超次元ゲイムネプテューヌ 雪の大地の大罪人   作:アルテマ

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※わーにんぐ、わーにんぐ。 作者暴走回


第41話 崖っぷち戦闘危機一髪?

幾つもの大小の石が転がり構成され、小さな衝撃で崩れそうな崖を、所々にある段差を利用して跳び上がり、駆け抜けるイツキ。 最初のイツキの標的は崖上にいるモンスター達だ。

 

「ハアアアアアアア!!」

 

最後の段差を無視し、段飛ばしで崖上に辿り着くや否や、跳び上がった勢いのまま一番近くにいたモンスター、顔にブーメランが突き刺さっている、『ブーメラン』と言うモンスターにストレートパンチをお見舞いする。

 

「ペギャ!」

 

ブーメランの顔にイツキの右ストレートは見事にクリーンヒットし、崖とは逆の位置に転がりながらすっ飛んでいき、やがてパシャンと言うガラスの割れる音が響いて霧散した。

 

イツキはブーメランが消滅したことを確認すると、辺りを見回し現在崖上にいるモンスターを確認する。

 

(1、2、3、4、5……5体か。 この中で優先して倒すべきなのは……あの2体!)

 

イツキは現在最優先で排除すべきモンスターを確認すると、すぐさまその目標の敵の内の1体に接近する。

 

「……ヴヴヴ……」

 

そのモンスターの名は『WDヘッド』。 姿こそ気難しく頭の固い老年の男性の顔から手が生えており、頭から蒸気を噴出させているという巫山戯たフォルムだが、このモンスターは体内に火薬を蓄積しており、このモンスターを元に爆弾を作ったりしているほどだ。 当然このモンスター達はその火薬を起爆する術を持っており、非常に危険なモンスターなのだ。 このような場所で爆発されてはこんな不安定な崖はすぐに崩れてしまう。

 

イツキは最早岩とも区別のつかない大きさのWDヘッドを両手で抱えるように持ち上げ、思いきり振りかぶると

 

「うぉりゃあ!!」

 

「ヴヴ!?」

 

崖とは逆の方向へと投げ飛ばす。 続いて第2投の球を求めて肉迫し、全く労する事なく抱え込み、全く同じ方向に投げ飛ばす。

 

「ヴヴォォォ!!?」

 

驚くような声を上げて飛ばされていくWDヘッドと残っているモンスターをよそに、再び崖を跳び上がり、一つ一つの石に身軽に着地しながら下り始める。

 

イツキは下からでは確認し切れなかったモンスターの数を確認する。 現在崖の段差で、ジリジリとネプテューヌ達に接近しているモンスターは合計で9体。 そのうち4体のモンスターが体格の小さいブーメランであった。

 

「フン!」

 

最もネプテューヌ達のいる段差に近づいていた1体のブーメランをイツキは同じ段差に着地し、サッカーボールのような扱いでブーメランを蹴り飛ばす。 ブーメランは真っ逆さまに崖下に落ちていった。

 

そしてそのイツキの頭上の段差のブーメランは、顔面に突き刺さっているブーメランを引っこ抜くと、その血のついたブーメランをイツキに投げてきた。 果たして元に戻ってくるのかは分からないが、突き刺さっていたということはそれなりに鋭利だという事だ。

 

強欲(グリード)!」

 

しかしそんな刃物は硬化能力を持つイツキに効く筈もなく、それどころかイツキは硬化した手のひらでブーメランを掴みとった。

 

「フンッ!!」

 

イツキは掴んだブーメランを乱暴に振りかぶって投げ返した。 イツキに向かって投げられた際よりも速い速度で投げ返されたブーメランは、段差にいたブーメランの顔に突き刺さるどころか貫通し、その段差にいたブーメランは何が起こったのか分からない様子のままパシャン! と言う音を残して霧散した。

 

一瞬中々エグいことをしたなとイツキは反省し、すぐさま視線を残りのモンスター達に移す。

 

「イツキ! しゃがみなさい!」

 

その声が聞こえてきた瞬間にすぐにその場でイツキはしゃがんだ途端、乾いた銃声が2回程崖にこだました。

 

「ピギャ!」

 

銃弾はイツキの頭上を通り抜け、イツキの丁度真上にいたブーメランを捉えた。 その程度でモンスターらやられたりはしないが、体制を崩すのには十分だったらしく、ブーメランは真っ逆さまに崖へと落ちていった。

 

「全く……油断は禁物よ」

 

イツキは銃声が聞こえた方向へ向くと、そこには片手に黒いフォルムの銃口から白煙を吐く拳銃を持ったアイエフが居た。

 

「ありがとうアイエフさん。次は気をつけるよ」

 

「そうね。 それに今日はダンジョンに行くと思っていなかったから、予備の弾倉持ってきてないわ。 もうさっきみたいに援護は出来ないわよ」

 

アイエフはそう言い、袖に隠れていた右手の銃の持ち手を袖から出し、空の弾倉を排出した。 弾倉は1度カランカランとアイエフの足元でバウンドし、崖下に落ちた。

 

「あいちゃん。 ポイ捨てはダメですよ?」

 

「そうだよー。 空の弾倉だって、潜入先で見張りの近くに投げて注意を引かせるって言う素晴らしい役目があるんだよ!」

 

弾倉を放置した事を見咎めたのか、コンパがアイエフに注意し、それに便乗したネプテューヌがどこぞのデイビットだが液体だかの話で例えていた。

 

「別に心配いらないわよ。 あの弾倉はプラネテューヌの最新の物で、生分解性のーー」

 

ネプテューヌ達にアイエフが何やら弁明を始めたところで、イツキは再び動き出す。 アイエフ達の真上で2体の植物型モンスター『チューリップ』の亜種である、『アペルドーン』が頭に蓄えている種をばら撒こうとしていたからだ。 アペルドーンに問わず、チューリップ本体やチューリップの亜種達は頭に種を蓄えており、その種は何かに接触するとその場で針状の物をばら撒く炸裂弾なのだ。

 

「タアッ!!」

 

「ピギィ!」

 

段差を跳び上がり、跳び上がりざまに今まさに種をばら撒こうとしていたアペルドーンを蹴り飛ばし、もう一体のアペルドーンの頭を鷲掴みにすると、崖下に放り投げた。 アペルドーンの断末魔の声が響き、だんだんと小さくなりやがて聞こえなくなった。

 

「な、何か可哀想です……」

 

傍でアペルドーンが落ちていくことに気づいたコンパは落ちていったアペルドーンを目線で追うが、やがて崖下だけが見えてくると自分のいる地点と地上との差を知り、恐怖を感じてすぐに視線を戻していた。

 

「そうは言ってもコンパ。 こんな崖で効率良くかつ崖を崩さないようにモンスターを倒すには、モンスターを崖から落とすのが1番良いのよ」

 

モンスターを哀れむコンパに、これまでルウィーの山岳地帯で戦ってきたブランがそう窘めた。

 

「そっか。 イツキとブランはルウィー出身だから、こんな崖とかでも戦い慣れているのね」

 

「……まあ、基本的に私はこんな崖だと、()()()()では戦えないのだけど」

 

「?ブランー? 何か言った?」

 

「何でもないわ」

 

アイエフの言葉に誰にも聞こえない小さな声で呟いた。 この状態とは、女神化前の姿のことだ。 ルウィーではブランはイツキと共に行動し、このような崖でも多々戦っていたが、それは周りを気にせずに (イツキは最悪崖から落ちても死なないだろうと言う推測から) やっていい場合だ。 今回は動けないメンバーもいるのでそれは出来ない。 最もそもそも女神化を禁じられているのだが。

 

と、考え事をしている時だった。

 

ブラン達のいる段差にイツキが軽やかに着地してきた。

 

「い、イツキ?」

 

「ハァッ!!」

 

アイエフの驚きの声とイツキの掛け声が重なった瞬間、イツキは跳び上がり、ブランの真上にまで迫っていた人の頭より一回りも二回りも大きい石を拳で砕いた。

 

「フウッ……大丈夫? ブランさん」

 

その勢いでブランの上を跳び越えたイツキは、両足で着地してうずくまるように両手を地についてバランスを取ると、すぐに立ち上がり振り返ってブランの事を心配した。

 

「大丈夫よイツキ。 問題ないわ」

 

「それは良かった」

 

イツキに心配ないことを伝えたブラン。 イツキはそれに言葉を返すとすぐに上を見上げた。 それにつられてネプテューヌやブラン達も崖上を見上げた。 見上げた先に居たのは崖の淵で直撃すればかなり危険と言えるであろう大きめの石を次々と運び、落とそうとしているブーメラン2体と、アペルドーンが1体。 イツキが優先すべきでは無いと無視した3体の崖上のモンスター達だった。

 

「ハッ!!」

 

次々と石を落としてくるブーメラン達に対し、イツキは跳び上がっては受け止めて落とし、時には拳で粉砕していた。 崖上のブーメラン達は投石の効果が見られないことにイライラしているようだった。

 

「……鬱陶しいわね」

 

「そうね。 ねぇイツキ。 アンタのその異常な身軽さで崖上までぴょーんと跳んで行って倒してくれない?」

 

しつこく石を落としてくるブーメラン達に対してブランはそう呟いた。 それに同意したアイエフはイツキに提案を持ちかけるが

 

「いやアイエフさん。 そうしたいのは山々なんだけどっさっ!!」

 

「ピギャア!!」

 

喋る傍らでブーメランを掴み、その持ち主へと勢いをおまけして返す。 ブーメランは見事に突き刺さり、そのブーメランの持ち主は霧散した。

 

「周りのモンスターも段々と近づいてきてさ、あんまり上ばかりに気を回せないって言うか……」

 

アイエフ達の方へ振り返り、親指で方向を示す。 ブーメランを倒したことにより、崖にいるモンスターは合計で残り5体。

 

「ウウゥ……ワウ!!」

 

そのうちの2体は四角い体を持つ犬型モンスター『ハコイヌ』だ。 物理技が多く、体力も防御力もそこそこあるモンスターなのだが、今回のような崖ではほぼ戦力外レベルである。 問題は残りの3体だ。

 

「びっぷい」

 

特異的なUMAのような顔の下にリングのようなものが浮かぶ謎のモンスター『契約天使』の亜種モンスターである『電球天使』である。 このモンスターはその名の通り、発電能力があり、自身で発電した電気で攻撃をしてくるのだ。つまり、遠距離攻撃が可能なのだ。

 

今電球天使達はまだ射程距離内にイツキ達を捉えられていないのが幸いだが、確実に距離は迫られていた。

 

「うわー……上からは石。 同じ崖からは電気かぁ……」

 

「ど、どうするですかあいちゃん?」

 

「どうするも何も……イツキ、ブラン。 何か策はあるの?」

 

困惑するネプテューヌ達にブランは懐をあさり始めて答えた。

 

「大丈夫よ。 ちゃんとその辺考えてあるから。 イツキ、あれやるわよ」

 

「?ブランさんあれって……あぁ、それやるの?」

 

イツキ自身もブランが最初何をするのか分からない様子だったが、ブランが懐から取り出した物を確認すると何をするのか理解したようだった。

 

「えぇ。久しぶりだけど、私は問題ないわ。 イツキは大丈夫?」

 

「僕もその辺は問題無いけど……誰が跳ぶのさ? ブランさん?」

 

「ううん。 今回はアイエフが適任よ」

 

「ちょっと2人とも。 私たちを除け者にして話さないで。 あれって何のことを言っているのよ?」

 

イツキとブランの会話に対して完全に蚊帳の外なネプテューヌ達。 アイエフはその面子の中で適任と言われたが、何に対して適任なのかは全く分からないので、アイエフはイツキとブランに聞いたのだが

 

「うーん……正直やった方が早いよ」

 

イツキはそう言って白い縄のようなものをアイエフに差し出した。

 

「? 何よこれ?」

 

「それを両手でしっかり持ってて。 途中で落ちたら大変だから」

 

「いやだから何をする気なのよ! と言うか、落ちたらって何!?」

 

「ブランさん、準備はOK?」

 

「ええ。 こっちは問題ないわ」

 

「聞きなさいよ!」

 

アイエフの叫び虚しく、イツキと何の準備か自分のハンマーを装備したブランはアイエフの預かり知らぬ所でどんどん話を進める。

 

「よっと」

 

ブランは両手でハンマーを水平に保つように支え、イツキはアイエフの持つ白いロープの先を持ってそのハンマーの上に着地した。

 

「おおお! 一体何が始まるのかwktkだよ!」

 

「楽しそうですねねぷねぷ……」

 

着々と何かしらの準備を始めるイツキとブランに興味津々なネプテューヌと、それを苦笑するコンパ。

 

「……どうしてかしら。 私今ものすごく嫌な予感と言うか……本能が危険を知らせているのだけど」

 

アイエフだけは難しい顔をしながらも、イツキから渡された白いロープだけはしっかりと握っていた。 そんなアイエフにネプテューヌはアイエフの両肩を握ると

 

「あいちゃん!」

 

「な、何よネプ子?」

 

突然肩を掴まれて驚くアイエフにネプテューヌは一言

 

「フラグ乙!」

 

「は、ハァ!?」

 

呆気に取られるアイエフ。 ネプテューヌにその意味を問おうとしたが、中断を余儀無くされる。

 

「行くわよイツキ!姉弟連携(シスターズアタック)!!」

 

そのブランの掛け声と共にイツキはその場で跳び上がり、膝を曲げてハンマーへと着地して

 

()()()()(らい)()()流!」

 

高らかにそう叫ぶと同時に、イツキが跳び上がり着地した反動で下がったハンマーを、ブランは渾身の力でハンマーをイツキごと振り上げた。

 

ロケットの如く射出されたイツキ。 グイグイと上へ上へと跳んで行く。

 

そのイツキの右手にはアイエフと繋がっている白いロープも共に上に上がり段々と細くなりながら伸びていった。

 

やがて長さが限界を迎えると

 

「え?」

 

未だに何が起こっているのか分からないアイエフ。 彼女は先ほどまで崖の段差に立っていた筈だが、彼女の視界に映るのは何故か景色が段々と下っていく映像。

 

そんな困惑しているアイエフの耳に何が起こっているのか伝える掛け声が入ってきたのだった。

 

(ごう)()(じゃ)()()!!」

 

イツキはその叫び声と共に背負うように持っていたそのゴムロープを上へと振り上げた。 ゴムロープはイツキに引っ張られ、上へ上へと跳んで行く。

 

「きゃああああああああああああああああ!!!!!」

 

そのロープの先端にいる、叫び声をあげるアイエフごと。

 

 

 

 

 

※説明しよう!『 姉弟連携(シスターズアタック)』とは、若干厨二病を患っているブランがイツキと連携して攻撃をしたり協力をする技を彼女自身が考えて作った(痛々しい)技だ!

 

その中の技の1つ。 『()()()()(らい)()()(ごう)()(じゃ)()()』はゴム製のロープを使うことにより、二段階ジャンプを可能とするぞ! 技名はブランが考えたものだが、ガチもんの厨二病患者から言わせれば、これはただのヤンキー表記だ!

 

 

 

 

「あぁぁぁあああああ!!?こんなの聞いてないわぁぁぁぁああああ!!!」

 

ゴムロープを掴みきれず、そのまま崖上へとすっ飛んで行くアイエフ。 自分のやられたことと現在の状況を全て理解したと同時に反論する。 その間にもグイグイと崖上まで迫って行き、やがて飛び越えて行った。

 

「……だって、言っていないもの」

 

既に見えなくなるまで飛んで行ったアイエフの叫びにボソッと呟いたのはブランであった。

 

「うわー……ちょっと力み過ぎたかな?」

 

「大丈夫だよお兄ちゃん。 人はあれくらいの高さから落ちても死なないから」

 

「それはねぷねぷに限った話です……」

 

 

 

一方その頃……

 

 

「……」

 

さっきまで叫んでいた時とは違い、アイエフは何か悟ったような表情をして、ゆっくりと減速しながらも上空へと飛んでいく体に身を任せていた。

 

「……これはあれよね、ちょっとこうなった原因を考えましょうか」

 

誰にも聞こえる筈ない、独り言を呟くアイエフ。 その間にも上へと飛ぶ速度は落ちていく。

 

「わたしが何故か空を飛んでいるのはイツキとブランが、勝手にやらかしたことなのよね?」

 

誰に問う疑問なのかわからない言葉を発するアイエフ。 速度はやがて死に、アイエフの身体は浮遊感に包まれる。

 

「でも、そもそもこのタイミングで現れたモンスターがいけないわ」

 

浮遊時間は意外にも長く、アイエフの身体はホバリングを続ける。

 

「いえ、違うわ……そもそもロッククライミングに興じていること事態が可笑しいのよ」

 

悟った表情で今この状況を生み出した直接的な原因から離れている事に気づかないアイエフ。 やがて浮遊時間は終わり、落下へとシフトする。

 

「……まあ、結論的には……」

 

目を閉じ、アイエフは己の武器、カタールを装備する。 落下へとシフトしたアイエフの身体は、重力に従い加速をする。

 

「全部ネプ子が悪いんじゃないのよおおおおおお!!!!」

 

目を見開いたアイエフは落下速度を自ら上げるような勢いの怒りであった。

 

「と言うかそもそも、リーンボックスに来たのだってあの子が馬鹿なこと言ったからじゃない!!!」

 

落下速度を上げながら己の周りに幾何学的な魔法陣のようなものを展開するアイエフ。 一体どこまで飛び上がっていたのか、アイエフは崖上のモンスターを視界に捉えるられずにいたが、ようやく彼女はモンスター達を捉えることが出来た。

 

「あ! あれあいちゃんじゃない?」

 

その頃にはネプテューヌ達の位置から見えなくなるまで飛んでいたアイエフをネプテューヌ達は捉えることができるようになったようで、ネプテューヌは上空からかなりの速度で落ちていくアイエフを指差し、その指差した方向にイツキ達は注目する。

 

「ほんとうです! 平気そうで良かったです」

 

「……いやー、あれ結構な速度で落ちてるけど大丈夫かな?」

 

「投げた張本人が何言ってんのよ」

 

「ブランさんも共犯だからね?」

 

パーティメンバーが落下死を思わせるような速度で落ちているにも関わらず、そんな会話を繰り広げるネプテューヌ達だが、直後に耳に入ってきた、叫び声と言うより咆哮と言った方が良いような声には驚かざるを得なかった。

 

「もおおおおおおおおう!! ネプ子のドアホオオォォォォォォオオオオオオオ!!」

 

アイエフの咆哮と身体の周りに展開されていた魔法陣は形を崩すと、広がるように散り散りになった。

 

瞬間魔法陣が崖上から岩を落とそうとしていたモンスター達を中央に捉えて展開される。 その魔法陣はアイエフが先程まで自身の周りに展開していたあの幾何学的な魔法陣と全く同一の物だった。

 

「ーー魔界粧(まかいしょう)轟炎(ごうえん)!!」

 

アイエフのその言葉をトリガーに、モンスターを捉えた魔法陣は赤く光り、怒りの有頂天へと達したアイエフの心中を表すが如く、激しい炎を魔法陣にいるモンスターは勿論、真上にいるアイエフすら巻き込んで噴き上げた。

 

近接戦闘型のアイエフが持つ、数少ない魔法の内の1つ、それが『魔界粧(まかいしょう)轟炎(ごうえん)』だ。

 

通常の炎とは違い、ありとあらゆる物質を分解し、蒸発させる魔界の炎 (本技の製作者談) を魔法陣により生み出す魔法であり、固形でさえも昇華させると言う恐ろしい技である。

 

火山の如く噴き上げた炎の勢いが段々と弱くなり、やがて炎が消えると、そこにさっきまでいた3体のモンスターはおろか、崖に迫っていた岩も消えており、いるのは魔法陣のあった丁度中央にいる、青いコートを着た茶髪のロングヘアーの少女だけであった。

 

「う、うわぁ……あいちゃんがキレた」

 

「こ、恐いです……」

 

崖から一部始終を見ていたネプテューヌ達はそのアイエフの姿を見て驚きを隠せなかった。

 

「何かネプテューヌに対して怒っていたし、謝った方がいいんじゃない?」

 

「そ、そんな!? わたしが何をしたって言うの!?」

 

「ロッククライミングをしなくてはいけない状況を作り出した」

 

「うっ……ご、ごめんなさい」

 

「いや、とりあえずその言葉はアイエフさんに言うべーー」

 

イツキのその言葉は続かなかった。 何故なら彼を含めた全員が真上に殺気に近いものを感じ、上を見上げたからだ。

 

「……ネェェェエプゥゥゥウウコォォォオ?」

 

崖からこちらを覗いていたその顔は、読み取れず、ただ両目が紅くギラリと光っていた。 その場の殆どの人間をヒビらせるには十分過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚、この後アイエフ氏のネプテューヌ対する (普段から感じていたが自制していた) 怒りが爆発したが、その怒りは崖に残っていたモンスター達に向けられて事なきを得たことと、この一件でアイエフになんとなくではあるが親近感を抱いた者が約1名いたことを追記しておく。

 

 

 

 

 

 






いやー……やらかした。

ところで皆さん人気キャラ投票誰に入れましたかー?

え?私は勿論ブランさんですよ。

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