姉レティシャのある魔術だった。

 

「我は開き入る異界の扉」

 

 直後、全ての感覚が消えた。実在との接点を失い、質量、方向、座標の全てから離脱する魔術。平たく言えば、この世から一時的に消え失せると言う構成だ。

 これにより消えた術者は、あらゆる物理的な影響を受けなくなる。究極の防御術の一つだ。長じれば空間支配術ともなる――それを擬似空間転移の構成へと編み変える。結果、オーフェンは「夜」の光、そして真夜自身を突き抜けて、その背後へと転移した。マジクが開発した新式の擬似空間転移構成だ。もちろん制御が難しい上に使い所があんまり無いと言う結構残念な構成でもある。だが、今は役立ってくれた。方向も擬似空間転移で変えた為、真夜の背後に正面から立つ格好になっている。このまま手を伸ばし、華奢な首を折るのに半秒も掛かるまい。だがオーフェンはそうせず、ただ彼女の首に指を添えるだけにした。それだけで結果は十分だった。

 

「私を、殺すの?」

「……いや」

 

 勝敗は決まった。そして話す事も話した。なので用も無いと、オーフェンは彼女の首から指を離した。そのまま背を向けて歩き出す。真夜が振り返ったのを気配で感じたが、それも無視した。

 

「貴方は、許さない――」

 

 背後から来るのは怨嗟の声だった。復讐を奪われた、見たくもない現実を突き付けられた、哀れな”少女”の声。オーフェンは振り返らない。

 

「絶対に、絶対に貴方に復讐する。もう世界なんてどうでもいい……私を否定した。折角お友達になれそうだったのに、裏切った貴方を許さない……!」

 

 声には激情が込められていた。恐怖、畏怖、不理解、理解、そう言った激情が。オーフェンは歩を止めない。ただ歩き続ける。

 

「こっちを見る必要も無いって言うの!?」

 

 話さない。話す必要が無いから。

 

「なんでよ……!」

 

 見ない。見る必要が無いから。

 

「なんでよ――――――!」

 

 応えない。応える必要が無いから。

 ……応えてしまえば、きっと同情してしまうから。だから、オーフェンは最後まで彼女を見捨ててその場を去る。

 そして、ただ彼女は叫んだのだった――。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「オーフェン先生……!」

 

 達也と深雪が走って来る。恐らく真夜の魔法を感知した為だろう。二人に苦笑して、オーフェンは真夜が泣き叫んでいるであろう噴水を指で示した。

 

「しばらく泣かせてやれ」

「何をしたんですか、一体」

「誰も言わなかったであろう事を言ってやっただけだ……まぁ、恨まれたな。いつもの事だが」

 

 肩を竦めると、オーフェンは二人に手を振って置き去りにする。呑気に会話する気には、どうしてもなれなかった。引き止めるかどうか、達也も深雪も迷っているようだったが、まさか真夜を放置する訳にもいかず、立ち尽くす。責めるような視線を浴びながら、入口へと辿り着いた。キースは――案の定待っていなかった。

 

(これも天罰かね。女を泣かせたから)

 

 そう独りごち、オーフェンは七草邸へと歩を向ける。キースを呼び出す気にはなれなかった。いや、正確には一人で歩いていたかった。たまに、こうして孤独である事を望む時がある。ままならない事があったりした時などは、特に。

 センチメンタルだなと苦笑して、歩き続ける。七草邸に着く頃には日付も変わっているだろう。こんな風に、世界は思い通りにはいかない。だがそれは当たり前だった。確かな未来なんてものは無いのだから。

 どれだけ嫌みで甲斐が無かろうと、それが現実だ。そんな世界で生きている。そんな世界だからこそ、生きていられる。

 そう心に刻み、オーフェンは歩き続けた。自分は超越でも、超人でも無いのだと、そう信じながら。

 

 

(入学編、完――)

 




はい、エピローグ後編でした。
オーフェン、真夜を泣かせるの巻。いやあれですよ、長期休載の前に、もうこのプロットは立ててたんですが、いや思った以上に重くなってしまいました。
真夜の復讐は単なる現実逃避だろ、と言うのが今回のオーフェンの弁。いえ原作だとアレだったんですが、テスタメント的にどうもしっくり来ないなと。
世界の復讐を望んでいながら、一方でそれとは別に復讐心が満たされるのを待ち望んでいる。どちらかと言うと後者のが真夜には重要なんじゃないかなーと思いました。
なのでオーフェン先生ばっさりと(笑)
真に世界に復讐したいなら、何故深雪が必要だったのか? と思ってしまいまして。まぁなので真夜の本命は、きっと深雪を達也が守り切る事なんだろうなと思った次第です。
さて、今回の件で、真夜とフラグが立ったような――敵対フラグなのかどうなのかは読者の皆さんの感想にお任せします。
さて、次回は無謀編。ええ、今話の作中で散々描写したオリエンテーションのお話となります。なお、ギャグです。今話が嘘のようなガチギャグとなります。空気読めよテスタメント……(笑)
ではでは、次回もお楽しみにー。
そして何とか入学編を終えられました。応援して頂いた方々に全力のお礼を!
ありがとうございました――――!

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