大丈夫だ、問題しかないから。-Blue trajectory- <1st Season>   作:白鷺 葵

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お知らせ
リメイク版開始のお知らせ


2023/7/29 0時から、『大丈夫だ、問題しかないから』シリーズのリメイク版作品、『問題だらけで草ァ!!』シリーズの連載を開始しました。作品はこちら

リメイク作品である『問題だらけで草ァ!』シリーズは『大丈夫だ、問題しかないから』同様、<1st Season>⇒<2nd Season>⇒<劇場版>の三部作構成の予定です。

Re:vision要素は拾いますが、新作として展開された場合は様子見する予定。場合によっては「Re:visionとは繋がらない」体で話を続けていく可能性があります。ご了承ください。

 

今回は作品のあらすじ、オリキャラが絡んだイラスト2枚、プロローグに当たる文章の冒頭~一区切り部分までを掲載しておきます。

相変わらず拙いモノカキ&へっぽこな絵描きで良ければ、この作品を見守って頂けたら幸いです。

 

 


 

 

【あらすじ】

 

人類に革新者が現れる、4年以上も前のこと。

世界には、自分の記憶や経験を共有させる力を持つ、共有者(コーヴァレンター)と呼ばれる人々がいた。

世界には、自身がまったく見たこと経験したことのない記憶および経験や知識――虚憶(きょおく)と呼ばれるものを持ってしまった人々がいた。

世界には、共有者(コーヴァレンター)の能力と虚憶(きょおく)の両方を持つ存在がいた。

 

これは、ユニオンに所属するとある軍人――クーゴ・ハガネを中心とした群像劇。

 

果たして、世界の明日はどこにあるのか。

『パンジャンドラムがどの方向に転がるか』を予測できたら、多分見つかりそうである。

 

Q.問題だらけなんですけど!?

A.仰る通りです。具体的な問題点は以下の通り。

 1.この作品は『大丈夫だ、問題しかないから』シリーズのリメイク版です。

 2.『ガンダム00』を原作に、アニメ版『地球へ...』、及び『スーパーロボット大戦』や『Gジェネレーション』シリーズ等の要素とクロスオーバーしています。

 3.主人公含め、オリキャラが多数登場します。

 4.キャラ改変や原作崩壊、原作死亡キャラの生存要素があります。

 5.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)

 6.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)

 7.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)

 8.基本はギャグとラブコメ色強めですが、時々シリアスになります。

 9.このお話は1st本編開始前から始まります。

 10.Pixivにも掲載(する予定)ですが、更新優先度はハーメルンの方が高いです。

 

 上記が「大丈夫」という方は、このお話をお楽しみください。

 感想頂けると嬉しいです。

 

 

 

グラハムとクーゴ(1st Season)

 

【挿絵表示】

 

 

イデアと刹那♀(1st Season)

 

【挿絵表示】

 

 

 

 


 

 

 

「ご覧ください! 地球連邦が誇る外宇宙航行艦、ソレスタルビーイング号の雄姿を!」

 

 

 テレビ画面に映し出されたのは、外宇宙探索を目的とした航行艦だ。船の名前として選ばれたのは戦争根絶を掲げた同名の私設部隊。数年前――ソレスタルビーイングがこの世に姿を現したときや、独立治安維持部隊が台頭していたときにこの話をしたら、誰がそれを信じるだろうか。……いいや、その前段階である『外宇宙から異種族がやって来た』から躓きそうな気配がする。

 ソレスタルビーイングを含んだ様々な私設部隊が台頭してきたことで、世界は良くも悪くも大きく変わっていった。三大勢力で睨み合いを繰り広げていた大国はいつしか地球連邦政府として1つに纏まり、滅びの過去(みらい)を乗り越え、外宇宙生命体や異種族たちとの対話や和解を経て、輪廻の輪を断ち切ったのだ。外宇宙航行艦の旅立ちは、新たなる始まりに相応しい話題であろう。

 

 地球と人類の未来をかけた戦いが終わったのは、僅か1か月前のことである。その傷跡は未だ色濃く残っていた。

 でも、だからこそ、新たなる始まりの象徴――“外宇宙探索へ向かう部隊”の出発を祝わずにはいられないのかも知れない。

 艱難辛苦に耐え忍ぶには、ほんの僅かでも、自分たちの前を照らす希望(あかり)が必要なのだ。

 

 

「まさか、隊長と副隊長が揃って()()()()()()()()とは思わなかったなァ」

 

 

 動かしていた手足を止めて、何かを懐かしむように目を細めたのはアキラ・タケイ。彼の視線はテレビ画面に釘付けとなっていた。

 彼の言葉に反応し、他の2名――ハワード・メイスンとダリル・ダッジが手を止める。ハワードとダリルもまた、アキラと同じくテレビ画面を見つめた。

 

 テレビ画面に映ったアナウンサーは熱を帯びた様子で、外宇宙航行艦の出航パレードが賑わっていることを告げていた。

 

 

「出航まであと少しか」

 

「未だに実感が湧かないな。あの2人が地球を去るだなんて」

 

 

 ハワードとダリルは夢心地のまま呟く。そのためか、零した言葉も、ニュースへの反応も、どこか他人事であった。

 

 一応、2人は隊長と副隊長の“お別れ会”に参加しており、副隊長とその息子の作ったカレー鍋を食べながら酒を飲んでワイワイやっていた人間である。

 出発日当日に見送りへ行けないからこその“お別れ会”だ。勿論、それが自分達の上司と過ごす最後の時間だとは十二分に理解していた。

 ぼんやりとテレビを眺める3人とは違い、世界は刻一刻と未来に向けて動き出している。時間は進み、二度と戻ることは無い。

 

 

「2人とも『やりたいことがある』って言ってましたよね。『外宇宙探索部隊に立候補したのはその過程なんだ』って」

 

「それ以上は何も言わなかったが、顔見れば分かる」

 

「あれは初恋に浮かれる少年だったな。多分、本人たちは全く意識してないと思うが」

 

 

 3人は顔を見合わせ、旅立つことを選んだ上司2人の姿を思い浮かべた。

 

 金髪碧眼で顔の左側に大きな傷がある隊長と、歩く年齢詐称と呼ばれた黒髪黒目の副隊長が並ぶ背中が《視える》。2人の視線の先には、焦がれてやまぬ天使がいるのだろう。

 隊長は一目惚れしてからずっと一途に天使を追いかけていた。副隊長は一時天使の元に居候しつつも、迷走していた隊長を助けるために奔走し、その過程で天使と距離を縮めている。

 彼らが天使に向けた一途な愛が、外宇宙生命体との対話/人類の未来を切り開くに至った要因なのだ。究極の混成部隊に合流したときから、こんな未来が訪れるような気はしていた。

 

 去りゆく人々に思いを馳せつつ雑談を続けているうちに、艦の出発時刻が来たようだ。セレモニーは滞りなく執り行われ、外宇宙航行艦ソレスタルビーイング号は宇宙へ向けて旅立っていく。ゆっくりと、しかし確実に、前へ向かって。まるで人類の歩みそのものだ。

 旅の目的は、滅亡の危機に瀕した外宇宙生命体の故郷を救うこと。地球連邦と各地の施設部隊組織の力を結集された外宇宙航行艦でも、彼らの旅がいつ終わるかは分からない。ハワード、ダリル、アキラが現役軍人でいる間に帰って来るのか、或いは亡くなった後に帰って来るのか。どちらの可能性もあり得る。

 

 

「――本当に、行ってしまったんだな」

 

 

 ソレスタルビーイング号が見えなくなった後で、ハワードが噛みしめるように呟いた。ここに来てようやく、“隊長と副隊長はもういない”という事実と向き合うことになったのだ。膜一枚隔てたソレを改めて突きつけられ、実感し、3人は空を見上げる。

 晴れ渡った空には雲1つすらない。空の向こうには花が咲いている。外宇宙生命体との対話と和解が成立したときに、彼もしくは彼女らが咲かせた花だった。人と共に生きる道を選んでくれた証は、今日も美しく輝き、咲き誇っていた。

 

 

「いつまで感傷に浸ってんだよ、フラッグファイター」

 

「ジョシュア……」

 

「隊長だって言ってるだろーが」

 

 

 空を見上げていた3人は、後ろから聞こえてきた声によって引き戻される。振り返った先には、眉間に皴を寄せたジョシュア・エドワーズの姿があった。

 ジョシュアはつい先日、数時間前に旅立っていった隊長から直々に後任として任命されたばかり。故に、隊長と呼ばれるようになって日が浅い。

 『隊長と副隊長がいなくなる』という実感が薄かった3人は、たまに素で彼の名前を呼んでしまっていた。尚、実感を得た後もそんな感じだったのだが。

 

 

「世界は変革を迎えててんやわんやしてるんだ。こんなところで立ち止まっていられないだろ」

 

「言われなくともそのつもりです。やるべきことは沢山あるので」

 

「そちらこそ、隊長直々に後を託されたんでしょう? 期待してますよ、新隊長」

 

「言ったな!? よし見てろよ。元・隊長殿なんざ簡単に超えてやるんだからな!」

 

 

 ジョシュアの煽り――遠回しに発破をかけている――に応えるように、ダリルとハワードがニヤリと笑い返す。間髪入れず、ハワードが2人に嚙みついた。

 

 

「今日は部隊の親睦会だからな。こっちは準備万端、気合十分なんだよ!」

 

 

 「もう始まってるから、早く来いよ!」なんて自信満々にそう言って方向転換し、去っていく背中を見送る。ハワード、ダリル、アキラも和やかな気分で踏み出そうとして――止まった。

 3人の頭脳は個別に、けれども同じ懸念に辿り着く。慌てて奴の背中を追いかければ、奴の進行方向から漂ってくる異臭。ジョシュアが扉を開けた先には、文字通りの地獄絵図が広がっていた。

 

 親睦会に参加していた面々の大半がひっくり返って呻いている。腹を押さえている者、ゴミ箱に顔を突っ込んでいる者、泡を吹いて痙攣している者、発狂して暴れている者など様々だ。

 テーブルの上に載っている料理も然り。色がおかしいやつ、臭いがおかしいやつ、視界に入るだけで食欲が失せるやつ、食べ物の体を成してないやつのオンパレード。

 割れた皿やコップ、ひっくり返った参加者で構成された死屍累々の山。その中でただ1人、連邦初の革新者が涼しい顔で料理を食べていた。

 

 

「メ、メシマズテロだぁぁ!!」

 

「くっ、遅かったか……!」

 

「医者ー! 衛生兵ー!」

 

「な、なんだよォ!? みんなしてそんな大袈裟な……」

 

 

 トラウマを爆撃されたアキラが悲鳴を上げ、ダリルが沈痛そうな面持ちで額に手を当てる。ハワードは即座に踵を返し、内線に手をかけた。部下たちの反応に涙目になるジョシュアを完全無視する形となる。むくれるジョシュアに同意したのは、彼の料理を食べ進める連邦の革新者だった。

 

 

「ソルブレイヴズ隊隊長の言う通りですよ。なんです、そんなに慌てて」

 

連邦(そこ)革新者(バカ舌)は黙ってろ!」

 

「失礼な。私はゲテモノ系“も”やぶさかではないだけです」

 

「人の料理をゲテモノって言うな!!」

 

 

 連邦の革新者は、ダリルとジョシュアの地雷を見事に踏み抜く。

 その脇で、援軍を呼ぶというミッションを達成したハワードが応急処置に駆け回っていた。

 

 

「たいちょぉぉぉぉぉぉぉぉ! ふくたいちょぉぉぉぉぉぉぉ! はやく、はやくかえってきてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 尚、度重なるジョシュアのメシマズがトラウマになってしまったアキラは幼児退行しており、泣き叫ぶのが関の山である。

 医療関係者がここに辿り着くまで、アキラは“もういない”――否、宇宙に旅立ったためすぐに戻って来れない2人の人間を呼び続けていた。

 

 

 

 




【推奨BGM】
去りゆく人に思いを馳せて:<星降る夜に>(『地球へ...』アニメ版)
ジョシュアの飯がヤバい:<UNION>(『機動戦士ガンダム00』1stシーズン)

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