「ねぇ、クロ君、るりちゃん!今日は林間学校だよ!」
「うん、知ってる」
「楽しみだよね〜」
やたらとテンションの高い小野寺といつも通りのるりと一緒に学校へ向かっていた。そう、今日は凡高の林間学校の日である。カレー作りや肝試しなどイベント盛りだくさんの学校行事だ。
「目的地にはバスで向かうみたいだな………そういえば、バスの座席はどうなんだ?俺知らねえぞ」
「あ、そういえばそうね。多分この前早退した時に決めたんじゃないかしら?」
ああ、あの時に。……だとしたら俺達の座席は一体誰が……
「まぁ、バスに乗る時に確認したらいっか」
バスの中。俺達のクラスはみんな荒れていた。中でも一番後ろの座席。右から鶫、桐崎さん、楽、小野寺、宮本と何とも楽にとってはハーレム展開のご様子だ。ちなみに俺は集と城野崎と一緒にワイワイ騒いでる。
「なるほどな、あれは集が手を回していたのか。いつもながら流石だな」
「だろ〜。あの席半端ないくらいに面白いぜ。見ろよ、楽の顔」
俺達が楽の表情を見ると何とも顔が真っ赤になっていた。
「でも、何であそこに宮本を置いたんだ?」
「何だ、クロ。愛しのるりちゃんは俺の隣がいいってか?」
「ばっ!何言ってんだよ。はっ倒すぞ、城野崎」
俺は顔を赤くしながら隣にいる城野崎をしばこうとする。ちなみに、城野崎も楽の小野寺の関係を知っている。
「冗談だよ。いや、あそこに宮本を座らせたら、小野寺に何かしそうだったから」
なるほど。小野寺のために宮本が……確かにそれは十分にあり得る。てか、絶対しそうだ。
「まぁ、俺達三人はあいつらの様子でもみときながらお菓子でも食って遊ぼうぜ」
「そうだな〜。ところで、クロ。この写真500円でどうだ?」
「うぉ!!何だこの写真!買うぜ」
「毎度〜」
はっ!しまった、また小野寺と宮本の写真に……まぁ、いいか。
「…………でも、どうせなら宮本の隣に座りたかったな」
「ん?何か言ったかクロ」
「いや、何でもねぇ。今から何する?」
「そうだな……まぁ、無難にウノでもしようぜ」
1時間くらいすると、やっと目的地に到着した。
「ふぅ、やっとついたぜ。バス疲れたな〜」
「それは俺のセリフだっつーの。バスでこんなに疲れたのは初めてだ」
俺がバスを降りて伸びをしていると、後ろからバスに乗ってただけなのにどっと疲れた顔をした楽が降りてきた。
「おぉ、お疲れ。どうだ?楽しかっただろ」
「んなわけあるか!!鶫は理不尽なほど俺に切れて来るし、宮本はカーブになったらこっち側に倒れて来るし、横が小野寺で緊張するし!」
「ドンマイ。てか、最後のは別にいらないだろ」
少しキレ気味に俺に訴えて来る。まぁ、俺も宮本の隣なら緊張しただろうけどな。
「まぁ、いいじゃねぇか。それより、俺達って誰と一緒なんだ?」
「えっと…俺と集とクロ。あと、宮本と小野寺と桐崎との6人班だな」
楽がしおりを見ながら言う。城野崎が一緒じゃないのは残念だけど。
「結局、いつも仲良しメンバーか。まぁ、それの方が話しやすいし別にいいけど。てか、鶫はどした?」
あいつも一緒だと思ったのに……
「よーし、じゃあ今からこの前決めた班でカレー作ってもらうからな。
怪我とか火傷しないように気をつけて作れよ」
『はーい!!』
俺はその時楽が「何、カレーだと!?」と言ったのは見逃さなかった。
「クロと宮本と小野寺は薪をとって来てくれ。桐崎は俺が指示するから大人しくしてろよ」
楽も苦労してるな。俺が鶫と決闘したあと楽は鶫と色々あったらしい。
楽も鶫と決闘したり、鶫と買い物に行ったり。それから鶫の様子はおかしくなったが。あと、桐崎さんは小野寺レベルで料理ができないらしい。楽が風邪をひいて、お粥を作ってもらった時にえらいことになったって聞いた。
「何してるのクロ君。早く薪を取りにいきましょうよ」
「あっ、悪いな。すぐ行くよ」
宮本に呼ばれて俺はすぐに小野寺と宮本の方に向かった。
「るりちゃん。薪ってこんな感じやつがいいのかな?」
「えぇ、それでいいと思うわよ」
小野寺は薪を集めていく。すると、宮本は俺の方に来た。
「クロ君。林間学校の肝試しって知ってるかしら?」
「ん?知ってるよ。夜にやる恒例行事みたいなやつだろ」
小野寺に聞こえないくらいの音量で話しかけてくるので俺もそれに合わせる。
「それでね、あの肝試しって男女ペアていくのよ。だから……」
「小野寺と楽を一緒にしてやりたいと」
宮本は無言でコクリと頷く。
「でも、どうするんだよ。確かあれってくじ引きなんだろ?」
「私がもし一条君と一緒になれる番号をひいたら私はそれを小咲と交換する。だから、クロ君は小咲と一緒になれる番号をひいたら一条君と交換して欲しいの」
「なるほどね。まぁ、ほんの少し確率が上がるだけだけど。やらないよりはマシだな」
「えぇ、だからそれをお願いしてもいいかしら?」
俺はそれを了承した。どうでもいいけど宮本は女子の中では身長は低い方だ。俺は170はあるから宮本と静かな声で話し合う時は正直俺が大変だ。腰を曲げないと聞こえない。
「…………フン!」
「ぐはっ!いきなり何すんだよ!」
「何か今すごく失礼な事を言われた気がするわ。背が小さいとか」
…………こいつ何か能力もってるんじゃねぇのか。
「……まぁ、いいけど。小咲、充分集まったと思うからそろそろ戻りましょう」
「あ、うん。わかったよ!」
俺達は薪を集めてキャンプ場に戻った。その後、桐崎さんが色々やらかしていたけれどカレーを作っておいしくいただいた。…………宮本は誰と一緒に肝試しを回りたいんだろうか。
カレーを作った後、俺達は宿舎の部屋に来た。
「うわぁ、部屋広いな……」
集が一番最初に入ってそう言う。ちなみに部屋はカレーを作った班に鶫が入った7人だった。
「言っとくけどこっち側私たちだけど覗いたら殺すだけじゃすまないわよ」
るりは集にそう忠告した。やっぱり、集の事は嫌いなのか?
「さてと、まだ風呂には時間あるみたいだしー。みんなでトランプでもしない?何かしらの罰ゲームありで」
「罰ゲームってどんな?服脱げとかだったらはっ倒すぞ」
「そんなんじゃない。ただ、自分のスリーサイ……嘘です、すいません」
スリーサイズと言うとしたが、宮本に肩を掴まれ素直に謝った。
「じゃあ、今日下着の色を」
宮本が集を殴る。
「じゃ、じゃあ自分のセクシャルポイントを」
宮本が集を殴る。
「ま、まず身体を洗うならどこから」
宮本が集を殴る。こいつどこまで正直なんだ。宮本があんな暴力ふるってんの初めてみたぞ。てか、俺あいつ尊敬するわ。別の意味で。
「じゃ、じゃあ初恋のエピソードを語るって事で」
「まぁ、そのくらいなら…………」
「「「「「えっ!?」」」」」
ちょっと待て。初恋のエピソード?俺の初恋って宮本だぜ。……状況整理だ。初恋のエピソードを負けた奴が語る。負けたら宮本の事を話す。場が気まずくなる。下手したら宮本に嫌われる。それだけはさせないと。このゲーム……負けられない!
みんなで円になって座る。俺から右に鶫、小野寺、楽、桐崎さん、宮本、集となったが。
「ちょっと待て!何故私が神崎クロの横なのだ!」
「は?いや、仕方ねえだろ。そうなったんだから」
「嫌だ!私はこんな奴の横なんて拒否します!」
やっぱり俺こいつに嫌われてるんだな。まぁ、仕方ねえか。
「仕方ないわね。鶫さん、私と交代しましょう。それなら問題ないでしょ?」
「宮本様……ありがとうございます」
鶫が宮本と交代したため俺の横に宮本が来ることに。……なんかちょっとハッピーだ。
「じゃあはじめるぞー。ゲームはババ抜きなー」
集からはじまったババ抜き。俺が集のカードを引き、宮本が俺のカードを引く。…………あ、それジョーカーだぞ。
無言でカードを見て小野寺にカードを引かせる。小野寺がカードを見た瞬間、一瞬で驚愕した顔になった。
絶対小野寺ジョーカー引いたな。
「は、はい一条君」
小野寺、すげえ顔が強張ってるよ。楽がどのカードを取ろうか迷っている。そのうちの一つを取った瞬間、顔がきらめいた。それを見た楽は他のカードを取ろうとすると落ち込む。そして、元のカードを選ぶとまた顔がきらめいた。わかりやすいな!
楽もわかっているはずなのに、何故か顔がきらめいた方のカードを取った。
次は桐崎さん。やけに真剣な顔をしてカードを選んでいる。カードを取ると、さっきの小野寺と同じように顔が驚愕した。もう、こいつらとババ抜きしたら勝てる気しかしないぜ。
「おい、桐崎。これババ抜きなんだからポーカーフェイスしろよ。今のじゃ丸わかりだぞ」
「えっ、そ、そうね。ポーカーフェイスね」
そう言って桐崎さんはポーカーフェイスをするが、これはポーカーフェイスというよりただ不思議な顔だった。一つ言えるのはこれはポーカーフェイスとは言えない。桐崎さんを見て小野寺と鶫もポーカーフェイスをするが、小野寺は可愛い顔がさらに可愛くなった。一生懸命やろうとしてるのが伝わる顔だった。鶫はよくわからない。みんなポーカーフェイス頑張れよ。宮本を見習え。ポーカーフェイスの達人だぞ。
「クロ君、また失礼な事考えたわね」
「滅相もございません」
本当に超能力でもあるのかよ。何でこんなに宮本に考えが読まれるんだ?
そのままトランプは続き最終的に残ったのは小野寺のジョーカーを全部わざと取った楽と、その楽のジョーカーを素で全部取った桐崎さんだった。この二人仲良いな。
楽は桐崎さんのジョーカーじゃない方を取ろうとしたが、何を考えたのか楽はジョーカーを取った。そして、桐崎が2枚のうちの1枚を取った瞬間……
「こらー!!いつまで遊んでる!もうとっくに集合時間は過ぎてるだぞーー!!」
キョーコ先生がドアをバン、と開けて入ってきた。やば、もうそんな時間だったのか。
「…………よかったな」
楽はカードを床に落としながら部屋を出た。床に落ちたカードはジョーカーじゃない。つまり、桐崎さんはあの時ジョーカーを引いた。あのまま続けてたら楽が買っていただろう。ある意味おめでとう、桐崎さん。
そう思いながら俺は部屋を出て集合場所に向かった。
この話書くのに物凄い時間かかったぞ。
何故だ?
この後はお風呂ですが、書くかどうか考え中です。
あと、早く万里花を出したい。
るりちゃんも大好きですが、万里花も好きな
ブリザードです。