俺の凡高での日常   作:ブリザード

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第1話 遊ぶヤクソク

楽が殴られて、しばらくして起き上がるとHRは終了した。そして、楽は自席についた途端、いきなり桐崎さんに引っ張られて廊下に出て行った。

 

「………楽も大変だな」

 

「そうね。まぁ、私には関係ない事なんだけどね」

 

「でも、凄いよね。ある意味一条君って」

 

「確かにな。でも、それがあいつのスキルなんだろ」

 

俺達は一条が連れて行かれて出て行った扉を見つめながら言う。

 

ちなみに休み時間はたいてい俺達3人でひと時を過ごしている。宮本はどうか知らないけど、小野寺はクラスの中でもだいぶ人気が高い。そのため、俺と小野寺が仲良く喋ってるのを妬んだり、羨ましがったりする奴がいる。まぁ、そいつらを見つめたらすぐに逃げられたりするんだが。

 

「あ、戻ってきた。2人一緒に戻って来るってやっぱりあいつら仲いいんじゃねえのか?」

 

「仲がいい……」

 

2人が戻ってきたのを見て小野寺が羨ましそうな顔をしている。ちょっとからかってやろう。

 

「どうしたんだ、小野寺?まるで『私も一条君と一緒にいたいな。いいなー桐崎さん』みたいな顔をしやがって」

 

「どんな顔なのそれ!!てか、心読まないでよ!」

 

小野寺が顔を真っ赤にして俺に怒る。やっぱり、小野寺は面白えな。

 

「ははっ、ごめんごめん。あんまりにもわかりやすい顔してたから」

 

「もう……からかうのもほどほどにしてよ」

 

「でも、一緒にいたいのは確かだろ?」

 

「うっ………そうです」

 

何か反論しようとしたのか。でも、思いつかず結局本音を喋った。

 

「小咲。そう思うのならもっと自分からアプローチしなさいよ」

 

「……そう言われても何したらいいのかわからないよ」

 

「仕方ないわね……」

 

宮本が俺にアイコンタクトを送ってくる。それに俺は頷いて返事した。

 

「おーい!らk『わぁ!!別に今はいいから!!』何だよ、折角小野寺のためだと思ったのに」

 

楽を呼ぼうとした俺を小野寺が身を乗り出して遮る。楽がこっちを見てクエスチョンマークを浮かべてる。

 

「あ、キョーコ先生がきた」

 

先生が来たのでみんながぞろぞろと座っていった。

 

 

 

 

 

「キョーコ先生。これはどういうことですか?」

 

楽がキョーコ先生に言う。

 

「うん?いやー、お前らが廊下で仲良く話してるのをみたからな。それに桐崎だって日本に来て全然慣れてないんだからと思ってさ。まぁ、何だ。先生の優しさってやつ」

 

「抗議する!断固抗議する!!」

 

「ダメだ。じゃあ、頼んだからな一条」

 

楽と桐崎さんが抗議している理由。それは、楽と桐崎さんだけを席替えして隣同士にしたことである。

 

結局、先生には逆らえず2人は隣同士になった。

 

そのまま時は流れて昼休みに……

 

 

 

「やっと、昼休みだ……授業疲れた」

 

「本当だよね。私も何か疲れちゃったよ」

 

「小咲はずっと羨ましそうに一条君を見てたもんね」

 

「るりちゃん!?」

 

見てたの!という感じでばっとこっちに振り向く。

 

「そりゃ、もうわかりやすそうに……ねぇ?」

 

「あぁ。これ以上にないくらいに乙女な顔をしてたぞ」

 

「うぅ、恥ずかしい……」

 

手に顔をやり、顔を真っ赤にする小野寺。そんな小野寺を見た後、俺は鞄の中を探り財布を取り出そうとした。

 

「あ!………しまったな財布も家に忘れたまった。…しゃあねえか。腹が減るけど今日は何も食わずに乗り切るか」

 

「クロ君。お弁当忘れたの?」

 

「あぁ。だから購買で何か買おうと思ったのに、財布まで忘れちまった」

 

はぁ、と溜息をついて机に突っ伏す。

 

「………クロ君。これあげるわ」

 

宮本が机に出した4つのパンのうちの2つを俺の机に置いてくれる。

 

「いいのか?これお前のお金で買ったんだろ?」

 

「いいわよ、別に。隣でお腹の音をぎゅるぎゅる鳴らされるよりいいもの」

 

「いや、でも『何?私のパンが食べられないの?』はい。何でも、ありません」

 

宮本に睨まれた俺はすぐにパンの封を開けてそれを食べる。……うん。美味しいジャムパンだ。

 

「サンキューな、宮本。このお礼は必ずするから」

 

「じゃあ、ハーゲンダッツのアイス2個ね」

 

「了解。また、遊びにいったりした時にちゃんと奢るよ。いつならあいてる?」

 

「次の日曜ならあいてるわよ。小咲もどう?」

 

「うーん……2人の中に行ってもいいなら別にいいかな?」

 

「小野寺、それって『小咲、それはどういうこと!!』はやっ!」

 

宮本が小野寺の胸倉を掴んでブンブンと揺らす。

 

「だ、だってるりちゃんにハーゲンダッツを奢るために行くのに、そこに私が入ったら……」

 

「そんなの私達が気にするわけないでしょ!」

 

(流石に宮本と2人なら俺は緊張するけどな)

 

「じゃ、じゃあ私も行くよ」

 

ブンブンと揺らされた小野寺はすごく疲れていた。

 

「おう。……結局遊ぶ時はこの3人なんだな」

 

「別にいいじゃない。ここに一条君がはいってみなさいよ。小咲が大変な事になるわよ」

 

「確かに」

 

「うぅ………」

 

小野寺は顔を赤くして俯く。

 

「あーーーーーーー!!!」

 

いきなり1人の男子の叫び声がクラス中に響き渡った。

 

 

 




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