機動戦士ガンダムSEED Destiny 聖なる解放者   作:もう何も辛くない

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長いし…、上手く書けているか心配だし…


PHASE69 導く者の最期

創世の兵器ジェネシスと、終焉の兵器レクイエム。

 

巨大な塊は、ついに崩れ落ちた。

 

 

「バカな…」

 

 

デュランダルは、爆発を起こし形を崩していくジェネシスをただ呆然と眺める。

 

こんなはずではなかった。こんなはずでは…。

 

 

「リベルタス、接近!」

 

 

目を見開き、呆然とするデュランダルの耳に追い打ちをかけるようにリベルタスの接近に報告が届く。

 

モニターの中で、リベルタスは両手にサーベルを握り要塞へと迫ってくる。

瞬く間にリベルタスは外周のリングに到達すると、二本のサーベルを振り下ろす。

 

サーベルがぶつかると、リングによって張られていた光の壁が揺らぐ。

まるで、初めからそれを狙っていたかのように、リベルタスはすぐにサーベルをリングに突き刺した。

 

奴は、わかっていたのだ。

この要塞が、レクイエムのようにリフレクターによって守られていることを。

 

サーベルを突き刺したまま、リベルタスは機体を走らせる。

要塞の対空砲がリベルタスを追って放たれるが、到底リベルタスのスピードに追い付くことは出来ない。

 

容赦なくリベルタスはリング全周にわたって深い傷を刻む。

機能を失ったリングは崩れ落ちていく。ここぞとばかりにリベルタスは収束砲をメサイアに向けて放つ。

 

さらに、リベルタスの後方から続いてきたエターナルからも砲撃が開始された。

 

ミサイルが、ビーム砲が要塞に襲い掛かる。

 

セラはふと、メサイアの港口を見つけた。

 

僅かに考えたのち、セラはその港口に向けて機体を進ませる。

機体を奥に進ませ、中枢部を見つけるとセラはスラスターからドラグーンを切り離す。

 

ビームが隔壁を貫く。途端、凄まじい轟音と震動が要塞を震わせる。

動力部にも損傷を与えていたのだろう。シャフトを照らしていた証明が瞬いて消え、ほどなくすると非常電源に切り替わる。

 

ここで引き返せば、それでここでの戦闘は終了だ。

だがセラはそうしなかった。さらに奥に向けて機体を進ませる。

 

 

『セラ!?』

 

 

『どうしたセラ!戻って来い!』

 

 

スピーカーから引き返すように言うキラとアスランの声が響く。

だが、セラは二人に対して言葉を返さなかった。

 

この奥には、あの男がいるはず。

ずっと、思っていたこと。

 

話がしたい。しなければならない。どうしても。

 

どこか義務感にも似た思いに駆られながら、セラは奥へ奥へと進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あぁ…、艦長…」

 

 

それは、レクイエムが破壊されてから少し経った後だった。

アーサーがメサイアの方へと目を向けて、ため息のような声を漏らした。

 

 

「メサイアが…」

 

 

メサイアだけではない。その傍らにある巨大兵器もまた、大きく炎を噴き出していた。

 

炎に包まれるメサイアとジェネシスを見ながら、タリアは思った。

 

何のために自分たちは戦ってきたのだろう、と。

 

タリアは見たのだ。

ジェネシスから炎が噴き出し始めるその直前、わずかだが方向から光が漏れた所を。

 

間違いなく、彼は撃とうとしたのだ。ジェネシスを。

味方諸共。地球諸共。

 

守るために戦ってきたのではないのか。

 

 

(私は…)

 

 

タリアは頭の奥で、今もプラントで自分の帰りを待つ、子供と夫の姿を思い浮かべた。

 

もし、ジェネシスが撃たれていればどうなっていただろう。

 

メサイアを襲おうとした敵艦隊は、当然全滅していただろう。

味方艦隊と共に。

 

そして、射線上にあった地球にも着弾していたはずだ。

さすがに全エネルギーを込めて撃つことはなかったろうが、それでもかなりの犠牲が出ていたに違いない。

 

…そんなことをして守った世界を、家族は喜んでくれるだろうか。

プラントにいる市民たちは、喜んでくれるだろうか。

 

タリアは静かに、まわりにいるクルーを見回す。

 

 

「アーサー。アークエンジェルに、通信をつなげてくれる?」

 

 

「は…、え?」

 

 

アーサーが、きょとんとした様子でタリアに問い返す。

 

 

「本艦の戦闘は終わりよ…。私たちの戦いは…、これで終わったの。これより本艦は、アークエンジェルに投降します」

 

 

メサイアが落とされた今、自分たちの負けは確実。

無駄な戦いをして、クルーたちを犠牲にさせたくはない。

ずっと、共に戦ってきた仲間たちを…、死なせたくはない。

 

クルーたちは、悲痛な表情を浮かべる。

本当に、良く戦ってくれた。ずっと、ずっと。

 

アーモリーワンから始まり、自分たちは何て遠いところまで来てしまったのだろう。

 

 

『こちら、アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです』

 

 

考えていると、いつの間に通信が繋がったのだろう。

モニターには、かつてオーブで邂逅したあの女性技師映し出されていた。

 

 

「あ…!」

 

 

アーサーが驚愕に目を見開く。

だがタリアは、どこかでわかっていたのだろう。

特に驚きもせずに、こちらを見つめてくるマリューの目に対して見つめ返す。

 

 

「こちらミネルバ艦長、タリア・グラディスです」

 

 

タリアは、自分の名を告げる。

そして直後、こちらの意志を、向こうに告げるために口を開く。

 

 

「これより本艦は、貴艦に対して投降する所存を伝えます」

 

 

『…』

 

 

タリアが告げると、モニターに映し出されるマリューは、わずかに目を見開いた。

 

まだ、こちらに戦闘の意志はあるのだと思っていたのだろう。

先程まで、こちらの様子を窺うようにまわりを移動していたのだから。

 

だがこちらにはもう、戦う意志はない。

それを、タリアは伝える。

 

 

「総員を退艦させ、貴艦に保護していただきたいと思っています。よろしいでしょうか?」

 

 

『…はい。承りました』

 

 

向こうの艦長の許可は取った。

タリアはすぐにクルーたちに命じる。

 

 

「総員退艦。シャトルに乗り込んだら、アークエンジェルに向かいなさい」

 

 

「艦長…?」

 

 

総員退艦の命令に対しては特に思うところはないのだろう。

事実、クルーたちはタリアの命令の直後、席を立ちあがっている。

 

だが、アーサーがどこか不思議そうな目でタリアを見つめていた。

 

 

「…アーサー、ホントに申し訳ないのだけれど…、後を頼めるかしら?」

 

 

「え…?」

 

 

もしかしたら、アーサーは気づいていたのかもしれない。

自分がここから離れ、行こうとしていたことを気づいていたのかもしれない

この時タリアはそう思った。

 

アーサーはわずかに目を瞠り、少しの間黙ったままだった。

 

 

「私、行かなくちゃ」

 

 

「…」

 

 

「皆を、お願い」

 

 

タリアは、アーサーに、クルーたちを背にして艦橋を去っていく。

 

アーサーだけでなく、クルーたちの視線を背に受けながら、タリアは心の中でつぶやいた。

 

ごめんなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メサイアの奥へ進んでいたセラは、これ以上機体に乗ったまま進めない所まで来ると、銃を握り、ヘルメットを外してからコックピットから降りた。

 

要塞の中は、時折、小さい震動と大きい震動が交互に起こっており、もしここが無重力空間の中ではなかったら、体勢を整えることすらなかなか難しかっただろう。

 

セラは、辺りを歩き回っている見張りの兵の視覚を掻い潜り、奥へ奥へと進んでいく。

 

自分の中の感覚が、こっちに行けと自分に言っているのだ。

その感覚に従ってセラは進んでいく。

 

 

「…」

 

 

一つの扉の前にたどり着いたセラ。

 

ここだ。

 

セラは迷わず、スライドした扉の奥へと歩いていく。

 

恐らく、その部屋は広い円形の部屋だったのだろう。

 

そして、この部屋の中央かまたは最奥かはたまたそれ以外なのか。

瓦礫の山によってわからなくなってしまっているが、それでもその男はこの部屋の中で座していた。

 

 

「ようこそ、と歓迎した方がいいかな?」

 

 

なめらかな声がセラを迎える。

直後、奥にある椅子が回転し、長い黒髪の男、ギルバート・デュランダルがセラに向き直った。

 

この場にもセラの攻撃の余波が届いていた。

辺りに散らばる瓦礫に、爆風によって倒されたコンソール。

倒れたコンソールの下敷きになった、兵士たち。

 

自分がしたことなのだが、思わずセラは顔を顰めた。

だがすぐにセラは顔を奥にいるデュランダルに向ける。

 

彼は爆風に巻き込まれながらも生き延びた。

脱出することもできただろう。他の人たちは脱出しただろう。

 

しかし、デュランダルはしなかった。

自分を、待ち受けていたかのように。

 

 

「こうして会うのは久しぶりだね。セラ君」

 

 

「そうですね。アーモリーワンから、こうして対面するのは久しぶりですね。あなたの姿はテレビで良く見てきましたが」

 

 

この戦時中、良くデュランダルは放送を通して演説をしてきた。

その演説を、セラは見てきた。

 

対面すること自体は久しぶりだが、その姿を見ること自体はセラにとって久しぶりでもなかったのだ。

 

 

「君が、ここまで来るとは思っていなかったよ」

 

 

デュランダルは、肩をすくめながら口にする。

この破壊された背景の中で、この男の仕草はとても場違いに見えた。

 

だが、セラはこの男の思うように動く気はさらさらない。

 

 

「あなたの世間話に付き合うつもりはありません」

 

 

このまま黙っていれば、デュランダルは長々と無駄な話を続けていただろう。

セラはデュランダルの作る流れを、一言で断ち切る。

 

 

「…あなたはまだ、戦いを続ける気ですか」

 

 

セラは、これを聞くためにここに来た。

そして…

 

 

「無論だ」

 

 

続けるというのなら、それを止めるという決意も秘めて。

 

 

「…何故?」

 

 

「何故、だと?それは君にもわかっているだろう?

 

 

セラの頭の中に一つの言葉が思い浮かぶ。

 

 

「デスティニープラン、ですか」

 

 

「やはり知っていたか。その通りだ。私は、導かねばならない。この世界を」

 

 

デュランダルのその言葉に、セラは目を細める。

それを知覚したデュランダルは、続けて口を開く。

 

 

「私を撃つかね?…だが、止めた方が良い。そんなことをすれば、また世界は混沌の中に逆戻りだ」

 

 

デュランダルを撃つ。

その選択肢も、セラの中にはあった。

 

だが今は、違う。

 

 

「…あなたを撃つ気なんてない」

 

 

「なに…?」

 

 

デュランダルは、セラが自分を撃つつもりでここに来たのだと思っていたのだろう。

目を瞠ってセラを見つめる。

 

 

「俺は…、あなたを止めに来ただけだ」

 

 

セラは、真っ直ぐにデュランダルを見つめ返して言う。

それと同時に、セラは持ってきた銃を前に投げ出す。

 

投げ出された銃は、無重力の中、漂い、二人の間からどこかへ飛んでいってしまう。

 

 

「止めに来た、か」

 

 

まるで、面白いと言わんばかりにデュランダルの目が細められる。

 

 

「私を止める。それがどういうことか、君はわかっているだろう」

 

 

その言葉に、セラは頷く。

先程も、デュランダルは言った。自分を撃てば世界がどうなるかを。

 

彼を止めるということは、彼が作り出した流れを全てストップさせるということ。

彼を撃つということと同義と言ってもいい。

 

 

「君はこの世界をどう思う?戦わないと言う道を選べるというにも拘らず、戦い続ける人間たちの世界を」

 

 

セラは、デュランダルの問いかけに沈黙で返すことしかできない。

デュランダルは、ただ見つめてくるセラに向けて続ける。

 

 

「この世界は変わらなければならない。変えなければならない。そして、それができるのはデスティニープランだけなのだよ」

 

 

「運命で、人の生き方を決める」

 

 

「自分の与えられた役割を知り、満ち足りて生きる。それ以上に幸福な生き方がどこにあるのかね?」

 

 

もし、それができればどれだけ幸せなことだろう。

 

 

「…もし、その与えられた役割が自分の理想とかけ離れたものだとしたら?」

 

 

今度はセラがデュランダルに問いかける。

問われたデュランダルは、浮かべていた笑みを崩さずにセラに問い返す。

 

 

「君の様に、かい?」

 

 

「俺に与えられた役割は復讐。もし、あなたが言うことで満ち足りることができるというのなら…、俺はどうすればいい?」

 

 

与えられた役割を全うして満ち足りて生きる。

だが、セラはそれの例外にあたる。

 

復讐という役割を全うして満ち足りることなどできやしない。

そんなこと、できるはずがないのだ。

 

 

「だからこそ、君はここで死ななければならないのだ」

 

 

「っ!?」

 

 

デュランダルの懐から取り出されたものを見て、セラは目を瞠る。

デュランダルは懐から取り出した銃を、セラに向ける。

 

 

「…害すべき役割を与えられたものは、全て排除する気か」

 

 

「それが、平和への近道だよ」

 

 

本気で言っている。

デュランダルは、本気で言っているのだ。

 

平和とはかけ離れたことを、平和への近道だと本気で考えているのだ。

 

 

「違う!」

 

 

セラは、デュランダルの考えを真っ向から否定する。

 

 

「そんなことで平和になるとでも思っているのか?もしあなたのする排除の対象の中に、今まで平穏に暮らしている人がいたらどうする気か?そんな人たちも、あなたは排除するというのか?」

 

 

「無論だ。危険の種は刈るべきだよ」

 

 

その言葉は、セラの中で怒りを燃え上がらせた。

 

 

「あなたは…、それは、罪のない人たちを殺すと言っているということと同義だ!」

 

 

「なに?」

 

 

「ずっと、ただ静かに暮らしてきた人でも、あなたは危険だと判断すれば殺すというのか…!」

 

 

自分の様に、手を血に染めてきた者だけならばまだいい。

だが、血も知らぬ、純粋な人もデュランダルは殺すと言っているのだ。

 

 

「そんなことで、本当に平和なんて…、幸福なんて訪れるはずがないだろう!」

 

 

そんなもの、ただの殺戮だ。

殺戮で訪れた平和などで、人々に幸福など訪れるはずがない。

 

第一に、平和が訪れることもあるはずがないのだ。

 

 

「ならば君はどうしろというのかね?」

 

 

デュランダルは、椅子から立ち上がり、銃口をセラに向けたまま問いかける。

 

 

「この計画がダメというのなら…、君はどうしていくと言うのかね」

 

 

「戦うさ」

 

 

デュランダルの問いかけに、セラは即答で返す。

 

 

「俺は、この力を守るために使うと決めたんだ。自分のまわりの大切な人たちを守るため。戦うことのできない、弱い人たちを守るために」

 

 

「君は、それができるのかね?いや、力だけで考えれば可能だろう。だが、君はそれを実行することができるのかね?」

 

 

セラの答えを聞いたデュランダルは、さらに問いを返す。

 

 

「君のその、新人類ともいうべく力で…。守ることが、できるのか」

 

 

「…」

 

 

「現に一度、君は全てを壊しかけただろう?」

 

 

デュランダルが言っているのは、オーブ沖での戦闘終了直後のことだろう。

 

セラは、ただ力の奔流に身を任せ、まわりの物を全て破壊しようとした。

 

あの時は、シエルのおかげで止まったが、いつでもシエルが傍にいるとは限らない。

それに、あの時はただ運が良かっただけなのかもしれない。

 

 

「しない」

 

 

「なに?」

 

 

「もう、あんなことはしない。言葉だけなら簡単だろう。だから、これは誓いだ。俺はあなたに誓う。俺の力は、もう壊すことのために使われることはない」

 

 

そこまで言い切った所で、セラははっ、と目を見開いてから言い直すために口を開く。

 

 

「いや…、言い直そう。俺のこの力は、壊すためにあるのかもしれない」

 

 

「ほぅ?ならば…」

 

 

デュランダルが、逸れていた銃口をセラに向け直し、そして安全装置を外す。

引き金を引こうと、指に力を込めようとするデュランダル。だがその前に、セラが口を開いた。

 

 

「俺のこの力は…、目の前の脅威を壊すためにある。大切な人たちや、戦うことのできない人たちに降りかかる理不尽を壊すために使う」

 

 

「っ…」

 

 

デュランダルの動きが止まる。

 

セラはそれを見ながら、最後にこう言い放った。

 

 

「これが、俺の答えだ」

 

 

セラはセラの答えを言い切った。

だがまだ言いたいことはある。

 

 

「俺は、平和のために何かをやれと言われたら…、戦うしか思いつかない。政治とかは、俺にはよくわからない」

 

 

セラには、デュランダルの様に政治に携わることはできない。

世界の平和のために、直接的に働くことは、セラにはできないのだ。

その能力は、セラには備わっていない。

 

だが、セラにはわかる。

 

 

「運命に縛りつけられて…、それが正しいことだと納得させられて、幸福になんて生きられないんだよ…」

 

 

「…」

 

 

悲しげに視線を落とすセラを、デュランダルは見つめることしかできない。

 

自分は…、間違っていたとでもいうのだろうか?

自分の運命を知り、役割を知り、全うして満ち足りて生きる。

それが、この世界に平穏を、幸福を与えるために必要なことだと思っていた。

 

騎士の役割を持つ者たちは、危険の適性を持つ者から世界を守るために戦い、治める役割を持つ者たちは自分と共に世界を管理する。

運命に委ね、世界を、人生を管理させる。

それが、この世界を平和へと導くための近道だと信じていた。

 

だが、目の前の少年は、自らの強い信念でそれを否定する。

 

 

「あなただって…、初めはそうは思わなかったはずだ。運命で人を縛ろうだなんて思わなかったはずだ」

 

 

「っ…」

 

 

セラと対面してから、初めてだった。

僅かではあるが、デュランダルの顔が歪んだのは。

 

 

「本当に自分がしたいことに、全力を注いでいたはずだ。たとえそれが、あなたの言う運命でなくても」

 

 

セラの言葉一つ一つが、デュランダルの中に突き刺さる。

 

この時、彼の頭の中に浮かんでいたのは一人の女性。

互いを愛し、ずっと寄り添って生きると決めた女性。

 

だが、女性は自分から離れていった。それが、運命だったからだ。

 

デュランダルは嘆いた。こんなのが運命だというのなら、認めてなるものかと。

必ず再び自分は彼女の隣に戻ると、きっと彼女もそう望んでいると。

そう思っていた。

 

彼女は、笑っていた。

自分とは違う男性に寄り添い、そしてその男性と育まれた赤子を抱いて、笑っていたのだ。

 

自分と彼女は、運命によって引き裂かれた。

離れる直前の彼女の悲壮な顔は忘れない。

 

運命によって引き裂かれ、運命によって引き寄せられた二人は笑っていた。

 

それを見たデュランダルは悟ったのだ。

運命が全てを決めるのだと。運命に従えば、こうして笑って生きることができるのだと。

 

だって、彼女がそうだったのだから。

こうして、他の男性と寄り添って、赤子を抱いて笑っていたのだから。

 

なのに、何が違うというのだろうか。

何を間違っているというのだろうか。

 

正しいはずだ。自分は、正しい。

 

 

「…君の言葉をこれ以上きくつもりはない」

 

 

「議長…」

 

 

セラには、何がデュランダルをここまで駆り立てているのかがわからない。

それがわからなければ、彼を止められないということを悟る。

 

だが、間に合うのだろうか。

もう、デュランダルの目から迷いは消えている。

 

セラを撃つことに、もう戸惑いはないだろう。

 

 

「君には、消えてもらう」

 

 

「ギル!」

 

 

デュランダルの対話に集中して、感覚にセラは気づかなかった。

いつの間にここに来ていたのだろう。物陰から、ラウ・ル・クルーゼの気配を持つ金髪の少年が現れた。

 

この少年が、レイ・ザ・バレルなのだろう。

そのレイを見て、デュランダルは目を見開いて動きを止めた。

 

 

「レイ…?どういうつもりだい?」

 

 

「ギル…」

 

 

レイは、デュランダルに銃を向けていたのだ。

あれだけデュランダルに忠誠を誓っていたレイがだ。

 

デュランダルは、見開いた目を戻す。

その目に宿っていたのは、失望。

 

 

「そうか…。君は、私を裏切ろうというのか」

 

 

「…俺は、自分というものを知った。ラウ・ル・クルーゼとしてではなく、レイ・ザ・バレルとして生きていいということを知った。セラ・ヤマトのおかげで」

 

 

レイに向けられていたデュランダルの視線が、セラに一瞬向けられる。

 

レイの登場にも拘らず、セラの目はデュランダルの姿を捉えていた。

 

 

「俺は、ギルを裏切るつもりなんてありません。ですが、今はその銃を下ろして…」

 

 

「君が裏切るとは思わなかったよ、レイ。セラ君と戦い、変わったということか…。さすが、新人類といったところか」

 

 

レイの言葉などまるで聞いていないと言わんばかりに、デュランダルはレイの言葉が言い切られる前にセラに向けて口を開く。

 

 

「議長…。彼は、裏切ってないと言っています。信じないのですか?」

 

 

「自分の運命を無視し、こうして私に銃を向けているのだ。裏切りの他に何といえばいいのかね?」

 

 

第三者から見れば、それは裏切りの他には何も見ることのできないレイの行動。

デュランダルが裏切りと言えば、もうセラやレイに言えることはなくなってしまう。

 

 

「レイ、私は君に言ったはずだがね。君の運命は決まっているのだと。私の元で戦い、世界を導くために尽くす。それが君の役目だと」

 

 

「…」

 

 

デュランダルの言葉に、レイは頷く。

 

 

「ならば、何故?」

 

 

「…彼が言っていました。たとえデスティニープランで世界が平和になったとしても、人が幸福に生きることはできないと。運命で縛りつけるだけでは、本当の幸福はつかめないと」

 

 

それは、先程セラがデュランダルに言った言葉と同じ。

 

デュランダルは、表情を変えずにレイの言葉に耳を傾けていた。

心中ではどう思っているのだろう。デュランダルとて、レイのことを信頼していなかったと言えばウソになるはずなのだ。

 

そんなレイが、自分に対して反論を告げている。

全く表情を変えずに聞いていることが、逆に恐ろしい。

 

 

「…ここまでとは思っていなかったよ、セラ君」

 

 

表情を変えずにいたデュランダルが、目を閉じてふっ、と微笑みを見せた。

微笑んだデュランダルは、さらに続ける。

 

 

「…もっと早く、全力で、君を排除すべきだった」

 

 

デュランダルは、向けていた銃の引き金に再び力を込める。

 

 

「っ!」

 

 

「ギル!」

 

 

レイの言葉も届かない。

もう、この男を止めることは出来ないのだろうか。

 

この男の心に、言葉を届かせることは出来ないのだろうか。

 

 

「ギルバート」

 

 

美しい、女性の声だった。

 

破壊された子の背景とは似つかわしくない、慈愛に満ちた声。

そして同時に、相手を責めることのできる冷たさも含まれた声。

 

その声が響いた途端、デュランダルの動きがぴたりと止まった。

動きが止まった直後、再び動き出したレイの時とは違い、動きを止めてからまるで信じられないというようにデュランダルは目を見開いて停止した。

 

 

「ギルバート…、あなた…!」

 

 

「何故、君がここにいる…?」

 

 

セラは振り返る。

そこには、美しい女性が立っていた。

そう、ミネルバ艦長、タリア・グラディス。

 

どこか着なれていないような、パイロットスーツを着て、その瞳はただ一人。

ギルバート・デュランダルだけに向けられていた。

 

 

「…タリア、君まで、私を邪魔する気なのかい?」

 

 

「…あなたのしようとしていることによるわね。もし、あなたがこの二人を撃つと言うのなら、私はあなたを止めるわ」

 

 

この一連の会話だけでセラは、この二人の間には何か只ならぬ、絆の気配を悟った。

だが、その絆の裏にも何かが隠されている。

 

この二人に、何かあったのだろうか?

 

 

「無駄だ。君には止められない」

 

 

「やっぱり、二人を撃とうとしていたのね…。何故彼らを撃つの?」

 

 

「君には話しただろう?彼のことを…、解放者のことを。それにレイは、裏切り者だ」

 

 

タリアは、横目でセラを見る。

正直、初めてデュランダルから聞いたときは半信半疑だった。

こんな少年が、本当にあの<天からの解放者>なのだろうか、と。

 

だが、タリアがシャトルに乗ってメサイアに入る直前、巨大なモビルスーツを見つけたのだ。

 

リベルタス。何度も自分たちの行方を阻み、そして救ってくれた存在。

 

もう、疑いの余地がなかった。

デュランダルの言葉と組み合わせれば、この少年が解放者だということは疑いようがない。

 

 

「解放者については…、まだ納得できるわ。けど、レイが裏切り者というのはどういうこと?」

 

 

「レイは、彼の元、彼の考えに従って生きると決めているようだ」

 

 

「何ですって?」

 

 

タリアの問いに対してのデュランダルの答え。

その意味が、タリアには良く読み取れなかった。

 

どういう、ことだ?

タリアにとってのレイは、どこまでもデュランダルについていく存在。

そういう印象を受けていた。

 

そんなレイが、どういう経緯でそんなことになっているのか。

 

だが信じられない。レイが、デュランダルを裏切るなど。

それに、わからないことがある。

 

 

「レイがあなたを裏切るなんて、私には信じられないわ」

 

 

「だが事実だ。レイは、彼の考えに従って生きようとしているのだから」

 

 

「それよ。彼の考えって何?従って生きるって…、まるで、レイは前まであなたの考えに従って生きてきたみたいじゃない」

 

 

まずそこからだ。そこがタリアにわからない。

 

まるでレイを奴隷のように言うデュランダルが気に入らない。

 

 

「その通りだ。レイは、前までは私の騎士として生きてきたのだよ。自分の運命にしたがってね」

 

 

「うん、めい…?」

 

 

「そうだ。君は、私に従いたまえ。そうすれば、運命の下に…、君の家族と共に、今までと変わらず生きていけるだろう」

 

 

笑みを浮かべながら語るデュランダル。

そのデュランダルの笑みが、恐ろしく感じるようになったのはいつからだろう。

 

共にいた時は、あれだけ愛おしく感じていた彼の微笑みが、今では恐ろしく感じてしまう。

 

 

「運命の下って…」

 

 

「何を言っているんだ。君が教えてくれたんだよ?」

 

 

「え…」

 

 

私が、教えた…?

そんな覚え、まったくない。

 

 

「私と君は、子をなすことができなかった。そういう運命だった。だから君は離れていった」

 

 

「…」

 

 

そこまでは本当だ。自分は、子が欲しかった。

だが彼とは、遺伝子上、子を成すことができなかった。

 

だから、私は彼から離れた。

 

 

「…その運命は認められなかったよ。だから、私は抗おうとした。また、君と共に歩もうとしたんだ」

 

 

タリアの目が見開かれる。

 

知らない…。彼がそんなことを思っていたことを、私は知らない。

 

 

「だが君は笑っていたよ。夫となった、私とは別の男と。子供と一緒に。幸せそうにね。だからわかったのだよ。運命こそが全てなのだと。運命に従って生きていれば、君と同じように幸せに、笑って生きていけるのだとね」

 

 

柔らかかった声に、少しずつ力が込められてきているように感じるのは気のせいだろうか。

 

 

「二人は言うのだよ、それは違うのだと。君からも言ってくれ。運命に従っていき、幸福になった君から」

 

 

「…」

 

 

何を、言えばいいのだろう。わからない。

 

事実、子が成せれて嬉しかった。それだけは、断じて嘘ではない。

 

 

「…幸せ、ではなかったかもしれない」

 

 

「なに…?」

 

 

だが、幸せとはどこか違った。

 

あの時、彼から離れるとき、タリアは握手をした。

それで、彼は納得してくれたと思っていた。信じていた。

 

しかし、自分の選んだ道を歩めば歩むほど、あの時の光景が変わるのだ。

納得をした表情をしていたデュランダルの顔が、悲しげに歪んでいるように見えてくるのだ。

 

苦しかった。自分の身勝手で、自分はとんでもないことをしでかしてしまったのではないかと。

 

 

「私は…、苦しかったわ」

 

 

本当の意味で、自分は彼との関係を消しきれていなかった。

それがわかってからは尚のこと。

 

彼が議長となり、手腕を振るっている所を見るのが辛かった。

あの時、ミネルバに乗り込んできた彼と、体を重ねてしまったことが辛かった。

 

 

「あの時、あなたと一緒になればよかったって思っている私が…、どこまでも苦しかったわ」

 

 

「…」

 

 

柔らかな表情を浮かべていたデュランダルはどこに行ったのか。

目を細め、唇を歪め、食い縛った歯をむき出しにする。

 

そこには、もうプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルの姿はなかった。

 

 

「何なのだ…。私は…、君に…!」

 

 

「…私たちは、どこまでもどうしようもない人間だったのかもしれないわね」

 

 

セラやレイには、二人が何を話しているのかを上手く呑みこむことはできなかった。

だが、わかることはある。

 

二人の過去に、何かがあったこと。

そして、その過去がデュランダルをここまで駆り立てた大きな理由。

 

彼女が、タリアがデュランダルを止めることのできるただ一人の人物なのだということ。

 

 

「っ…」

 

 

「セラ・ヤマト!」

 

 

「え…?」

 

 

セラの視界の中で、何かが影となった。

それに気を向けてしまったセラは、気がつくことができなかった。

 

レイの呼びかけで、ようやく気付いた。

頭上から、大きな瓦礫がセラへと落ちてくる。

 

 

「あっ…!」

 

 

かわそうと身を翻そうとするが、瓦礫の落下スピードが速い。

セラが、下敷きとなるのは確定的だった。

 

 

「…え?」

 

 

正面から、衝撃を受けるまでは。

 

 

見開いたセラの眼前で、落下した瓦礫が床に当たり崩壊する。

 

 

「ギルバート!」

 

 

「ギル!」

 

 

タリアとレイが、その瓦礫に走り寄って瓦礫を寄せ始める。

 

セラは、状況を呑みこむことができなかった。

 

何故…、何故なのだ。

だって、あの時、自分を助けた人物は…。

 

 

「…タリア…、レイ…」

 

 

「ギル…!」

 

 

瓦礫の下敷きとなり、顔全体と右半身は無事なものの、それ以外は潰されているだろう。

デュランダルが、唇から血を垂らしながら先程とは打って変わって柔らかい笑みを浮かべてのぞき込むタリアとレイを見上げた。

 

 

「何故…、何故…?」

 

 

セラは、ただただ理由を尋ねる。

何故自分を助けた?何故、彼がこんな目に遭っている?

 

 

「…今なら、わかるかもしれん。…ラウが…、君に、心を許した…理由が…」

 

 

弱弱しく響くデュランダルの声。

 

 

「レイを…変えることができた…理由が…、わかる…ような気が、するよ…。ごほっ!」

 

 

「ギルバート!」

 

 

タリアがデュランダルに呼びかける。

咳と共に血を吐いたデュランダルは、薄く開いた目に確かにセラの姿を捉えて続ける。

 

 

「君は…どこまでも、そうして…抗って、生きてきたんだね…。どんなに、揺らぐことが…あって…も…」

 

 

「…」

 

 

「だから…、ラウも、レイも…。君に…ふっ…、そういう所は…どこまでも、同じな…のかな…」

 

 

「ギルバート…、もういいから…。しゃべらなくていいわ…」

 

 

もう、デュランダルの先の現実は決まっていた。

待つのは、ただ一つ。それでも、それにたどり着くまでの時間を延ばそうと、タリアは語り掛ける。

 

だが、デュランダルの言葉は止まらなかった。

 

 

「たり…あ…。君の…、かんが…えて…いること…今なら、わかる…」

 

 

「ギルバート…」

 

 

「だから…、これは、私の…最後の…頼みだ…」

 

 

デュランダルの声が、さらに弱まっていき、途切れ途切れになっていく。

それでも、デュランダルは語るのをやめなかった。

 

 

「君は…、生きるんだ…。家族と、ともに…。ずっと…死ぬまで…」

 

 

「…!」

 

 

「こんな、所で…、君は…、死んではだめだ…!」

 

 

タリアに言葉を言い切ってから、デュランダルは次にレイに目を向けた。

 

 

「君もだ…、レイ…。きみ…も…、生きるん…だ…っ!」

 

 

「ギル…!」

 

 

再び吐血するデュランダル。

咳込んだことによって閉じられた目を開き、デュランダルはセラに目を向ける。

 

 

「…ふたりを…、ここか、ら…、だし…て…やって…くれ…」

 

 

「ギルバート!」

 

 

開けられた目が、閉じられる。

タリアが、デュランダルに呼びかける。

 

やはり、ここで彼と共に…。

 

そんな思いが蘇った彼女の足を進めたのは、彼の言葉だった。

 

 

「いくんだ…!」

 

 

少しの間、タリアは、レイはデュランダルの顔を見つめる。

 

そして、何を思ったのだろうか、何を考えたのだろうか。

二人は立ち上がり、セラの元へと歩み寄る。

 

 

「そうだ…。それで、いい…」

 

 

セラと共に歩き出した二人を見て、デュランダルは目を閉じた。

 

ここで死ぬのは、自分だけでいい。

歩き出した二人を、止めることなど、してはいけない。

 

そういえば、こんな事を考えるのは初めてだな…。

前までの私ならば、そんな事、くだらないと考えて切り捨てていたというのに…。

 

やはり、私も変えられたということか…。不思議なものだ…。

 

さて、私はどこに行こうか…。

タリアと良く行った喫茶店にでも顔を出してみようか…。

いや、あの時買い物に付き合わされたデパートにでも…。

 

これから私は自由になるのだ。

もう、私を縛るものは何もない…。

 

どこへでも…、自由に…。

 

 

 

 

 

 

「外ではまだ、オーブと地球軍が戦闘中だと思われます。安全な所まで、お送りします」

 

 

「ありがとう」

 

 

セラ、タリア、レイの三人は崩壊するメサイアの中で出口を目指して駆ける。

 

その中で、セラは俯いたまま走るレイを見た。

 

 

「レイは、機体は大丈夫なのか?」

 

 

「…動かすことは出来る」

 

 

「そうか。なら、安全な所までは俺から離れるな」

 

 

レイに、何を言って上げればいいのだろう。

恐らく、レイもクルーゼと同じく、テロメアが短いなどの障害を持っているはずだ。

 

…レイは、彼と共においていくべきだったのではないか。

 

過ったそんな思いを、セラは振り払う。

 

何にだって、命は一つなのだ。

失っていい命など、何一つとしてないに決まっている。

 

 

「…生きろよ、レイ。絶対に」

 

 

「…」

 

 

レイがこちらを向くのを感じるが、セラはただ前を見据える。

 

 

「生きていれば良い事が…何て、そんな気楽なことは言えない。だが、死んでしまえばもう何も残らないんだ。死んで楽になるなんてことは、できるはずがないんだ」

 

 

「…」

 

 

「お前はお前の意志で、生き続けるんだ。レイ・ザ・バレルとして」

 

 

三人の視界の中に、モビルスーツの影が見えてきた。

一機はリベルタス、そしてもう一機はぼろぼろになったレジェンド。

 

…自分がやっておいて何なのだが、こんな機体状態でよくここまで来れたものだ。

 

さらにその下には、タリアが乗ってきたシャトルもある。

 

三人はそれぞれの機体に乗り、メサイアから脱出していく。

 

宙に解放された三人は、崩壊していくメサイアを見つめていた。

 

セラは並んでいるレジェンドとシャトルを見た。

あの二人は、デュランダルと並々ならぬ絆を持っていた。

 

デュランダルの望みとはいえ、あそこに彼をおいていくことがどれだけ辛かったことだろう。

 

 

「…っ!」

 

 

そこまで考えた時、セラの背筋に冷たい感覚が奔る。

もう、馴染み深いと言っていいかもしれない。

初めは不快に感じたこの感覚も、馴れてこれば大したことがないものだ。

 

 

「レイ!」

 

 

『わかっている!』

 

 

自分に感じるのだ。レイだって感じ取っているだろう。

 

レイに呼びかけると、もうすでにレイはシャトルを残った腕に抱えてその場から離脱していた。

 

それを見届けると、セラは感覚の元がやってくる方向に目を向け見据える。

 

光が見えた、と思ったそのすぐ後、はっきりと機影が見えてくる。

その機影は、腰からサーベルを抜き放つとリベルタスに斬りかかってくる。

 

セラもまた、腰のサーベルを抜いて斬りかかってきた機体に対して迎え撃つ。

 

 

『…今度こそ、決着をつけましょうか』

 

 

「そうだな…。ずいぶんとお預けを喰らってきたけど…」

 

 

二機は同時に離れる。

少しの間、その場で互いを見つめ合う。

 

 

「これが、最後の決戦だ」

 

 

二機が、リベルタスとアナトが飛び込むのは完全なる同時だった。

 

もう、戦闘の終わりも直前。

そんな中、この二人はぶつかり合うこととなった。

 

たとえ戦闘が終わりに近づいていたとしても、この二人の戦いはまだ始まってすらいなかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回で決着…でしょう!

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