我が名はティア・ブランドー   作:腐った蜜柑

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後付けというか補完的な話ですー。


……投稿は1000文字制限なのか、最後の2行だけ無理やり追加してピッタリだったけども。。。


後日談

 ロンドンのとある郊外。 そこにある寂れた墓場に僕と共に示し合わせたように一人の女性が現れた。

 

 僕と彼女の表情は一様に暗く、静かに迷うことなく一つの墓石の前へと歩を進めた。

 

 

 【ティア・ブランドー、ディオ・ブランドー、ここに眠る。】

 

 

 そう書かれた墓石の前に僕は立っていた。

 

「……最後に聞いたあの笑い声、意識が朦朧としていた僕の幻聴じゃなかったんだね」

 

「はい、とても楽しそうで、幸せそうな笑い声でした……それでも私は、生きていて欲しかった」

 

 2人の葬儀に出席する者は僕以外いないと思っていた。

 唐突に1人だけ、召し使いのメアリーだけが静かに出席し、今2人の墓石の前にも現れてくれた。

 彼女は彼女なりに思うことがあるのだろう、世間では養父殺しの大悪党と騒がれている。

 それでも僕にとって彼らは掛け替えのない人物だった。 僕の青春の大半を過ごした家族だからだ。

 

 父親を殺された恨みもある。 しかし、彼らが死んだと聞いた時、僕は一人静かに涙を流した。

 悲しかった、だが一つだけ嬉しかったこともある。

 彼ら姉弟の死体はそれはもう無残に焼かれたものだと聞いた。

 そして、女神像に串刺しにされた死体と傍で瓦礫に押しつぶされた死体の手は堅く握られ、消火に携わった者達が引き剥がそうとしても離れず、葬儀の時は僕の希望でそのまま埋葬してもらった。

 

 僕は知っている。

 彼らは実の姉弟だというのに、たまに他人を見るように互いを冷たい目で見る時があるのだ。

 だというのに、彼らは顔を合わせると仲良く談笑する。 それはまるで、姉弟を演じてるかのように極端な光景だった。

 

 しかし、彼らは最後には真に仲の良い姉弟になれた。 これは僕の願望かもしれないが、なぜか不思議と確信できる想いだ。

 

「ティア、ディオ。 どうか安らかに眠ってくれ。 僕から奪ったものと同様に、僕は君達から受け取ったものを生涯忘れないだろう」

 

 最後にそう言い残し、僕が立ち去ろうとした時、一陣の風が吹いた。

 

『あのクズの隣に建てるなど、馬鹿にしているわッ!』

 

『ふざけるなよぉジョジョォ! 腹いせに末代まで呪ってくれるわ!』

 

 僕の気のせいだろう、そう信じたい。

 風に乗って声が聞こえるなど、誰が信じるものだろうか。 それも死人のものだ。

 

 

 

 

 

 

 

……実の父さんの隣に好意で墓石を建てたのだが、もしかしたらまずかったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未来は変わり、平穏な日常が訪れるかというとそうではない。

 近い未来、ジョースターの血族には再び苦難が待ち受けていることをジョナサン・ジョースターはまだ知らない。


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