帰宅部活動記録1945   作:長命寺桜

9 / 9
帰宅の一五八二

桜「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス。桜」

夏希「盗作はやめてください!」

桜「ところで夏希ちゃん、ホトトギスって托卵するって知ってた?」

夏希「ああ……最近流行ってる托卵女子って奴ですね」

桜「調べたら 我が子じゃなかった トホホギス」

夏希「人生軽くミスっちゃいましたね……って重いわッ!!!」

 

―― 帰宅部修学旅行中 ――

 

牡丹「清水の舞台から飛び降りるってよく言うけど……」

 

 

桜「ストーップ!」

 

夏希「何ですか桜先輩、そんなに焦って?」

 

桜「修学旅行が京都だからって、みんな気を抜きすぎてない? 清水の舞台は高くないとか、飛んでも死んだりしないとか、清水の舞台からじゃあの定番写真は取れないとか、私達の前に1000万人くらいが言ったようなセリフ、言おうとしてたでしょ!」

 

夏希「そんなには言ってないと思いますけど……」

 

牡丹「いや……す、すまん桜。実は『さっき飛び降りて見たら、この程度かよって思ったよ』って言おうとしたんだ……」テレ

 

桜「やっぱりかー! もうだめだぞ、牡丹ちゃん☆」

 

牡丹「あははー♪」

 

 

夏希「って……まさかの飛び降り済みぃー!? その割にはあんたら平然としすぎでしょ!!」

 

 

牡丹「まぁ、ちょっと降りてちょっと上がっただけだからな」

 

夏希「清水の舞台はちょっとした段差かー!!」

 

 

花梨「そういえば、清水の舞台から飛び降りるって、大きな買い物をする時に使うんですよね。クレア先輩は、どんな時に使いますか?」

 

桜「クレアちゃんのことだから、別荘とかピカソの絵とかちょー高い物でしょ」

 

クレア「そうねぇ……リーマン・ブラザーズを買った時かしら。さすがにあの時は緊張したわね」

 

夏希「それ買い物っていうか買収じゃないですかー! 普通女子高生はM&Aしませんから!」

 

クレア「でもリーマン・ショックの収拾をつけるには、私がどうにかするしかなかったのよー」

 

夏希「会社にやらせてくださいよ。九重財閥ってのは女子高生を働かせるほど人材不足なんですか?」

 

 

牡丹「私は大作RPGの11作目を買うときにかなり覚悟したなー」

 

花梨「牡丹先輩11作目やってたんですかー! 私、10作目までですー」

 

桜「11作目はオンラインだからかなり敷居が高かったよね」

 

牡丹「そうそう。画面越しとはいえ、私にフレンドが出来るものなのか不安で不安で……」

 

夏希「ああ……流れが庶民的に戻ったー」

 

 

クレア「あのプロジェクトに投資するときには、私も清水の舞台から飛び降りる気持ちで挑んだわね~♡」

 

 

夏希「また企業側かよッ! ていうか、その当時クレア先輩当時小学生でしょ!」

 

桜「そういう夏希ちゃんはどんなクマちゃんのぬいぐるみを買う時に飛び降りちゃうのかな?」

 

夏希「ど、どんなクマを買う時にも飛び降りません。ていうか、ぬいぐるみ買う程度で大層な覚悟いりませんし……」

 

桜「へぇ~?」ツンツン

 

花梨「チャッキーちゃんはどこで買ったの? 私もあのクマちゃん可愛いから欲しいなぁ~」

 

夏希「ヒ………………ヒミツ」カァァ

 

桜【可愛い】・牡丹【可愛い】・クレア【可愛い】

 

夏希「うぅ……お願いだからそれやめて……」シクシク

 

桜「花梨ちゃんはどうなの?」

 

花梨「私は初めてネイルサロンに行ったときですかねー」

 

クレア「まぁ!」

 

夏希「やっぱり花梨は女子力高いなー」

 

桜「わ、私、まだそう言う所行ったことないよ……」プルプル

 

牡丹「そういえばネイルケアって女子力の象徴みたいな所あるけど、男受けは最悪なんだよな」

 

夏希「あーそれよく聞きますね。爪に何か付けてるだけで、不潔だとか危険だとか言われちゃいますもんね」

 

クレア(レイプ目)「男には好き勝手言わせておけばいいのよ。いえ、むしろ好都合だわ! 花梨さんの魅力は私だけに伝わればいいの」サワッ

 

花梨「きゃっ! ク……クレア先輩そこはっ……!」

 

夏希「公衆の面前でスカートの中に手を入れないでくださいッ! もう犯罪ですよ!」

 

桜「夏希ちゃん、私にも聞いてー」

 

夏希「普通に言えばいいじゃないですか」

 

桜「いいから聞いてよ!」

 

夏希「はぁ……桜先輩はいつ清水寺から飛び降りるんですか?」

 

桜「わ、私は夏希ちゃんに……その……」

 

夏希「はい? 私に何ですか?」

 

桜「だ、だから夏希ちゃんに……い、言えないよぉ」

 

花梨「わっ……わぁぁ♡」カァア

 

夏希「そういうの結構ですんで、早く言ってください」

 

桜「こ、これ受け取ってくださいっ!」ドン

 

夏希「……何ですかこのやたら大きくて重い箱は」

 

桜「あ、開けていいよ」

 

夏希「はぁ……」ベリベリ

 

桜「そ、そんな雑なぁ……」

 

夏希「げ……」

 

クレア「何かしら? 木彫りの熊?」

 

牡丹「貰って嬉しくない土産の代表だな」

 

花梨「あれって北海道のお土産ですよね? どうして桜先輩持ってるんですか?」

 

桜「さっき行った京都タワーに売ってたよ?」

 

夏希「で……こんな荷物にしかならないものを渡してどうしろと!? 今日修学旅行初日なんですけどー!」

 

桜「な、夏希ちゃんが泣いて喜ぶと思って。だってクマちゃんだし?」

 

夏希「ありがとうございます桜先輩。でもこのままじゃ持ち運び難いんで、ちょいとコンパクトにさせていただきます」ゴゴゴゴ

 

 

桜「そ、そんな! 3万円もした高級クマちゃんを清水の舞台から落とすつもり!?」

 

夏希「うりゃぁぁあああ!」

 

花梨「なっちゃんダメッ!」

 

夏希「ああぁぁ…………くっ……なぜだ……なぜ投げられない!? こうなったら……うりゃぁああ!」

 

桜「な、夏希ちゃんが清水の舞台から飛び降りたーーー⁉」

 

 

 

―― そして時は巻き戻り…… ――

 

 

――

あざらし「ここは京の都」

――

 

 

夏希「はぁ…………。で、今は何年ですか桜先輩?」

 

 

桜「なにタイムスリップした直後の主人公みたいな台詞を言ってるの? 天正10年に決まってるじゃん!」

 

夏希「いつだよそれ! グレゴリオ暦で言ってください!」

 

クレア「夏希さん、南蛮の事情に詳しいのね! グレゴリオ暦って確か、ローマ教皇グレゴリウス13世が、今年ユリウス暦に代えて制定した紀年法よ。天正10年だと1582年になるわ」

 

夏希「へぇーすごい偶然ですね」

 

花梨「なっちゃん、世界史の授業で習ったでしょ。テストにも出たよ?」

 

夏希「いやぁ……私歴史とか苦手だし、忘れちゃった」

 

桜「私は覚えてたよ! 苺パンツのグレゴリオちゃんだよね」

 

夏希「あんた未来の記憶あるのかよ!!」

 

桜「何言ってるの夏希ちゃん! ともかく、今日本は戦国時代の真っ只中! 道端で武士と武士が出会ったら、名乗りを上げて血みどろのガチバトル! そんな暗黒時代なんだよ!」

 

夏希「戦国時代って信長とかの時代ですよね。そんな世紀末的世界でしたっけ……」

 

花梨「なっちゃん! 上様を信長なんて読んじゃダメ! ホトトギスみたいに殺されちゃうよ!」

 

夏希「えぇ……代名詞で読んでたら誰か分からなくなるよ?」

 

クレア「そうよ、花梨さん。尾張のうつけを上様何て呼ぶ必要ないわ! 大体私達は織田の家臣じゃなくて、天子様の直臣なのよ!」

 

夏希「クレア先輩はやっぱりお公家様なんですね……」

 

クレア「いえ、むしろ九重家は天子よりも由緒正しいダビデの家系! 我が家に伝わる家系図をさかのぼればイブとイブまで辿り着けるのよ」

 

夏希「そのネタはもう結構ですから! てか、私達はここで何をしてるんです?」

 

桜「私達はこれから東京へ帰宅するの! だから待ってるんだよ、旅の用心棒を」

 

夏希「用心棒? って東京ってどこですか……中国?」

 

 

牡丹「またせたな」

 

 

桜「ぉお! 来た来た用心棒さん!」

 

夏希「あれは牡丹先輩? しかも一人だけ着物じゃなくて制服姿だー」

 

牡丹「拙者は萩月流剣術初代継承者、大萩牡丹だ」

 

夏希「萩月流の初代!? しかも初代なのに継承者!? って、萩月流って古武術じゃありませんでしたっけ?」

 

牡丹「だって初代なのに『古』を付けるのはおかしいだろ?」

 

夏希「おかしいのはそこだけじゃないけどー! 剣術って言う割に、刀もってないんですね」

 

牡丹「ああ、刀を持つ侍など所詮は雑魚。真の侍は、己の肉体のみで勝負だ!」

 

夏希「日本文化の結晶をまさかの全否定だよ! 素手で刀に勝つとかそれもう能力者だよ!」

 

 

桜「さーて! 5人揃ったわけだし、東海道逆五十三次、始めよー」

 

夏希「うわぁ……江戸まで歩いて帰るんですか? 一体何日かかるんだか……面倒だなー」

 

牡丹「なら走って帰るか? 今出れば日暮れまでには着くだろ」

 

夏希「それは牡丹先輩だけですよっ!」

 

花梨「ならマレーバクに乗って帰る?」

 

夏希「ブッダかッ! そんな生き物日本中のどこ探しても居ないわ!」

 

クレア「仕方がないわね。九重呉服店が開発した、往復運動熱機関式回転平棒付浮遊牛無牛車を呼ぼうかしら」

 

夏希「……えっと、浮遊牛無し……ってなんですか、その意味不明な長大語は……」

 

クレア「要するにヘリよ」

 

夏希「ヘリかよっ! なんで呉服店がヘリ開発しちゃってるのー!」

 

牡丹「いや夏希、ツッコむところそこじゃないだろ。戦国時代にヘリがあるかよ」

 

桜「ぷぷっ牡丹ちゃん恥ずかしー! 戦国自衛隊のこと知らないんだー! 戦国時代には、ヘリも戦車もあったんだよー」

 

夏希「恥ずかしいのはあんただよ! あれフィクションですから!」

 

桜「えっ…………マジで? やだ……嘘でしょ?」

 

夏希「桜先輩、純真を通り越してアホの子になりかけてますよ」

 

花梨「あ……あの……みなさん、あれ見てください!」

 

牡丹「何だ花梨、どうかしたんか?」

 

花梨「はい、何だか……三条京阪の方が騒がしくありませんか?」

 

桜「三条京阪? ここは四条河原町だから、北の方だね」

 

クレア「あら、この時代はまだ阪急百貨店があったのね」

 

 

夏希「ないよ!!」

 

 

桜「ふししし…… 夏希ちゃん、阪急が潰れてOIOIになったけど、これなんて言うか分かる?」

 

夏希「マルイですか?」

 

桜「……」ズーン

 

牡丹「おいおい、自分で振っといて落ち込むなよ」

 

桜「あ、牡丹ちゃん! 今『おいおい』って言ったなー! バカでー!」

 

牡丹「……桜、介錯はまかせろ」

 

クレア「はい、この短刀を使って?」

 

桜「えっ……ちょっ……待って! 牡丹ちゃん素手だけどー⁉」

 

牡丹「私の右手の切れ味……知ってるだろ?」

 

花梨「なっちゃんが真似してたやつですね」

 

夏希「……桜先輩、まだ切らないんですか?」

 

桜「ご、ごめんなさい! 後生だから許して……!」

 

 

クレア「皆さん、そんなことより北の方が燃えてるわ!」

 

牡丹「桔梗門の幟……惟任日向守の軍だな。何で京に居るんだ?」

 

夏希「ああ、それは信長が本能寺に居るからですよ……って、」

 

 

夏希「これ本能寺の変だよッ!」

 

 

――

あざらし「ちなみに当時の本能寺は寺町御池にはないよー」

――

 

 

桜「本能寺の変? ああ、最近流行ってる奴ね。夏希ちゃんってああいうセンスしてるんだ。ちょっと引くわー」

 

夏希「なーんの話だよ!」

 

クレア「桜さんはたまにおかしなことを言うわね」

 

牡丹「そうか? いつもおかしいぞ桜は」

 

桜「ぶうぅ……」

 

夏希「そんなことより桜先輩! これチャンスですよ! 本能寺の変の真相を突き止めたら、私達日本史に残るかもしれません!」

 

花梨「なっちゃん、さっきから言ってる本能寺の変ってなぁに?」

 

夏希「知らないの花梨⁉ 信長が明智光秀に殺された日本史最大の事件だよ!」

 

花梨「え……信長様殺されちゃうんですか!? そ……そんなの嫌ですよぉ」

 

夏希「いや……嫌って言われてもさぁ……」

 

桜「そうそう、下剋上こそ戦国の世の習いだよ」

 

牡丹「信長も所詮部下に殺される程度の奴だったってことだな」

 

花梨「でもでもぉ……」

 

 

クレア「……もしもし私よ。今すぐ信長暗殺を中止しなさい」

 

 

夏希「……」

桜「…………」

牡丹「………………」

花梨「……………………」

 

 

夏希「って、犯人ここにいたーーーーっ!!!」

 

 

クレア「もう大丈夫よ花梨さん。花梨さんに免じて信長は生かしておくことにしたわ」

 

花梨「わぁ! ありがとうございますクレア先輩!」

 

夏希「うわぁ……これ絶対歴史変わっちゃいましたよ……」

 

桜「本能寺の変も無事に解決したことだし、江戸に向けてしゅっぱーつ!」

 




愛「今のどう? 面白かった?」
花梨「うん! 48点くらい!」
愛「おお! 20点増えた!」
夏希「い……意外と厳しいな花梨……」
花梨「50点満点で!」
夏希「1問ミスかよッ! もっと厳しくていいから!」
愛「えぇ~!? 私はぬるま湯に浸かりたい!!」
夏希「テッペン目指すんじゃなかったのかよ!」
愛「お? やっと本気になったねなつめろ! それじゃ次! 夏希&愛ホールディングスの三段撃ちショートコント、『豊臣秀吉』!」
夏希「(いや古橋、そのネタ聞いてないから)」ヒソヒソ
愛「(さっきと同じ台詞でいいから)」ヒソヒソ
花梨「んん?」
夏希「あーホトトギスが鳴かないなー……どうしよっかな……」
愛「是非に及ばず!」ザシュ!!
夏希「信長様!? いきなり何するんですか!?」
愛「黙れ猿!」
夏希「ってあたしが秀吉役かよッ!!」
愛「ふふん!!」
夏希「何これ?! ギャグとして成立してないから! ホトトギスが一羽犬死しただけだよ!」

桜「なるほど……『信長は頭おかしい』ということを踏まえた高度なメタ・フィクショナル・ギャグだね」
愛「私のギャグセンスを理解できるだと!? お、お前、何者だ!」
夏希「さ、桜先輩? 今の見てたんですか!?」ハズカシイ
桜「私は帰宅部部長、道明寺桜! 『夏希&愛ホールディングス』に辻コント・バトルを挑む者!」
愛「いいよ、受けてたとう!」
桜「ふしぃ……じゃあ花梨ちゃん、私の相方になって!」
花梨「もちろんです、桜先輩!」
夏希「一も二もなく快諾かよ! てか、バトルって言われても、私コントとか出来ませんし……」
桜「ふっ……夏希ちゃんは、私に笑いで負けるのが怖いのかな?」
夏希「む……いいですよ、受けて立ちます。打ち合わせするよ、古橋!」
愛「おおぅ! なつきちが本気になった!」

――
あざらし「数分後」
――

桜「桜でーす」
花梨「花梨でーす」
桜・花梨「さっかりんです」
夏希「(人工甘味料かよ……ッ!)」

さっかりん「さっかりんの笑えないショートコント!」

夏希「(うわっ……予防線張ってきたー)」

桜「いやー、花梨ちゃん今日も東京はほんと寒いね」
花梨「そうですね。もう9月中旬ですし、そろそろ雪解けしてしてもいい頃ですよね」

夏希「(どんな状況だよ……! 夏も終わりなのに雪!?)」

桜「そうそう、昨日の検査の結果でた?」
花梨「はい……あと1ヶ月みたいです」
桜「1ヵ月かー……意外と短いねー……」

夏希「(笑えないってブラックジョークって意味?! 状況的に、核戦争後っぽいから、余命のこと? いやそれとも……子供ができたの!?)」

花梨「でも1ヶ月は辛いです……このニキビ」

夏希「ニキッ……っ!!」

桜「ふっ……」

夏希「ぬうッ!?(こ、これは……コントの名を借りた私個人への挑戦状!? 桜先輩の目的は私に勝つことじゃない、私にツッコませることだ……! こ、こうなったら意地でもツッコまない)」
愛「うん?」

桜「さあ花梨ちゃん! ソチに向けてもう一頑張りだ!」
花梨「はい、よろしくお願いしますコーチ! スイー!」

夏希「(スケート場かよ! 思わせぶりなことばっかり言って!)」

花梨「コーチ、練習終わりましたー」
桜「それじゃ帰ろっか! 花梨ちゃん、外に出るときは防塵マスクするの忘れないようにね!」

夏希「(あ、あれ!? やっぱりやばい状況なんだー)」

桜「それにしても、まさか超巨大隕石の衝突で地軸が逆転しちゃうなんてね!」
花梨「夏と冬が入れ替わっちゃって大変ですー」

夏希「(問題そこなのッ!? そこまでのダメージ受けたら人類滅亡してるわ!)」

桜「ま、まって花梨ちゃん! あそこにいるの、放射能で突然変異したゾウより大きい超巨大ゴキブリだよ!」
花梨「もっぬ……!」
桜「最高速度は時速500キロ、新幹線も真っ青のすばしっこさ……! あれに狙われて、生きて帰れた人間は居ないって噂だよ」
花梨「ひぃ……! あれを一匹見つければ、周りに1000匹は居るって聞きました……」
桜「わ、私達は既に、1000匹のゴキブリに取り囲まれている?!」

夏希「(絶望的すぎるだろ……)」

花梨「ゴ、ゴキブリに食べられて死ぬくらいなら……私、切腹します!」
桜「切腹⁉ でも日本刀が無いよ!」
花梨「ないなら自分で作るしかないですよね。私、鍛冶屋さんになります!」
桜「なら私はウェブデザイナーになる!」
花梨「それじゃ私は税理士!」
桜「じゃあ私は脱税する!」

夏希「(犯罪者かよッ!)」

さっかりん「●●●●、●●●●、本気になったら?」チラッ

夏希「(いや、ノリツッコミとかしないから……)」


さっかりん「東大!」


夏希「おぉッ(オーハラ行けよッ!)ぐぬぬぬっ……」

桜「ふししぃ……! そして時は過ぎ……」

夏希「(まだ続くの?)」

花梨「桜ちゃーん!」
桜「花梨ちゃ……先輩」
花梨「いやー桜ちゃんもやっと東大生ですね」
桜「う、うん。また花梨先輩と一緒の学校に行けて嬉しいよ」
花梨「みんな待ってますよ! 今日は東大帰宅学部の新歓ですから!」

夏希「(そんな学部あるか)」

桜(ナレーター)「ここは、東大帰宅学部室」
花梨(牡丹役)「おー桜! やっと来たか」
桜「牡丹ちゃん! 会いたかったよ!」
花梨(牡丹)「まったく。仕事抜け出すの大変だったんだぞ」

夏希「(えっ!? 牡丹先輩就職してるの!? いや、バイト?)」

桜「いやーごめんごめん。牡丹ちゃん、今かなり忙しいんだよね」
花梨(牡丹)「まあな。財務省の連中が武道関係の予算を出し渋ってるから、1人づつ"説得"して回ってるんだ。文科省をなめるなってな」

夏希「(怖っ! 牡丹先輩官僚かよ……てゆーか、卒業してるの!?)」

花梨(クレア)「桜さん、お久しぶり」
桜「クレアちゃんだー!」
花梨(クレア)「クレアちゃんじゃないでしょ。大学では九重教授と呼びなさい」
桜「す、すみません九重教授」

夏希「(クレア先輩は教授⁉ 桜先輩いったい何浪してるの!?)」

桜「しかし、やっぱり東大は良いよね、花梨先輩!」
花梨「はい! 私も10浪して東大入ったかいがあったよ!」

夏希「(花梨が10浪⁉ あんたら今何歳だよ!)」

桜「私なんか18浪だから、受験生活は本当辛かったよー」

夏希「(もう諦めてオーハラは入れよ! って、花梨どんだけ留年してるのー!?)」

桜「ところで、夏希ちゃんは?」
花梨「それが誘ったんですけど……やっぱり……」
桜「まあ、夏希ちゃんは顔出しずらいかもね。だって夏希ちゃんは……」

夏希「……(どうなってんだ私は)?」

桜「高卒でオーハラ行ったからね!」ドヤッ!

夏希「なっ(にぃいっ⁉ アタシがオーハラかよ!)」

桜「例の歌、歌いながらね。あれは傑作だったなぁ」

夏希「ぐぬぬ……(それあたしじゃねえーッ!)」

桜「今頃悔しがってるんだろうなーぷぷぷぷ!」

夏希「ぐぬぬぬ……(むしろ36歳で東大入るあんたの執念に恐れ入るわ!)」

花梨「あ! 桜ちゃん、テレビ見てください! なっちゃんが出てますよ!」
桜「ホントだ! それにしても、まさか税理士からM1ファイナリストに上り詰めるとはねー」

夏希「(……あたしの人生波乱万丈すぎ!)」

桜「いよいよ決勝戦だ! 始まるよ、夏希&愛ホールディングズの超絶爆笑漫才が!」
花梨「それでは夏希&愛ホールディングズさん、どうぞ!」

夏希「できるかッ!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。