ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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本日の目玉商品『身かわしの服』

ダイ達がロモスに向けて出発した後。

オレは一人、頭を悩ませていた。

次の目的地はベンガーナ。

恐らく現時点では最も安全な国だ。

ベンガーナの誇る戦車は実際に、何度も魔王軍の侵攻を防いでいる。

初めて戦車を見た時は感動したものだ。

 

「はぁ…」

 

オレは大きく溜息を付いた。

やっぱりダイ達が気になる。

心配してるわけじゃない。

何せダイは主人公。

それに竜の紋章まであるのだ。

どんなにピンチに陥っても勝てる要素はあるのだ。

 

「心配?」

 

ふと横から声がかかった。

レイラさんだ。

何時の間にかオレの隣にいた。

 

「ダイ君達の身を案じているのでしょう?」

 

そりゃ勘違いだ…。

最近良く勘違いされてるなオレ…。

ここは一つ誤解を解いておかないとな。

 

「いえ、ダイ達なら大丈夫だと思います。それに心配してるわけじゃないですよ。それよりもこれから先の事です」

 

「これから先の事?」

 

「はい、次はベンガーナにでも行こうと思って…あの国には戦車もあります。魔王軍もそう簡単には攻められないでしょう?」

 

オレの言葉にレイラさんは目を見開く。

そしてクスクスと笑った。

 

「えっと…オレ、可笑しいこと言いましたか?」

 

「えぇ、何だかんだ言ってもあなたはダイ君達の身を案じている。だってそうでしょ?そうやって理由をつけてあなたはロモスに行こうとしてるんですもの」

 

何を言ってるんですか奥さん…。

自分勝手に自己解釈しないで下さい。

 

「だってベンガーナに行くにしてもロモスから船に乗る必要があるでしょ?お見通しよ…」

 

レイラさんの言葉にオレは固まった。

そうだった…。

ルーラの出来無いオレには徒歩か船しか移動手段はない。

キメラの翼は最後に立ち寄った町や村に限定されている。

レイラさんはニコニコとした顔で俺を見ている。

やばい、物凄くやばい展開。

もしかして期待してますか?

しがない商人の俺に期待してますか奥さん?

それに皆さんもそんなに期待に満ちた目で見ないでくれ。

 

「商人の兄ちゃん、マァム姉ちゃんを助けてくれるの?」

 

「頑張って!」

 

「まだ若いのに大したもんじゃ」

 

何この展開。

もしかしてオレ、ロモス行き確定!?

レイラさんを見る。相変わらずニコニコ。

村の皆を見る。期待に満ちた眼差し。

断れる雰囲気じゃない。

 

「……い、いや~、レイラさん流石!バレてました?…適わないな~」

 

冷や汗ダラダラなオレ。

何でこんな事になったんだろう。

確かにベンガーナに行くにはロモスから船に乗らなきゃいけない。

行くしかないのか?

でもって戦いに巻き込まれるのか?

いや諦めるの早い。

今からゆっくり行けばもしかしたらクロコダイン戦が終わった後に着くかもしれない。そうなればオレはこのままベンガーナに行けば良い。

そうと決まれば…。

 

「じゃあそろそろ行きます。皆さん、お元気で」

 

「気をつけるのじゃぞ」

 

「マァムの事、よろしくお願いします」

 

こうしてオレはロモスへと旅立った。

 

「ゆっくり行こう…なるべくゆっくりと…一晩くらい野宿しても良いかも…」

 

 

 

 

ロモスの城下町。

魔の森を抜けたオレは門を抜けて街に入った。

 

「きゃああああ」

 

「た、助けてくれーっ!」

 

周りからは悲鳴と獣の吠え声が響いてくる。

それだけじゃない。

 

ゴオオオオオオォッ!!!

 

街からは火の手が上がり、ガラガラと建物が崩れる音も聞こえてきた。

火炎系呪文か閃熱呪文か、魔物が使ったのだろう。

 

「なんでこうなる」

 

オレは城門の影に身を隠して街の様子を伺っている。

実はもっと遅くに…。

少なくとも事が終わった後ロモスに到着する予定だった。

けど無理だった。

魔の森で野宿が。

そんな度胸、ヘタレたオレには無理だったのですよ!

凶暴な怪物が徘徊してるような森で一人眠るなんて出来るか!

誰だよ!魔物の数が減ってるなんて言ったのは!

お陰で無理やりの強行軍。

超スピードでロモスを目指して疾走した。

星降る腕輪の力もあって日が登る頃にはロモスに到着した。

 

「嗚呼、逃げようが立ち向かおうが危険じゃん」

 

兎に角、ロモス城にだけは行かない方が良いな。

天秤に掛ければ逃げた方がまだ安全だしな。

にしてもモンスター怖い…。

このまま立ち止まっているのは流石に不味い。

オレは聖水を自分にふりかけると、教会へと走りだした。

 

 

 

 

タケルがロモスに到着する少し前

ダイ達は怪物達の大きな咆哮で目を覚ました。

窓を開けると既に怪物は城下町に侵入しており、町は阿鼻叫喚だった。

既に人々に犠牲も出ている。

 

「そ、総攻撃をかけてきやがった…」

 

ポップは身を竦ませている。

 

「お、おい!ありゃ一体なんなんだ!」

 

隣の部屋にいた偽勇者が泡くって飛び込んできた。

 

「百獣魔団が来たんだ!」

 

「そ、そんな!今までこんな大軍で魔物が襲ってきた事なんて!」

 

『グオオオオオッ!!!』

 

今度は空から猛獣の雄叫びが響く。

クロコダインだ。

ヘルコンドルの力を借りて空を飛んでいる。

そしてそれに付き従うように鳥系の魔物が後に続いている。

 

「行け!行けぃっ!!ロモス城を殲滅するのだぁっ!!!」

 

怒りに燃えるその形相に面々は冷や汗をかいた。

偽勇者の一行は、全身を震えさせて怯えている。

 

「城へ向かってる?」

 

マァムの呟きにダイはキッと唇を噛んだ。

ダイは装備を身につけると部屋を飛び出していった。

 

「早く後を追わないと!」

 

マァムは急いで身支度を整える。

そして壁に立て掛けておいたハンマースピアを取った。

 

「さぁ行くわよ!」

 

「え、えぇ!?何でだよ!?」

 

ポップはマァムの言葉に難色を示した。

 

「先刻のクロコダインの目を見なかったの!?あいつはダイを殺す事しか頭に無いわ!今すぐ助けに行かなきゃ!」

 

「俺たちゃゴメンだからな!」

 

「そうよ!なんたって命が一番大事だしね」

 

「ハハ、俺も賛成~」

 

偽勇者達の意見にポップは賛成を表明。

その言葉にマァムは怒った。

ポップの胸ぐらを掴んで引き寄せて叫ぶ。

 

「何ふざけてんのよ!?早く…っ!」

 

「だけどよ、ヤツは半端じゃなく強いんだぜ?行っても殺されるだけだって…」

 

「だから私達が助けに行くんでしょ!?早くしないとダイが殺されちゃう…!3人で力を合わせなきゃ!!」

 

「心配ねえって…いざとなりゃダイはめっぽう強いし…死にゃしねぇよ」

 

「…ポップ?」

 

マァムは信じられないといった顔でポップを見る。

ポップはバツが悪そうに目を逸らすだけ。

二人の間に重い空気が流れる。

号を煮やしたマァムはポップを揺すって叫ぶ。

 

「あなた、ダイの友達じゃないの!?仲間じゃなかったのっ!?どうしたのよ!」

 

「うっせえな!オレは初めから魔王軍と戦う気は無かったんだ!好きで戦っていた訳じゃないんだよ!」

 

ポップは肩を震わせて叫んだ・

 

「そりゃアイツとは一緒に修行した仲だ。けどよ…あ、あいつがいるから次々と敵が襲ってくるんだぜ?巻き添えくって死にたかねぇっ!」

 

「…っ!」

 

次の瞬間、ポップは吹き飛んでいた。

マァムが力の限りポップをぶん殴ったのだ。

ポップは壁を突き破って倒れた。

すぐに身を起こしてマァムを睨みつける。

 

「…て、てめえっ!」

 

しかし言葉が続かなかった。

マァムが泣いていたのだ。

その表情は失望と落胆、そして深い悲しみ。

 

「あなた、アバン先生から何を学んだの?ダイもあなたも先生の敵を討つために…命がけで戦っている…そう思ったからこそ私、ついてきたのに…仲間になったのに…」

 

「マァム…」

 

「最低よ!あんたの顔なんて二度と見たくない!」

 

マァムは背を向けて走りだした。

 

 

 

 

なんとか怪物をやり過ごしながらオレは教会へと目指していた。

逃げ切れない怪物を攻撃呪文で倒しオレは走る。

十字架の付いた三角の屋根が見える。

教会に間違いない。

非常時なら教会に住人が避難しているはず。

薬草を持っていけばウハウハだ!

命が掛かっているんだ。かなり売れるに違いない!

 

「…ん?あれは、マァムか?」

 

目に涙をためたマァムが走っていくのが見える。

向かう先には城がある。

どうやらポップと別れてダイを助けに行くみたいだ。

 

「…気になる」

 

ポップが勇気を振り絞って立ち上がるシーン。

メチャクチャ気になる…。

でも前も好奇心に負けて死にそうな目に合ったんだよな。

しかし今回は迷わず様子を見に行く!

何せダイの大冒険で一番好きなキャラを聞かれれば迷いなくポップと答えてしまうオレ!

それにクロコダインの所に行く訳じゃないし…。

ちょっとだけなら…。

気がつけばオレはマァムが来た方角に向かっていた。

少し行くと『INN』の看板が見える。

あそこにポップが居る筈だ。

 

 

 

 

マァムがダイの後を追って少し。

ポップは葛藤の渦にいた。

怪物が怖い。自分なんかが適うわけがない。

痛いのも怖いのも嫌だ。

死にたくない。

でも…。

本当はダイ達を助けに行きたい…。

 

「…いや、関係ない!関係ねぇさ!あいつらが死のうとオレの知ったこっちゃねぇっ!」

 

そうだよ。

それにオレなんかが行っても意味はない。

クロコダインに殺されるだけだ。

最終的にはそう完結してしまう。

ポップはそんな自分が堪らなく嫌だった。

 

「おじゃまするよ」

 

「だれだ?」

 

現れたのは魔法使いの老人だった。

 

「たしか、偽勇者の…」

 

「ホッホッホ」

 

魔法使いの男は怪しそうな笑みを浮かべると、部屋に備え付けられている椅子に腰を下ろした。

 

「あんたは逃げねえのか?」

 

「あいにくと皆が逃げてからがワシの仕事での」

 

魔法使いはローブに隠してある金品をテーブルに置いた。

 

「廃品回収と言うわけじゃな…」

 

「何を言ってやがんだ!そういうのを火事場ドロボーって言うんだ!」

 

「どうじゃ?お前さん、ワシの仲間にならんか?見たところ見所がありそうじゃ…」

 

「冗談じゃねぇ!いいか?オレはかつて魔王を倒した勇者アバンの弟子だ!てめえら小悪党と一緒にするな!」

 

ポップはアバンの印を取り出して叫んだ。

 

「ほほう…ワシには全く変わらんように見えるぞ?」

 

「何だと!?」

 

「仲間を見捨てるような者に務まるかの?あの有名なアバンの使徒というのは…?」

 

ポップは痛いところを突かれ口篭った。

全くもってその通りだからだ。

ポップ自身、既に自覚している。

だが踏み出す勇気がないのだ。

 

「どれ…お前の仲間がどうなっているのか。ワシが水晶玉で見てやるとするか…」

 

魔法使いは取り出した水晶玉に魔力を込めた。

水晶玉が光を放ち、望みの風景を映し出す。

 

「ああっ…!?」

 

映しだされたのは倒れたダイを見下ろすクロコダインだった。

鬼面道士ブラスも居る。

ダイに取っては手を出せない育ての親だ。

デルムリン島の結界の外に出た為ダイの敵に回ってしまったのだろう。

マァムは悪魔の目玉に捉えられて身動きが取れない状態だ。

まさに絶体絶命だ。

ポップは水晶玉に縋り付いて涙を流した。

何とかしてやりたい!助けたい!

 

「ちくしょう…っ!」

 

「勇者とは勇気ある者っ!!!」

 

いきなりの言葉にポップは顔を上げた。

いつもは悪人顔の魔法使いの真剣な表情。

思わずポップは聞き入ってしまう。

男は立ち上がって叫んだ。

 

「真の勇気とは打算なきもの!相手の強さによって出したり引っ込めたりするのは本当の勇気ではないっ!!」

 

男の言葉にポップは肩を震わせた。

それは自分自身だったからに他ならない。

打算に満ちた自身の行動…。

男はフッと笑うと再び腰を下ろした。

 

「なんてな…ワシの台詞じゃないぞ。ワシの師匠がいつも言っていた言葉じゃ」

 

「…師匠?」

 

「ワシもな…若い頃は正義の魔法使いになりたくて修行しとったんじゃよ…けど駄目だった。自分よりも強い奴が相手だとどうしても踏ん張れなくてのぅ…仲間を見捨てて逃げるなんてザラじゃった。おかげで今はこのザマじゃ」

 

「じいさん」

 

「お前さんを見ると昔の自分と重なっての。放っておけん気になってしまってな…ちと、おせっかいをしたんじゃよ」

 

男はポップの胸に手をおいて言った。

 

「さぁ早く行け。胸に勇気の欠片が一粒でも残っているうちに…小悪党にゃなりたくないだろう?」

 

それはポップの望んでいた最後の一押しだった。

魔法使いの男はポップの背中を押したのだ。

ポップは目に強い決意を宿していた。

もう迷いはなかった。

ポップは部屋を飛び出した。

 

「ポップ!」

 

「お、おめえは、タケルじゃねぇか!?」

 

宿屋から飛び出したポップに声を掛けたのはタケルだった。

 

 

 

 

オレが宿屋の前に来ると血相変えたポップが飛び出してきた。

そうか、これからクロコダインと戦いに行くのか。

凄い勇気だな。

さすが魂の力『勇気』の人だけの事はある。

オレにはとても真似出来無い。

けど少しの手助けくらいは許されるだろう。

オレはポップに声を掛けた。

 

「ポップ!」

 

「お、おめえは、タケルじゃねえか!?」

 

「行くのか?クロコダインの所に」

 

「…ああ」

 

強い目だ。

今のポップになら武具を渡しても良い。

オレはポップに用意しておいた防具を手渡した。

 

「こ、こりゃ…『身かわしの服』じゃねぇか!?」

 

「急いで着ろ!時間がないんだろう?」

 

ポップが驚くのも無理は無い。

身かわしの服は高級品だ。

動きやすい様に作られており敵の攻撃を避けやすい。

しかも鉄の鎧よりも丈夫なのだ。

非力な魔法使いにとっては心強い防具なのだ。

 

「けどよ…」

 

「オレに出来るのはここまでだ。出来ればオレも一緒に行ってやりたいが…」

 

オレは教会の方を見る。

向こうからは人の悲痛な泣き声が聞こえてくる。

ポップの表情が歪む。

 

「オレはオレに出来る事をしようと思う」

 

これは本音だ。

オレは大量の回復アイテムを持っている。

今は役立てる時だ。

 

「ダイとマァムを助けるんだろ?」

 

オレの言葉にポップは力強く頷いた。

ポップは着ている服を脱ぎ捨てると走りだした。

どうやら走りながら身かわしの服を着る気の様だ。

 

「やれやれ、たった一日で変わるもんだな。アレが本物ってやつなんだろうな」

 

上半身裸で身かわしの服を脇に抱えて走るポップ。

その後ろ姿を見ながらオレは溜息を付いた。

 

「頑張れよ…ポップ。オレ、お前の大ファンなんだからな…」

 

勿論ダイよりも…。

こんな事、とても本人には言えないよな。

オレはポップに言った言葉を実行する為に走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日のタケルのステータス

 

レベル16

 

さいだいHP:95

さいだいMP:550

 

ちから:45

すばやさ:110

たいりょく:47

かしこさ:275

うんのよさ:256

 

攻撃力:118

防御力:112

 

どうぐ

E:ガンブレード

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

E:魔法の弾×10

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ

インパス

 


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