クロバス+プラス   作:ネッシュ

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 第24回目は、海常の頼れるキャプテン笠松先輩です!

何年ぶりの更新だよってね()
すみません本当…。大好きな笠松先輩での復帰です、いえい。

拙い文章ですが、ぜひ楽しんでくださると幸いです。

それでは、本編をどうぞ!


クロバス+プラス 笠松幸男

 

  海常高校 【 笠松幸男 】

 

 

「悪い、遅くなった!」

 

文庫本を閉じたと同時に教室の扉が開く。声の方を見ると、そこにいたのは短い黒髪に汗を光らせ、こちらに申し訳なさそうな表情を浮かべている青年だった。

私は持っていた文庫本を机の上に置きながら『お疲れさまでした』と声をかける。青年―もとい、笠松幸男先輩は、はにかみながら私の目の前の席に腰を下ろした。

 

「遅くなった分は、これでチャラな」

 

『わーい、ありがとうございます!』

 

体育館の横の自動販売機にしか販売されていない抹茶のパックジュース。運動部の人がよく使っているため、買いたくても怖くてなかなか近づけないのだ。そのため、たまにこうして先輩が買ってきてくれるジュースはより一層おいしく感じる。…うん、久しぶりに飲んだけどやっぱりおいしい!

 

「今日は何読んでたんだ?」

 

机の上に置いた文庫本を私よりも大きな手でパラパラとページをめくる。先輩が文庫本を持ってるなんて何だか違和感を覚えるけれど、窓から吹かれた風も相まって何だか絵になる。男子バスケ部の1年生の黄瀬くんがよく一緒にいるからみんな分からないんだろうけど、笠松先輩はかなりかっこいいと思う。

 

黄瀬くんとは全然ジャンルが違うかっこよさがあるっていうか…何ていうのかな。男らしいっていうか、頼りがいがあるっていうか、真っすぐで真面目でかっこよくて、でもたまに可愛いところもあって…なんて、こんな事思ってるなんて知られたら怒られちゃうな。

 

『今日は王道学園ラブコメです。バスケ部の後輩とマネージャーの女の子の話で、いろいろと紆余曲折があるんですけど最終的には結ばれてハッピーエンド!っていうお話です』

 

本屋さんでつけてもらった茶色いブックカバーを外し、『そうだ、これ見てほしいんですけど』と表紙を先輩の目の前に持っていく。

 

『この男の子、黄瀬くんに似てません?』

 

じーっと表紙を見つめる先輩。数秒間の沈黙の後に「そんな似てるか?」の一言。

 

『えー?性格も結構似てるんですよ。女の子にモテモテで、バスケを熱心に取り組んでて、わんこっぽい感じなんですけど、やっぱりかっこいいんですよね~』

 

「ほー、なるほどねえ…」

 

再び先輩はパラパラとページをめくる。いつもは本の感想やあらすじを聞いてくるのに、何か歯切れが悪いような…気のせいかな。

 

「あ、そうだ!もう一つ見せたいのがあって、絵は無いんですけどね」

 

先輩の手にあった本を返してもらい、最初の登場人物紹介のページを開く。そこには主人公の女の子と黄瀬くんに似た男の子のイラストが描かれており、その周りには文字で他の登場人物が紹介されている。

 

「黄瀬に似てるってのはもうわかったぞ」

 

『いやいや、見てもらいたいのはそこじゃなくて』

 

私は黄瀬くん似の男の子から伸びている線の先にある「バスケ部キャプテン、笠原」の文字を指さした。

 

『笠原キャプテンなんですけどね、本編にはちょっとしか出てこないんですけど、すごくかっこいいんです!主人公の背中をそっと押してくれる頼りがいのある先輩で、男らしいっていうか、真っすぐで真面目でかっこよくて、一番好きなキャラなんです』

 

私は本を閉じ、笠松先輩の目をまっすぐ捉えた。この物語を読んだときに、先輩に一番伝えたかった感想だ。

 

『いつもメインの子を好きになっちゃうのに、何でこのキャラを好きになったんだろうって考えたんです』

 

先輩も私の目を見て私の言葉の続きを待っている。私は理由を思い出し、笑みを浮かべながら先輩に告げた。

 

 

『笠松先輩に似てるからだったんです!』

 

 

本人を前にこれを伝えるのは何だか照れくさいような気持ちもあったけれど、それよりも言いたかった。だって、その事実を知った時、私は心の底から笠松先輩の事が好きなんだなって改めて分かったから。だから、先輩にも伝えたかった。

 

『私、自分でもびっくりするくらい先輩の事好きだったみたいです』

 

初めての告白。

こうやって顔を合わせて「好き」と言ったのは初めてかもしれない。3か月前の先輩は、こんな気持ちだったのかな、なんてふと考える。

 

 

『って、ちょっと先輩!何か言ってくださいよ、恥ずかしいじゃないですか』

 

「…っとに、」

 

『え、なんですか?聞こえな…』

 

 

瞬間、私の手を温かいものに包まれた。突然の出来事に驚きつつも、先輩の赤い耳が

私の目に映った。

 

 

「…本当、ずりぃわお前……」

 

じんわりと熱い大きな手、ワイシャツから覗く男らしい体、汗と制汗剤の匂い。

 

『…ずるいのはどっちですか』

 

 

こんなにも男らしいのに

 

 

「何か、言ったか?」

 

 

こんなにも可愛いなんて

 

 

『いーえ、何でもありませんよ』

 

 

 ずるいのは、あなたの方です。

 

 

 





どうも作者です。
更新を怠っていた理由はログイン時に必要なパスワードが分からなくなってしまったためです。自己責任ですね、ごめんなさいゆるしてゆるして。

小説自体久しぶりに書いたので読みづらかったりしたらごめんなさい。
糖度も低めですかね…。見てくれる人ほとんどいないかもだけど良かったら見てやってください。


それではこの辺で。

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