ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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更新が遅れてスイマセン。


本日の目玉商品『地獄の魔槍』

魔王軍との死闘が明けて。

オレは久し振りに錬金に精を出していた。

実際は久し振りというほどでは無いのだが、今回の戦いはそれ程厳しい戦いだった。

あの絶望的な戦力差を覆し皆で掴みとった勝利。

ささやかな宴が開かれ勝利を喜び合い、怪物であるクロコダインも共に戦った仲間として皆に受け入れられ、魔剣戦士ヒュンケルもレオナ姫によって許された。

少しのわだかまりは有るだろうが、確実にダイ達は前に進んだのだ。

 

 

そして次の日、自らの力不足を感じたマァムが武道家になる為に一人旅立ち、ヒュンケルとクロコダインも魔王軍の動向を確認する為に旅立った。

寂しさは感じるものそれが未来の為だと信じダイ達は快く仲間を送り出したのだ。

 

「となると、そろそろオレも離れるべきだよな…」

 

目の前で錬金釜がオーブントースターの様な音を鳴らす。

出来上がった品『トリトンダガー』を取り出し、次の素材を入れる。

こうして錬金を行なっていると、いろんな事を考えなくて済む。

あの出来事世界樹の葉によってエイミを蘇生させたの後、オレの脳裏にはルビスの声が反芻していた。

この世界は『ダイの大冒険』、物語の世界の筈。

しかしオレがいて精霊ルビスが出てきた時点で原作とは乖離してきている。

 

「…くそ」

 

自分の思考につい嫌悪してしまう。

『ダイの大冒険』だの『物語』だの『原作』だのと、何時まで読者気分だ。

そういう意識はとっくに捨てた筈なのに…。

この世界の人々を一人の人間として見ようと決めていた筈なのに。

ルビスの存在を思い出した今、オレの思考は元の、この世界に来たばかりのオレの物に戻ってきてしまっている。

 

錬金釜から再び出来上がりの音が鳴る。

オレは出来上がった『オーロラの杖』を取り出す。

各最強装備、今はまだ使わないだろが将来確実に必要になる。

伝説の武具を上回る性能を誇る最強装備。

今の内に全て錬金しておくのだ。

出来上がった武具を袋にしまい、ふと視界の端に銀色の何かが映った。

そういえば戦いが始まって直ぐに姿を眩ませたままだったな。

オレは呆れて溜息を付いた。

 

「で、何時までそこに居る気だ?」

 

返事はない。

こんにゃろう。無視する気か?いい度胸だ。

オレは最高級の霜降り肉を取り出して…。

ダダダッ!!!

……速いな。まさに一瞬だった。

はぐれメタルのはぐりん。

前に肉に釣られて仲間になった臆病な旅のお供だった。

はぐりんは涎を垂らしながら霜降り肉に釘付けになっている。

 

「……仕方ない」

 

オレは霜降り肉を宙へと放り投げた。

すると、はぐりん は器用に身体の一部を伸ばして霜降り肉をキャッチ。

そのまま口に運ぶと貪りはじめた。

 

 

「タケル」

 

「ダイか?」

 

何時の間にかダイが後ろにいた。ゴメちゃんもいる。

マァムとの別れの所為か少し寂しそうに見える。

ポップの落ち込み具合は半端じゃなかったが…。

 

「あれ?そいつ…」

 

「ああ、こいつは はぐりん っていうんだ。まぁ、旅の仲間ってやつだな」

 

「へぇ?でも今まで見てなかったけど?」

 

「恥ずかしながら、こいつは臆病でな。戦いが始まると直ぐに姿を消すんだ」

 

オレは肉を貪る はぐりん を小突く。

 

「ピィ!ピィ!」

 

聞いたゴメちゃんが非難するように鳴く。

本当に賢い子だな。

 

「恥ずかしながらだな。ゴメちゃんは逃げずに戦ってるのに」

 

少しは見習え はぐりん。

オレは霜降り肉を取り出すとゴメちゃんに上げる。

ゴメちゃんは嬉しそうに肉を食べようとする。

ザザッ!

 

「ピィ!?」

 

一瞬のことだった。

ゴメちゃんが食べようとした肉が消えたのだ。

理由はわかりきっている。

 

「はぐりん…」

 

視線を移すと、はぐりんが霜降り肉を貪っていた。

勿論それはゴメちゃんに上げた物だ。

ゴメちゃんは怒り、はぐりんも譲らない。

臆病な はぐりん もゴメちゃんの様な無害そうな相手だと強気らしい。

二匹は取っ組み合いの喧嘩を始めた。

 

「は、はは…」

 

その光景にダイは苦笑いだ。

まぁ、お互いスライム族だし。

そのうちに仲良くなれるだろう。

オレは再び意識を錬金に戻した。

 

「それよりも何やってるの?」

 

「ん?ああ、新しい武具や道具を作ってる」

 

「へぇ…、そういえばタケルが何かを作ってるところなんて初めて見るよ」

 

ダイはその場に座り込むと興味深そうに錬金釜を覗きこんだ。

錬金釜が完成の音を鳴らし、中から『神竜の爪』が出てくる。

 

「す、凄い!なにそれっ!?爪っ!?」

 

「ああ、武道家用の武器だな」

 

「武道家用?それってもしかしてマァムに?」

 

「ああ、これはな。勿論お前らの全員分あるぞ」

 

オレは『神竜の爪』を袋に入れると次の錬金に入る。

 

「ホントに!?」

 

ダイは飛び上がって喜ぶ。

そしてバツが悪そうに剣を抜くとオレに見せた。

 

「何時は前に貰ったこの剣だけど…」

 

破邪の剣は見事にボロボロだった。

刀身は歪みが見え始め、柄の部分も少しグラついている。

これは新しい剣が必要だな。

 

「レオナが百貨店に行こうって言ってたけど、タケルが新しい剣をくれるなら問題ないよね!」

 

「百貨店?もしかしてベンガーナの?」

 

「え?さぁ…、そういえば聞いてない。気球にのって行くって言ってたけど」

 

オレは暫く考えこむ。

百貨店。国にも寄るが色んな掘り出し物が在る場合がある。

品揃えも豊富だし何よりも普通の店よりも安い。

それにオークションもある。

残念ながらオークションを経験した事はまだ無い。

 

「ダイ、百貨店に行くぞ」

 

「え、ええぇ!?だ、だって剣は」

 

「良いじゃん別に。それにダイも百貨店には興味あるだろ?」

 

「う、うん…レオナは城よりも大きいって」

 

「おう、それに手に入らなものはないって言うくらいだしな」

 

そうと決まれば是非行こう。そうしよう。

思い立ったら吉日だ。

オレは荷物を纏めると気球目指して走りだした。

 

「行くぞダイ、はぐりん、ゴメちゃん!」

 

「ま、待ってくれよ」

 

「ピィ、ピィ~~~ッ!」

 

百貨店かぁ。楽しみだ。

最近シリアスと戦い続きで精神的に辛かったところだ。

この辺りでリラックスしておかないと色々と保ちそうにない。

ダイ達を助ける決意に変わりはないけど、それはオレに出来る範囲でだ。

選ばれし者だのルビスや世界樹の加護なんて正直オレには荷が重すぎる。

最近その事について考えすぎな自分がいて辛かったのだ。

でも百貨店に行けば気分も紛れるだろう。

オレは意気揚々と階段を駆け上がると扉を開いた。

 

「姫様ッ!百貨店にはオレも是非連れて行って下さい!」

 

こうしてオレとダイ、レオナ姫は気球に乗り込むと百貨店目指して空へと旅立つのだった。

初めてゆっくり見る空からの景色にダイは嬉しそうに声を上げる。

微笑ましそうにダイを見るレオナ姫。

ゴメちゃんとはぐりんは相変わらず喧嘩している。

後で気づいたが飛翔呪文で気球の下でぶら下がるポップ

一行は初めての穏やかな旅の中で心を通わせるのだった。

オレは錬金釜で最後に作った物を眺める。

 

「こいつを使うことにならなきゃ良いけど…」

 

オレの手の中には禍々しい光を放つ槍。

『地獄の魔槍』が異彩を放っていた。

如何なる盾をも貫く魔槍。実際にその名の通りだった。

矛盾という言葉など嘲笑うかの様にこの槍は『ウロボロスの盾』を貫く力を秘めているのだ。

当たりさえすれば間違いなく竜の騎士クラスの敵にも深手を負わせることが出来るはずだ。

これからの敵は間違いなくレベルが違う。

特に実力が足りない者は装備で補わなければダイ達の戦いに着いて行けない。

しかし作った装備が必要になるということは、それだけヤバイ事態だという事なのだ。

 

「イカン…、楽しむと決めたのに、また変な思考に…」

 

オレは皆にバレないように槍を仕舞う。

顔を上げると色取り取りの風船と花煙が上がっている。

百貨店から上がっているソレは、離れた空からでも明るい賑わいを感じさせてくれた。

こうしてオレたちは目的地であるベンガーナに辿り着いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レベル26

 

さいだいHP:155

さいだいMP:604

 

ちから:69

すばやさ:173

たいりょく:78

かしこさ:302

うんのよさ:256

 

攻撃力:245

防御力:115

 

どうぐ

E:地獄の魔槍

E:ビロードマント

E:幸せの帽子

E:氷の盾

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

 

どうぐ(チート道具袋ではない手持ちの)

 

エルフの飲み薬

エルフの飲み薬

エルフの飲み薬

超万能薬

超万能薬

世界樹のしずく

賢者の石

オーロラの杖

 

 

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

連続魔法 思い出す もっと思い出す

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

ドラゴラム

ニフラム マホカトール

バイキルト スカラ スクルト 

ピオラ ピオリム 

ルカニ ルカナン

ラリホー

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス アバカム 

ルーラ トベルーラ リリルーラ

レムオル

 

 




武具の性能や設定は独自の物が入っています。
ご了承下さい。

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