天才と規格外と召喚獣 作:ゆん
「これより、Aクラス対Fクラスの一騎討ちを始めます! 1回戦、両者前に出てください!」
「ウチが出るわ! 科目は数学で!」
「島田なら、ワシが行こうかの」
先生の声と共に、秀吉と美波が前に出た。そして対峙する。
すると美波はニヤリと笑う。それを秀吉が怪訝そうに見た。
「なんじゃ? 島田よ」
「言っておくけどウチ、数学なら木下なんかに負けないわよ!」
「ほぅ……なら、さっさと召喚して点数を見せてほしいのぅ」
「ええ、いいわよ!
秀吉がそう言うと、美波は大きな声で台詞を言った。
しばらくすると、美波の目の前に召喚獣が現れた。
数学
Fクラス 島田美波 201点
それを見て秀吉が無言でいたのを美波は驚きととったのか、得意げな顔で身体を反らした。
「ふふん、すごいでしょ♪ 数学ならBクラスなんかに負けないんだから!」
「……確かに、Bクラスには負けないかもしれんのぅ。じゃが——」
秀吉はそう言って言葉を区切り、召喚獣を召喚した。
そしてその瞬間、ズバンッ、という音と共に美波の召喚獣がその場から消えた。
驚く美波を見て、秀吉は意地悪げな笑みを浮かべた。
「——じゃが、ワシの前では足元にも及ばん」
Aクラス 木下秀吉 4826点
『『『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』』』
「ちょっ、木下! その点数はなんなのよ! あんたってバカなんじゃなかったの!?」
秀吉はそう言って喚く島田を嘲笑し、言葉を紡いだ。
「そんなの、ただの噂じゃろう? 第一、Aクラスにいる時点でバカじゃないと理解できたはずじゃ。それにワシは、中学の頃に天からの使者の『
『天空の、神………あああああああああっ!!』
秀吉がそう言うと、Aクラスの男子生徒が声を上げた。
それを聞いてほとんどの人は一斉にそっちを見たが、遥希と遥奈と秀吉は横目でその人を見て口角をつり上げ、明久と愛梨と優子は無表情で目を瞑っていた。
そしてその男子生徒のそばにいた女子生徒が声をかける。
『ちょっと、いきなり何!?』
『思い出したんだよ! どこかで聞いたことあると思っていたんだが……』
「おい! どうしたんだ!?」
ブツブツ言っているのが気になったのか、雄二が声を張り上げてそう聞いた。
その男子生徒はその声にこたえるように口を開いて話し始めた。
『吉井明久、風間遥希、風間春奈、河本愛梨、木下秀吉、木下優子……どっかで聞いたことあると思っていたんだが、今の二つ名で思い出した…!』
『二つ名……あっ! もしかして…!』
『おっ、俺も思い出した! すっげー有名だったよな!』
Aクラスから次々と思い出したという声が聞こえ、それはFクラスにも侵食してきた。
そしてガヤガヤとにぎやかになってきたところを先生が一喝したら、一気に静かになった。
「……それでは、2回戦を始めますので両者前に出てください」
「…………俺が行く。科目は保健体育で」
先生がそう言うと、Fクラスからは土屋康太が出た。
彼は保健体育だけならAクラスに匹敵する点数だったので、誰もが出ることを嫌がった。
そんな時、まるでヒーローのように前に出た人がいた。
その人物に、明久が声をかけた。
「……勝てるか? 遥奈」
「当然! どーんと任せてよっ☆」
遥奈はそう言ってニカッと笑うと、康太と対峙した。
しかし康太は相変わらずの無表情だったので、遥奈はちょっと遊んでみることにした。
「ねぇねぇ土屋君」
「…………なんだ?」
「スカートの中、覗いて見る気はある?」
「…………っ!?」
『『『ムッツリィニィィィィィィッ!!??』』』
遥奈がそう言ってスカートをチラリとあげた瞬間、康太は大量の鼻血を噴出した。
それを見てFクラス男子生徒は絶叫する。
一方その原因を作った遥奈は、転校してきたばかりだったのでこうなるとは思っておらず、Fクラスが康太に行っている作業を見て目を何度も瞬きさせており、状況を理解した瞬間に苦笑した。
「えーと……土屋君、なんかごめんね? 他の人に試合をやってもらって、回復した時にやる?」
「…………平気だ。俺はまだ戦える」
「あ、えと、うん、そっか……。それじゃあ、試合始めようか」
未だには鼻血を出しながらも立ち上がった康太を見て遥奈はさらに苦笑しながらも、すぐにニヤッと笑った。
そしてフィールドが展開された瞬間、2人が一斉に召喚する。
保健体育
Aクラス 風間春奈
VS
Fクラス 土屋康太 512点
『『『512点!?』』』
遥奈の点数はまだ表示されていなかったが、周りは康太の点数を見て声を上げる。
そんな中、明久達は無表情で召喚獣を見ていた。
しばらくすると、遥奈の召喚獣の近くに点数が表示された。
Aクラス 風間春奈 5985点
『『『ちょっ、なっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』』』
「………っ!?」
「残念でしたっ♪ 保健体育が得意なのは、君だけじゃないんだよ?」
皆が驚いてるのを見て、遥奈は愉快そうに笑った。
「さてと、それじゃ――――『
遥奈がそう言ったと同時に、さっきまで無表情でいた明久達は口角をつり上げた。