ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

4 / 47
ロン・ベルクさん登場です。



本日の目玉商品『ロトの剣』

錆びついた剣に磨き砂、オリハルコンを加えるとアラ不思議!

 

「王者の剣の出来上がり~」

 

この世界はオリハルコンの鉱脈がある。

といっても俺の採取スキルで偶然見つけた物だ。

実際に俺以外の人間にオリハルコンを採取することは出来無い。

一応チートスキルだし。

しかし実際にオリハルコンを手に入れた時、俺は狂喜乱舞したね。

錆びついた剣なんて、その辺の剣を塩水に付けて錆びさせただけだし、磨き砂なんて砂場で採取すれば普通に手に入る。

まさか本当に王者の剣が出来るとは思わなかった。

最強装備じゃねーか!?

 

「むむむ…、マジでどうしよう?

 

この王者の剣、攻撃力はⅨで使えばⅢと同じバギクロス」

 

ダイの大冒険の世界だとクロコダインの斧でも充分無双。

ちょっとしたアバンストラッシュ気分らしい。

それを振り回すだけで極大呪文連発出来る王者の剣…。

俺、魔王軍に目を付けられたりしないよな?

俺は王者の剣をスキルで見た。

 

王者の剣、攻撃力158。

戦闘中使用すると、バギクロスの効果を発揮する。

コレを装備できるのは勇者、戦士、賢者だろう。ついでに俺。

 

「どうするかな~」

 

俺はいつもの様に露店の準備をしながら溜息を付いた。

ここは森に囲まれたノドカな村、ランカークス。

未来の大魔導師ポップの生まれ故郷だ。

この世界がダイの大冒険だと気づいた俺は、店を畳むとリンガイアを出た。

何故ならあの国は近い内に超竜軍団に滅ぼされてしまうからだ。

俺はリンガイアを出る前に呪文書を購入した

初級の呪文しかなかったが今はこれで十分だろう。

契約できたのはヒャド系呪文とバギ系呪文、そしてホイミ系呪文だ。

これらの呪文を熟練することで更に上の中級、上級呪文を習得できる。

つまり要練習だ。

この世界は魔法力をコントロールする術があるので実際に呪文を使うとなると結構難しい。俺は中二病よろしくの妄想力のお陰で呪文自体は直ぐに使えた。

だがポップやマトリフのように魔法力を放出する芸当はまだ出来なかった。

ルーラやトベルーラ使いたかったなぁ。

ていうか是非使いたい!主に逃げるために!

 

「……おい、………おい!」

 

ん?誰かが呼んでいるような?

 

「おい!聞いているのか!」

 

「は、はい!」

 

気がつくと俺の目の前には強面の顔色の悪い男がいた。

いや顔色が悪いなんてもんじゃない!紫色じゃねーか!

男は自分の容姿を覆い隠すようにローブに身を包んでいた。

男の視線はは王者の剣に釘付け。

身を乗り出して剣に手を掛けようとする。

その拍子にスルリと頭部を覆っていた布が落ちた。

耳長っ!なにコイツ?

 

「ダークエルフ?」

 

「誰がエルフだ、俺は魔族だ」

 

魔族だと?

そういえばここはランカークス。

ランカークスの魔族といえばもしかして…。

俺はまじまじと魔族を自称する男の顔を見た。

顔の中心に☓傷、間違いない。伝説の魔剣鍛冶師だ。

 

「えっと、お客様?」

 

「そうだ」

 

「いらっしゃいませ~~~」

 

俺は最高の営業スマイルで魔剣鍛冶師を迎え入れた。

俺の対応に魔剣鍛冶師さんは一瞬、目を見開くように驚く。

 

「どうしました?」

 

「いや、魔族と名乗って歓迎されるとは思わなかった」

 

「お客様は神様です」

 

本日の商品はコレだ!

 

光の剣(使うとギラの効果)4800G

ドラゴンスレイヤー(ドラゴンの鱗を易々と切り裂く)12000G

雷の槍(デイン系の追加効果)19800G

デーモンスピア(即死効果)34500G

力の盾(使うとベホイミの効果)17000G

水鏡の盾(使うとマホターンの効果)30500G

おかしな薬(使うと敵を混乱させる)200G

万能薬(HP90~120回復)360G

鉄鉱石(素材)100G

ミスリル鉱石(素材)1050G

磨き砂(素材)20G

 

「お客様、何になさいますか?他では手に入らない珍しい物ばかりですよ」

 

「そ、そうか……それよりも」

 

魔剣鍛冶師殿は王者の剣を指さした。

 

「こ、この剣を見せてもらっても良いか?

 今まで人間の武器なぞ興味は無かった……だがっ!」

 

魔剣鍛冶師様はにじり寄って鞘に収められた王者の剣を覗き込んだ。

 

「えっと、ご覧になられますか?」

 

俺が王者の剣を差し出すと、魔剣鍛冶師様はそれを引ったくった。

鞘から剣を抜き放ち……、その表情を驚愕に染めた。

 

「……っ!?こ、この剣は……まさか!?」

 

魔剣鍛冶師様から滝のように汗が流れ落ちる。

凄いな。どんだけ驚いてんだこの人。

 

「小僧っ!この剣、一体どうやって手に入れた!?」

 

「えっと、俺が造りました」

 

「な、何だとっ!?そ、そんな馬鹿な!?」

 

魔剣鍛冶師さんはフラフラとその場に崩れ落ちた。

おーい、大丈夫ですか~?

 

「こ、この剣をお前のような奴が?」

 

失礼な人だな。

 

「はい、じぶん錬金術師なもので」

 

「錬金術師だと?」

 

「はい」

 

魔剣鍛冶師さんは俺の顔をまじまじと見た。

なんか照れるな。

 

「小僧、名はなんという?」

 

「えっとタケルです」

 

「俺はロン・ベルクという。

 

タケルよ、その剣だが俺に譲ってくれないか?」

 

えっと売ってくれじゃなくて譲ってくれ?

そんな事言う人は初めて見た。

なんか図々しいなこの人。だから俺は笑顔で言ってやった。

 

「王者の剣、120000Gになりま~す」

 

「頼む!この通りだ! 俺にはどうしてもその剣が必要なんだ!」

 

知らんがな。客じゃないなら帰ってほしい。

ロン・ベルクは魔界でも伝説になるほどの鍛冶師だ。

そんな男が人間に熱心に接触を図る。

はっきり言って危なすぎる。魔王に目を付けられるじゃないか。

 

「お客様、他のお客様に迷惑ですねで…」

 

「…そうだ!俺の造った武具と交換はどうだ?

 120000Gなんて大金は無いが、それに見合うという自負はある

 

一品で足りないなら全て持って行っても構わん!だから頼む!」

 

ナンダト?

ロン・ベルクの作品と交換?

しかも全部でも良いだと?マジでか!?

 

「で、では実際にその商品を見せていただかないことには」

 

俺は努めて平静を装いながら言った。

 

「交換してくれるのか!?」

 

ロン・ベルクさん。物凄い嬉しそうだ。

当然か。王者の剣はオリハルコンの剣だ。

しかも武器としては最高クラスの攻撃力。

ロン・ベルクが眼の色変えるのも不思議じゃない。

俺は露店を畳むと、ロン・ベルクに連れられて森の奥の小屋にやって来た。

 

「ここだ」

 

「でも田舎とはいえ魔族のロンさんが良く平気な顔で人里に来れましたね?」

 

「あぁ、村にはダチがいてな…いやソレよりも入ってくれ」

 

ロンさんに促されるままに俺は小屋に入った。

中を見て溜息が漏れる。

 

「……うわぁ」

 

「どうだ?ここが俺の鍛冶場だ」

 

ロンさんは得意そうな顔で言った。

 

辺りを見渡すと、様々な武具が置いてあった。

どれもが不思議な輝きを放っている。魔力なのだろう。

しかし王者の剣と交換しても良いという程の品ではない。

ロン・ベルクの武具で欲しいものといえば決まっている。

鎧の~シリーズだ。

あれを数品と交換なら考えても良いと思ったのだ。

 

「ロンさん、交換の品はここにあるもので全部?

 だったら先刻の話は無かったことにしてほしいです」

 

「ま、待て!奥に俺の傑作がある!ちょっと待っていてくれ!」

 

待つこと数分。

ロンさんは布に包まれた武具を持って現れた。

見たところ四品。両手で抱えるには限界だろう。

ロンさんは一品を残して地面に置くと、布を外し始めた。

顕になっていく武具。

鈍い銀色が顔を覗かせる。

出てきたのは長弓だった。

不思議な事に弦が見当たらない。

弓は装甲の様な物が覆っており、それが弦を隠しているようだ。

 

「まず一品目、こいつは弓の魔装」

 

「弓の魔装?どういったものなんですか?」

 

「タケル、手にとって鎧化(アムド)と唱えてみろ」

 

「はい……アムド!」

 

弓を覆っていた銀の装甲が剥がれ意思を持つように俺の身体に装着されていく。

上から鉢金、胸当て、そしてプロテクターに脛当て。

まるで聖闘士のクロスだな。意外に軽い。

 

「気に入ったようだな」

 

「でもロンさん、俺に弓の心得はないですよ」

 

「お前は商人なのだろう?」

 

ロンさんはニヤリと笑った。

確かに俺が使える必要はない。でもなんか悔しい。

 

「次はこいつだ」

 

ロンさんは次の装備の布を外した。

出てきたのは銃剣だった。マジでか!?

 

「こいつは試作品でな。

 全く新しい概念の武具を創りだそうとしてこうなった」

 

「鉄砲と剣を合体させたんですか?」

 

「ああ。名はまだ無い」

 

「まさにガンブレードですね」

 

「ん?ガンブレードか……いいなその名」

 

どうやらガンブレードに決定したようだ。

 

「でも魔族であるロンさんが鉄砲作るなんて…」

 

「ああ、人間のように火薬で弾を撃ち出すものじゃない。そいつは魔法を利用した銃だ」

 

アバン先生の魔弾銃じゃん。

 

「何を想像しているか知らんが、

 ソイツを使うと人間でも魔法剣を使うことが出来るようになる」

 

なんですと!?

 

「撃ち出した攻撃呪文を刀身に付与させて擬似的に魔法剣にする

 それがこのガンブレードの特性だ。どうだ気に入ったか?」

 

間違いなく竜の騎士を意識して造ってるよこの人。

どんだけ対抗心燃やしてるんだよ!

 

「素材はミスリル鉱石で出来ている。

 

強度は魔装に劣るが、同じ素材だと魔法剣に出来ないからな」

 

「どうしてですか?」

 

「魔装に使われているのはメタル鉱石。こいつは呪文を受け付けない物質だ

 だからガンブレードには使えなかった

 最後に魔法の弾だ。装弾数は10発。コイツは魔法の筒の応用で造り出した物で

 攻撃魔法を詰めることが出来る」

 

成る程。

でもダイはヒュンケルの魔剣で魔法剣使ってたよな?

あれは竜の騎士だから出来る芸当って訳か。

考えている間にロンさんは次の武具の布を解く。

 

「これは……爪?」

 

鋭利な鉤爪が付いた手甲だった。

見たところ魔装ではないようだ。

 

「それは風魔の鉤爪」

 

「風魔の鉤爪……」

 

「とりあえず装備してみろ」

 

俺は言われるままにソレを装着してみる。

左右両方とも装着する。

 

「そいつは切れ味もさることながら特殊な力もある

 良いか?外に向けてだぞ?何かを斬るように振ってみろ」

 

「……シッ!」

 

爪から真空の刃が放たれて森の木を薙ぎ倒した。

 

「こ、これは…」

 

「物騒だからあまり振り回さないほうが良いぞ」

 

確かにその通りだ。

他の伝説の武具と違って号令が必要ない。

雷鳴の剣の様な攻撃魔法の追加攻撃。

それでもかなり強力だ。

 

「それで最後の武具は?」

 

俺は風魔の爪を外すとロンさんを促した。

ロンさんは頷くと、最後の武具の布を外した。

 

「柄だけの剣……?」

 

「魔闘剣だ」

 

首を傾げる俺にロンさんは説明を始めた。

 

「ソイツは持ち主の魔法力、もしくは闘気を刃に変える剣だ。

 昔、最高の杖を造る際、試作的に造り出した物だが…。

 鍛冶師として外に出したくなかったが……」

 

これも王者の剣を手に入れる為だ。

ロンさんは不機嫌そうに呟いた。

そうか光魔の杖の……、ロンさん嫌ってたっけ。

 

「魔闘剣か……俺の場合は魔法力だな」

 

魔闘剣は俺の魔法力に反応し光の刃を創り出した。

俺の身長以上の刀身の長さにロンさんは目を剥いた。

 

「大した魔力の持ち主のようだな」

 

「……ロンさん」

 

「何だ?」

 

「王者の剣、ロンさんに譲るよ」

 

「ほ、本当か!?」

 

「はい、ロンさんの造った武具、大変気に入りました」

 

「商談成立だな」

 

俺達は互いに握手をすると視線を合わせて口元を釣り上げた。

王者の剣はまた錬金すれば良いだけのことだ。

しかし魔界最高の鍛冶師の作品は絶対に手に入らない。

ランカークスに来て本当に良かった!

 

「気が向いたら何時でも来い。お前ならば歓迎しよう」

 

「はい、今日はありがとうございました」

 

「……タケル、お前の王者の剣を上回る剣を創りだしてみせる」

 

ロンさんの目には強い決意の炎が宿っていた。

 

「それではまた」

 

俺はロンさんに別れを告げると、ランカークスから旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日のタケルのステータス

 

タケル

性別:おとこ

職業:錬金術師

レベル:6

 

さいだいHP:37

さいだいMP:515

 

ちから:20

すばやさ:16

たいりょく:20

かしこさ:256

うんのよさ:256

 

攻撃力:98

防御力:65

 

どうぐ

E:ガンブレード

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:魔法の弾×10

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 

 

ホイミ 

ヒャド ヒャダルコ

バギ バギマ

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。