探せ!
草の根分けてでも探し出せ!!
白髭ヨボヨボのおじいちゃん、齢70くらいのお爺ちゃん、鱗を剥がし尽くしたヤンクックみたいな鳥を飼っている、奴がそうだ!
見つけ次第カツアゲよろしく『卵出せやコラ』とでもシメ上げろ。
ちょっっっと変わった卵だが持ってこい!持ってきた奴には金貨10枚くれてやる!
───なんてガンビーノが叫んでたが何なんだあれ。
遠路はるばるクシャーンにまで来て一番最初にする事が養鶏家(?)と思しき老人探しとは…いやはや。
それも手隙の連中を総動員してまでやる事か?
「なあー、ここにあるヤンクックってなんだよ」
「知るかよ。卵とか飼ってるとか書いてあっから鳥かなんかだろ」
「(鳥なのに鱗を云々って……)」
「なぁ隊長ー、隊長はこのヤンクックって鳥知ってんすか?」
「はぁ?ンなもん俺も知らねーよ」
報酬の金貨に食い付いちまったのが失敗だったぜチクショウ。
何処にいるのかも分かんねぇジジィ探しなんてそも俺には向いてねぇんだよなあ〜。
あ。
そうだよ、なにも歩き回る必要は無いじゃねーか。
「よっしゃ、オメーら酒場行くぞ!」
「え」
「ちょっ!それは──」
「バーラン隊長、いくら何でもそれは…」
「バッカ、誤解すんな。人の集まるところに情報有りだ!って事で楽して情報集めんぞ!!」
「「((大丈夫かよ…))」」
「おっほ、良いっすね!行きましょ!」
うーん、やっぱ俺天才じゃね?
*
「70くらいで鳥を飼ってるお爺さん?」
「そそ、知らないか?」
「ウチの常連さんには居ないかな…それとお客さん達が話してる内容にもそんな名前の鳥は居なかったと思うけど」
「あーー、そうか。あんがとついでにもう一杯!」
…ここも駄目か。
もう何軒もハシゴして何十杯と酒を飲んでるのに全然ジジィの手がかりが見つかんねぇ。
つーかホントに生きてんのかこのジジィ、齢70過ぎてんだろ?既にポックリ逝ってても不思議じゃねえよ。
金貨10枚もする値打ちもんの卵拝めねえのは惜しいけどこの際だ、仕方ねえ、次行くか。
「おいテメェら起きろ。次の店行くぞ、おい」
「……」
「う"ぅ…もう勘弁してくだざぃ」
「──Zzz」
チッ、下戸共が。なっさけねぇ。
どうすっかな…さすがにコイツら担いでハシゴはちょっとなァ。
まあいっか、ここまで探して見つからねえんだ。
他の奴が見つけりゃ上々、それでも見つからなきゃポックリ逝ってたってこった。
無駄に頑張る必要はねーわな。
「おーい姉ちゃん!肉揚げともっ杯くれや!」
「隊長…そろそろ……」
「おう、これ食ったら戻るから寝てていーぞ。支払い済ましたら起こしちゃる」
「oh......」
「ハーイ、おまちどう!」
うん、美味い。
「おかわり!!」
「「((帰りてぇ…))」」
「Zzz…」
*
「───で?今の今まで呑んだくれてた訳か」
「いやガンビーノ待ってくれ。探してたんだ、だけどよ…見つかんなくてよ」
「卵は別の隊の奴が見つけてきたから良いとして、昼間っから飲み歩きたァ良い身分だな?バーラン」
やっべぇ…やっべぇよ。
これ激おこだよ。
船の営倉送りとかワンチャンあるやつだコレ。
「あ、あ〜…なあ。卵ってどんな感じのやつだったんだ?金貨10枚も出すほどなら一目!せめて一目拝んどきたいんだよ。そしたら大人しく罰受けるからよ!な?頼むよ」
なんの為の苦労か知っておきたい。
そう思うのは我儘じゃねえ、そうだよな!?
「……コレだ」
コトンと出された
ヤンクックの卵らしいソレはなんて言うか──
「えっ気色悪ッ」
あ。
「今月いっぱい禁酒しろ。それが罰だ」
1ヶ月!?
今月始まったばかりじゃねーか!!
嫌だ!1ヶ月も酒が飲めねえなんて…死刑じゃねーか!
「連れて行け」
「「ハッ!」」
「悪かった!ガンビーノ!!口が滑っただけなんだ。おいヤメロ!離せッ」
たかが卵1個のせいで禁酒なんて……
あんまりだァーーーッ!!