ブラック・ブレットー白き少女ー   作:虚無龍

12 / 27
 今回は日常回です。

 今回、遂にアリスの服装が明らかに!


てんちゅうがーるず

「う~ん」

 

 ここは外周区にある、とある廃屋。

 

 その中でアリスは自らの尻尾、『九尾』で体を包んで寝ていた。

 

(いやー、『九尾』は日常生活で役立つ数少ない能力の一つだな。もふもふしても良し、クッション代わりにしても良し、体に巻き付ければ暖かい。…………万能だね!)

 

 そんなことを考えながら寝ていたが、

 

 

 ブゥゥゥン ブゥゥゥン

 

 

「携帯ぃぃぃ!!! 私に恨みでもあるのか! いつもいつもいつも邪魔ばっかりしやがって!」

 

 寝起きで頭が働いていない(と信じたい)せいで、よくわからないことを叫んでからアリスは電話に出た。

 

『もしもし、私だ』

 

「影胤ェ、私に恨みでもあるのかこの野郎」

 

『な、なんだ? やけに不機嫌じゃないか。どうかしたのかい?』

 

「こちとらお前の電話のせいで叩き起こされたんだよ!」

 

『…………アリスくん。もう午前11時だよ』

 

「まだだ!」

 

 影胤は呆れた様にため息をついてから話を続けた。

 

『まあ、君の私生活が荒れていると言うことだけは分かったよ』

 

「余計なお世話だ!」

 

『それでは本題に入ろう』

 

「仕事出来たのか?」

 

 少し欲求不満な感じでアリスが聞くと、

 

『いや、数日以内に感染源ガストレアから七星の遺産を回収して、未踏査領域にてステージⅤガストレアの召喚を行うつもりだ。それまで自由にしていてくれ』

 

「分かった」

 

 アリスは電話を切ると、何着か予備があるいつも着ている服、白いシャツ、前が閉まらないようになっているロングコート、白いズボンという真っ白な服に着替えて廃屋を出た。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「これ欲しい!」

 

「私はこれ!」

 

「じゃあ、私はこれがいい!」

 

 場所は変わって外周区のマンホールチルドレン達の家。

 

「はいはい、わかったから欲しい物をこの紙に書いていって」

 

 アリスは『呪われた子供達』におもちゃを買い与えていて、今回も皆に欲しい物のリストを作らせていたのだった。

 

「いやぁ、すみませんねアリスくん。いつもいつもこんなにお金を使わせてしまって」

 

 そう言って謝ってくる松崎にアリスは、

 

「やっとさん付け止めてくれましたね」

 

 と、的はずれなことを言っていた。

 

「まあ、これは私が好きでやってる事ですし、気にすることありませんよ」

 

 そんな会話を松崎としていると、向こう側からマリアがてとてとと走ってきて、

 

「アリスお姉ちゃん! 皆の欲しい物のリスト出来たよ!」

 

 それを見てアリスは、

 

 

(か、かわいすぎる!)

 

 

 …………少し妙なことになっていた。

 

(あの走り方、あのしゃべり方、お願いする時の上目遣い、全て最っ高にかわいい!)

 

「あ、あの、アリスくん? その笑顔が妙に怖いのですが」 

 

 松崎のいう通り、アリスはものすっごく妖しい笑い方をしていた。

 

「…………はっ! あ、ああ、わかったよ。じゃあ、明日には持って来るから、楽しみに待っててね~」

 

(ふふふ、『可愛いは正義!』これって世界の真理だと思うね。いや! 真理だ!)

 

 少し危ない感じにトリップしてしまっていたアリスだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「えーっと『天誅ガールズ』のグッズコーナーはこっちか」

 

 アリスは大手の家電量販店に来ていた。

 

 逆に目立つということから、お面を外して、『呪われた子供達』とは違い、常に赤い目はカラーコンタクトでごまかしていた。

 

 すると、よく知った声で『天誅ガールズ』について語っている人物がいたので、そっちを向いて見ると、

 

「あれ? 延珠?」

 

「む? あ、アリスではないか!」

 

 そこにいたのは蓮太郎に『天誅ガールズ』について熱く語っている延珠だった。

 

「ん? 延珠、どうし…………お前は」

 

 蓮太郎がアリスの姿を見て、警戒し始める。

 

「だから、アリスは大丈夫だって言っているだろう!」

 

「んなこと言ったってよぉ…………」

 

 どうやら、延珠がアリスのことをフォローしているようだ。

 

「えーっと、延珠のプロモーターの里見蓮太郎くんだよね」

 

「え? あ、ああ、そうだ」

 

「ふーん…………」

 

 確認を取るなり、アリスは蓮太郎の周囲を回り、観察し始める。

 

「な、なんだよ」

 

「いや、君は他の有象無象の奴らとは違うんだなって思っただけ」

 

 何を言ってるのか分からないといった表状を浮かべる蓮太郎に、アリスが続ける。

 

「いや、国際イニシエーター監督機構(IISO)の所に行った時は、もっと暗い顔をしていたからね。それをこんな風に笑えるまでに仲がいいってことは、蓮太郎くんは『呪われた子供達』を一人の人間として見ているってことじゃないか」

 

「そんなの当たり前だ、延珠は人間だからな」

 

 この言葉にアリスは昔あった一人の男の事を思い出していた。

 

『まあ、俺達はお前が『呪われた子供達』だったとしても関係ない、ここに居たかったら居てもいいぜ』

 

「っ!!」

 

「お、おい! 大丈夫か?」

 

 思い出した瞬間、軽い頭痛と鬱な気分になるが、蓮太郎こ声で戻ってくる。

 

「あ、ああ。大丈夫だ」

 

「そうか。ところで、お前は「アリス」…………え?」

 

「私の名前はアリスだ。そう呼んでくれ」

 

 アリスは何故かはよくわからないが、名前以外で呼ばれる事を嫌う癖があった。

 

「じゃあ、アリスは何でこんなとこに来たんだ?」

 

「外周区の皆に頼まれたおもちゃとかを買いにね」

 

「それって『天誅ガールズ』か!」

 

「そうだよ。なんか、皆の間で人気でねぇ」

 

 アリスがコーナーでやっているプロモーションムービーでは、「死ねぇぇぇぇ!」と凶悪な顔で斬りかかるヒロイン天誅レッドの姿が大写しになっていた。

 

「…………蓮太郎くん、なにがおもしろいか説明できるかい?」

 

「…………悪い、さっぱりだ」

 

「…………私もだ」

 

 横で延珠が「そんなことないぞ!」と言いながら反論してくるが、既に何を言ってるのか分からなくなってきていた。

 

「まあ、話してる間に買う予定だった物は全部集まったし、またね」

 

「おう、またな」

 

「あ、そうだ。これ」

 

 そう言ってアリスは蓮太郎に一枚の紙を渡した。

 

「なんだ? これ?」

 

「私の電話番号とメールアドレス」

 

 とはいっても、複数台持っている中でのプライベート用のものだけだが。

 

「延珠をよろしくね」

 

 そう言ってアリスはカートを押しながらレジへ向かった。

 

 

ーーーーーーーー蓮太郎視点ーーーーーーーーー

 

 

 延珠にせがまれて買い物に付き合っていると、この前、狐のお面をつけてガストレアを倒していた奴を見つけた。

 

 お面はつけていなかったものの、特徴的な服装、髪のせいですぐにわかった。

 

 殺人を犯したことのあると、聖天子様から聞いていたが、とてもそんな風には見えず、年相応の子供にすら見えた。

 

 だけど、纏っている雰囲気は俺なんかよりもずっと大人な感じだった。

 

 俺と会う前の延珠の面倒なども見ていてくれたようだし、悪い奴ではないのかも知れない。

 

 帰り際に電話番号とメールアドレスも渡されたし。

 

 …………あれ? 

 

 よく考えたら、俺今、聖天子様達すら持ってない情報手に入れちまったんじゃねぇの?

 

 …………………………。

 

 重い。色んな意味で。 orz




 アリスのロングコートはsaoのキリトの服の装飾減、真っ白版だと思ってください。

 ちなみに、アリスの『九尾』は毛がふさふさです。もふもふです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。