俺の凡高での日常   作:ブリザード

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今回はオリジナルです。
集がよく掴めてなくて変かもしれません。


第8話 男子三人のアツマリ

日曜日。女子水泳部は他の学校と合同練習で呼ばれているため男子水泳部は休みとなった。ということで折角の日曜日で宮本達と遊ぶ約束をしていないため家でゆっくり過ごそうと思っていたのだが………

 

「何で俺がこんなところに呼び出されてるんだ?」

 

「まぁまぁ、いいじゃないかクロ君。たまには野郎どもだけで遊ぼうぜ」

 

「そうだぜ、クロ。みんな予定が入ってて俺達二人で遊ぶところだったんだぜ。流石にそれは嫌だからクロが来てくれて助かったぜ」

 

とあるファミレス。そこで待っていたのは集と城野崎だった。

 

「嘘つけ。お前ら二人が揃うって事はよっぽどの事の筈だ。てか、楽はどうした。あいつにも声かけろよ」

 

こいつらはウチのクラスの賑やか&変態コンビなのである。集も写真を撮ったりしているが、城野崎も集と同じくらい写真を撮ってそれをみんなに売ったりしている。俺も時々お世話になっている。

 

「楽の奴は桐崎さんと水泳の助っ人に呼ばれて行っちまった。だから、結局は俺達三人だけ」

 

「で、この三人で何をするかと言うと!!」

 

「「合コ『帰る』嘘だよ」」

 

こいつらが言うとマジに聞こえるからやめて欲しいんだけど。

 

「で、本当は?」

 

「あぁ。実は昨日偶然聞いたんだけど、キョーコ先生が何処かにお出かけするらしいんだ」

 

「は?」

 

「そうそう。で、俺達はそのキョーコ先生を見て写真を撮りたいわけだ。キョーコ先生の写真なんてレアだしな」

 

「ただ、俺達二人って言うのは色々不安なんだよ。もし、怒られたらと思うと」

 

「だから、どうせならクロもと思って連れて来たわけだ」

 

ふむふむ、なるほど。写真を撮りたいけど、集達だけ怒られるのもシャクだから俺も連れて来たと。

 

「それただのストーカーじゃねえか!!!てか、人を巻き込んでんじゃねえよ!」

 

ここがファミレスということも忘れて前にいる二人に叫んだ。それを聞いた周りの人達がいきなりこっちに注目が集まり、俺は顔を赤くして座った。

 

「まぁ、そういうことだ。クロには悪いと思ってるけど、ここは一つ頼むよ」

 

「断る!俺は帰るぞ」

 

俺は席を立ちそこから立ち去ろうとした。

 

「………宮本と小野寺のツーショットを今なら200円で『よし、付き合おう!』毎度ー」

 

くそー!何してんだ俺。でも、二人のツーショットに勝てるわけないだろ…………そうだ、これは俺の欲望のせいだ。決して俺のせいじゃない。

 

「で、俺は何をしたらいいんだ?」

 

「なーに。俺達が写真を撮ってる時に怪しく見えないように俺達に話しかけてくれるだけでいいよ」

 

「了解。でも、この格好じゃ見られたら終わりだよな」

 

「そんな事もあろうかと……ほら、これをつけたら大丈夫!」

 

そういって集は鞄からあるものをとりだした。

 

 

 

 

『ねぇ、ママ。あの人達何なの?』

 

『こらっ!危ないからあんなの見たらいけません!』

 

『うわっ、あの人達何?カメラ持って凄く怖いんですけど……』

 

『近づかないでおこうよ。ストーカーみたいで怖いから』

 

「………モロバレだぞ、おい」

 

キョーコ先生を見つけて後ろから追いかけ出して(尾行して)数分が経ち、周りの人達が俺達の怪しさ気付き始めた。俺達の今の格好はスーツにサングラスに帽子といった以下にも犯罪者的な格好である。

 

「おっかしいなー。何がいけなかったんだ?」

 

「舞子、いったろ。サングラスは赤縁より青縁の方がいいって」

 

「そういう問題じゃねえだろ!!」

 

あー、くそ。何でこんな事に……こんな事なら今日宮本達の方に行ったらよかったぜ。…………何で俺宮本に呼ばれなかったんだろう。

 

「仕方ない。いつも通りの格好に帽子にしよう」

 

「そうだな。じゃあどっかで着替えるか」

 

「…………今着替えたらキョーコ先生見失うぞ」

 

「「あ…………」」

 

集と城野崎が同時に口をポカンと開ける。

 

「………城野崎君。これはどうするべきだと思いますか?」

 

「舞子隊長、自分はここで着替えるべきだと思います」

 

「舞子隊長ー、俺もそう思うぞ」

 

なんかノリに乗ってみる。

 

「……仕方ない。じゃんけんで負けた奴が一人残って、後で、負けた奴が着替えるか」

 

結果、城野崎が残って俺と集はすぐ近くの公園で着替える事に。

 

 

 

 

 

 

「集、今日お前はキョーコ先生をカメラで撮りに来ただけなのか?」

 

「んー?クロも変な事を聞くんだなー。それ以外に何があるって言うんだ?」

 

トイレで着替えながらドア越しに会話をする。

 

「本当なんだな?」

 

「……………」

 

念押しに聞くと、集は俺の言葉を返さずに黙り込んだ。

 

「城野崎は写真に収めたいだけだろうけど、お前は違う気がする。間違ってたら謝るけど、お前…………」

 

「キョーコ先生の事……好きだろ」

 

「……………いつから気づいてた?」

 

「気づいたのは最近だ。………気持ちを伝えなくていいのか?」

 

「別に今はまだいいんだよ。今日は本当にキョーコ先生を撮りに来ただけだからな」

 

俺達は着替え終わったので扉を開けて外に出る。

 

「まだまだ、時間はあるからな。それより、俺にしたらクロに気づかれた事が何よりも悔しいよ」

 

「ははっ、俺は結構こういうことに関しては鋭いからな」

 

「何処が…………るりちゃんの事考えろよ」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いや、別に。早く戻ろうぜ。城野崎だけじゃ不安だからな。あ、この事は秘密で頼むぜ」

 

「わかってるよ。集も頑張れよ」

 

「おぅ!じゃあ、戻ろうぜ」

 

 

 

 

 

『君はまだ高校生じゃないか。こんな格好で何をしてるんだ?』

 

「いや、その……ちょっと警察ごっこを……」

 

『一人でかい?君は本当に高校生なのか?』

 

「はい。あと、今トイレに行ってますけど、友達も二人います……」

 

さっきの場所に戻ると、城野崎が警察に事情聴取を受けていた。しまった。あんな格好させた奴が一人で居させたら本当に怪しいやつじゃないか。何で、俺はこの事に気がつかなかったんだ!すまない、城野崎。

 

「おい、集。これからどうするよ?」

 

「うーん。キョーコ先生が行ったのはあっちだろうから、出来ればその方向に行きたいんだが、その前に城野崎がいるからな………」

 

道で正座をして警察に色々聞かれてる城野崎を見る。何か惨めだな。

 

「全力ダッシュで切り抜けるって言うのはどうだ?」

 

「おぉ、それいいな。てか、クロも何か乗り気になってきてるじゃん」

 

「ここまで来たんだ。こうなったらとことんお前と付き合ってやるよ」

 

「よし、それなら………用意……ドン!!」

 

集の掛け声に合わせて俺達は全力で走り警察官と城野崎の横を通り過ぎる。後から、城野崎の声が聞こえた気がしたけど、聞かなかった事にしておこう。

 

 

 

 

「ふー、ここまでくれば大丈夫だろ」

 

「そうだな………って、あれキョーコ先生じゃないか?」

 

偶然デパートに入ろうとするキョーコ先生を見つけたため俺達もそこに入ることに。

 

「うわー、相変わらず広いな、ウチのデパートは…………」

 

集が全体を見渡してそう言う。

 

「確かにな。グズグズしてるとキョーコ先生を見失ってしまう。さっさと行こうぜ」

 

「そうだなー。キョーコ先生待ってろよ!このカメラであなたのハートも…………」

 

「…………おい、お前今から警察に突き出してもいいんだぞ」

 

「ご冗談を!!さぁ、行こう。クロ隊員!」

 

「了解、舞子隊長」

 

そう返事してキョーコ先生の後をつける。自販機でジュースを買ってから。……今考えれば集がキョーコ先生を好きになったのもわかる気がする。あの先生ウチの学校なら1、2を争うほどの可愛さだし、性格もすげぇいいしな。

 

「クロ。さっきのお返しでお前にも聞くけどさ。お前って」

 

「るりちゃんの事好きだよな?」

 

「ブフッッ!!いきなり何言い出すんだよ!」

 

あまりに唐突すぎたためさっき自販機で買ったジュースを少し噴き出した。

 

「だって、そうだろ。お前らって付き合ってないのがおかしいくらいだぞ。クラスの男子内ではお前とるりちゃんが真っ先に付き合うと思ってたんだぞ」

 

「なっ!?あいつは俺の部活仲間で俺の一番の友達で、俺の………恩人だよ」

 

「確かにあん時クロは昔の楽を見てるみたいで可哀想だったよ。でも、るりちゃんに救われたんだよな」

 

「あぁ。あいつの言葉がなければ今の俺はきっとないよ」

 

今でもあの時の宮本の言葉は覚えている。

 

『私はあなたのその真面目なとことか優しいところとか結構好きよ』

 

『周りの事なんか気にしなくてもいい。そんなに不安なら私があなたの友達になって、あなたのそばにいてあげるわよ』

 

「あの時は本当に嬉しかったよ。思えばあの時にはもう宮本の事を好きなっていたのかもしれねえ…………はっ!」

 

何俺は一人で話し込んでるんだ!

 

「ほらなー。やっぱり好きなんだろ、るりちゃんの事が」

 

「…………まぁな。てか、あれを言われて好きにならねえ奴なんかいねえと思うんだけど」

 

「うんうん。わかるぞ、それは。そんなクロ君にいい事を教えてあげよう。恐らくるりちゃんも」

 

「お前の事が好きだぞ」

 

「はっ?」

 

またもや、いきなりすぎてびっくりする。宮本がおれのことをすきだって?そんな事……

 

「あるわけないって!大体、宮本と俺が釣り合うわけないだろ」

 

「…………そう思ってるのはきっとクロだけだぞ。るりちゃんを除けは」

 

ないない。宮本が俺の事を好きなんで。…………でも、もし本当に俺の事が好きだったら俺はどうしたらいいんだろう…………告白すべきなのだろうか。

 

「で、どうするんだ?」

 

「……………今はまだやめとく。確かに宮本の事は好きだけど、俺と宮本と小野寺っていう三人の関係をくずしたくないから。今付き合ったら小野寺に悪いよ」

 

小野寺も友達としては大好きだからな。この関係を崩さないためにもう少し待って見るさ。

 

「せめて、小野寺が楽と付き合ってくれればな…………」

 

「んー?なんか言った?」

 

「いや、なんでもない。お、キョーコ先生が店の前に立ち止まった。あれは…………服屋?」

 

キョーコ先生が立ち止まったのは服屋だった。けど、どうして立ち止まって。

 

「おい、舞子に神崎。いるんだろ?隠れていないでちょっと出てこい」

 

「「げっ!!」」

 

キョーコ先生がこっちを向いて俺達に呼びかける。どうしてだ!?一体いつばれたんだ?俺達は顔を見合わせた後、渋々出て行く。

 

「まったく、ついて来るならもうちょっと静かに行けよ。後ろから神崎の声が丸聞こえだったぞ」

 

嘘だろ!?これは俺のせいなのか…………

 

「まぁいい。後ろからついて来たのは怒りたいところだが、それをめんじょしてやるからちょっと手伝ってくれ」

 

そう言ってキョーコ先生は服屋に入る。俺達も後ろをついて行くように入った。

 

 

 

 

 

「これはどうだ?」

 

「キョーコ先生サイコーー!!」

 

「凄く……似合ってます」

 

集は顔を真っ赤にさせて、俺は少し照れながらもキョーコ先生の姿を褒める。

 

手伝い。それはキョーコ先生が着替えていく服を似合ってるか似合ってないか判断する事だった。だが、正直言ってどの服も似合っていた。

 

「そうか。いやー、助かったよ。一人じゃ似合ってるかどうかわからないからな」

 

いや、もう宮本には悪い気がするけど、こんな可愛い人の格好をいろいろ見れて最高です。

 

「さてと、じゃあこれとこれを買うとするか。ありがとな、二人とも。お詫びに何か奢るよ」

 

「いや、結構です!そんなの先生に悪いですから」

 

「気にするな。何がいい。アイスか?クレープか?」

 

ダメだ。この人本当に性格良すぎる。悪いことしてたの俺達だぞ。しかも、奢らせないと気が済まないって感じだな。

 

「じゃあアイスで」

 

「俺も俺も」

 

「よし。じゃあいくか!」

 

 

 

 

 

「ほれ。バニラとチョコだ」

 

「「ありがとうございます」」

 

一階のアイスの店に行ってキョーコ先生からアイスをもらう。

 

「で、何でお前らは私の後をつけてたんだ?」

 

「それは…………」

 

言えない。集の付き添いとはいえ、キョーコ先生をつけてました。何て。

 

「いやー、偶然ですよ偶然。デパートにクロと遊びに来たら偶然キョーコ先生を見つけて面白半分でつけてました」

 

ナイス、集!ごまかすのうまいな。

 

「男二人でデパート?お前らもっと青春をしろよ。折角、いい顔してるんだから」

 

「あ、ありがとうございます」

 

確かに男子高校生が二人でデパートってなんか気持ち悪いな。

 

「さてと、アイスも食ったし、そろそろ行くかー!」

 

「あぁ、そうだな」

 

俺と集が立ち上がり後ろを向くとそこに…………

 

宮本と小野寺が立っていた。

 

「クロ君。こんなところで何してるの?」

 

「…………おっす、宮本。こんなところで会うなんて奇遇だな。どうしたんだ?」

 

「部活帰りに小咲とちょっとよっただけよ。それより、どうしてクロ君はキョーコ先生と一緒にいるのかしら?」

 

あれー?おかしいな。宮本の頭に怒りマークが立ってるような………

 

「おい、集。ちょっと助けてくれ………ってもういないし!!」

 

何だ、あいつ!空気読んだのか!?

 

「おぉ、宮本に小野寺。私がこいつと一緒にいる理由はこいつと舞子が後ろからついて来てたのを見つけて私の着替えを見せてたんだ」

 

ちょっと待って!!その言い方はマジで誤解を招くからやめてくださいよ!!

 

「では、私はこれで失礼」

 

「あ、ちょっ!待ってください!」

 

椅子から立ち上がって去るキョーコ先生を追いかけようとするが、宮本に腕を掴まれ、それが出来なかった。

 

「キョーコ先生をついて行って、着替えも見たの?クロ君それって」

 

「ストーカーに変態行為じゃないのかしら?」

 

やばいやばいやばい。宮本が本気で怒ってる。現に今、掴まれてる方の俺の腕がすごく痛い。

 

「いや、その…『あ、いた!おいクロ!!』…………城野崎」

 

なんだこれは?ラスボスを倒そうしたが、ラスボスは仲間を呼んだ、みたいな展開。

 

「酷いぞ!お前らだけスーツにサングラスに帽子から着替えたと思ったら俺をほっていきやがって。おかけで警官に色々聞かれたじゃねえか」

 

「スーツにサングラスに帽子?クロ君。そんな格好でついて行ってたの?」

 

「いや、えと。なんと言いますか」

 

ダメだ。言い訳がまったく思いつかない。

 

「そう。クロ君は私達が部活で頑張ってる時にそんな事を……」

 

「えと……宮本さん?」

 

バシンッ!!

 

「ぐはっ!」

 

無言で宮本にビンタされた俺はなす術もなく倒れる。

 

「………行きましょう、小咲」

 

そう言って宮本はデパートを出て行った。

 

「うん。………クロ君はそんな事をする人じゃないって私信じてるから。何か辛いことがあったら相談してきてね」

 

「あぁ、ありがとう小野寺」

 

小野寺もデパートから出て行った。くそ。初めてかもしれない。宮本のビンタがこんなに痛いと感じたのは。明日、学校に言ったらちゃんと謝らないと………でも、許してくれるかな。許してもらえなかったら俺は…………

 

「えっ、何。俺何か悪いことしたの?」

 

何が起きたか理解していない城野崎だった。

 

 

 

 

 




キョーコ先生もよくわからなかった。
感想と訂正があればお待ちしております。

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