帰宅部活動記録1945   作:長命寺桜

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右翼に媚びてみました(嘘)


空襲の三 靖国で会おう

――

あざらし「うーうー、空襲警報だー」

――

 

――校庭――

 

 

夏希「もういいよ空襲は!」

 

花梨「まあまあなっちゃん。いつものことだし、しかたないよ」

 

桜「そうそう。空に向けて突っ込んでも、グラマンが突っ込み返してくるだけなんだから」

 

夏希「いい加減うんざりですよ! こうなったら私、アメリカ軍と戦います!」

 

桜「でも夏希ちゃんにはグラマンと戦える特殊能力がないでしょ!」

 

夏希「じゃあ何のための竹槍訓練ですか! 私はこの竹槍で、アメリカ軍と戦いますから!」

 

桜「ってー! 言ってる傍からムスタングが突っ込んできたよ! 逃げよっ、夏希ちゃん!」

 

 

牡丹「ここは私に任せろ!! うぉおおおお!! 萩月流奥義、竹槍清空拳《エアリフレッシュ・スピア―》」

 

ギュィイイイイイイン、ドカーン!

 

 

夏希「ほんとに落としたぁああー!! 時速600キロで飛んでる戦闘機落とすってどんな武術だよ萩月流!」

 

花梨「うわー! 戦闘機を撃墜しちゃうなんて、牡丹先輩すごいですー!」

 

牡丹「て、照れるなぁ……」

 

桜「時代が時代だけに、牡丹ちゃんの強すぎ設定は役に立つね!」

 

夏希「もう強すぎとか言うレベル通りこしちゃってるよ! 何でもありも大概にしてー!」

 

クレア「萩月流があと10人いれば、日本は戦争に勝てるかもしれないわねー」

 

桜「さー夏希ちゃん。防空壕へ行くよー」

 

夏希「くっ……あたしだって、牡丹先輩の技を何度も見てきた! P-51の1機や2機、撃墜して見せるッ!」

 

桜「夏希ちゃんが校庭のど真ん中に走って行っちゃった!」

 

花梨「あっーまたムスタングが来ましたー!」

 

 

夏希「うぉおおおお!!」

 

 

牡丹「ま、待て止めろ夏希! 素人には危険だッ!」

 

桜「牡丹ちゃん! 夏希ちゃんを連れ戻して来て!」

 

 

夏希「ぬぅうう! 竹槍鉄槌《ポセイドン・ハンマー》ァアアアア!!」

 

 

―――――――――――――――――

 

あざらし「ダダダダダダ! 無差別銃撃だー」

 

―――――――――――――――――

 

 

夏希「ぐぼおおおおお」

 

牡丹「夏希、大丈夫かー!」

 

桜「な、夏希ちゃんが被弾したッ!? メディーック!! メディーック!!」

 

花梨「ここは元家庭科部の腕の見せ所です! なっちゃん、傷口見せて?」

 

夏希「針と糸で縫う気かよ! 私はぬいぐるみか! お願いだから医者を呼んで!!」

 

桜「夏希ちゃんしっかりッ!! 止血しなきゃ……それと電話!! 早く911に電話しないと!」

 

夏希「アメリカか! それを言うなら119でしょー! てかまず電話繋がらないし、救急車が走れる状況じゃないでしょぉおおお! ぐおおおお!! 血が、血が止まらないー! あたし死んじゃうのー!」

 

クレア「こ……このままじゃ間に合わないわ。九重財閥病院のドクターヘリを呼びましょう!」

 

夏希「そんなもんあるかー! あったとしても米軍機に撃墜されるわー!!」

 

牡丹「夏希、よく聞け。今から萩月流の自己治癒術を伝授する。その術で血流をコントロールして、損傷部位を回復させるんだ!」

 

夏希「この状況でそんな大技マスターできるかー! あんたらほんとに馬鹿だなー! あぁ駄目だぁ……目がかすんできました……すみません桜先輩、私が死んだら……チャッキー……を……」

 

 

桜「夏希ちゃん……夏希ちゃぁぁあああん!」

 

 

レイナ『全校生徒に告ぐ――非常事態宣言!! 全負傷生徒の傷、完治せよ!!』

 

 

牡丹「お? 生徒会長の聖徒手錠《バイブル・バインド》が発動したぞ」

 

花梨「なっちゃんの傷がみるみるうちにふさがってくー」

 

クレア「あらあら、またあの女に助けられてしまったわね」

 

夏希「はぁはぁ……い……生きてた……」

 

花梨「無事で良かったねなっちゃん!」

 

夏希「いやー、もうちょっとで三途の川を渡りきるところだったよー」

 

牡丹「二度とこんなことがないように、私の河原割りで干上がらせてきてやろう。桜、ちょっと私を仮死状態にしてくれないか?」

 

夏希「ちょっと醤油とってくれみたいなノリでとんでもないこと言ってるー!」

 

クレア「それよりジーザスに電話して閻魔大王ごと焼き払って貰いましょう! あの世なんてものが存在するからいけないのよ!」

 

花梨「クレア先輩、イエス様に連絡取れるんですかー! すごいですー。私もイエス様と会ってみたいなー」

 

夏希「こ、この人達、あの世を全く恐れてない……! どうしてー! 桜先輩も何か言ってやってくださいよー!」

 

 

パシンッ

 

 

夏希「えっ……?」

 

桜「…………」

 

夏希「桜……先輩……? 泣いてるんですか……」

 

桜「ぐす……心配……したんだから……」

 

夏希「あっ……な、なんかすみません。でもほら、もう何ともないですから。傷も塞がってるし」

 

桜「う……うええええん!! 夏希ちゃーん!!」

 

夏希「あーはいはい……もう泣かないでくださいよー」

 

牡丹「桜は相変わらず泣き虫だなー」

 

クレア「うふふ……牡丹さん花梨さん、しばらく2人きりにしてあげましょうか」

 

花梨「そうですね。じゃあなっちゃん、私達先に防空壕に行ってるね」

 

牡丹「早く来いよ桜! まーたムスタングが来ても知らないぞー」

 

 

桜「うわあああああああん!! 夏希ちゃんの馬鹿ぁああ!」

 

 

――次回予告――

 

クレア「クレアよ。アドワイチャと名付けられたアルダブラゾウガメは、1750年ごろに生まれて250年以上も生きてたんですって。この亀のDNAを解析すれば、花梨さんと一緒に来々世紀まで長生きできる方法が見つかるかもしれないわね。次回は空襲の四、『1945年の萩調流』よ」

 




誰得シリアス

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