俺の凡高での日常   作:ブリザード

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第25話 海で改めてジッカン

夏休みに入りしばらく経った頃、この前の勉強会で行ったメンバー全員で海へ来ていた。

 

「にしても、よくこんなビーチ近くの民宿を取れたよな」

 

「知り合いがキャンセルするって言ったからな。安く譲ってもらったんだ。みんなの予定が空いててよかったよ」

 

この海へ遊びに来れたのは集のおかげなのだ。こういう時、人望がいい人間ってホント助かるよな。

 

「私日本の海って初めて。ノースカロライナ以来かな?」

 

「私は見るだけですがモルディブ以来でしょうか?」

 

うわー、桐崎さんもマリーも金持ちかよ。羨ましいな…………

 

「あー楽しみ楽しみ……わたしいっちばーん!!」

 

桐崎さんがいきなり走り出した。

 

「キャアアアー!!!うっっっっみ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『おい、なんだあの美女集団。レベルたっけ…………』

 

『芸能人?見たことないけど……』

 

『どこの雑誌の子だろ…………』

 

俺達がビーチでパラソルを立てていると、周りの視線が一斉にこっちに集まった。まぁ、こうなる事は何となくわかっていたけど。なんせ、桐崎さんにマリー。小咲も鶫もそこらへんの女子とは比べものにならないから。俺が一番可愛いと思っているのはるりだけど。

 

「おや?誠士郎ちゃん。今日は珍しく水着なんだ?」

 

「いつもと違う誠士郎ちゃん。凄くいいと思うぞ」

 

鶫の珍しい格好に集と城野崎が注目する。

 

「うぅ……私はスーツでいいって言ったのにお嬢が…………」

 

「海にまで来て何言ってるのよ。観念しなさい」

 

…………にしても、鶫の胸って大きいな。マジでEカップ何だろうか……

 

「鶫さんの目に注目しているそこの変態さん?まず、どこの指から折って欲しいのかしら?」

 

「冗談にきこえないからやめてくれよ、るり。後、あの胸は男子からしたら反則だ」

 

俺の後ろから手を取って指を握るるり。いや、本当に冗談に聞こえない。

 

「何よ…………クロ君は胸が大きい人の方が好きなの?」

 

「いや、別に。大きいなと思って見てたけど俺は巨乳好きじゃないぞ。別に小さくても気にしない」

 

「そ、そう…………」

 

「よかったね、るりちゃん」

 

何が良かったんだ?小咲の言ったことがイマイチ理解できない。

 

「…………るり、お前の胸は小さいが別にそのままでいいんじゃねえの?いきなり胸がでかくなったら逆に俺はやだぞ」

 

「私が一体いつどこで胸を大きくしたいといったのかしら?大体あれは泳ぐ時に邪魔になりそうだからいらないわ」

 

「あ、そうですか」

 

胸を大きくしたいんじゃないのか?まぁ、るりのあの泳ぐスピードの速さは胸が小さいおかげかもしれねえな。知らねえけど。

 

「…………A……B……B………C……B…………B………お!あそこにEカップが!」

 

「おい、舞子隊長!あそこにGカップがいるぞ!俺生でGを見たの初めてだ!ふぅ!やっぱり夏のビーチはこうでなくちゃな!」

 

それを聞いた瞬間、るりが瞬間移動のように集と城野崎の背後を取り金属バットを構えた。言いたい事は色々あったがとりあえず……敬礼。

 

「ねぇねぇ、君達どっから来たの?よかったら俺達と一緒に遊ばない?」

 

「えっ」

 

「えっとー……」

 

まずい!桐崎さんとマリーのピンチだ!!桐崎さんは楽がいるからいいとしてマリーは…………

 

「すいません。それはもしかしてナンパというやつですか?そういうことなら一瞬で警察呼びますよ?」

 

「えっ…………」

 

…………うん、何の問題もなかった。ノープロブレム!!…………あ、楽が空中へ飛んだ。楽、ご愁傷様。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、夜の食事当番を決めようか。夜はバーベキューセットを借りることになってるから」

 

「おぉ、さっすが舞子隊長!」

 

どうでもいいが、集のアダ名は舞子隊長で定着したのか?集の方が呼びやすくていいような気がするが。

 

「「げ」」

 

「おぉ、恋人同士で当番か。よろしく頼むぞ、楽」

 

「なんで私があんたと…………」

 

クジ引きの結果、夜の食事は楽と桐崎さんになった。……桐崎さんって料理できるのか?まぁ、バーベキューだし大丈夫か。

 

「さーてと、それじゃあ泳ぎに行くかな。小咲もどうだ?ってよく考えたら小咲は泳げないんだな」

 

「うん。でも、大丈夫だよ。私、海に来たらああいうの作って楽しんでるから」

 

小咲が指差す方向にはいつの間にか作られた砂のお城があった。他の人もあまりのクオリティに写真を撮るものがたくさんいる。

 

「小咲がいいなら、それでいいや。るりー、泳ぎに行こうぜ」

 

「えぇ。じゃあね、小咲」

 

「うん。二人ともがんばってねー」

 

小咲と別れて俺達は人があまりいない水が深い方に来た。水泳部の俺達からしたらこれくらいは造作もない。……にしても、暑いな。このままだったら日焼けして肌がやばいことになりそうだ。日焼け止め塗ればよかった…………

 

「…………そういえば、クロ君。ここへ来る時、小咲から聞いたんだけど今度、春が一緒に遊びに行きましょう、って言ってたらしいわよ」

 

「えっ、ホントか!?」

 

「なんで嘘つく必要があるのよ。友達もつれて来るから遊園地に行きたいです、って言ってたそうよ」

 

「へぇ、それは楽しみだな。ちゃんと予定空けとかないとな」

 

それだけ会話をかわすと俺達は自由に泳ぎ始めた。クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライと様々。るりの方は泳ぐ準備が万端だったようで海の中へ潜ったりして遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、疲れた。なんか飲みもん買って来るわ。何がいい?」

 

「ラムネでいいわ。私はここで待ってるから、よろしく」

 

散々泳いで疲れた俺達は一旦ビーチに戻り飲み物を買うことにした。この暑さだしやっぱりいつもより疲れるのが早く感じるな。

 

『ラムネ二つですね?300円になります』

 

さて、早く戻らないとな。るりに怒られたらやだし。………………あれ?

 

『ねぇ、いいじゃん。俺達と遊ぼうぜ』

 

「いや、私は…………」

 

『誰か待ってるの?そんなのほっといてさ。俺達と遊ぶ方が楽しいぜ』

 

あー、あれか。これはさっきのと違う奴だけど、ナンパだよな。

 

「あのー、すいません。ちょっといいですか?」

 

『『あん?』』

 

るりに絡んでいた二人が俺の方を向く。うわっ、いかにも不良って感じなやつだ。嫌だな、こういう人と話すのって。

 

「いやー、ごめんなさい。この子俺の彼女なんですよ。だから、手を離してもらえませんか?」

 

「か、彼女……///」

 

るりが照れて顔を赤くする。すまん、るり。こうでも言わないと引いてくれなさそうだし。

 

「あぁ。彼氏いたんだ。じゃあ彼氏さん、俺達君の彼女借りるけど大丈夫だよね?」

 

手をポキポキならしながらだんだん近寄って来る。なんでこういう公共の場で暴力とか振ろうとして来るのかな…………

 

「いやー、それは困りますね。知らない男に彼女が連れてかれるのは黙って見てられませんので」

 

あまり事を大きくすると、部活の方にも影響でるかもしれないから、嫌なんだけど…………

 

「好きな女の子が他の男に取られるのはもっと嫌なんでね」

 

今は彼女設定だからこういうことをいってもまぁ大丈夫だろ。

 

「じゃあ、さっさと殴られ『あ、クロ様!!こんな所にいましたか!舞子様が呼んでおられますよー!』あぁ!?」

 

俺が殴られそうになった瞬間、マリーが俺の方へ走って来た。

 

「あら、どうされましたか?」

 

「いや、こいつらがるりを連れ去ろうとしてたから止めようとしてた」

 

「まぁ!!さすがクロ様!お優しいのですね!!」

 

いや、女の子が連れ去られそうになったら誰でもそうすると思うけど。

 

「おい、てめぇ。何俺達を無視してくれてんだ?」

 

「彼女いるって言ってたくせにまた女の子が来たぞ。あれか、お前二股してんのか?」

 

「…………なぁ、マリー。こいつらどうにかしてくれねえか?もうあれ呼んでもいいから」

 

「わかりました。それなら遠慮なく」

 

「さっきから何二人でゴチャゴチャ話してんだよ!!!」

 

また男が俺に殴りかかって来る。

 

パチン!

 

とマリーが指で音を鳴らした瞬間。例のごとく、俺とマリーを取り囲むように警察の方が来てくれた。

 

「はっ?」

 

「その二人を連れて行って下さいますか?」

 

『かしこまりました』

 

そう返事をして、警察の人達は不良男二人を何処かへ連れて行ってしまった。

 

「ふー、何とか事を大きくせずにできた。サンキューな、マリー」

 

「礼には及びません。それより、宮本さんを心配してあげて下さい。私は先に向こうへ戻りますから」

 

「おぉ、わざわざありがとう」

 

もう一度マリーに礼を言って、俺はるりの方へ近寄る。

 

「大丈夫だったか?」

 

「えぇ。ありがとう、助かったわ」

 

あれ、思ってたより元気そうだな。まぁ、それはそれでよかったんだけど。

 

「ねぇ、クロ君。さっきの言ってた事ってどうなの?」

 

「さっきの事?」

 

「好きな女の子が他の男に取られるのはもっと嫌なんでね、って」

 

…………何で今それを聞くのかな。何か卑怯じゃないか?いや、確かに好きだけどさ。

 

「あれは咄嗟に思いついて言っただけだよ。何だ、俺に惚れたのか?」

 

「…………そんなわけないでしょ。ほら、早く戻りましょ」

 

ここで好きだって言ってもよかったかもしれないけど、やっぱり俺は理想な告白の仕方で告白したい。この前はつい口を滑らせかけたけど。

 

「あ、るり。これお前の分のラムネ」

 

「…………ありがとう」

 

「おぅ!!じゃあ行くか」

 

俺達は自分達のパラソルへ戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

るりside

 

「私を守るためとはいえ好きって言われた」

 

ラムネを飲みながら、前を歩くクロ君をじっと見る。クロ君は中2の時からの友達。転校して来て、最初は凄く暗い人だったけど、だんだんそれがなくなってきて今では本当に明るい人になった。小咲と比べたら一緒にいる年数は少ないかもしれないけど、部活が一緒だから共にいる時間は結構長い。でも、彼と一緒にいるのは本当に楽しい。小咲がいればもっともっと楽しい。

 

クロ君は私に優しすぎる気がする。私もクロ君には優しすぎる気がする。時々、蹴ったりしたりはするけど……。けど、私に優しくしてくれる彼が。

 

いつも私と一緒にいてくれる。私の頼みは基本的に聞いてくれる。私のために色々付き合ってくれる。小咲と一条君の事を協力してくれる。私が困ってる時はいつも助けてくれる。私の悩みも聞いてくれた。時々、私の事をバカにしてきたり冗談を言って困らせて来る時もある。そして、さっき。私の事を体を張って守ってくれようとした。

 

私は一条君や小咲ほど鈍感じゃない。口ではいつも誤魔化してるけど何となくわかる。クロ君はおそらく私に友達以上の好意を持ってると思う。これで外れてたら悲しいけど。

 

そして、今日改めてわかった。さっきの事で改めて実感できた。私、宮本るりは神崎クロ君のことが本当に

 

 

好きだ、って事が。




るりちゃんが自分の気持ちに気づいちゃった!!
これはまさか…………もうすぐなのか!?
感想と訂正があればお待ちしております!

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