クロバス+プラス   作:ネッシュ

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第23回目は…じゃ~ん!海常のエース黄瀬くんです!

えー…三か月ぶりですね。まじですみません。
この小説の更新を待っていてくれた方…もしいるのならいつも本当に申し訳ありません。


では、本編に行きます。読んでもいいよって方はどうぞ!


クロバス+プラス 黄瀬涼太

 

 海常高校 【黄瀬涼太】

 

 

オレはこの海常高校1年、男子バスケットボール部に所属している普通の学生だ。

 

他と少し違うところと言えば…モデルをやっていることだろうか。

 

バスケもモデルも自分がやりたくてやってることだから、どちらかに影響が出ないようにしたい。

 

 

………でも、現状はちょっとよろしくない。

 

 

 

『黄瀬くん!がんばって~~!』

『きゃ~!!!かっこいい~♡』

『黄瀬くん、こっち向いて~!』

 

 

…と、まあ…こんな具合に女の子たちに黄色い声援を浴びるわけで…

 

 

…応援してくれるのはありがたいっスけど、これじゃ、チームに迷惑がかかるんだよなあ……

 

 

「おい、黄瀬!あのギャラリー達なんとかしろ!」

 

「笠松センパイ…無理っスよ。オレがあの子たちに近づいて注意すると余計に…」

 

いつも、こんな調子。試合前なんてみんなピリピリしてたり、集中したい選手も多いのに…これじゃあ練習の意味が無くなる。

 

笠松センパイは女の子苦手だから言えないだろうし…森山センパイは戦力外だし、他の人もそんなにガツンと言える人はいないしなあ…。

 

 

「はあ…」

 

 

大きなため息を漏らす。いつもチームに迷惑かけてばっかりで、みんなにフォローされて……でも、こればっかりはオレだけの力ではどうにも解決できない。

モデルとしての顔もあるわけだから、強くは出られない…

 

 

なんて、無能なんだろうか。

 

 

スポーツドリンクを口に含むと同時に、何だか熱いものがこみあげてきた。

 

誰にも気づかれませんように__……そう、願っていたけれど

 

 

「黄瀬くん」

 

 

振り向くと、そこには__…

 

 

「美咲センパイ…」

 

 

オレより2つ上、3年生で男子バスケ部のマネージャーの神崎美咲センパイが柔和に微笑んで立っていた。

 

最初はこの人も、あの女の子たちと同じだと思ってた。…だけど、彼女は違う。

 

彼女は「モデルだから黄瀬を見る」じゃない。同じバスケ部員として、仲間として、オレを見てくれる。贔屓なんてないし、ほかの部員と同じように接してくれた。

 

だから、女の子だけど信用できる。

 

 

美咲センパイは女の子たちの方へと向かい、真面目な表情でこう言った。

 

 

「応援にきてるみんな、その気持ちはありがたいわ。でも、私達はすぐに大事な試合を控えてるの。だから、応援が逆に邪魔になるのよね。今そうやって大きな声で黄瀬くんだけを応援しに来るのは、この部の者としては許せない」

 

センパイの目が鋭く光る。その声と表情に、女の子たちもオレたちにも緊張が走った。

 

「今後、応援をしたいのなら練習中ではなく、試合の時だけにしてちょうだい。そして、海常高校を応援して。それが出来ないなら……

 

金輪際、応援なんかには来ないで。部活の妨害よ」

 

 

その鋭い声に、多くのギャラリーがすごすごと帰って行った。だが、全員が全員納得いったわけではないようで

 

『な…何よ!あんただって、どうせ黄瀬くん目当てで入ったんでしょ!?私達を帰らせて、黄瀬くんを独占しようとしてるだけじゃない!』

 

複数の女子生徒が、美咲センパイを罵る。…さすがに、これは止めに入らないと…!

 

 

「私は三年間この部活にいる。そして黄瀬くんは今年入ったばかり…どうやって私が黄瀬くん目当てで入るのよ?」

 

『うっ……』

 

「それに、私は貴方たちと違って好きな人の事を一切考えないような行動なんてしないわ。少しは相手の気持ちも考えたらどうなの?」

 

…センパイのあんな怖い声、初めて聞いた。いつもはもっと優しくて、ちょっとドジな所がある人なのに…そこまで、怒ってたんだ。

 

「解ったら帰って。これ以上いるつもりならこっちにだって考えがあるわ」

 

『わ、分かったわよ!帰ればいいんでしょ、帰れば!』

 

 

悔しそうな表情を浮かべながら、複数の女子生徒は走って体育館を後にした。

 

それを見届けると同時に、センパイはその場にへたりと座り込んでしまった。

 

「み、美咲センパイ!?大丈夫っすか!?」

 

一目散にセンパイに駆け寄る。オレに続いて他のセンパイたちも集まってきた。

 

 

「あはは…怖かった~…」

 

 

オレはその言葉に、驚きを感じた。美咲センパイは、恐怖なんて感じずに行ったのだとばかり思っていたから。…センパイと同じ3年生もいたし、もしかして…嫌われるの覚悟で…?

 

…だとしたら、オレは最低じゃないか…。モデルとしての黄瀬涼太を守りたいがために、女の子たちから逃げて、結果的に美咲センパイが傷つくことになった…。

 

オレも、あの子たちと一緒じゃないか。…好きな人の事を考えないで、自分の事だけを考えて行動してた…

 

 

「美咲センパイ…ごめん、ごめんなさい…」

 

「ちょ、黄瀬くん?もーなんで黄瀬くんが泣くのよ~w」

 

自分の方が不安定な感情であるはずなのに、やっぱりセンパイはオレを優先してくれていた。…センパイは人の事考えすぎっスよ…

 

「よし!とりあえず片付いたし、休憩に戻りましょう。うるさくしちゃってごめんね。

…ほら、黄瀬くんもいつまでも泣いてないでよ?男の子はかっこよくいなきゃね!」

 

彼女は、すでにいつもの笑顔に戻っていた。

 

そして、オレの両手を掴み、立ち上がる。

 

 

 

…オレも、きちんとセンパイの願いに応えよう。

 

残された時間は、あと僅か

 

貴女に想いを伝えられるように

 

貴女に釣り合うような男になるから

 

 

__だから、

 

 

「美咲センパイ」

 

 

少しだけ、待っていて

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、みなさんおはこんにちばんわ。ネッシュです。

いやややや。やべえ。
不安材料しかないよ…予定とは違う路線書いてたよ…甘さ控えめになったよ…

色々とすみません…。

これからも不定期更新になりますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます。もし良かったら、これからも応援してください。

では、今回はこのあたりで。
次回もよろしくお願いいたします!

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