ある日目覚めて   作:おは

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だいじょうぶかなぁ


毒と意思の力

・・・ここは何所だろう。・・・そうだった。あのケーキを食べたら目が回って・・・

そんなことより、ここは何所だろう?すっごく真っ暗ね。と思いながらジレーヌは暗い世界の中を歩いて行った。

 

何なのよ!この場所は真っ暗で何も見えないじゃないの。と思いながらしばらく歩いていると遠くに明かりを見つけた。

 

やったわ!これでこのよく分からない場所から抜け出せるわ。と思うとジレーヌは光に向かって走り出した。

 

・・・嘘でしょう。

 

そこにあったのは、自分と同じ姿をした少女と自分の過去の青年が手招きしている光景だった。

 

「あなた達何者なの?」

 

とジレーヌが聞いてみると

 

「それは、俺達が聞きたいんだよ。お前こそ誰だよ!俺でもなければ、あの少女でもない」

 

といいながら青年はジレーヌを指さした。

 

「・・・何、言ってるの。わたしはあなたじゃないの」

 

それを聞いたジレーヌは震えながら言った

 

「俺のわけないだろう。俺はここにいるのだから」

 

と青年はジレーヌに近づいていった。

 

「そんな。嘘よ、嘘よ、嘘よ・・・」

 

とジレーヌは首を横に振りながら言ってると目の前がぼやけていった。

 

 

 

「・・・姫様・・姫様・」

 

・・・あれ、ブリッタの声が聞こえる。さっきまでは居なかったのにどうしてだろうと、思いながら周りを見つめるとそこには

 

いつもの人を小ばかにしている表情ではなくて、見ているこちらまで悲しくなりそうな表情で布団が濡れるほどに涙を流していた。そしてもう一人ジレーヌとけんかをしたはずのアイナが、心配そうに覗き込んでいた。

 

ブリッタはともかく。何であなたまでいるのと思っていると

 

「・・・姫様、お目覚めになられたのですか。」

 

とブリッタがそういうとジレーヌに抱きついてきた。

 

「ぶ、ブリッタ。抱きついてこないでよ、あの子に見られているじゃないの。それになんであの子がいるの!」

 

とジレーヌはブリッタを払いのけようとしながら言った。

 

「姫様、あのような事があったのに、かなり元気なようですね。心配して損しましたよ。あと私にもなぜあの少女がここに来たのかは分かりません」

 

とブリッタはジレーヌの両手を押さえつけて、ジレーヌの体を触り始めた。

 

「ブリッタ!あんた何してるのよ。人が見ている前でこんなことやらないでよ」

 

顔を赤くしながらジレーヌは体を捩った。

 

「あんた達、一体どういう関係なの?まさか。女の子同士で付き合っているじゃないでしょうね」

 

ジレーヌとブリッタの様子を見ていた。アイナが怪しいものを見る目つきで見ながら言った。

 

「ええ、そうで・・・」

 

ブリッタが、付き合っていると答えようとした時、ジレーヌが自由になった右手でブリッタの口を押さえると

 

「違うわ、ブリッタと私の関係は親子みたいなものよ」

 

ジレーヌはアイナにそう答えた。

 

「あんた、自分の父親と母親がいるのに親子って、どうゆうことなの?」

 

それを聞いたアイナは首をかしげながら聞いた。

 

「お父様とお母様は怖いからあんまり会いたくないの」

 

とジレーヌはそれに答えると。ジレーヌの体を触っていたブリッタの両手を押さえた

 

「確かにあんたの母親は見るからにおかしかったけど、あんたの父親はやさしそうに見えたけど」

 

「お父様は。やさしいそうに見えて本当は怖い方なのよ。たしかにお母様もおかしかったけど、あれはいつもの様子じゃないわ。いつもならあなたとの喧嘩に入ってきて、あなたに怪我をさせたはずよ。それなのに今日のお母様は、人形みたいにずっと笑っていたわ、どうしたのかしら?」

 

ジレーヌは思ったことを次から次へと国に出して話した

 

「姫様、他国の王族に自分の両親の悪口を言うのはやめたほうがいいのでは」

 

それを聞いたブリッタはさすがにまずいと思ったのでジレーヌの話を止めさせた。

 

「たしかにあなたの言うとおりね。ところでブリッタ、ハイフェ王国って何所にある国なの?ハルケギニアの地図に載っていないのだけど」

 

とジレーヌが聞くとブリッタはニヤニヤすると

 

「ハイフェ王国は海の中にあるのですよ。ええ海の中に」

 

それを聞いたジレーヌは顔が青くなると

 

「・・・まさか、人魚なわけないわよね」

 

「姫様、彼女は人魚です」

 

とうれしそうに答えると

 

「でもでも、あの子はちゃんとした足じゃないの。人魚は足が魚でしょ」

 

とジレーヌが反論していると

 

「あんた。ハイフェ王国が人魚の国なのは常識でしょ!そんなことも知らないなんて馬鹿でしょ」

 

とアイナはジレーヌに近づくと顔を抑えると言った。

 

「だったら何で、あなた下半身が足なのよ。その答えを教えなさいよ!それにわたしの顔を抑えるんじゃなくて、ブリッタのことを引き剥がすのを手伝いなさいよ!」

 

とジレーヌがアイナに顔を抑えられたまま叫んだ。

 

「ふん。私に頼むのにそんな態度なの。ならいいわよ、私もあんたのバカメイドの、手伝いでもするから」

 

アイナはそう言うとジレーヌのことを体をくすぐり始めた。

 

「分かった、分かったから、それはやめて・・・」

 

と最初そう言ってられたがアイナのくすぐりによって、大声で笑い転げることになった。するとジレーヌに抱きついていたブリッタが起き上がってベットから出ると

 

「私の姫様に何をしているんですか」

 

ジレーヌのことを笑わせているアイナに言った。それを聞いたアイナは、ジレーヌのくすぐりをやめるとベットの上に立ち上がってブリッタを見つめると

 

「あんた。メイドが王族の子を自分の物みたいにいうなんて。どういうことか分かっていの?まぁ。バカメイドに分かるわけ無いわよね」

 

「バカメイドでもいいですから。私の邪魔をしないでください」

 

そしてすぐに二人は睨みあった。

 

「あなた達。何しに私の部屋にやってきたの。ここで喧嘩すために来たのなら帰って」

 

ジレーヌが咳き込みながらにらみ合っている二人に言った。するとそれを聞いたブリッタは

 

「な、何を言っているんですか姫様。悪いのはあの子で私は悪くないです」

 

「なにが、私は悪くないですよ。人前で私に抱きついて来る時点で十分悪いわ」

 

とジレーヌは狼狽したブリッタの言葉にそう切り返した。アイナはそれを聞くと髪を掻き揚げると

 

「ほらぁ。バカメイドやっぱりあんたが悪いじゃないの」

 

勝ち誇った様子で言った。

 

「勝ち誇っているところ悪いのだけど、あなたにも原因はあるのよ。」

 

ジレーヌは勝ち誇っているアイナにそう突っ込んむと何かを言いたそうなアイナを無視して

 

「もう一回二人に聞くけど、どうして私の部屋に来たの。言っとくけど、次の言葉で理由を言わなかったら。本気で追い出すわよ」

 

と二人に告げた。

 

その質問に最初に答えたのはアイナだった。

 

「あ、あんたの惨めな姿を見に来ただけよ」

 

さっきの心配そうな表情と赤くなって言ったために。それを聞いたジレーヌはあまりの可笑しさに笑い出した。

 

「あ、あんた。なんで笑っているのよ」

 

それを見たアイナは口を震わせながら言うとジレーヌに襲い掛かった。

 

「少し待って。まずブリッタの聞きたいから待って」

 

ジレーヌは襲い掛かろうとしているアイナにそう言った。

 

 

 

「私の寛大さに感謝してよね」

 

アイナはさっきまでの行動のせいで疲れていたのでそう言うと襲い掛かるのをやめた。ジレーヌは、なんで話を聞くだけでこんなに疲れるのかしら。と思いながら

 

「ブリッタ、次はあなたの番よ。話して頂戴」

 

ジレーヌはベットボードに寄りかかりながら聞いた。

 

ブリッタはその姿を見て顔を輝かせると

 

「姫様、なんて素敵なお姿なのでしょう。私姫様をお抱きになりたいほどですわ」

 

それを聞いたジレーヌは目を細めて

 

「そう、そんなにこの部屋から出たいのね。分かったわ」

 

というと人を呼ぶための鐘を手に取った。

 

「ああ。分かりました。話しますからその鐘をおいてください」

 

というとブリッタは部屋に来た理由を言った

 

「姫様、あなた様を暗殺者から守るためです」

 

それを聞いたジレーヌは嘘でしょ。と最初思ったがブリッタの顔を見て、それが本当のことだと知った。なぜならそのときのブリッタの顔は、ブリッタのことをいじめている時の笑顔では無く、ジレーヌにとって大きなことを言うときの真剣な顔だったからだ。

 

ジレーヌはブリッタが言ったことを本当のことだと理解すると。ブリッタに最後に食べたケーキの事を聞いた。

 

「あ、あのケーキを食べたとき目の前が真っ暗になったのも暗殺者が毒を入れたからなの」

 

「そうです姫様。敵は探知魔法を避けるために特殊な毒を仕込ました。そのせいで本来なら安全のはずの試食の儀で、このような事態になってしまいました。」

 

とブリッタは苦しそうに答えた。

 

「本当は安全だったのね。でも私からすればどっちも危険だったけど」

 

ジレーヌは心を落ち着かせるために、ブリッタに聞こえるような声で皮肉を言った。

 

「姫様、皮肉を言うのはかまいませんけど、今から私の言うことはよく聞いてください。まずあなた様に毒を仕込ませた物を捕らえました。その者の処罰をあなた様は決めなくてはいけません。そして最も大事なことですが、まだ暗殺者はこの城のどこかに潜んでいてあなた様の命を狙っています。ですから、くれぐれも軽率な行動はお控えください」

 

ジレーヌは、ブリッタの話を聞いていくうちに、息が詰まりそうなっていくのを感じるのと共に。自分が恐怖のあまり涙を流しているのに気づいた。

 

「姫様、お辛いのは分かりますが、あなた様はあなた様を殺そうとする者達から自分の命を守らなくてはいけません」

 

とブリッタはジレーヌに告げた。

 

「どうやって、そんなことが出来るのよ。魔法が使えない私なんかには無理よ・・・」

 

とジレーヌが首を横に振りながら言ってるとブリッタが抱きついた。

 

「姫様、お辛いでしょうが。そんなこと言っていたら、ずっと魔法なんか使えませんよ。魔法の基本は意志の力です。意志の力さえあればドットでスクエアを倒すことだった出来るのです。そしてその逆も然りです。ですから姫様生きたいと思ってください。そうすればあなた様が危機のときに、生き残る事が出来ます。」

 

ブリッタがジレーヌに穏やかな声で言った。

 

ジレーヌは少し笑うと

 

「それって精神論よね。でもあなたの言うことはある意味じゃ正しいわ」

 

とジレーヌが言うと、

 

「それでは私は、さっそくあなた様の意志の力を見ることにします。では付いてきてください」

 

というと部屋のドアを開けて罪人のいる広場へ向かい始めた。

 

その後ろをジレーヌと重い話だったので聞いていなかったアイナが、待ちなさいよと言いながら

付いて行った。


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