ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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本日の目玉商品『竜のうろこ』

はぐりん

 

職業:はぐれメタル

☆2:ひとりぼっち

 

LV1

 

さいだいHP:8

さいだいMP:30

 

ちから:60

すばやさ:1001

たいりょく:5

かしこさ:15

うんのよさ:82

 

どうぐ

 

E:どくばり

 

攻撃力:61

防御力:500

 

特技

 

ギラ

アストロン

 

 

「うーむ…」

 

オレは はぐりん のステータスを見ながら一人唸っていた。

微妙だ…。

強くはないが弱くもない。

はぐれメタルらしく防御特化型だ。

しかし体力が余りにも残念すぎる…。

ついさっき気がついたがオレはどうやら はぐりん の強さが分かるらしい。どの程度のステータスか気になって はぐりん を眺めていたらこうなった。

頭にステータスが浮かんだのだ。

しかし素早さ1001って…。

カンストどころじゃないだろ?

オレ、良く倒せたよな…。

仲間になって間違いなく素早さステ修正されたな…。

 

 

現在オレは旅のお供に はぐりん を引き連れてカール王国を目指していた。はぐれメタル狩りは取り敢えず後回しだ。

確実に はぐれメタルを短時間で狩るには今の戦力だと無理だ。急がば回れだ。

 

初めの はぐれメタルは運良く倒せたが、次も首尾よく事が運ぶ保証はない。

実際、10回戦って10回逃げられても珍しくないのだ。

このまま狩りを続けても時間の無駄に終わる可能性が高い。

ならば、より確実に はぐれメタルを仕留める方法を得る方が良いと思ったのだ。

 

どっちにしてもオレはカール王国に行く予定だったのだ。

あの国には有名な図書館がある。

古今東西、様々な呪文書も集まっている筈だ。

あの有名な『アバンの書』もあるという…。

そう簡単に閲覧できるとは思えないが、善は急げだ。

 

「いくぞ、はぐりん!」

 

はぐりん は勢い良く頷くとオレの肩に飛び乗った。

こいつ、体力ないからな…。

オレはカールを目指して全力で走りだした。

 

 

 

一方その頃、ダイ達は遂にレオナ姫の待つバルジ塔に到着した。

塔の屋上からは黒い煙が上がっており、不吉を感じる。

到着してみるとフレーザードはレオナ姫と戦っていた。

先ずはアポロがフバーハの呪文で耐え凌いでいたのだが、フレイザードの禁術である『五指爆炎弾』を撃ち放った。

一度に五発ものメラゾーマを放つ絶技だ。

フバーハの結界も易々と破られようとしたその時。

 

「大賢者の杖よ!光壁を!」

 

フレイザードの攻撃をレオナ姫は大賢者の杖の力で防ぐ。

杖からフバーハと同様に光の防御膜が展開、五指爆炎弾を防ぎきる。

 

「す、すごい…私のフバーハ以上だ…っ!」

 

賢者アポロは賢者の杖の力を目の当たりにして驚愕する。

 

「アポロ、火炎系呪文と氷系呪文を使ってはダメよ!真空系か爆裂系の呪文に切り替えて!弱点をつくんじゃなくて確実にダメージを与えるの!」

 

「わ、分かりました!」

 

「皆はアポロの援護を!」

 

「はっ!」

 

兵士たちは盾を構えて防御姿勢を取る。

レオナ姫とアポロを守るようにフレイザードに立ちふさがる。

 

「皆、まずは生き残ることを考えて!

 エイミが必ず助けを連れてきてくれるわ!

 それまで頑張って!」

 

「…ちっ!厄介な姫さんだぜ…」

 

フレイザードは忌々しそうに呟く。

そして希望は到着した。

 

「レオナーッ!!」

 

ダイは気球から塔に飛び降りた。

それと同時にパプニカのナイフをフレイザードに投げつける。

 

「う、うぐっ!」

 

ナイフはフレイザードの肩に突き刺さり、後退させる。

 

「ダイ君!?」

 

「良かった!間に合った!」

 

「て、てめえ…このクソガキ、生きてやがったのかっ!?」

 

ダイの登場にフレイザードは目を向いて驚いた。

どうやってマグマの海から生還したのか…。

しかし現にこうして目の前にいる。

敵である勇者が。

 

「レオナから離れろ!」

 

「小賢しいわ!」

 

目の前の小僧がどうやって生き残ったのか疑問だ。

だが今は戦闘に集中するべきだ。

フレイザードは氷の腕から刃を生み出してダイに投げつけた。

対してダイは掌に火炎呪文(メラ)を生み出してそれを相殺する。

そしてフレイザードに睨みつけて言い放った。

 

「レオナに手を出せば、唯じゃ済ませないからな…」

 

「このガキが…」

 

フレイザードは肩に刺さったナイフを引き抜きながらダイを睨みつけた。

 

「タダじゃ済まさないだと…っ!?舐めた口聞きやがってっ!どうただじゃ済まさないか見せてみやがれっ!」

 

フレイザードの炎の腕がダイを襲う。

ダイは最小限、紙一重で躱すと隙かさず剣を振り下ろす。

破邪の剣の刀身がフレイザードの半身に食い込む。

 

「ぐぅっ…、おのれ……シャアァーーっ!!」

 

フレイザードはダイを逃すまいと剣を掴み、凍える吹雪を吐き出した。

ダイは刺さった剣を支点に身体を後ろに反転させる。

フレイザードの頭部を蹴りながら剣を引きぬいて後ろに飛んだ。

 

その一連の行動は約2~3秒程度。

凄まじい早技だった。

フレイザードもダイのスピードに驚愕の顔を浮かべた。

 

「フレイザード、覚悟しろ!!」

 

「な、生意気抜かしてんじゃねえ!!」

 

フレイザードはマヒャドの呪文を唱えた。

氷の手から凄まじい猛吹雪が放たれた。

 

「ギャハハハ…ッ!!!魂まで凍り付けっ!!」

 

「ダイ君…っ!!」

 

為す術もなく凍り付いていくダイをフレイザードは愉快気に笑う。

だが…。

 

「…っ!?」

 

だがその笑いも続かなかった。

ダイの剣から炎が燃え盛ったのだ。

メラメラと燃え盛る炎はダイを覆っていた氷を溶かしていく。

 

「ゲエッ!?な、なんだその剣は?」

 

アッという間に氷の束縛から解放されたダイは高らかに叫んだ。

 

「魔法剣だっ!!」

 

「な、何ぃ!?」

 

「いくぞっ!」

 

ダイは高く跳躍すると勢い良く剣を振り下ろした。

アバン流刀殺法『大地斬』と火炎呪文(メラ)の複合技。

 

「火炎大地斬!!」

 

「うおっ!」

 

とっさに腕を犠牲にすることで直撃を避けるフレイザード。

だが切られた氷の腕は更に燃え盛り、その身体を溶かしていく。

このままでは半身を失ってしまう。

 

「こ、この……、がぁっ!?ち、ちくしょうめ!!」

 

フレイザードは燃え盛る自分の腕を叩き落とした。

 

 

 

レオナ姫はダイの登場と、その逞しく成長した姿に感動を覚えていた。

思わず涙ぐんでしまうほどに。

しかし感涙してる場合じゃない。

今の自分なら充分にダイの援護が出来るはずだ。

レオナ姫は大賢者の杖を握り締めるとダイへと駆け寄った。

 

「ダイ君!」

 

「大丈夫かレオナ!?」

 

「私は大丈夫よ…皆が守ってくれたから」

 

レオナは倒れた兵士たちを見る。

既に事切れた者、重症を負って動けない者…。

アポロはまだ生きている者に付いている。

レオナは悔しそうに歯噛みした。

 

「ダイーッ!」

 

気球を屋上に取り付けたメンバーがぞろぞろと降りてくる。

 

「マァムとエイミさんは怪我してる人たちを頼む!」

 

皆はダイの声に従って倒れている者たちに駆け寄った。

 

「コイツだったのか…」

 

フレイザードの姿を見たポップはたじろいた。

しかし腕を失って膝を付いている様に顔を綻ばせた。

 

「でもちょっと優勢って感じだよな」

 

「まだ油断しちゃ駄目だ!」

 

ダイはチラリと後ろのレオナを見た。

ヒュンケルを殺しに来た時のコイツの残忍な顔が浮かぶ。

コイツは危険だ。ここで止めを刺す。

 

「フレイザード、これ以上レオナに手は出させない!」

 

ダイは破邪の剣を構えてフレイザードににじり寄る。

 

「くっ…ククク…ガァ~~ッハッハッハッ!!!」

 

「何が可笑しい!?」

 

「いいとも!もうこんな小物に興味も用もねえよ!」

 

フレイザードは狂喜の表情で振り返った。

 

「テメエの方が遥かに大きな獲物って事が分かったからな!」

 

「えっ!?」

 

「むぅんっ!!」

 

フレイザードは腕に力を込めた。

すると失った氷の腕がメキメキと音を立てて再生する。

 

「その首、俺がいただくぜぃっ!」

 

クオオオオオ!!!

フレイザードは体全体を震わせて腰を落とした。

ダイは確かに見た。

フレイザードの身体を覆うように構成されている岩石が動くのを。

危険を感じて叫ぶ。

 

「あ、危ないっ!みんな伏せろ!」

 

「氷炎爆花散!!」

 

フレイザードの身体が弾けた。

氷の弾丸と溶岩が四方八方に飛び散り辺りの者を襲う。

ダイはレオナを庇うように魔法の盾を全面に出し防御姿勢を取る。

ポップとマァムはみかわしの服の力で難を逃れている。

しかし全ては無理のようで躱しきれない物は魔法の盾で防ぐ。

頭部を守り膝を付いて足を踏ん張る。

その時、塔の頂上が輝いた。まるで灯台のように。

 

アバンの使徒、レオナ姫は殆どダメージが見られず立ち上がる。

だが他の者達は激しいダメージを受けて直ぐには起き上がれない。

 

「くそっ!」

 

ポップは直ぐにタケルから貰った回復道具を取り出した。

月のめぐみとアモールの水だ。

 

「マァム、手伝ってくれ!」

 

「ええ!」

 

ポップから道具を受け取ったマァムは怪我人に駆け寄った。

 

「く、まだまだ!」

 

ダイは皆を守るためにフレイザードに立ち塞がる。

何時の間にか元の体に戻ったフレイザードは指を左右に振って言った。

 

「チッチッチッ…お前はもう終わりさ…」

 

「なに!?」

 

「今の技は俺の部下への合図なのさ。死ののバトルを始めるためのな…っ!」

 

フレイザードは得意げに勝利宣言。

そして…。

ゴゴゴゴゴ…ッ

地響きがバジル島全体を揺るがした。

そして塔を挟むように二つに柱が地面から生えてくる。

炎の柱と氷の柱。

 

「さあショータイムだっ!」

 

炎と氷の柱の先が光を放つ。

光は塔を囲むように円を展開する。

そしてバルジ島は光りに包まれた。

 

 

 

 

「もうすぐギルドメインか…」

 

その頃タケルはラインリバー大陸の最北端の岬にいた。

海の向こう、水平線をじっと見る。

微かに大陸が見える。

肉眼で確認できる程に離れていないのだ。

これなら充分に渡ることができるだろう。

足下にはイカダが置かれている。

即席で作ったにしては良い出来だ。

 

「いくぞ はぐりん」

 

はぐりんは静かに頷くとオレはイカダを海に浮かべて乗り込んだ。

はぐりんも続く。

オレは空かさず聖水を振りかけた。

こんな不安定なイカダの上で海の魔物に襲われたくはないからだ。

 

「いくぞギルドメイン!」

 

オレはギルドメインに向かって船を漕ぎ始めた。

 

 

 

 

ギルドメイン大陸西方。

リンガイアの南方に位置するギルドメイン山脈では地響きが絶え間なく続いていた。

 

「グオオオオオッ!!」

 

大地を揺るがす咆哮と地響き。

何頭もの巨大な竜(ドラゴン)の断末魔が響く。

凄まじい速さで動く影は次々とドラゴンの首を叩き落としていく。

ここは超竜軍団のテリトリーだ。

リンガイア攻略の際、拠点としている場である。

国を滅ぼした後もそれは続いていた。

 

そして今日、超竜軍団は何者かの襲撃を受けていた。

ドラゴンも最強の魔物だ。

黙ってやられる訳ではない。

尾を振り回し、炎の息吹を吐いて対抗するが襲撃者を捉える事は叶わなかった。それどころか手痛い反撃を受ける始末。

攻撃した竜は襲撃者の反撃によって為す術もなく絶命する。

 

もしも軍団長がいれば結果は違っただろう。

だがバランは魔軍司令ハドラーの招集を受けて現在は鬼岩城だ。

頭の居ない竜の群れは次々と狩られていった。

それはまさに一方的な虐殺(いじめ)だった。

戦いが始まって約10分程、百頭近くいた竜の群れは全て地に伏していた。

 

「…ふぅ」

 

襲撃者は動きを止めて溜息を付いた。

二振りの双剣を腰の鞘に収めて空を仰いだ。

陽光によって素顔が晒される。

魔剣鍛冶師ロン・ベルク。

究極の剣完成の折、ランカークスの森を旅立った男は自慢の剣の力を試す為の旅を続けていたのだ。

鉄以上の強度を誇る鱗を持つドラゴンはまさにうってつけの相手。

あわよくば超竜軍団の団長である竜の騎士に会えるかもしれない。

ロン・ベルクの行動は早かった。

ベンガーナの地を侵略している超竜軍団に文字通り喧嘩を売ったのだ。

 

「…ちっ!この程度か…

 やはり竜の騎士が居なければ話しにならんか…

 こいつらを狩っていれば現れると思ったのだがな…

 ここは下手に動くよりもこの国で待っていた方が良いか…」

 

ロン・ベルクは物足りなさそうに竜の死骸を見た。

 

「いや、コイツらの鱗は使えそうだ。

 タケルのやつの土産にもなるだろう…」

 

ロン・ベルクは地図を取り出して見る。

 

「南はテランか…

 あの湖の水は質が良い…

 鍛冶場に使える場所もあるだろう…

 真・星皇剣の手入れもやっておきたいしな」

 

目的地は決まった。

ロン・ベルクは手馴れた手付きで鱗を剥がす。

ある程度の量、回収したところで立ち上がった。

 

「待っていろよ竜の騎士…」

 

ロン・ベルクはテランを目指して歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

ロン・ベルク

 

職業:魔剣鍛冶師

 

LV67

 

さいだいHP:501

さいだいMP:0

 

ちから:220

すばやさ:232

たいりょく:252

かしこさ:100

うんのよさ:99

 

攻撃力:380

防御力:203

 

道具

 

E:真・星皇剣

E:闇の衣

 

特技

 

気合ため 疾風突き はやぶさ斬り

みなごろし 魔神斬り 

足払い 回し蹴り かまいたち

みかわしきゃく 

真空斬り 受け流し さみだれ斬り

ドラゴン斬り メタル斬り 真・星皇十字剣

めいそう 大防御

 

 


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