ミッドランド軍本陣では延々と軍議が開かれていた。
いくら兵を投じてもまともに城壁に取り付けない現状を打開せんと各軍団長が集められている。
が、なかなか良案が出てこないまま時間だけが過ぎていく。
「だから、両翼から軍団を進めれば突破出来ると!」
「貴殿は知らぬのか?青藍騎士団がそれをして半数を失って敗走したではないか!」
「いっそ投石機で門を破っては如何か?」
「そなたは着任間もない故知らぬだろうが、あヤツらに砲弾を撃ち込まれて使える投石機は残っておらぬのだ」
「たとえ城壁まで辿り着けても激しい抵抗を受けて結局は引くしかなくなる。しかも紫犀聖騎士団が追撃してくるから被害が攻める度に増してゆく…」
「「「「むむぅ……」」」」
揃いも揃って唯々唸るばかり。
無理もない、ミッドランド軍の首脳陣は老練な者達ではあっても、老練故に新しい感覚や柔軟な考え方が難しいのだろう。
俺もガッツから要塞前の足止めの罠が使えなくなる条件を聞いてなかったら危なかったかもしれないくらいだ。
しかも聞けばその罠はガッツの父が考案したとか。
最高の好敵手だと喜びたい気分だ。
「いやしかし、これでは幾ら鷹殿といえ攻略は厳しいでしょうなぁ」
軍議の緊張に耐えかねたのか、場の空気を緩めようとしたのか、1人の貴族がそう切り出してきた。
軍議の場に呼ばれはしたが身分のせいで発言が難しい身には嬉しい舟だ。乗るしかない。
「お望みとあれば…」
「いやいや、致し方ない事ですぞ。何せ難攻不落の─ 今、何と?」
「陛下がお望みとあれば、あの要塞を落としてご覧に入れます」
俺の言葉を受けて場がざわめき出す。
無理もない、国のトップたる自分達が落とせない城をポッと出の若輩に落とされたら面目丸潰れだろう。
だが俺は俺の夢の為にもここは見せ所、引く訳にはいかない!
「どれ程の兵がいるのじゃ」
「陛下ッ!」
異を唱えようとした男を手で制して王は言葉を続ける。
「グリフィス、我が軍は既に多大な犠牲を払った。これ以上負ける訳にはいかぬ。どれ程の兵を与えればあの要塞を落とせるのじゃ」
「一兵も頂きません。私の鷹の団だけで当たります」
「不可能だ!」
「鷹殿、悪い事は言わぬ。見栄を張るのはよされよ」
よくもまぁ言えたものだ。
どれだけ自分達が兵を無駄に溶かしてきたかなんて考えた事も無いのだろう。
新しい知恵に対して古い知識を必死であてがおうとする、それが叶わぬと知って尚彼らは変わろうとしていない。
こんな奴らよりも俺の方が優れていると国に、王に、兵達に見せつけてやる。
「陛下、たとえ失敗しても失うのは1傭兵団のみ、痛手にはなりますまい」
「鷹殿ッ!」
「グリフィス殿、自身が何を言っているか分かっておるのか!?」
「静まれ……余は決めたぞ。鷹の団グリフィスにドルドレイ攻略を命ずる」
「はっ」
一部を除いた軍議に連ねる貴族の表情が僅かに歪んだのがわかる。
これでいい、それでいいんだ。
この場で俺に好意的な貴族を見極められるのはデカい。
「それでは私はこれで」
ユリウス将軍、貴方は…危険だ
お気に入り数が初投稿時の倍なんてレベルじゃないくらい増えてて言葉もないです˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚アリガトー
どうやら一時的にですがランキングにも乗ってたらしく…!?
(どのランキングかはわかりませんが)
これはもう…エンディング目指して完走する覚悟ですぞ!(*´罒`*)