ブラック・ブレットー白き少女ー   作:虚無龍

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 なかなかストーリーが思いつかず、時間がかかってしまいまして、すいませんm(__)m


理不尽

 アリスはデパートで頼んだ場所に品物を持って来てくれと五翔会の一枚羽根の奴に頼み、自分はほとんど手ぶらのな状態でデパートを出た。

 

 アリスはデパートを出てから、しばらく歩いていたのだが、街頭テレビのパネルに聖天子が映っているのを見て、足を止めた。 

 

「…………『ガストレア新法』…………か」

 

 『ガストレア新法』とは、『呪われた子供達』の基本的人権の尊重に関して聖天子が再度法案を出すことである。

 

「…………お前は正し過ぎる。だから敵を生むんだ」

 

 誰に言うでも聞かせるでもなく、ただ独り言の様に、うわ言の様にアリスは呟いた。

 

 近々予定されている聖天子暗殺計画。その主導者は大坂エリアの統治者であり、五翔会最高幹部の一人、斉武宗玄である。

 

 聖天子は確かに正しい。

 

 だが、正し過ぎる。

 

 人間として、正し過ぎる選択をしているからこそ、恨まれもするし、邪魔者扱いもされてしまうのだ。

 

 今回の暗殺計画なんてその最もたる例だ。

 

「…………暗いことばっかり考えてちゃだめだな。皆に心配かけちゃう」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 用事も済んだことだし、少しぶらぶらとしていたアリスだったが、次の瞬間にその状態は打ち破られる。

 

「ーーそいつをつかまえろぉぉ!」

 

 そんな野太い声が聞こえてきたのと同時に、人垣が破れて一人の少女が飛び出してきた。

 

 明らかに盗品であろう食料品をスーパーマーケットのかごに入れた物をもって。

 

 その服や、何よりも赤い目から外周区の『呪われた子供達』だということがわかった。

 

 あいにく、アリスはその少女から離れた場所にいて、人混みのせいで思うように近づくことが出来なかった。

 

 そして、たどり着いた頃には、そこに少女の姿はなく、呆然と立ち尽くす蓮太郎と悔しそうにしている延珠の姿があった。

 

 

ーーーーーーーー蓮太郎視点ーーーーーーーーー

 

 

「…………なあ延珠、もしかして……………………知り合い、なのかよ?」

 

 俺は延珠に助けを求めてきた『呪われた子供達』の手をはたき、睨み付けた。

 

 そして、警官がろくに話も聞かずに手錠を嵌めて立ち去った後に延珠に聞いていた。

 

「…………そうだ」

 

 いたたまれない気持ちになっていた所で、ふと、背中に視線を感じ振り返った。

 

「…………アリス」

 

 そこには、怒りや失望などが入り交じった目をしたアリスがいた。

 

 しかし、どこか嬉しそうな雰囲気を感じたのは俺の勘違いだろうか。

 

「…………や……も……なん……な」

 

 俺に向かって何かを呟いた後、路地裏の方へと走って行った。

 

 そこで俺は別れ際にアリスに言われたことを思い出した。

 

 

『延珠をよろしくね』

 

 

 アリスは確かに俺にそう言った。

 

 …………確かに、俺があの娘の手をはたき、振り払った事によって、延珠に被害が飛び火することは全くなかった。

 

 …………これでよかったはずだ。

 

 俺は延珠を守れたんだ。

 

 …………本当にそうか?

 

 あいつは『呪われた子供達』を普通の人間と同じ様に見て欲しいからこそ俺にあんな事を言ったはずだ!

 

「…………何やってんだよ、俺は」

 

「蓮太郎?」

 

 心配そうに見てくる延珠に俺は、

 

「延珠、一人で家まで帰れっか?」

 

「えっ?」

 

 そう言って俺は素早く左右を見渡し、ある少年を見つけて駆け寄ると、

 

「民警だ。ガストレアがエリア内に現れたので、君の原付を借り受けたい」

 

 今、出来る最大限の事をしよう。

 

 そう心に決めて俺は走り出した。

 

 

ーーーーーーーーアリス視点ーーーーーーーーー

 

 

 くそっ! くそっ! くそっ!

 

「どこいったんだ!?」

 

 私は連れていかれた少女を探していた。

 

 あの警官は周りの人の話をろくに聞かずにあの娘を連れていった。

 

 警官は普通、どれだけ決定的な証拠があっても周りの人の話を聞いてからどうするか判断するはずだ。

 

 それをしなかったということは逮捕ではない何かをするつもりだと言うことだ。

 

「速く! 速くっ!」

 

 人混みの中で力を使う訳にはいかないので、路地裏から、屋根上まで登ってから、屋根上を走っては跳び、走っては跳びを繰り返し、縦横無尽に探し続けるが、全く見つからない。

 

 別に蓮太郎を責める気はない。

 

 蓮太郎は延珠を守るためにあんな事をしたんだから。

 

「どこだっ! どこにいるんだよっ!」

 

 私は叫ぶ事しか出来なかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 それから数分後。

 

 連れていかれた少女を探すために五感を最大限まで強化していたからこそ、その小さく響いた音が聞こえたのだった。

 

 

 ーーァン

 

 アリスは立ち止まって耳を澄ませた。

 

 ーーァン、ーーパァン!

 

(っ! 銃声!?)

 

 アリスはその方向に全速力で走っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………なんだよこれ」

 

 行き着いた先の外周区にある廃墟でアリスが目にしたのは、むせかえる様な血臭のする路地裏だった。

 

 所々に弾痕が見られることから、誰かが撃たれたことが分かった。

 

 しかし、アリスは諦めてはいなかった。

 

「…………全然死臭がしない」

 

 動物というものは、生命活動が完全に停止した瞬間から、腐敗がゆっくりと始まる。

 

 嗅覚の鋭いガストレアを喰らったアリスの嗅覚でも、死臭、腐臭の類いは感じ取れなかった。

 

 アリスは血の臭いがする方へ歩き続けていくと、病院へと行き着いたのだった。

 

 そのまま中へ入っていくと、

 

「…………蓮太郎」

 

 初老の医師と話している蓮太郎の姿があった。

 

「っ! …………アリスか」

 

「蓮太郎があの娘をここまで運んでくれたの?」

 

「…………ああ」

 

 蓮太郎の顔は浮かないものだった。

 

「…………それで? あの娘はどうなったの?」

 

 私がそう言うと、初老の医師が寄ってきて、

 

「大丈夫だ、一命はとりとめたよ」

 

「! そうですか! ありがとうございます!」

 

 そう言って私は医師に小切手を渡した。

 

「? これは?」

 

「手術代です。きっと蓮太郎が肩代わりするとか言ったんでしょうけど、そんなお金が有るとも思えませんし」

 

 視界の端で蓮太郎が苦い顔をしていたが、アリスは気にせず、医師に小切手を押し付けてそのまま病院を後にした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………いるんだろ? 出てこいよ」

 

 アリスは病院を出てから少ししてから背後の闇に言い放った。

 

「ヒヒ、やはり気づいていたか」

 

「それで? なんの用だ?」

 

「ああ、仕事が出来たぞ」

 

 その言葉を聞いたアリスはため息をもらすだった。

 

「やっとか。それで? 何をすればいい?

 

 すると、影胤はどこからともなく地図を取りだし、

 

「未踏査領域にあるこの協会の近くのガストレアを始末して欲しい」

 

「ガストレアを始末って…………この教会の周りの森の奴も全部か?」

 

「いや、教会周辺だけでいい」

 

 アリスは、ここでステージⅤガストレアの召喚を行うのだろうと納得した。

 

「後、しばらくはその教会に滞在してくれ。数日以内に我々も向かう」

 

「わかった」

 

 アリスはそう一言だけ言い、背を向けて歩き出した。




 没ネタ


影「ヒヒ、やはり気づいていたか」

ア「そりゃね、だって小比奈ちゃん、思いっきり私に殺気だしてんじゃん」

 確かに、よく見ると小比奈の目は赤くなっており、ぶつぶつと何かを呟いていた。

小「…………たい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい…………」

ア「…………」

影「…………」

ア&影((こ、怖ぇぇぇ!!!))

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