超次元ゲイムネプテューヌ 雪の大地の大罪人   作:アルテマ

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第28話 明かされる正体

両親が死んで、前の学校から転校もしたが大して変わることも無かった。

 

転校して時がたち、俺の性格を知ってか、俺はイジメの対象にまたされた。

 

いい加減この手の物には慣れてしまった。だから、親戚にもこのことは話してはいなかった。

 

抵抗をしない俺に大して、更にイジメはエスカレートし、遂にイジメは直接の暴行となった。

 

殴られるたびに俺は笑った。笑うことはもう既に習慣となった。いや、いまや自分にとって痛みは快楽になっているのかもしれない。そう思わないといけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうでも思わないと、こんなクソッタレな人生をやっていけないんだ。

 

 

 

 

 

 

……あれ……俺って、いつからこうなってた?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

ノワールさんに言われて大人しくしていたが、暇は既に限界突破している。体は動けるのに大人しくしていろって無理でしょ。……あれ?これ既視感(デジャヴ)

 

「……よっと」

 

布団を押し上げベットから降りる。そこで気づいたが僕の服装はいつも着ていたGパンとTシャツに赤と黒のチェックのパーカーではなかった。ズボンはGパンだが、色は前のような紺色では無くこげ茶色のGパンで、上は半袖の白いシャツだった。ラステイションのような重工業を重視する国においてこんな格好をしていたら、それこそシアンさんのような工場で働く人間に間違われかねない格好だ。まあ、あの戦いの時に着ていた服はビットに何度も自爆されてボロボロだったし、仕方ないといえば仕方が無いが、僕が元の世界から持ってきた唯一の品だし、気に入っていた服だったのだが、諦めるしか無いだろう。

 

「……」

 

僕は左腕に巻きついている紅色と白色の御守りを見つめた。今僕に巻きついている御守りは、ブランさんが巻きつけてくれた当時の通り、あのキラーマシンとの戦闘の後でも傷ひとつ無かった。

 

あの時、この御守りが発した光とともに聞こえた叱咤の声は、間違いなくブランさんだった。そしてその叱咤が無ければ、僕はキラーマシンによって粉砕されていただろう。たが、それよりも気になることがあった。

 

それはキラーマシンの腕を逸らした後、キラーマシンにトドメを刺そうとした瞬間、御守りの光は更に強くなって僕に力を与えてくれた。その時現れたブランさんの幻影。この時は目の前のキラーマシンを倒すことに集中するあまりに気にしてはいなかった。だが、こうして危機が去るとどうしてもあの現象が気になってしまう。

 

「……こればっかりは本人に聞くしか無いか」

 

あ、そう言えば僕はアヴニールから情報を得る手段を自ら絶ってしまったんだった。事情があったとはいえ……ブランさんに怒られるかも……

 

「やっほー!お兄ちゃん!起きたんだってー?」

 

ブランさんに対してどう謝って懲罰(お仕置き)を避けようか考えていたところ、ネプテューヌがズカズカと入り込んできた。ノックぐらいはして欲しいものだ。

 

「うん。心配かけて悪かったね」

 

「ホントだよー!あの時見た傷を見て、わたしでも絶句しちゃったもん。その後、ノワールの腕を掴んだと思ったら何か傷ひとつ無くなってるし。お兄ちゃんってもしかして、某バトル漫画の某緑の宇宙人か何かなの?」

 

「……あれみたいに腕を生やすことは出来るけど、ワザワザ怪我した部位を引き千切ったりはしないよ……。あれ?他の皆は?」

 

「あれ?ノワール?こんぱー?あいちゃーん?入らないの?」

 

ネプテューヌ以外の人物が見当たらないのでまだ来ていないと思ったのだが、どうやら既にここには居たようだ。

 

「あ、ごめんごめん。ちゃんと居るわよ」

 

まず最初にノワールさんが入ってきた。そこまではいいのだが……

 

「……イツキ?」

 

「……イツキさん……ですよね?」

 

後から入ってきたアイエフさんとコンパさんは、どうにも態度が変だった。アイエフさんは僕の事をどう接すればいいか分からない戸惑うような顔をしているし、コンパさんに関しては僕に怯えているような表情をしていた。

 

「えと、どうしたの2人とも?僕、何か迷惑かけちゃったかな?……て言うか、皆が気絶していた僕を運んでくれたんだよね?この時点で迷惑かけちゃってるよね……」

 

「別に、その事は気にしてはいないんだけど……その、アンタって、……イツキ?」

 

少し質問の意図が分からなかった。

 

「……アイエフさんは哲学者か何かなの?」

 

「そう言うことじゃないわよ……と言うか、雰囲気も違うし、いつものイツキか……」

 

「僕たち、いつもって言える程長い付き合いではないけどね。出会って数日だし」

 

「よかったですぅ……いつものイツキさんです」

 

張り詰めた糸を緩めるようにアイエフさんは固めていた態度を緩め、コンパさんからも怯えるような表情は消えていた。一体何なのだろうか?

 

「……それじゃ、おしゃべりはこれくらいにして話を始めましょ」

 

その中に割り込んできたのはノワールさんだった。確か、僕の正体についてだったか。未だに自分の正体について明かすかどうかはまよっているのだが、話を進めて行くうちに決めるしか無いだろう。仮に正体について看破されそうになっても、ブランさんの迷惑にはかからないようにしないと……

 

「はいはーい!それじゃ、わたしが話を仕切るね!」

 

と、腹を括ったところでネプテューヌの小学生並みの挙手。これには気を入れたつもりが自然と抜けてしまう。それはノワールさんやアイエフさんも同じだったようだ。

 

「……ネプテューヌが仕切ると碌なことにならない気がするわ」

 

「同感ね」

 

「む!失礼な!いつもニヤニヤ動画のゲーム実況を見て学んだトーク力を舐めてもらっては困るよ!」

 

余計に心配になった。

 

「ハァ……分かったわよ。それじゃネプテューヌ、お願いね」

 

こう言言い出すとネプテューヌは中々引き下がらない事を最近分かったノワールさんは、諦めてとりあえずやらせるだけやらせるということにしたようだ。

 

「それじゃ、始めるよー。……あーコホンコホン。本日は、このような場所にお集まりいただきありがt」

 

「御託はいいから早く始めなさい」

 

「ちぇー。あいちゃんのケチー」

 

早速脱線し始めたから心配になってきた。

 

「分かったよー。それしゃ真面目な話しようか。まあ、言わずと知れたお兄ちゃんに話があるんだよ」

 

そこでネプテューヌはいつも楽しそうに笑っている表情を引き締め、真っ直ぐに僕を見つめていて、思わず僕は糸がピンと張るように姿勢を正していた。

 

「わたし、気絶したノワールはあいちゃんとこんぱに任せて、シアンと一緒にお兄ちゃんを部屋に運んだんだ。そこで気づいたんだけどさ……」

 

「………」

 

僕が一体何をしたのか、いつになく真面目なネプテューヌの次の言葉を僕は待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幾らホテルの自室とは言え、下着かけたハンガーをベットの上のカーテンレールにかけておくのはどうかと思うんだけど」

 

「緊張感を返してくれ」

 

ある意味予想を裏切って期待を裏切らない行動をしてくれたなネプテューヌ……

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、今度こそ話を始めるわよ」

 

ネプテューヌが仕切ると全く話が進まないことが判明したところで、司会はノワールさんへと切り替わった。一方で仕切り役から外されたネプテューヌはと言うと

 

「手短に頼むわよ。この姿の維持は体力使うんだから」

 

仕切り役を外されても余計な事を言って話を毎度毎度脱線させては困ると言う理由から、いつも見ている子供の姿とは一変する女神化をしていた。

 

ネプテューヌは女神化すると姿どころか性格も180度変わり、冷静になるようなのでこの場においては変身しておいた方が良いとネプテューヌ自身が判断したようなのだが、自分で変身しておいて話を纏めて話すように言うとは……

 

それにしてもネプテューヌと言い、ブランさんと言い、女神化をすると皆性格が豹変するな。女神化とはそんなものなのだろうか?そうだとしたら他の女神様も同じようなものなのだろうか?

 

この時、その疑問の1つに答えてくれる人物がこの場に居るとは思わなかった。

 

「そうね。それじゃ手短にするためにも、この姿を見ていて欲しいわ」

 

ノワールさんは皆の注目を集めた後、そう言ってその場で深呼吸すると、気合を入れるように声を出す。

 

「はぁぁぁああ!!!アクセス!」

 

そして僕はそこで3人目の女神化を見ることになった。

 

ノワールさんを包み込んだ光は、数刻経つと辺りに拡散し、粒子状になって散った。その光の粒子の中にいたのは、星のような銀のストレートの髪に、黒いレオタードを着用し、瞳にその特徴的なマークを宿した女性だった。

 

「ノワール!?あなた、その姿は!」

 

「あの時の、変身したねぷねぷにそっくりの新型さんです!」

 

「そうね。イツキ以外とはこの姿を見せるのは2度目よね」

 

どうやら、僕以外とは面識があるようだ。疎外感は感じるが、そんなことよりも気になるのはネプテューヌ達の態度だ。ノワールさんが変身した姿を見せた瞬間から、ネプテューヌはいつでも武器をだせるように構えを取り、コンパさんは少なからず驚きを表していた。特に驚いたりするようなアクションはしなかったのはアイエフさんだけだった。

 

「実は私、ラステイションの女神、ブラックハートなの。……まあ、ちょっと訳あって正体を隠していたのは謝るわ」

 

「ノワールがラステイションの女神ですって!?」

 

「ねぷねぷが変身した時と同じくらいびっくりしたですぅ……」

 

ノワールさんの告白に、冷静である筈のネプテューヌとコンパは驚きを隠せずにいた。かく言う僕も言葉には出さないだけで内心驚いている。こんなに都合良く、しかも2人の女神と接触するとは誰も思わないだろう。

 

「……ま、わたしは気づいていたけどね」

 

唯一ノワールさんの告白に驚いていないのはアイエフさんであった。様子を見るに、分かったと言うより今の告白で確信になったのだろう。

 

「うそぉ!?」

 

そのアイエフさんの告白に驚くノワールさん。本人的には隠し通せているつもりだったようだ。

 

「……あなたねえ、取り繕うように言った記憶喪失だなんて、信じるのはネプ子とコンパくらいよ」

 

「あーんもう!せっかくかっこよく正体を明かしたのに台無しじゃ無い!」

 

どうも、ノワールさんが変身するとややテンションが高くなるようだ。それでもネプテューヌやブランさん程の温度差では無いから接しやすく感じる。

 

「そうだわ!ねぇ、あなたわたしのことを知っているんでしょう?お願い、教えて!」

 

必死な様子でノワールさんに自分の正体について聞くネプテューヌに、僕は少なからず呆れてしまった。この様子を見るに、ネプテューヌは何らかの原因で記憶を失くしてしまい、女神化についてもただ変身して強くなる程度のものと考えていたのだろう。

 

「えー……何で本人が分かっていないの?」

 

「イツキさんは、ねぷねぷの正体が分かったですか?」

 

「わかったと言うより、僕の場合はネプテューヌが変身した時点で分かってたよ。ノワールさんに口止めされたけどね。アイエフさんも分かったんでしょ?」

 

「えぇ。確信に変わったのはノワールが変身した時だけど、あなたがネプ子が変身した時に呟いた言葉も判断材料に入るわよ」

 

「……え?って、うぇええぇぇぇええっ!!??ね、ねぷねぷが、もしかして……もしかするです!?」

 

「えっ、こんぱも分かったの!?わたし1人だけわからないなんてズルいわ。お願い、教えてちょうだい!」

 

だから何で本人が分かっていないんだ……コンパさんもこの時点で理解しているんだよ?ノワールさんも呆れてるし。

 

「……やれやれ、仕方ないわね」

 

それからノワールさんは一呼吸おいて、ネプテューヌに真実を告げる。

 

「ネプテューヌ。あなたはプラネテューヌの女神、パープルハートよ」

 

その言葉と同時に部屋に長い静寂。ネプテューヌが黙っているのは事実を受け入れるのに時間がかかっているため。他の皆はネプテューヌの反応を待つために。そして長い沈黙の後、静寂を破ったのは反応を待たされていた人であるその人

 

「……マジ?」

 

「ねぷねぷ。あまりの衝撃の事実に、思わず素が出てるですよ」

 

……なるほど。客観的に見れば女神確定であることは分かっているのだが、主観的には自分が一国を統治する女神とは思えなかった。と言うことなのだろう。

 

「あいちゃん、どうしよう。わたし、女神だったわ。しかも、プラネテューヌの」

 

「まさか、ネプ子がプラネテューヌの女神様だったとはね……」

 

既に知ったこととは言え、ネプテューヌが女神だったことにアイエフさんは未だに驚いているようだ。無理もない。ネプテューヌの素の姿を見ていれば、とても女神とは思えないのだろう。

 

「………念のためにもう一度きくけど、本当に、プラネテューヌの女神がわたしでいいの?」

 

余程突きつけられた事実に衝撃を受けているのか、ネプテューヌはノワールさんに再確認していた。

 

「わたしでいいの?じゃなくて、あなたが女神なの。もう、何度も同じこと言わせないの。……あ、けど、ここで守護女神戦争の続きをやろうってのはナシよ。今は、工場や街の復興を優先させてもらうわ」

 

ノワールさんはそう言うと、今度は僕の方へと向いた。

 

「それでね。ネプテューヌの正体は皆何と無く察していたみたいだから次に行くけど、ここから先の話が本題よ」

 

「そんな!?わたしの正体についてはそんなついでみたいに終わってしまうの!?」

 

やはりと言うかなんと言うか、ネプテューヌが女神と言う事実に1番驚いているのは本人であったようで、割とスムーズに終わってしまった自分の正体についての話題に少しショックを受けていた。

 

「はいはい。話止まっちゃうから無視するわよー」

 

「あいちゃん!?そんな!!」

 

「ねぷねぷ……今はちょっと我慢してくださいです」

 

「うっ……こんぱがそう言うなら……分かったわよ……」

 

そう言ってネプテューヌは近くの椅子に腰掛けて、話を聞くことにしたようだ。少し表情が浮かばれないし、自分の正体についてが軽く扱われているように思えて仕方ないのだろう。可哀想だし後でプリンでも奢ってあげないとね。

 

「で、話の本題。それは、イツキの正体についてよ」

 

「イツキの……」

 

「正体……」

 

「ですかー?」

 

「打ち合わせしたの?って思えるくらいに繋ぎが良いね……」

 

ノワールさんの切り出しと同時に向けられた視線と言葉についついそんな軽口を叩いてしまった。あんまり余計なことを言うと話が脱線すると怒られるし、自重しよう。

 

「そうよ。丁度本人がいることだし、確認しながらね。それじゃ、単刀直入に聞くわ。イツキ、あなたは他国の教会関係者である。そうよね?」

 

「……」

 

何も話していないが、動じていないわけではない。むしろ内心は穏やかではなく、少し焦っていた。ノワールさんがこの国の女神であることを明かした今、他国の、向こうは気づいていないが女神直属の補佐官がいるなんて知って、あまり良くは思わないだろう。

 

「……あぁ、他国の教会関係者がこの国にいることを、ラステイションの女神である私が良くは思わないとか気にしているの?」

 

「……えと……」

 

「別に、その辺は気にしないわよ。あなたはこの国に害をなすことをした訳ではないし、寧ろ私はこの国の住人であるシアン達を守ってくれたあなたに、お礼を言わなくてはいけないわ。ありがとう、イツキ」

 

ノワールさんはそう言って頭を下げた。一国の女神に頭を下げられ、これまで普通に接してきたとはいえ変身した状態のノワールさんが頭を下げているのを見て、僕は少なからず慌ててしまう。

 

「や、やめてくださいブラックハート様!一国の女神様が、ぼ……私のような人間に頭を下げるなんて……それに、私は損得勘定でシアンさん達を守ったわけではないのです!」

 

目の前にさっきまで居た少女は実は女神であり、変身した姿で僕の目の前にいるせいか、どうにも平身低頭な姿勢になってしまう。この辺は僕の悪い癖か。

 

「そう。そう言ってくれると嬉しいわ」

 

「は、はい……」

 

「で・も、その変に堅苦しいのはやめなさい。いつも通りに接してくれて構わないわ」

 

「わ、わかりました」

 

「分かってないじゃない」

 

「……分かったよノワールさん」

 

「ん、よろしい」

 

……あれ?また既視感(デジャヴ)

 

「それで?ノワールはイツキはどこの国の教会関係者と思っているのよ」

 

そんな僕の様子は他所に、アイエフさんは話を続けるように促した。見ればネプテューヌもコンパも、僕の正体については気になっている様子だった。

 

「ここから先は推測なのだけどイツキの仕える女神って、ルウィーのホワイトハートなんじゃないかしら?」

 

「ブフォ!!」

 

噴いたとも。僕は盛大に噴いたよ。でも誰にも唾とかかけなかったからマシだろう。いきなり建前のとはいえ、僕の正体に気づかれかけたのだから、驚くのは無理もないだろう。

 

「あら、その様子じゃ本当にホワイトハートに仕えているのね」

 

「……ごめんちょっと用を足しに……」

 

「我慢しなさい」

 

……くっ……逃げ場を作ってくれないよこの人!これ以上この場に居たら余計なことまでボロを出しそうだ。何とかこの場から一時的に離れる口実を作らなくては……

 

「あ!そういえばお茶を出していなかったね!今から出すよ!」

 

「みなさーん。お茶がはいりましたですよ〜」

 

「ありがとうコンパ」

 

逃げ道なし。打つて無し。どうしようもなし。

 

「あ、イツキさん。勝手にお茶淹れちゃったですけど、平気でしたですか?」

 

「……うん。勝手にお茶を淹れてくれることには問題ないんだけど、タイミング凄まじくない?コンパさん」

 

「?」

 

しかもこれを素でやっているのだから怒るに怒れない。と言うか怒る理由がない。コンパさん……恐ろしい子……!

 

「それで?珍しくイツキが自滅したことによって、イツキがルウィーの女神様に仕えているのは分かったけど、ノワールはどうしてそう思ったのよ?ブラフだったんでしょ?」

 

「そうね。それを説明する為に、未だに私達は女神化を解いていないのよ。ネプテューヌ」

 

ノワールさんはネプテューヌを呼ぶが、さっきまでいた場所に既にネプテューヌはいない。

 

「ねぷねぷ?呼ばれているですよ?」

 

「……え?そうなの?じゃあ、後一口食べたら行くわ」

 

そしてテーブルでコンパさんの淹れた紅茶を嗜みながら、プリンを上品に食べるネプテューヌ。変身は解いていない筈なのだが、マイペースと言うところは変わらないのか。

 

「ってコラそこ!勝手に寛いでいるんじゃないわよ!」

 

案の定、ノワールさんが怒りました。と言うか、ネプテューヌが変身していても話が全く進まないぞ……

 

「ごめんなさいね。お兄ちゃんの正体についての話なら、私は関係ないと思って」

 

どうやらネプテューヌは割と僕の正体についてはどうでもいいらしい。さっき気にしている様子に見えたのは気のせいだったようだ。……いや、それはいいけど……

 

「……ねぇ、ネプテューヌ」

 

「何かしらお兄ちゃん?」

 

「せめてその姿ではお兄ちゃん呼びはやめてくれない?」

 

「あら?どうして?」

 

分かってる……!この人は分かっていてやっている……!変身しても僕の方がまだギリギリ身長は高いが、向こうの大人びた雰囲気でお兄ちゃんなんて呼ばれたら、凄いむずかゆい。

 

「はいはい、その話は後でやりなさい。ノワール、続けて」

 

「了解よ。ねぇネプテューヌ。あなた、今変身していて、変身する前とは違って、自分の体の中に力が湧き上がるような感覚があるでしょ?」

 

「えぇ、確かに。この姿になると、変身前にも微かに感じてはいたのだけど、ハッキリと感じられるわ」

 

「それは、シェアの力よ」

 

「シェア?」

 

「……イツキ、説明して」

 

ノワールさんが頭を抱えていた。ネプテューヌは記憶喪失だし、シェアのことは忘れていても仕方が無いと思うけど、記憶を失う前のネプテューヌのことを知っているから調子が狂うのだろう。

 

「ネプテューヌ。シェアって言うのは人々の信仰心の事だよ。女神の力は人々の信仰心によって比例しているんだ。例えばネプテューヌを信仰している人が増えればネプテューヌのシェアの力は強くなってネプテューヌ自身も強くなる。逆に信仰心が薄れると弱くなってしまうんだ」

 

「つまり、今私の中にある力は、私を信仰している人達の、信仰心そのものなのね」

 

「……普段からこれくらい理解力が高ければいいのに」

 

「?何か言ったかしら?」

 

「いや、何も」

 

またくだらないことを呟いてしまった。とりあえず説明は終えたのでノワールさんに話を続けてもらう為にノワールさんへと視線を向けた。

 

「ん、イツキの説明で合ってるわよ。それに、ネプテューヌがさっき言ったように、変身するとシェアの力を感じやすくなるのよ。それは例え、他の女神ものであってもね」

 

そう言ってノワールさんは座っていた椅子から立ち上がり、数歩歩いて僕の目の前に立った。

 

「?ノワールさん?」

 

「ねぇイツキ、ちょっと左腕をあげてくれない?」

 

「?分かったよ」

 

言われるままに僕は左腕をあげた。そしてノワールさんは僕のあげた腕をじっくりと見ている。あのアヴニールのサンジュのような観察眼では無いにしても、少し気恥ずかしかった。

 

「……これね」

 

そしてノワールさんは僕の左腕の手首を掴んだ。ちょっとノワールさんの手はヒヤッとしていた……って違うよ。

 

「ノワールさん?何か気になるの?」

 

「イツキ。あなたが今左手首に巻いているこのミサンガから、微かにルウィーの女神……ホワイトハートのシェアの力を感じるわ。これ、ホワイトハートからもらったものね?」

 

「!!」

 

「その様子じゃ、もう確定みたいね」

 

……もう、言い逃れは出来ないだろう。正直、自分がボロを出した時点で言い逃れは出来なかった気はするが、ここまで言われてしまっては隠す必要もないだろう。

 

「……はぁ……分かったよ。降参降参」

 

「……話してくれるのね?」

 

「隠せるものも、もう隠せないよ。それじゃ、僕の正体について話すよ」

 

僕はこの場に居る人達に、自分が異世界人である事を省いて話し始めるのだった。

 




ネプテューヌUは買った初日にクリアした。だが、色々と他にも要素があって書けないぜ!ブラン?買った初日にレベルカンスト済みです。当たり前です。俺は巷に増えているラブライバーならぬラブランナー何だよ。

ブラン「その割りに私の性格を把握し切れてないわよね」

イツキ「と言うか僕はツッコミ役なのかボケ役なのかハッキリしないよね?」

ネプテューヌ「わたしにお兄ちゃん呼びさせるのも、違和感を感じる人は多いと思うよ?」

作者「……うん。ゴメン……でもさ、よくあるでしょ?気づいたらこんなことになっていて、取り返しのつかないことって」




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