ある日目覚めて   作:おは

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グラン・トロワ

「外もすごかったけど中もすごいわね。」

 

とジレーヌはグラントロワの感想をシャルロットにいうと

 

「ひいおじい様が宮殿をお作りになった時に、建物のつくりから木の一本いたるまでとてもこだわったそうよ」

 

とシャルロットは得意げに答えた。

 

「そういえば、さっきイザベラさんが、大異端国の怪物っていったけどどういうこと?」

 

とジレーヌが質問するとシャルロットが急に顔を青くして体をもじもじしながら

 

「ちゃんと話すけど・・・怒らないでね」

 

と上目使いで聞き返した

 

私が怒るかもしれないと心配するほどの話って、一体どんな話なんだろう。

 

「怒らないから、話してちょうだい」

 

とジレーヌが言うと

 

「私とイザベラ姉さまが遊んでいたときの話なんだけど、エルミートの王族は普段は人の姿をしているけど、獲物がいるときに

恐ろしい姿に変わって人を食べるって聞いたの」

 

とシャルロットが

 

私がそんな怪物だったら、暗殺者に襲われなくて、おなかに傷を残すこともなかったわね。

 

と思っていると

 

「あははは、おっかしい。ジレーヌがそんな怪物なわけじゃないじゃない。むしろ怪物に襲われる方よ」

 

アイナが大笑いしながらシャルロットに言うと

 

「怪物になるのは自分の意思でできるんだから。エレーヌ、私達が油断したときに襲うかもしれないよ。ほら!」

 

とイザベラが人の悪そうな笑みを浮かべながらシャルロットの服をおもっきり引っ張るとシャルロットはびっくと体を大きく震わせると

ひぃと叫んだ。

 

「イザベラさん本当よ。私が怪物だったらおなかに傷なんて作らせないわ」

 

とジレーヌがあわてながら言うと

 

「ジレーヌ、この女はアンタのことを怪物だなんて思っていないわ。アンタとこいつの妹からかっているだけよ。

そんなことにも気がつかないなんてアンタバカなの?」

 

とアイナが髪をいじりながら言うと

 

「せっかくの楽しみを邪魔するなんて、忌々しい餓鬼だねぇ」

 

とイザベラがそういうとアイナのことを頭を小突いた。

 

「なにすんのよ!痛いじゃない広デコ!」

 

そういったアイナがイザベラに飛び掛ろうとしたとき

 

「アイナ!やめなさい」

 

と急いで駆けつけたジレーヌがアイナの服を引っ張りながら言った

 

「あんたなんで。こいつにバカにされたのになんで味方になるのよ」

 

とアイナがジレーヌの方へ振り向きながらいうと

 

「だって、あそこにいるふたりたぶんシャルロットさんとイザベラさんのお父様よ」

 

とジレーヌがそういったときにはシャルロットが駆け出していた。

 

「シャルロット。もうエルミートからのお姫様にあったようだね。どうだい仲良くやれそうかい?」

 

とやさしそうな雰囲気の男がシャルロットを抱き上げて頭を撫でながら話していた。

 

「あなたがシャルル王子ですかお目にかかれて光栄ですわ」

 

両手でスカートつまみながらおじぎをすると

 

「そうだよ。ジレーヌ王女ぼくがオルレアン公シャルルだよ。僕の隣にいるのが。ほらジョセフ兄さんせっかくジレーヌ王女に挨拶をしないと」

 

とシャルルが不機嫌顔でジレーヌを見つめている。ジョセフに言うと

 

「シャルルよ、なぜ挨拶を必要するがあるんだ?ただのバカな小娘ではないか」

 

とジョセフがシャルルに話し掛けると

 

「ジレーヌ姫、すまない。兄は機嫌が悪いといつもこうなんだ」

 

とジレーヌに言うと

 

「シャルル様、お気になさらないでください。もっとひどいこと言ってきた人達がいましたから」

 

ジレーヌはシャルルに安心させるために笑顔で答えると

 

「おどろいた。ジレーヌ王女その年で大人顔負けの礼儀作法を覚えているんだね。」

 

シャルルは驚いた表情でジレーヌに言うとそれまでジレーヌのことをただ邪魔者の様に見ていなかった

ジョセフがまるで新しいおもちゃを見つけた子供のように輝いた。

 

なっ、なにさっきまで私のことを邪魔者みたいに見ていたくせになんで今はお父様がわたしの話をするときの

様子になっているのよ、すごくいやな予感がするわ。とジレーヌが思っているとイザベラの強い視線に気づいた

 

「イザベラさん、わたしのことを見つめているけど何か私についてるの」

 

とジレーヌがイザベラに振り返って言うとイザベラは一瞬うらやましそうにジレーヌの見つめた後に

 

「アンタの服にトカゲが付いているから眺めていただけさ」

 

とイザベラはそういうとジレーヌの腰のあたりを見つめた。

 

「う、嘘でしょ!」

 

ジレーヌがイザベラにあわてながら聞き返したとき

 

「嘘じゃないわよ。アンタ本当に腰の辺りに緑色の大きなトカゲがくっついているわよ」

 

とアイナが言うとジレーヌ顔を真っ青になると

 

「トカゲはイヤー!アイナ早く取ってよ!はっはやく」

 

と泣き叫びながらトカゲを振り下ろすためにドレスのすそを揺らしていると

 

「イザベラお姉さま!ジレーヌさんを困らせないでください。トカゲなんか付いていないから大丈夫よ」

 

シャルロットがイザベラに注意すると真実に気づいたジレーヌ恥ずかしさで顔を真っ赤にしてうずくまった

 

ジレーヌの様子を見ていたジョセフは子供のように輝いてみていた瞳から輝きが消えるとうずくまっているジレーヌをおろおろしながらイザベラに

 

「イザベラ謝るんだ」

 

と塵のようなものを見るような目つきで周囲を威圧しながら言った。

 

「ジ、ジレーヌ王女、申し訳ございませんでした」

 

それを聞いたイザベラは体をビクッと震わせた後にうずくまっていたジレーヌに似近づくと涙をうかべながら謝った。

 

すごく恥ずかしかったけどそこまでへりくだって謝らなくても大丈夫なのに。そういえばとあのジョセフって人娘のイザベラさんのことを見ているときの様子、私を見ているお父様そっくり。私は別の人生もあったから耐えられるけど、普通の子のイザベラさんにはとてもつらいことだと思うわ。

 

と思いながらジレーヌはイザベラの手を取って立ち上がると

 

「恥ずかしかったけど泣きながら謝らなくてほどじゃないわ。だからそんなへりくだって謝らないでわたしあなたと友達になりたいの」

 

と言うと

 

「アンタ。本当にあたしと友達になりたいの?あたしはアンタに恥ずかしいさせたんだよ」

 

イザベラはふしぎそうにジレーヌを見つめながら聞き返した。

 

喜んでくれてるみたいで良かった。アイナもそうだけど悲しい顔を見るより笑顔を見るほうが私も気持ちがいいわ。これから友達になったらもっと見せてくれかな?

 

「さっきも言ったけどそんなに気にしていないの。それよりもね私、あなた達と友達になったらアイナと二人っきりで遊ぶより。もっともっと楽しくすごせると思っているの、だからお願いイザベラさん私と友達になって」

 

とジレーヌが言うと

 

「そこまで言うなら友達になってやるけど。私性格が悪いからまたアンタに意地悪なことするとおもうよ。

イザベラは冷酷な口調で言っていたが、すこしにやけていたのをジレーヌは見逃していなかった。

 

口ではあんなこと言ってるけど。顔を見ると喜んでくれるみたいね。ところでイザベラさん意地悪するっていていたけど、私の大事な人のブリッタとアイナも意地悪なことしているから、イザベラさんも大切な人になるのかしら?

 

「イザベラさんありがとう」

 

とジレーヌが言うとそれを見ていたシャルルが

 

「ジレーヌ王女、僕のシャルロットともお友達になってくれないかい。あの子億劫なところがあって・・・」

 

と話し掛けていると

 

「お父様!」

 

顔を真っ赤にして口を膨らませたシャルロットが話を遮ってた。

 

「シャルル様、そのような心配なさらなくて大丈夫ですわ。私シャルロットさんともう仲良くやっていますから」

 

とジレーヌが言うと

 

「それは良かった」

 

とシャルルがジレーヌ心をときめかせるような笑顔で言っているとジョセフが不機嫌な声で

 

「シャルルよ、子供達と話すのはもうよいのではないか。それよりもお前が言っていた王家の歓迎パーティとやらの打ち合わせをしようではないか」

 

というとシャルルは何かを考えた後に

 

「たしかに兄さんのいいとおりだ。それじゃあシャルロット、僕は兄さんと一緒に話し合いに出かけていくから

イザベラちゃんの言うことをよくきくんだよ」

 

と言うとシャルルとジョセフは廊下を歩いていった。

 

 

「それであたし達はこれから何して過ごすの?まだ夜まですごく長いわよ」

 

とアイナがジレーヌのドレスの裾を右手で引っ張りながら聞いてきた。

 

「私に聞いても分からないわよヴェルサルテイルのことぜんぜん分からないもの、私達の中で一番年上のイザベラさんに聞いたほうがいい遊びを知っていると思うわよ」

 

とジレーヌがアイナの手をドレスから払ってから言うとアイナはいやそうな顔をしながら

 

「あのおんなぁー。わたし嫌いなのだから聞きたくないのよ」

 

払いのけられた右手を握りながら言うと。ジレーヌはアイナのことを流し目でみながら

 

「じゃあなんで、その嫌いな相手の嘘に乗っかって、わたしに恥ずかしい思いをさせたのかしら?だいっきらいなんでしょ」

 

皮肉をこめながら言うと、アイナはフッと小さく笑うと金色の目でジレーヌを見下しながら

 

「あんたをいじるためにあの女の嘘に乗ったこと、私があの女が大嫌いなことは矛盾しないの。わかる」

 

とジレーヌの額を右手の人差し指で突いた。

 

何がわかるよ、アンタのよく分からない理屈なんて分けないじゃあないの。それに私の額を小突くのやめてよ。すごく頭にくるわ

 

「なにがわかるの!!分かるわけないないじゃない!!」

 

と今回はジレーヌが怒っていつものようにアイナとの殴り合いが始まろうとしたそのとき

 

「ジレーヌあんた意外にすぐ怒るんだね。さっきはわたしより大人にみえたけどこの様子を見ると私の見間違いだったのかねぇ」

 

とイザベラは呆れながらもどことなく安心した様子でジレーヌに話し掛けた。

 

「イザベラさん私は悪くないわ。せっかくイザベラさんとも遊ぼうって言ったのにあいつが変なこと言うから・・・」

 

とジレーヌがイザベラに言っていると

 

「あ、あんた。何自分は悪くないようにいってるの、あんただって私に嫌味を言ったじゃない」

 

アイナが話に割り込んできた。その様子を見てイザベラは大きくため息をついた後に

 

「あんたらあたしが言うのもなんだけど、落ち着いたらどうだい」

 

と言うとそれを聞いたアイナがイザベラに近づくと見上げると

 

「うるさい広デコ!さっきすぐに怒ったくせに何、お姉さん面しているのよ!」

 

イザベラは冷静さをどうにか保っていたが、ぴくぴっくと頬が引きつっていた。このまま限界を迎えたイザベラが喧嘩に参加するとジレーヌが思ったそのとき。

 

「アイナさん!いい加減にして。あなたのせいでみんな困っているじゃない」

 

とこれまで黙って諍いを見ていたシャルロットがアイナに言った

 

「な、なによ。いきなり」

 

とアイナはおとなしい子だと思っていたシャルロットの豹変に慌てながら。精一杯威勢を張って聞き返した。

 

「アイナさん。確かにジレーヌさんもあなたに嫌味言ったの悪いと思うわ、でもあなたもいやだ、いやだばっかり言っていたから。ジレーヌさんが怒ったんじゃないの。すこしは受け入れる努力をしたらどうなの」

 

シャルロットが穏やかにアイナに語りかけると

 

「うっ、うーん分かったわよ。あの女と遊べばいいんでしょ。でもね勘違いしないであんたが言ったからじゃないからね。寛大な私がお情けでやっているんだから」

 

とアイナが顔を耳まで真っ赤にしながらきっとした目つきでシャルロットを指差しながら言った。

 

「おどろいたねぇまさか、おとなしくて泣き虫だとシャルロットがあんな強く言うことがあるなんて」

 

とその様子を見たイザベラがあっけに取られた様子で呟いた。

 

「ごめんなさいシャルロットさん。私も頭にきちゃって冷静な判断ができなかったの」

 

とジレーヌがそういって頭を下げると

 

「ジレーヌさん謝る必要なんてないから頭を上げて」

 

シャルロットはそう言ってジレーヌが頭を上げるのを見ると

 

「誰だって頭にきちゃうことはあるから気にしなくて大丈夫よ」

 

とシャルロットが言うと

 

「エレーヌ、あたしはアンタが怒ったところを見ていないんだけど。あんた怒った子とあるの?」

 

とイザベラが聞くと

 

「イザベラお姉さま、私だって怒ることぐらいありますよ。特にあなたが森の中に私を残してどこかに行っちゃった事は今でも忘れていませんから」

 

話しているうちに声を低くしながらシャルロットは言った。

 

「あ、あれは。あたしだってやりすぎたなぁと思っているんだよ」

 

イザベラは上ずった声で言っていると

 

「アンタ達、私抜きで何話しているの?」

 

といいながら話の中に入ってきた。

 

「何して遊ぶって話なんだけど、私とアンタのせいで迷走しちゃっていろんな話をすることになっただけよ」

 

とジレーヌが言うと

 

「何私のせいにしているのよ。簡単な話、隠れん坊でもすればいいじゃないの」

 

とアイナが自分の責任をまったく感じていないようにジレーヌ金色の瞳を向けながら話していると

それを聞いていたシャルロットとイザベラはその様子を見てあきれ返っていた。

 

「いつものお姫様と侍女ごっこをアンタがお姫様役でやるって言うと。思ったんだけどなんで隠れん坊なんてまともなものを、言ったの?」

 

ジレーヌは不思議そうにアイナを見つめながら尋ねると

 

「私だってね。バカみたいに同じことを繰り返して言うことなんてしないのよ!それより隠れん坊にするのしないのどっちにするの」

 

アイナはジレーヌたちに聞くと

 

「癪に障るけどあんたの言う隠れん坊でもいいとおもうよ。ただ、広すぎるからグラン・トロワ中のじゃないと

一日かかっても見つけられないよ」

 

その答えをイザベラが代表して言うと

 

「それでだれが鬼をやるの・・・そうだジレーヌ。アンタが鬼をやりなさいよ」

 

それを聞いたアイナが勝手に結論をつけるとジレーヌに聞いた。

 

「そういうと思っていたわ。いいわよ私がやるからみんなどっかに隠れて」

 

ジレーヌは大きなため息をした後にグラン・トロワの青い壁に目をつぶりながら寄りかかると。隠れるために走っていくアイナたちの足音を聞きながら数を数え始めた。

 


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