ベルセルク/ガンビーノ転生!?   作:霧桜ルー

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子離れするべきだな…!

 

 

 

「ここに居たのかガンビーノ」

 

「うん?」

 

宿営地近くを流れる小川で剣を研いでいた所にウルバンが声をかけてきた。

見れば特に装備も付けてないラフな格好でどこか清々しい様な雰囲気を漂わせている。水でもぶっかけりゃ『水も滴るいい男』になりそうな。

なんだろう…生理的に受け付けねえ。

 

ウルバンには悪いが何処と無く嫌そうな顔をしちまってると思う。

 

「んだよ見りゃわかるだろうが暇してねえからな、暇つぶし相手探してんなら他当たれよ」

 

「おいおい一言目がそれかよ。いい知らせがあるから来たんだけどな」

 

いい知らせ。

はて?俺に言いに来る程の事でなんかあったっけか。

 

「ガッツの事でな「アイツがどうした」

 

イケねぇ早っちまった。

おい何だよウルバン、アホけてないで続き言えや。

 

「あ、ああ。アンタから頼まれてたガッツへの医療教育だけどな、一通り教え終わったからって言いに来たんだ」

 

「そうか…それは確かにいい知らせだな。礼言うぜ」

 

研ぎもそこそこに剣を収める。

特に予定も無いしガッツの訓練でも見に行ってみるか

そんな俺の考えを見透かしたのかウルバンが忠告という名の釘を刺してきた。

 

「ガッツんとこ行くのも良いけど時間ずらした方がいいんじゃないか?アンタが見に行ったら…いや、見てるのをガッツが気付いたら訓練に集中出来なくなると思うんだけど」

 

「んぬぅ…」

 

ちくしょう否定できねえ。

仕方ない、晩飯の時にでも座学の事を褒めて、ついでに夜戦訓練の方を覗きに行こう。

夜なら俺が見に行ってても見つけられないだろうからな。

 

ウルバンと一緒に天幕に戻りながら覗きを決意する。

 

それにしても本当に丁度いいタイミングだった。

ガッツを独り立ちさせようと思っていたが、技術も知識も中途半端なうちは実現できない。あと心配なのは剣の方だけだがそれも夜には分かる事だ。

 

嗚呼、本当に楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜◇シス◇〜〜〜

 

 

 

 

 

晩御飯を食べ終わってすぐ、ガッツとガンビーノは席を立ってしまった。

ガンビーノは仕事が、ガッツは訓練があるから仕方ないけどせっかく家族が揃ったんだからゆっくりして行けばいいのにとも思う。

 

「独り立ちかぁ…」

 

数日前、急にガンビーノがそんな話をしてきた。

確かにガッツも12歳になってある程度の事は自分で出来るようになっている。嬉しい反面、少し寂しいものがある。

でもやっぱりまだ早い気がする。

 

使った食器を川で洗った帰り道、とある場所でガザッっと草が動く音が聞こえた。

思わず体が硬直するも、音のした所をよく見ると草影から鞘と足が生えている。見覚えのある靴と剣の鞘。

 

「……ガンビーノ?」

 

何してんのこんなトコで。

 

「シスか?シッ 静かにしろ、今ガッツの訓練を見てる真っ最中なんだからな!」

 

音を立てないようにゆっくり振り向きながら、声を出すなと言いたげに口元に指を立ててる。

ホントに何してんの?

 

「ガンビーノ…なんて言うか、何その格好」

 

全身に草をまとって顔には薄く泥を塗っている。

怒られないように声のトーンを抑えて聞きながらガンビーノの近くに座る。

ガッツを独り立ちさせようとしてる父親の行動じゃ無いよね、絶対。

 

「いいかシス、これは必要な事なんだ。ガッツの今の実力を見極める為に見てるんだからな。アイツが1人でも生きていけそうか見極めんだよ」

 

「ふーん。ホントに独り立ちさせるんだ」

 

私は乗り気じゃないけどガンビーノがさせると言ってるからさせるんだろうね。不満が無いわけじゃないけど私は幸せな方だからあまり我儘は言えない。

実際この世界でガンビーノくらいじゃないかな?子育てに積極的で女の私の意見も聞いてくれて、一途な人って。

 

「…どんな感じなの?ガッツは大丈夫そう?」

 

「思ってた以上だな。バーランを押し返してやがる」

 

へえっと感心する。

頭の良さは別として剣の腕は団内でも上位に入るバーランを押せるなんて…。

 

「じゃあガッツは合格?」

 

「ああ、近々アイツにも独り立ちの話をしても良さそうだぜ。ウルバンも医学は教え終わったって言ってたからな」

 

「そぅ…そっか、分かった」

 

胸がキュッと締め付けられる感じがする。

ガッツの独り立ちまで時間が無い、成人するまで待つ気はガンビーノに無いらしくて15、6歳頃には…って言っていた。

 

「シス、俺を恨むか?」

 

ガンビーノの問いに一瞬驚いた。

恨みなんかしない、ただ少し寂しくなるだけなんだから。

 

「そんな事しないよガンビーノ、私もガッツの独り立ちに賛成するから」

 

ガンビーノは静かに頷くだけだった。

大丈夫、ガッツが居なくなってもガンビーノが傍に居てくれる。私はひとりじゃない…。

 

「…先に戻ってるね」

 

せめてその時までは甘やかしてあげたい、甘えて欲しい。まだ子供なんだから。

私達の、たった1人の愛息子なんだから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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