ある日目覚めて   作:おは

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誕生会挨拶

ブリッタはジレーヌの様子を見て心配そうな声で

 

「姫様、みんなあなた様の大丈夫ですよ」

 

とジレーヌを安心させようとした。

 

それを聞いたジレーヌは安心をするどころか

 

「でも、失敗したら。お父様に殺されるわだから、帰る」

 

と言うと自分の部屋に逃げ帰ろうとした

 

ブリッタは逃げ帰ろうとしたジレーヌの服の後ろを掴むと

 

「姫様、落ち着いてください。帰ったほうが、陛下に殺されますよ

それに、あなた様なら。失敗なんてしませんよ」

 

と逃げよとするジレーヌを抑えて言った。

 

それを聞いたジレーヌは逃げるのをやめて

 

「ほ、本当?」

 

と涙を浮かべてブリッタに聞いた。

 

ブリッタは赤ん坊をあやす声で

 

「本当ですよ。だから、帰ろうなんてしないでください

みんなあなた様を見るのを、楽しみにしているんですから」

 

と励ました

 

それを聞いたジレーヌは涙を拭くと

 

「わたし、不安だけどやってみるわ」

 

と小さな声で答えると。誕生日会場の広間へ足を踏み入れた。

 

 

ジレーヌの姿を見ると誰かが

 

「エミール王国王女。ジレーヌ・ドリアーヌ・オロール・エルミート

様の御なりぃぃぃ」

 

と大声で自分が来たことを知らせているのが耳に入った。

 

会場に現れたジレーヌの姿を見て参加者たちは

 

「10年ほどしたらとてつもない美女になる」とか

「あのドレス、名匠によって仕立てられたものよ」などから

「わたしのほうがきれいよ」

 

とさまざまなことを囁き。まるで大きな波の音に聞こえるほどだった。

 

その波の中をジレーヌは、大丈夫、大丈夫よと心の中で唱えながら

両親が座る、玉座に向かって、ぎこちない動作で

向かっていった。

 

その姿を見て参加者たちは

 

「あの年じゃ仕方ない」

「王女なんだからもっとしっかりしてほしいよな」

 

などと、また囁くのであった。

 

ジレーヌは両親のいる玉座にたどり着くと

参加者たちの方に向き返って、精一杯の笑顔をしてから

 

「み、みなさま。わわ、わたしのた、誕生会に、き、来てくださって、

お、お礼申し上げるわ。わ、わたしも、いな、みなさま方を

せっ、精一杯歓迎しますから、た、楽しんでください」

 

とたどたどしいく言った。

 

それを聞いた参加者たちが

 

「まぁ、あの様子なら当然の結果だな」

「あの年じゃ仕方が無い」

「それさっきも言ったよな」

 

などと囁くのだった。

 

ジレーヌは、波のように聞こえる囁きに、

やっぱり、わたしには無理だったのよ。

こんなに、たくさんの人の人の前で冷静さなんて

保てるわけ無いじゃないの。もういいわ、どうせ誕生会が終わったら

殺されるんだから、わたしの好きにするわと開き直った。

 

ジレーヌの挨拶が終わると

特別に用意された椅子に座っていた。

大貴族と、国外の要人がジレーヌに歓迎の挨拶を始めた。

 

「わしはハイフェア王国の国王ヘンモだ

ジレーヌ殿もお父上を見習ってこの国を収めてほしいですなぁ」

 

と言った後に一緒にいた。ジレーヌと同じ年の気の強そうな子を

ジレーヌに紹介した

 

「この子はわしの、末の娘でアイナだ、どうか娘と友達になってくれると

うれしい」

 

アイナに自己紹介をさせた

 

「お父様が言ったとおり。わたしの名前はアイナ。

あなたが頼むなら、友達になって良くってよ」

 

と自信たっぷりに答えた。

 

それを聞いたジレーヌは

えっ。なんなのこの子。この場所でこんなことが言えるなんて

ものすごい馬鹿か、すごい天才かどちらかよ。

まあ。どちらにしても、なんだかすごく面白そうねと思いながら

 

「はい、ヘンモ殿。わたしは、お父様を見習って、

この国をよりよくしていきたいと思いますわ」

 

と答えるとアイナに話しかけた

 

「こんにちわ、アイナ。わたしお城で一人っきりだったから

お友達になってくれると、うれしいわ」

 

と言った。

 

それを聞いたヘンモは

「アイナにも友達が出来たように、われらも

友のようにお互いを尊重していきたいですなぁ」

 

 

アイナは

 

「あなたがそこまで言うのなら、わたしあなたの友達に

なってさしあげるわ」

 

と上機嫌で答えると二人は元の席に去っていった。

 

ジレーヌはアイナの様子を見て、この子の

実は友達いないんじゃない?と思った。

 

次にジレーヌに挨拶し来た人物を見て

何でここにエルフが来ているの?

ハルケギニアとエルフは、交流が無いはずでしょ

と驚いた。

 

ジレーヌは驚いているが、実のところエルミート王国と

エルフはある程度の交流を、持っている

 

エルフと交流を持つことになった理由としては

聖地回復運動に参加するどころか、参加国に襲い掛かった

ことと、王子と人魚姫と結婚したことだった。

 

その結果エルフたちに、この国、ほかの国とは違って

話し合えるんじゃないか、という理由で大使が送られているのだ。

 

ただ、貿易は、距離があまりに遠すぎなのと

気象の問題でフネで王国にいけないのが、災いしてかやっていないが。

 

ジレーヌが驚いている中、その青年のような姿をしたエルフは

 

「我ら、ネフテス全体の意見としては、貴国の姫が王位を継いだ後も

これまでの関係を支持していくを願う」

 

という、挨拶にしては最悪なことをいった。

 

その結果、居合わせた貴族たちから

 

「これが、誕生会の挨拶か」

「貴様、姫様に対して言い草か」

 

などの怒号が飛ぶことになった。

 

ジレーヌは、ああ、こういう場合

どうすればいいのよ、わたしも怒ればいいの?

苦笑いする。というように、突然の事態にあたふたしていた。

 

その状況を収めたのは玉座に座っていた国王だった。

 

「みんな静まってくれ、エルフの外交官は、皆最初に自国の言い分を言うんだ。

さて、リズワン卿、あなた自身の挨拶はどうなのだ?」

 

と言って場を収めた。

 

リズワンはさっきまでの怒号なんて、まったく関係ないように

 

「私、個人の挨拶は、貴国の姫が健康で健やかに育つことを願う」

 

と冷静に答えた。

 

ぞれを聞いたジレーヌは、エルフはみんな素っ気無い

挨拶なのかしら、と思いながら。

 

「リズワン卿、今度エルフについての詳しい話を

お聞かせ願いたいですわ」

 

笑顔で答えた。

 

それを聞いたリズワンは

「そちらが望むなら、いつでも私は待っている」

 

と言って元の椅子に戻っていった。

 

これでエルミート国に来た外国の要人は終わりで

次からは国内の大貴族たちであった。

 

はじめに来たのは南部で一番の貴族である

ホルムクヴィスト家のインゲマル卿だった

彼の姿はいかにも貴族らしく。体の隅々まで

無駄の無いように整えられいる、金髪の男だった

 

「姫様、お母上に似て美しい顔立ちをしていますなぁ

この様子です、ご成人したときには、ハルケギニア一の

美女になるでしょうな」

 

と見かけからは想像も付かないような

言い方だった。

 

 

それを聞いたジレーヌは世の女性の常のように

あら、そう。やっぱり私ってきれいなのねと

かなり喜んでいた。

 

「あら、インゲマル卿わたしのことをそこまでほめて

うれしいですわ。ところで南部には、美しいドレスを作る場所が

たくさん有るのでしょ?わたしが成人したときに私に合う

ドレスを持ってきてくださいね」

 

微笑みながらと言った。

 

それを聞いたインゲマルは

「姫様に一本とられましたな。ご成人の暁には

一流の職人に作らせた。ドレスを送りましょう」

 

と言うと元の席に戻っていった。

 

次に来たのは厚い毛皮をまとって

これまでにジレーヌに下に来た人物とは

明らかに違う雰囲気の人物だった。

 

「俺の名前は、オルヴァー・ボルイェ・スンドバリ

アイスポートの支配者だ。ジレーヌ殿、あなたが

名誉を持つ人間になった時に、俺は頭を下げよう」

 

とジレーヌを自分の主人ではなく、

ただの子供のように言った。

 

ジレーヌはそれを聞いて

なにこれ?私この誕生会の主役よね

エルフより私の扱いが、ひどいじゃないの。と思ったが

 

不思議なことに、エルフの時には怒号を上げた、貴族たちは

物音すら立てていなかった。

 

その様子にジレーヌは

わたし、何かまずいことでもしたの?

どうしよう、笑顔で返す?それとも謝って見る?

とにかく帰られる。とあとで、大変な目に会うから。

どうにかしないと考えた結果。

 

「オリバァー卿は、私が何か間違いを犯したのでしたら

申し訳ありませんでした、ですがどうか去るような。

真似だけはやめてくだりませんか」

 

とおびえながら言った。

 

それを聞いたオリバァーはジレーヌの事を完全に無視して

国王に跪くと

 

「セドリック陛下により大いなる名誉を」

 

と言うと立ち上がって、元いた席に帰っていた。

 

ジレーヌはどうして、どうしてよ。私何か悪いことしたの

私のこと嫌いなの?と思っていたが

 

ジレーヌの考えを吹き飛ばすように

たくさんの貴族たちが。次から次にやって来たので

ジレーヌはそれの対応で、頭がいっぱいになってしまった。

 

ジレーヌの目の前に来た貴族達は、お世辞を言ったり

子供の話しをしたり、彼女のことを無視して国王に挨拶をする

など千差万別だったが。

 

しかしながらジレーヌは貴族たちの対応が大方

二つのグループに分かれていることに気がついた。

 

一つ目のグループはインゲマルのように隅々まで用意が整っている

服を着ている。貴族たちだった。

彼らは、ジレーヌのことを褒め称え、中にはプレゼントすら

渡すものすらいた。ジレーヌにとって気分が良くなる相手だった。

 

二つ目のグループはオリバァーのような毛皮を着た、

貴族たちで、かれらはジレーヌの無視して

国王に挨拶していた。

ジレーヌにとって気分が悪くなるような相手だった。

 

最後の一人が終わると国王が立ち上がると

 

「これより、食事会を始める、皆様方。相性がいいかと

お話しをしていてくだされ」

 

と威厳正しく言った。

 

それを聞いたジレーヌは

これで少しは休めるわねと思ったが

そうはいかなかった。

 

なぜならば

 

「ジレーヌ、わたしとあそばなくって」

 

アイナがそういう言うとジレーヌの手を引っ張っていったからだ。


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