ちゃんと定期的に更新しますよ。ええ。
それでは、本編をどうぞ!
誠凛高校 【 小金井慎二 】
「やっと終わった~~……」
部室の椅子にだらしなく体重を預け、天井を仰ぎ見る。天井はほんの少し汚れが見える程度で電気もLEDと新しく、自分の通っている高校が新設校であるということが改めて分かる。
時刻は19時42分。
今日はカントクがいないということもあり、部活はいつもより早く終わった。18時には選手全員が帰ったにも関わらず、マネージャーである私が何故こんな時間まで残っているのかというと、普段の仕事とカントクの仕事を少し引き受けた…だけなのだが、ここまで時間がかかるとは自分でも思わなかった。…何と要領が悪いのだろうか。
「あれ?」
帰り支度をすまし、鍵に手を伸ばすとすぐ横に自分のものでは無いスマホがあることに気が付いた。スマホケースにはバスケットボールが描かれている。持ち主はバスケ部の誰かであることは確信したが、誰の物だったかは曖昧だ。
…見たことはあるんだけど、誰だったかなあ。二年生だった気はするんだけど……。
悩みながらも答えが出ず、諦めて帰ろうとしたとき扉が外側から開かれた。
「良かった~!まだ開いてた!」
「え、小金井くん?」
扉の向こうにいたのは、猫目の青年。私が所属している男子バスケ部2年の選手だ。また、私とは同じ中学出身で何だかんだ一緒にいる事が多い。中学時代もお互いテニス部に所属していたので、高校でも同じ部になるなんてね、と顔を見合わせて笑ったものだ。
「え、美咲?!まだ残ってたの?」
「あはは…ちょっと仕事が終わらなくって…。小金井くんはどしたの?」
「いや、忘れ物しちゃったみたいなんだけど…スマホ、見てない?」
彼の一言で合点がいった。そうか、このスマホは
「これ小金井くんのだったんだ!どうりで見覚えがあると思った」
「あー!!それそれ!!よかった…ここに無かったらどうしようかと思ったよ~」
彼の安心した表情に思わず笑ってしまう。幼い少年のような素直な表情は、彼の長所だなと中学時代から思っていた。高校生になってもそれが健在でなんだか嬉しいような気持になる。
「美咲ももう帰るっしょ?一緒にかえろーよ」
「うん、帰ろっか」
鍵を閉め、二人で肩を並べて帰路に着く。高校に上がってから二人きりで登下校をすることは無かったため、何だか新鮮だ。中学時代は自転車に乗って私と小金井くんと水戸部くんの三人で並んで帰ることがしばしばあった。中3で部活を引退してから、私だけクラスが違っていたこともあり、あまり3人で登下校することは無くなった。
高校二年になり、初めて二人で肩を並べて歩く。ここで、初めて気が付いた。
「小金井くん、私より身長高くなったね」
中学の時は私の方が身長が高かった記憶がある。私の身長は中3の時から変わらず158センチ。…体重は前より少し増えたけど。
「そりゃーね!今は170センチあるから!!」
腰に手を当て誇らしそうに語る彼。漫画のお調子者キャラのような反応に思わず笑みがこぼれる。
「170もあったんだね。もっと小さいと思ってた」
「ちょ、それは火神とか木吉とか水戸部と比べるからだろー!?俺はちっちゃくないの!日本人の平均身長はありますー!」
彼の素直な反応に再び笑みがこぼれる。さすが、チームのムードメーカーだなと改めて実感させられた。1年の黒子くんや火神くんがレギュラーで入るようになってからは、以前より試合に出る回数は減ってしまったものの、練習の雰囲気やベンチからの声援、ピリピリした空気の時なんかは真っ先に場を和らげてくれる。
本当に、すごい人だ。
「あ、そうそう!高校に入ってから身長もなんだけど筋肉もしっかりついたと思うんだよね」
確かに、と思う。中学時代はテニス部ではあったが割と細身だった印象がある。しかし、バスケ部に入ってからはカントクの厳しいメニューのおかげもあってか、随分と男らしい体つきになった。
「ふふ、カントクに感謝しなきゃね」
「あ、カントクっていえばさ!今年もやったけど、バスケ部を作るときに屋上から目標を叫ぶのやってたじゃん?」
「あー、あれ凄かったよね!『日本一にならなかったら全裸で告白してやる』みたいなこと言ってたの、めっちゃ印象的に残ってる」
あれを見ていた時は、まさか自分があの男子バスケ部のマネージャーになるなんてこれっぽちも思っていなかった。しかも、その中に中学からの友人が二人もいるというのだからさらに驚いた。事実は小説より奇なり、である。
「それそれ!日向が急にそんなこと言いだすからほんっとビックリした!でもあれってつまり…日向は当時好きな人がいたんじゃないかって考えられるよね?」
「あー!もしかしたらそうだったのかもしれない、ね……」
何か、胸の中で引っかかるものがあった。今まで自分でも気が付かなかった感情。想い。
いつから秘めていたのかは全く分からないが、今は、確かに感じる。
「小金井くんは、さ」
「ん?」
思わず言葉があふれだした。自分の感情に制御ができない。
「その時、好きな人…いたの?」
知りたいけど、知りたくない。それでも、一度あふれた言葉はもう私の中には戻ってこない。相手の耳に届いてしまったのなら、なおさらだ。
私は彼にどんな回答をして欲しいのか分からなかった。けれど、私の言葉はあふれた。
「今、好きな人…いるの?」
私は今、どんな表情をしているのだろう。
自分でも、まったく分からなかった。分かるのは、彼の顔を見れていないという事だけ。
「いるよ。好きなひと!」
明るい彼の声から、顔を見なくてもどんな表情をしているのかよく分かる。私の心は彼とは対照的にどんどんと暗くなっていくような感じがした。
「その人は、真面目で頑張り屋さんで」
胸が、痛い。
「いっつも一生懸命で」
目が、熱い。
「優しくて、明るくて」
…心が、苦しい。
「中学から一緒の、かわいい子!」
その瞬間、頬が優しく温かい手に包まれた。熱くなった目を開けると、そこには照れくさそうに笑う彼の姿。
私は状況が上手くのみこめず、戸惑いながら彼の名前を小さく呼ぶことで精いっぱいだった。
「え、ちょ、伝わってなかった感じ!?」
戸惑いを隠せていない私の表情を見て察したのか、頬に添えた手を下ろし、今度は私の両手を大きな手でそっと優しく包み込む。「もう一回言うよ」という彼の顔を見ると、先ほどと同じように照れくさそうに笑う姿があった。
「中学の時からず~っと、俺は美咲のことが好き」
「え……?」
体中が熱くなるのを感じる。
欲しかった言葉を、彼は見抜いたかのように私に真っすぐに伝えてくれた。
「日本一になってからちゃんと告白しようと思ったケド…あはは、予定より早くなっちゃった!」
鼓動が早まり、体が熱くなる。苦しさはどこかへと飛んでいき、代わりに違う感情が
私の心に芽生えた。
熱い涙は、温かい涙に変わった。
繋いだ手は、男らしかった。
「ね、美咲の気持ちも聞いていいかな」
逸る胸の鼓動を抑えつつ、私は彼の手をぎゅっと握り返す。
先ほどとは違い、彼の目を見て、笑顔で話せる。
「私は------」
答えなんて、とっくに決まってる。
どうも。作者です。
コガかわいくて大好きです。コガみたいな彼氏理想だなと小説書いてて思いました。
いや~~コガかわいい。。。。
そういえば3年位前にTwitter作ってたんですけど全然使ってなかったのを最近思い出しまして、夢垢にしました。夢女の妄想におつきあいいただける方はフォロー飛ばしてくれると喜びます。
呟き少なすぎてフォロワー0なんですけどね。うふ。
一応宣伝という事で。
【@e5pdumHgМJpad6K】
黒バス以外に、ヒロアカ、弱ペダ、テニプリなど書いています。ごく稀に絵もあげるかなあ~というゆるゆるアカウントです。ご興味のある方はぜひよろしくおなしゃす!
それではこのあたりで失礼させていただきます。