大丈夫だ、問題しかないから。-Blue trajectory- <1st Season> 作:白鷺 葵
2023/11/26 0時で、『大丈夫だ、問題しかないから』シリーズのリメイク版作品、『問題だらけで草ァ!!』2ndシーズン編のリメイク進捗が完了しました。以後は新規書下ろし&執筆となります。作品はこちら。
今回は作品のあらすじ、最新話の冒頭~一区切り部分までを掲載しておきます。
相変わらず拙いモノカキで良ければ、この作品を見守って頂けたら幸いです。
【あらすじ】
人類に
世界には、自分の記憶や経験を共有させる力を持つ、
世界には、自身がまったく見たこと経験したことのない記憶および経験や知識――
世界には、
これは、元・ユニオン軍所属のフラッグファイター/現・悪の組織及びスターダスト・トラベラー居候のMSパイロット――
果たして、世界の明日はどこにあるのか。
『パンジャンドラムがどの方向に転がるか』を予測できたら、多分見つかりそうである。
Q.問題だらけなんですけど!?
A.仰る通りです。具体的な問題点は以下の通り。
1.この作品は『大丈夫だ、問題しかないから』シリーズのリメイク版です。
2.『ガンダム00』を原作に、アニメ版『地球へ...』、及び『スーパーロボット大戦』や『Gジェネレーション』シリーズ等の要素とクロスオーバーしています。
3.主人公含め、オリキャラが多数登場します。
4.キャラ改変や原作崩壊、原作死亡キャラの生存要素があります。
5.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
6.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
7.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
8.基本はギャグとラブコメ色強めですが、時々シリアスになります。
9.このお話は1st本編開始前から始まります。
10.現時点ではPixivとのマルチ投稿を予定していますが、更新優先度はハーメルンの方が高いです。向こうで2期篇の投稿が始まり次第、リンクを張りますのでお待ちください。
上記が「大丈夫」という方は、このお話をお楽しみください。
感想頂けると嬉しいです。
“6人の仲間集め”――第3者からのハッキングを受けているヴェーダのブラックボックス内で進行している謎の計画である。
ソレスタルビーイングの活動再開を皮切りに発生したこのミッションは、リボンズたちの与り知らぬところで進行中だ。
件の情報をリボンズが把握できている理由はただ1つ。“イノベイドの中でアクセス権が1番高いのがリボンズだから”に他ならない。
“6人の仲間集め”の進行度は“4人目の追加”。『仲間を見つける力』を有する情報収集型イノベイドの学生/戦闘型の特性を有する訳アリの1人目――レイヴ・レチタティーヴォ、『仲間を目覚めさせる力』を有する情報収集型イノベイドの医者である2人目――テリシラ・ヘルフィ、『仲間を繋ぐ力』を有する情報収集型イノベイドの少年である3人目――ブリュン・ソンドハイム、『機械を操る力』を有する元情報収集型イノベイドである
しかし、計画の進行中に
ヴェーダ内部に残っている
(イノベイド限定とはいえ、S.D.体制下における思考プログラムとほぼ同じ力を行使できるイノベイド――ビサイド・ペインと深い関りがある場所だ。何か起きたとするならば、十中八九ビサイドが関わっている)
件のビサイドは“リボンズと同じE.A.レイの遺伝子配列で生み出されたイノベイド”であり、一時は“アレハンドロ派の協力者”として暗躍していた同類だ。リボンズから見た彼は“腹に一物抱えている問題児”だったが、彼から見たリボンズは“いつか蹴落とそうと思っている邪魔者”でしかないのだろう。
そういう経緯もあって、自分たちの仲は『
『“6人の仲間集め”について、ちょっと気になることがあるんだ』
『今回は、僕自身の力で向き合ってみたいんだよ』
『大丈夫だよ! ちゃんと成果を挙げて帰って来るから、安心して待っててね!』
(――リジェネ、大丈夫かな)
アロウズのパーティ会場への潜入任務が終了して以降、行方の分からないリジェネに思いを馳せる。彼が上記の言葉を言い残して消息を絶ったのは、ソレスタルビーイングとの情報交換を行った後。
以降の
ただ、それは“悪の組織/スターダスト・トレイマーの第1幹部としてのリボンズ・アルマーク”の見解である。“長兄としてのリボンズ・アルマーク”は、全く別な見解を出していた。
リジェネ・レジェッタは、リボンズが『兄弟』と定義した
それでもリボンズや周囲の人々がリジェネの発想に耳を傾けるのは、『その発想で一定の成果を挙げてきた』という実績があるためだ。リジェネはリジェネなりに、リボンズやマザーの利になる――イオリアの理想実現に近づくための突破口を探し求めているのだろう。
(弟離れ、か……)
弟妹達の成長は喜ばしいことだ。――ただ、少しばかり、寂しいだけで。
(最近は、マザーやアプロディアと何やら話し込んでたな。僕はてっきり、アニュー専用の支援機開発の話かと思ってたんだけど)
尊敬する母と悪の組織/スターダスト・トラベラーのバックアップを勤める頭脳にして疑似人格AIの2人が、悪戯っぽく笑って沈黙していた姿を思い出す。リボンズは思わずため息をついた。
リジェネ主導で行われている秘密の話し合いに関して、他の兄弟妹たちは何も知らないようだった。把握していた内容を要約すると、“アニュー専用の支援機開発”――最近、機体の名前が『ガッデス』に決まり、能力的に類似性が高いリジェネがテストパイロットをしていた――程度。
彼が動かしているのはその試作機にあたる
リボンズ率いる第1幹部に所属する面々――リジェネ、ヒリング、リヴァイヴ、ブリング、デヴァイン、アニュー――の6人の中で、純粋な戦闘型はヒリング、リヴァイヴ、ブリング、デヴァインの4名だ。それ故、リジェネがMSで戦線に出る機会は非常に少なかったりする。
“6人の仲間探し”の構成員の大半が情報収集型イノベイドであり、疑惑と訳アリのレイヴ以外の面々は非戦闘員だ。尚、ラーズは“元・情報収集型イノベイドが紆余曲折の末に、自力で戦闘技能(銃の扱いや狙撃能力)を獲得した”だけで、MSを用いた戦闘能力は皆無。故に非戦闘員として括られている。MSを用いた戦闘が必要になった場合、現時点で彼らは無力であると言えよう。
仲間の候補に選ばれたイノベイドの中にはMSを用いた戦闘技能を有していた者がいたようだが、該当者はラーズによって殺害されていた。“仲間”にまで適応されているかは分からないが、仲間
(僕が
<――リボンズ!>
そんなことを思案していたときに割り込んできたのは、ノブレスの思念波であった。
どこか切羽詰まった様子に身を竦ませながらも、リボンズは彼の《聲》に耳を傾ける。
<どうしたんだい? そんなすごい顔して>
<緊急事態なんですよ! 今、秘匿通信経由でデータ送ります!>
ノブレスの鬼気迫った形相と勢いに気圧された直後、秘匿通信で何かのデータが送りつけられてきた。リボンズはそれに目を通す。
<……は? え? ちょ、何これ?
<わあ奇遇ですね。僕も一目見たときは
送られてきたのは図面である。一目見たリボンズは、思わず感想を零した。
期せずして、それはノブレスの第一印象及び感想と同じだったらしい。
一時は同調する姿勢を見せたノブレスであるが、即座に本題へと戻って来た。
<アレハンドロの奴、刃金蒼海や
ノブレスの言う
国際条約という法律の守り――『条約違反の罰則』と言う名目を行使して、報復と見せしめが可能――が万全なら、勿論、武力による迎撃手段――地球連邦軍の軍勢を配備することによる堅牢の守り――が揃っているのは当然だろう。地球連邦軍、及びアロウズにとって、報復や粛清が正当化されるというわけだ。
メメントモリへのエネルギー供給源は太陽光発電システム。まさしく、軌道エレベーターは最高の立地条件であると言えよう。
リボンズとノブレスは“アレハンドロを騙し、諸々出し抜いて完全勝利した”と思っていたが、そういうわけではなかったらしい。
こんな厄介な置き土産を残していくとは、本当に腹立たしい野郎だ。しかも、ネーミングセンスは最悪の極みである。
<ラテン語で“死を想え”、“死を忘れるな”か……。脅しの道具として、これ程までに似合う名前はないだろうね>
<本当にクソすぎませんかこれ? 更にクソなのが、『S.D.体制下の技術をガン積みすれば“コンパクト化したメギドシステム”、主要部品だけぶっこ抜いて.D.体制下の技術をガン積みすれば“戦艦に搭載可能なメギドシステム”として運用可能になる』ってところなんですよね>
<バカかな? バカなのかな??>
<バカなんでしょうねぇ! 『気持が分からんでもない』ってのが本当に悔しいんですけど!!>
あんまりにもあんまりな分析結果を聞いてしまったせいか、リボンズとノブレスの口から暴言が飛び出す。この場に地球連邦の関係者がいた場合、2人は即刻ブラックリストに入れられて監視されることになるだろう。この場に誰もいなくて本当に良かった。
“『可能か不可能か』を主軸にして物事を考えるタイプ”は研究者や技術者気質に多い傾向がある。存在意義や価値を追い求めて迷走していた頃のリボンズ本人やリジェネを筆頭に、“自身の周囲にいる身近な研究者”及び“自身の周囲にいる身近な技術者”――ベルフトゥーロやノブレス等が該当していた。
こういう気質の持ち主が抱える大きな問題点は“『それを可能にしてしまった場合、どのような事象――特に悪用された場合に発生するであろう悪影響――が起きるのか』に目を向けない”という点だろうか。技術が生まれる理由は様々だが、その大半が善意や好奇心である。
だが、邪な欲望を抱く者の行動力は計り知れない。ソレを満たすためならば、技術の在り方や使い方をおかしな方へと捻じ曲げてしまうこともある。善意と好奇心で産み落とされた画期的な技術が“数多の人々を不幸にし、命を奪いつくす”ものに変質――或いは魔改造されてしまい、本来の用途とは別物に成り果ててしまうことは日常茶飯事だ。勿論、その逆も然り。
ひとたび戦争が起きれば、戦いに使うための技術が次々と産み落とされた。戦争が終結して平和な世の中になった後、兵器のための技術が日常生活を支える画期的なモノとして転用されることも在り得る。
勿論その逆の事象――平和な時期に開発されたときは生活に役立つ画期的なモノとして迎え入れられたが、戦争が発生したことで軍事転用され、敵味方双方に死傷者を出す存在に化けたこともあった。
――要は、『どんな時代にもバカはいる』という話だ。
<っていうか、このデータ、どこから持ってきたんだい?>
<マザーネットワークの子機端末の1つからぶっこ抜いてきました。フェニックスのお手柄です>
<もうちょっと詳細なデータを引き出せたらよかったんだが、端末が破壊されたことを察知したグランドマザー『テラ』によってネットワークが切り離されちまってな……>
ノブレスに名前を呼ばれたフェニックスが申し訳なさそうに肩を竦める。
しかし、彼が子機端末から引き出した情報はそれだけではなかったらしい。
<実は、コイツに関しては“反連邦を掲げる国を標的にして使用する”プランがあるらしい。他にも、“思考プログラムが施されたイノベイドが、
<<バカだろ>>
<バカなんだよ>
男3人、満場一致の意見である。閑話休題。
<僕たち、今、丁度スイール王国の郊外にいるんですよ。その間、現地の様子を調べてみますか?>
<いや、いいよ。キミたちは本命を落としに行くんだろう? そっちに集中してくれ>
友人からの申し出はありがたいが、リボンズはそれを丁重に断った。
ノブレス率いるチーム・トリニティ、及びその支援艦・カテドラルは“次の大仕事”の下準備をしている真っ最中だ。余計な気を遣わせるわけにはいかないだろう。メメントモリに関するデータが手に入っただけでも充分な成果なのだから。
彼らの“次の目的地”――中東各地に点在させていた施設の親機になる形で建設されたばかりの、アザディスタン内で一番大きなネットワーク関連施設――は、中東のマザーネットワークの統括を担当している親機であり、マザーネットワークを形成する子機でもある。
“廃棄された施設に点在する予備用の子機より重要度が高い”ということもあって、連邦軍の守りは勿論、統括役を担っている子機本体も堅牢であることは間違いない。予備用の子機を守っていた戦力を上回っているのは当然のことであろう。
ノブレスはリボンズの気遣いを受け取ってくれたらしい。彼が苦笑しつつも礼を述べた姿を《視て》、リボンズは小さく笑った。
世界は相変わらず混沌としていて不透明だけれど、希望を信じられる理由は確かに息づいている。それを絶やすことなく次に繋げるのが自分たちの役目だ。
(――え?)
そんなことを考えた直後、リボンズの背中に悪寒が走った。
脳裏にフラッシュバックしたのは、いつかの昔、ベルフトゥーロが見せてくれた地獄絵図。
惑星破壊兵器メギドの
フラッシュバックした光景の意味を問いかけるよりも先に、ノブレスやフェニックスの思念波越しに何かが《視える》方が早かった。
カテドラルのブリッジからはスイール王国の全景を臨むことができる。丁度その真上から、白い光が降り注いだのだ。それは凄まじい熱量と轟音を伴い炸裂する。光が晴れた先に――スイール王国の姿はない。焦土と化した街だけが一面に広がっていた。
混乱、恐怖、困惑――数多の感情が思念波越しから飛び交うのを《感じた》リボンズは眦を吊り上げる。嘗てベルフトゥーロが《視せて》くれたメギドと比べれば威力も範囲も何もかもが劣るけれど、『連邦政府の体制を受け入れられない、或いは体制に合わない命を対象にした殺戮兵器』であることは揺るぎないからだ。
<あの熱源反応、出所は軌道エレベーターの低軌道ステーション・オービタルリング付近だ!>
<条件に合致する兵器なんて、ついさっき話してたメメントモリ以外あり得ませんね!>
<幾ら何でもタイムリー過ぎるだろう!!>
“反連邦を掲げる国を標的にして、メメントモリのお披露目をする”――つい十数分前にフェニックスが教えてくれた情報が現実になってしまった。事実上の後手に回ったことを悟り、3人は頭を抱える。――世界は未だ、刃金蒼海の掌の上にあるらしい。