この苦しみ溢れる世界にて、「人外に生まれ変わってよかった」   作:庫磨鳥

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ALISの情報を纏めたものとなっています。本編のおまけ程度で読んでいただけたら幸いです

ネタバレが多く記載されていることをご了承ください。
※ストーリー進行によって情報が追加されます。
※我慢出来ずに所々遊んでいますがお許しください。


ALIS 一覧表

【ルピナス】

喜渡愛奈専用ALIS。

お馴染みのダイダロス工房設計、械刃重工が製作したベアボウに似た形状の弓型ALIS。射撃武器でありながら近~中距離での戦闘を目的に作られた。そのため使用者の動きを阻害しないように軽量化及び形状のコンパクト化を意識している。これによって攻撃性と耐久性に不安が残るものの、愛奈の戦闘スタイルに完全に適したALISとなった。これほどまでに軽量化しながらも第三世代と同格の性能を持つALISを作れるのは械刃重工の職人たちの腕があってのものである。


械刃重工製の既存の矢であればどの規格でも自動調整を行なってくれるため十全に放つことができ、弦が切れた場合でも自動で交換してくれる。魔眼使用を前提としているため射撃補助に関するものは省かれており、また愛奈が主に移動しながら攻撃を行なう機会が多い事から装填の補助に着目。内部に専用の矢が最大二十本、半分に分離されて仕込まれており、思考起動によって自動で人間の小指ほどのマニュピュレーターが矢の組み立てから装填まで行なってくれる。*1*2


ダイダロス工房は専用で製造させる仕込み矢に対して追加で利点を与えたいとし、鏃側と矢羽根側で使用する素材を変えて製造。これによって耐久性だけではなく、飛距離、威力ともに向上させる事に成功した。*3


「【ルピナス】は“状況に間に合う”ことを目指して設計した。データから見るにこの『ペガサス』は“多くの仲間”を気に掛けた戦い方をしている。理由は知るよしもないが能力が射撃に特化しながらも前に出ていた主な理由はそれだろう。その分、自衛要素を削りきってしまったが、味方を守ることがこの『ペガサス』の命を救うことになるに違いない――汝、後悔なきように」

 

 

【待雪草】

久佐薙月世の専用ALIS。大太刀型のALIS。従来の大太刀型ALISと比べると刀身が分厚く長めとなっている。ダイダロス工房設計の械刃重工製作であるが、その無理難題な要求にAIからは製造不可の判定を受けて、二度にわたって設計図の引き直しを余儀なくされたあげく、それでも機械作業では不可能と判断された部分を呼び戻した引退職人たちの手作業によって完成させた変態的伝統技術の結晶である。その攻撃性特化の作りから専用ALISの中でも異端な存在とされ、関係者から「妖刀」の異名を付けられた。


中型機以上の『プレデター』を想定した長さで製作されたが、小型種など敵とのサイズの違いによる取り回しの悪さが懸念された。これを解消するためにマトリョシカ構造を採用。大太刀*4の内部には、日本刀*5が内蔵されており、さらにその内部には脇差し*6が内蔵、さらに細剣*7が内蔵されており、相手の長さに見合った得物で応戦できる。


刀であり鞘となっている『一ノ太刀』は『二の太刀』に合わせた溝を作らないといけないのだが、最後までAIには耐久性不足を主な理由に製造不可の判定を受けた。そのため職人たちの手作業のみで製造、感覚だけを頼りに鍛え上げられた刀身は、元々はひとつであったかのようにはめ込まれた『二の太刀』が完全に“馴染んだ”ことで問題が解決された。*8


「攻撃性というよりかは、ひたすら斬れるもの、斬り続けられるものを望まれたと感じた。正しく戦闘狂と呼ばれる人種だな。まあ苦労はあったが望みは叶えたつもりだ。最期まで生を謳歌したまえ……しかし、改めて械刃重工の変態性を再認識した。やはりひとの事言えないでは無いか」

 

 

【ダチュラ】

土峰真嘉の専用ALIS

大盾型*9のALIS。械刃重工設計・製作。械刃式第三世代ALIS『盾』をベースに耐温度性能が高い表面装甲を追加。*10また内部に挟まれてある衝撃吸収材と強化アクリル板を分厚くして耐久性を飛躍的に向上させた。また土峰真嘉の身体能力から総重量にまだ余裕があるとして裏面に械刃式第三世代『杭』の杭発射(パイルバンカー)機構の改良品を取り付けて、攻撃性を確保した。械刃重工を象徴する頑丈な一品に仕上がった。


従来の械刃式第三世代ALIS『杭』は電動モーターによる半射出式であるが、射出から再装填の間、盾として身を守る為に使用できなくなる致命的な問題を解決するため、思念操作によって杭を射出しきれるように改良が行なわれた。また専用の自動装填機能付き杭弾倉を製作し、最大三発まで再装填が可能。その分重量が増してしまったが土峰真嘉は問題無く運用することができる。


「流石は天才と持て囃されただけあって、彼女自身『ペガサス』としてのスペックは頭ひとつ飛び抜けていた。そのため特殊なものを作るよりも量産型の派生品のほうが相性が良いと判断して設計を断わったのだが、あちらのご厚意で名付けはさせてもらった。最前衛の盾役でありながら背後に目を向ける、そんな偽りの立場からの脱却を願っているよ。汝、後悔なきように」

 

 

【バーダック】

篠木咲也の大鎌型の専用ALIS。

ダイダロス工房設計、械刃重工製作。使用者となる『ペガサス』の戦闘データーから彼女の適正距離では槍では長く、剣や刀では短く、また癖のある戦い方*11*12に見合った武器として大鎌が採用された。温度変化に対して強く、軽くて頑丈な特殊金属を求めてイギリスのルイス社に発注。わざわざ械刃重工が保有している運搬ドローンを飛ばしてルイス社製の特殊金属を輸入した。余談であるが第三世代を開発した械刃工業がついに自分たちが得意とするヒート&アイス系の『ALIS』に参入するのかと、あちら側から警戒された*13


特殊な武器であること、また使用者の戦い方を加味して振り回しやすさを追求。形状軽量化と耐久性の両立するために使用素材を軽くて頑丈なものを厳選、予算を犠牲*14に、耐久性を十分に確保しながら械刃重工が製作している『ALIS』でも類をみない軽量さを実現させた。またルイス社が精錬している特殊金属を使用しており、温度変化に強い。


内部に圧縮した空気を溜め込み、噴出することによって反作用エネルギーを生み出し、加速する推進機能が搭載されている。また使用者本人の豊富な発想によって、跳躍時の方向転換や多段ジャンプなど活用は多岐にわたる。所々にルイス社の特殊金属が使用されており、圧縮熱による不便性は排除されており、また内部に溜め込まれた熱を利用して刃の部分を熱し、低温*15であるがヒートブレード化して相手を焼き斬ることも可能。*16


「データを見る限り視野が広いのか、状況の変化を過敏に感じて動き回る印象だった。自分なりに彼女の戦闘データを加味しながら速さを追求した結果、『ALIS』そのものを軽量化することに至ったわけなのだが思いの外、金が掛かってしまったな。はっはっは。……ともあれ、人格者でありながら外を拒絶する汝よ、根を知るものたちに愛されて生を謳歌することを祈ろう」

 

 

【アジサイ】

白銀響生の専用ALIS

ダイダロス工房設計、械刃重工製作の三日月斧の形状をしたALISである。長めに作られた刃の部分に比べて、小柄な使用者の身長とほぼ同じ長さで製作された結果、小型種向けのサイズ感となっている。斬るのではなく切り込みを入れると、斧本来のテーマに沿った設計がなされており、切れ味もそうであるが刃の強度を意識している。専門家によれば、この分厚さで、この強度を実現出来るのは械刃重工だけだとも。


使用者が主に戦うであろう相手*17を想定し、トリッキーな戦い方について行けるようにと、どんな体勢や握り方でも振り回せる。あるいは挙動ごとに持ち方を変えやすいようにした作りが成されている。使用者とほぼ同じ背丈にしたのは、対〈魔眼〉を想定し、持ち方を変えやすく、視線から隠れやすく、また身を出しやすいようにするためである。


どれだけ硬い相手でも、とにかく切り込みを入れるという思想の元、斧腹内部に特殊金属で作られたバネが内蔵されており、普段は本体ごと縮められて固定されている。使用者の思念操作によってロックが解除されると、強力なバネの復元力によって斧腹が伸び、強烈な一撃を繰り出すことができる。また元に戻す機能にはボルトの回転機構を採用。いちおう手動でも元に戻せるようには成っているがバネが強すぎるあまり*18『ペガサス』でも手動で戻すのは難しい。


「武器としてバランスは多少悪いものの彼女が戦うべきであろう存在、『ゴルゴン』である事を考えれば、〈魔眼〉の対処をしながら戦わなければならず。自然と使用者の〈魔眼〉を主体とした設計となった。その無常さが、如何に作用するのか分からないが、いつか己の違う色に気づけることを願うよ。汝、生を謳歌したまえ」

 

 

【サギソウ】

穂紫香火の専用ALIS

ダイダロス工房設計、械刃重工が製造。形状は極限まで無駄を削ぎ落とした純白な槍そのもの*19。他が多少の妥協がする中で、このALISは持ち主の身体データを参考に人間工学に基づき、長さ、細さ、刃先の形状まで、あらゆる全てが考え尽くされた。正に穂紫香火ためだけに作られた、“専用”という言葉が相応しい『ALIS』となっている。


穂紫香火に合わせた結果、システム面ではかなり暴れ馬のようなチューンナップを施されており、アシスト機能は極限まで繊細化している*20など、彼女以外が使用する事を本気で考えられていない。偶然にも(きっさき)の形状が花に似たことから、その名前が付けられた珍しい例となっている。


史上最高の『ALIS』とならないのがダイダロス工房設計。ひと味足りないと思った*21彼は、緊急時に陥ったさいに槍を投合して起死回生を図る場面が多く見られた事から、もしもの最終手段として中身にロケットに使用されていた同等の固体燃料を導入を決定、驚異の械刃重工技術によって超小型化と、槍の中に空洞を保ちながら抜群の耐久性の実現に成功、こうして使い捨て前提の一撃必殺ALISが出来上がった*22


石突を高熱で熱する事で中の固体燃料に引火。推力を得た本体は瞬間的に音速に達し、星形にくり抜かれた角が燃え尽きるまで加速する。しかしながら耐久性と燃料が小さいなどの理由から安定して飛ぶ距離は百メートルほどしかなく、それ以上遠くで投合すると、どこへ飛んでいくか分からない*23


「物足りなさを感じて、追加注文をした事で呼び出されたりもしたが無事にできあがって良かった。ここまで専用という言葉が適しているものは、早々生まれやしないだろう、天才の極地、確かにこの目で見させてもらった。彼女もそうであるが、械刃重工の技術も含めてな、いちど使ってしまえば槍は失われるが、まあ心配は要らないだろう、真なる強さを持つ汝、生を謳歌したまえよ」

 

 

【Achillea 0,7】

雁水レミの狙撃銃型の専用ALIS。

ダイダロス工房設計、械刃工業が技術提供、天馬研究所が製造。三角と正方形が組み合わさったSF作品に出てくるような見た目をしている。火薬の使用量が限られている械刃重工ではあるが銃型ALISの製造を諦めていなかった。

械刃重工は小型超電磁加速砲に着目。開発そのものは上手く進んでいたが、物体を打ち出すための必要な電力量がどうしても第3世代の基準値を遥かに超えてしまい難航、現時点での技術では難しいと一度お蔵入りとなっていた。


そのあと政治的な事情が絡み、械刃重工側は協力を余儀なくされ、設計者の許可無しで天馬研究所の方へと委託し開発が再開、臭いたつ作品が出来上がる事となる。


電磁加速によって打ち出される弾丸は、火薬に並ぶ速度と破壊性を両立。しかしながら、数多くの問題や欠点を抱えた実験機*24となっている。確かに破壊力、攻撃力は凄まじいが冷却しきらないと次が撃てない。そもそも充電量が一発分しか溜まらない。最大飛距離の半分ほどでプラズマ化が発生してしまいあらぬ方向へと飛んでいってしまう。危険な放電現象が確認されている。互換性が皆無*25。そして第二世代の基準すらも超えている活性化上昇率と、誰が見ても欠陥機と評する事を避けられない出来となっている。


天馬研究所は械刃グループの訴えに「基準はクリアしている試験機」と返答し続けている。第3世代である事を望まれて描かれた設計図も、願いの結晶たる技術も、天馬研究所の前では余分なものでしかなく、厚顔無恥で、さぞ良いことをしたという風に出来上がったものは、彼らが勝手に目指している次なる時代の象徴である。


「――*26天才の集まりと謳っていた癖には、なにひとつ問題を解決できていない。積み木を横に並べて塔だと宣い勝ち誇っている滑稽無知な姿は、なるほど確かに天才的かもしれないな。テスト機と言えど内容が杜撰であれば、どう足掻いたって赤点以下でしかないのに、無知故に人様の物に指紋をつけたというのがよく分かる。それを抜きにしても設計図も読めないのか、どうしてこうも空虚な奴ほどオリジナル性に固執し、自分色に染めようとするのか、とことん理解できん。初期仮名をローマ字に変えるだけでそのまま使うのはどういう神経をしているのか理解出来ない時点でどうやら私は天才では無かったみたいだ。それか世界の常識が可笑しいのか? 非凡は優しい言い方でとんだば――*27

 

 

【サイプレス】

蝶番野花の短剣型専用ALIS。ダイダロス工房設計、械刃重工製作。『ALIS』というのは『ペガサス』が使用する装備であると同時に『プレデター』を想定して扱われる兵器、そして「『ALIS』は『ペガサス』自身の身を守るための武器」という械刃重工の理念全てから逸脱した異質作となっている。


刃渡り20cmと、小型種を相手ですらあまりにも短く、両刃ではあるが斬るよりも刺突性能が高いと、全ての特徴からして、『プレデター』と戦うことは想定していない。また付与された機能から、この専用ALISは別の敵*28を想定して作られたものなのが嫌でも理解できてしまう。


武器としてははっきりと使いにくく、その使用感は戦闘以外の包丁や鋏のように目的に特化した、人殺しの刃物といった具合である。


敵対存在が、急所以外の損傷を瞬時に治療してしまう能力を持っていること、また使用者が的確に急所を狙うほどの能力を有していない事から、刺せば殺せるという機能を取り入れるのは必然であった。握り部分に猛毒が入ったアンプルが装填されており、思念操作によって、押し出されて(きっさき)に空いてある複数の穴*29から噴出される。


使用されている猛毒は過去“卒業”用に使用するものとして候補に挙がったが、望んだ効果を得るには血管に狙って注射しなければならないという摂取の難しさ。『ペガサス』などに効く鎮痛成分が毒と反応してしまい溶けて無力化してしまうことで激痛に見舞われるなどで不採用となったもので、今は廃れた械刃グループの医療関連の資料からデータを発見、ストップしていた工場を部分稼働させて再製造する事となった。あまりにも非道だと反対の声が多くあがった。それでも採用したのは、この『ALIS』が使用者を助けるものであるからだ。


「――あの奇妙なデータ*30が何を意味するのかを。その使い方から誰を殺した……いや、“卒業”させたのか、貴方だってわかっている筈だ。我らの業から始まったものを今更否定することは許されないはずだ。械刃重工とあなたにも信念があるように、私にも信念と呼べるものがある。死を与えるものであれ、絶望を振りまくものであれ、手向けの造花を与えるものに祝福を、道路の側面に並び立つ象徴たちのように、私は汝を受け入れよう」*31

 

 

【プラタナス】

硯夜稀の専用ALIS

工具箱型のALIS

 

 

【ブルーベリー】

縷々川茉日瑠のボウガン型専用ALIS。

ダイダロス工房設計、械刃重工製作。装弾数12発の弾倉式。とにかく軽量化および取り回しのしやすさを求められて設計されており、“構え”と“撃つ”の挙動のしやすさを追求しており、逆説的にそれら以外の全てが二の次となっている。そのため『護身用』と含みを持った通称で呼ばれる事がある。射程、威力共に『プレデター』の小型種すら打倒することが難しい事からダイダロス工房と械刃重工の間では大きく議論が交わされる事となった。


その見た目は完成品でありながら、サンプル品に見えるほど一切の無駄が削ぎ落とされているものの、何時もの如く素材に拘り抜いており耐久基準値は余裕でクリアしている。アシスト機能をオフにしても『ペガサス』の身体能力であれば重さを感じることなく扱える事ができる。

優れた連射機能も備わっているが弾倉ひとつで放てる数は12発ほど乏しく緊急時*32でなければ単発使いが推奨される。


この『ALIS』は威力、射程距離など複数の観点から『プレデター』として戦うことを想定していない。『護身用』という呼び名が示されるとおり、司令塔として活動する使用者が、もっとも近くに生まれるかもしれない敵対者*33から自らの命を守る事とのみに特化している。よってこの『ALIS』を所持することは自ずと使用者の価値が発揮するのは前線ではないという評価へとつながり、戦いから遠ざけるという意味合いでも生存率を向上させる性質を持つ。


「正直、採用されるかは半々であったが、データが示す彼女の状況を鑑みて械刃重工社長も首を縦に振った。どんな形であれ汝らを祝福するのが私の仕事だからな……噂によれば、少々東京の外から声が届いたらしいが、まあ私としては己の設計が採用された以上、そこら当たりの話に興味を持たないさ。汝の生が、実りあるものことを祈ろう……、一発も矢が放たれないことも含めてな」

 

 

ナズナ(剣)

過去に在籍した高等部ペガサスが使用していた西洋剣型ALIS。現在はルビーが使用している。

械刃重工制作。片手剣型ALISは小型種との戦闘を想定したサイズであるため特定の中型種、大型種を相手にする場合のALISとしては不適切である。

よって所有者はあらゆるプレデターに対して片手剣と片手盾を用いて勝利してきたものの、多くの問題があり、それらの問題の解決事を第一とした。


根本的な問題として片手剣の持ち味である片手仕様による機動性の高さを保持しながら、攻撃力の弱さをどう補うかであった。単純に重量を加算するのであれば持ち味を殺す事となり、アシスト機能に強い負荷を強いる事となり望まれなかった。

そこで械刃重工の専用ALISを専門とするチームは竹を参考とし“弾性”を活用できないかと発案した事で製造が開始された。


片手で扱う以上、振るう方向から両刃であるのが望まれたため西洋剣型のままとなったが使用する技法は日本刀形式による二種類の特殊金属加工を採用。特殊金属は双方とも電気に反応して硬度が変化する性質を持ち。*34復元力が強い刀身の軸とし、それを纏うように軽量で重男性の高い金属を本体とする。これによって戦闘だけではなく、あらゆる方向性に対する刀身の変化にも絶えられる片手剣にして大剣型ALISや槌型ALIS並みの強度を手に入れた*35また任意に撓りを操作できれば多様性を得られるとしてアシスト機能とは別に高性能の接触反応制御装置を導入。極めて繊細な撓りの操作ができる。

片手で扱うには相当な負荷がかかるが『ペガサス』であれば全く問題ない。片手盾も存在していたが、そちらは既に紛失している。


彼女は心身深きシスターであった。彼女は誰かの側にいて支え続けていた。

彼女が己の武器を剣と盾としたのは誰かのために戦うこと、誰かを守ること、そのどちらもしたいがためであった。

例えその行為によって自らが旅立つ時が早まっても構わなかった。なぜなら彼女には信仰があった。

 

どんな時でも神は見てくれる。なれば終わりの時までに多くの善行を積めば争いのない天国へと行けるだろうと。

しかし、そんな彼女に向けられたのは地獄を長引かせる悪魔という酷評であった。

 

彼女は十字架のように床へと突き刺さったナズナの前で祈ように丸まって“卒業”していた。

それが祈りだったのか、懺悔であったのか、記録には残されていない。

 

 

【KG4-SG/t3】(ケージフォー・エスジー・タイプスリー)

K//G社製ショットガン型第二世代ALIS。アシスト機能を除けば、元となった散弾銃と性能面でそれほど違いがなく、俗に言う“ペガサス専用の銃”代表と評価されている。それほど迄に銃というのは完成されているのだ。『ALIS』としての価値を上げるために、本体ではなく付属装備(アタッチメント)のほうに着目、弾丸(シェル)の種類も揃える事で多様性、状況適正の幅を増やすが、射程距離が短い、使用弾が散弾である事から移動中の教室列車での戦闘などではすこぶる相性が悪く、結局使いどころを限定されてしまう。


売れている商品ではあるが、利益*36はそこまで出ていないと商売泣かせの一品となっている。3代目(t3)では、問題だった耐久性を改善。高速戦闘をより想定して、フルオートでの連射速度を17%向上。使用者の判断によってアシスト機能をさらに二段階ほど強く出来るようにした。


ルビーは銃本体こそあまり弄ってはいないが、様々な弾丸(シェル)を使用する。違う種類のを同じ弾倉に入れていることから彼女の持つ弾倉は、混沌弾倉(カオス・マガジン)*37名前を付けられたりする。


「乱戦や防衛対象の存在が珍しくない『プレデター』との戦闘での散弾使用は事故を引き起こしやすく、それを嫌う車掌教師も珍しくありません。一定数売れている商品ではありますが、私共としましてはもう少し利益を上げたく、頑張って色とりどりのキュートな選択肢を増やしているのですが、現状はとても残念な結果となっております」

 

 

【KG9-MR/】(ケージーナイン・エムアール)

装弾数八発、半自動(セミオート)式。

K//G社製マークスマンライフル型第二世代ALIS。前衛(フロント)での使用も想定されて開発された狙撃用のALISであり、形状は狙撃銃でありながら、砲身(バレル)銃床(ストック)が短く、全体的に狙撃銃のカテゴリーに入るものとしては小振りに作られている。また素早く動かせるようにと軽量化*38が行なわれている。


狙撃型ALISと比べて射程距離が半分ほどに下がっている、無理な軽量化によって耐久性に不安が残り、安定性も落ちている。アサルト用の弾丸も使用する事はできるが、単発連射(クイックショット)が不可、弾数の少なさから前衛でも制圧力に欠けており、狙撃銃用の倍率スコープを装備すると、前衛では邪魔にしかならず、前衛(フロント)後衛(バック)、どちらかの付属装備《アタッチメント》を付けると、どうしても片方の利点を完全に殺してしまうという、何を持っても中途半端なものとなっており、現場での人気はかなり低い。


性能としては決して褒められたものではないが、前衛(フロント)後衛(バック)、どちらでも対応ができ、付属装備(アタッチメント)も多様性に富んでおり、個人に合わせた改良がしやすい。また貫通力の高い狙撃用ライフル弾が使用できるため、性能の中途半端さに目を瞑ってでも愛用するオールラウンダー型の『アイアンホース』、もしくは多様性のみを注視して採用する車掌教師は一定数いる。


(ハジメ)長身弾倉(ロングマガジン)を採用し、装弾数を14発へと変更。後衛用のライフルスコープは前半分を折りたたむ事で、前衛用の照準器(ドットサイト)へと変更可能、前衛後衛どちらでも使用できるものを選んだ。銃身を二割ほど短くし、前衛寄りに、引き金の遊びを減らす事による撃ちやすさと連射速度を向上させる改造が施された。無理に改造せず周りからアサルトライフル型ALISを使用する事を薦められるが、貫通力の高いライフル弾が使えるのがいいらしい。


「現場の要望に応えて作ってみたはいいものの、スポーク*39のようには行かず、玄人向けの性能となってしまい。慣れるころには馬が寿命を迎えてしまう、なんて事もあってあまり人気の無い商品でした。ですが最近、ご活躍華々しい英雄馬が使用していた事もあって、前年の数倍は売れています。ほくほくです」

 

 

KG1-P/P(ピリオドワン)

K//G社製の第二世代ピストル型ALISは、最初に計画・設計された銃型ALISシリーズのピストル型の最終モデル。十代の少女ゆえに小さな手が多い『アイアンホース』でも握りやすいようにグリップ部分を再設計している。とはいえ、最もたる問題であったプレデター戦における火力不足の問題を解決する事ができず。このタイプを持って次世代開発を終了する事となった。


装弾数は八発。使用できる口径の威力では小型種のプレデターを相手取るのが精いっぱいであり、対人相手ならば『ALIS』である必要性も無いとして、どうしても需要を獲得する事が得られなかった。最初期こそは副装備として選択肢にこそ入れられていたが、他のK//G社製ALISの開発が進むことによって、よりいっそう居場所が無くなり、今では低コストという言葉に惹かれて購入した車掌教師は暫くの間笑いものにされるほどであった。


あるいは鉄道アイアンホース教育校では会社の規定として、『アイアンホース』に必ず『ALIS』を装備させる必要がある。よってピストル型ALISの事を愛されなかった『アイアンホース』に送られる、最初にして最後のプレゼントとも呼ばれている。


「いやいや、なんとか頑張ったんですがね、流石に時代には勝てませんでした。もっとも真っ当な先生たちからは割と最初期の段階で不必要と言われ続けていましたので、早めに開発は縮小化していったので、そこまでダメージはありません。それに完全に需要は無いわけではありませんし、ようやく丁度いい立場に収まったとポジティブに考えています」

 

 

KG1-SS(ワン・レス)

『アイアンホース』の手首に収納できるほどのピストル型ALIS。もしくはデリンジャー型ALISとも呼ばれている。当然ではあるが、このサイズ感故に使用できる弾丸では、相手に銃口を押しつけてようやく効果があるほどの威力しかなく、『プレデター』の外殻を貫通できるものではない。K//G社の開発部門の人たちですらも、何のために作ったのか今になっては分からない首を傾げる一品である。既に製造は中止されており、弾丸も在庫を残すのみとなっている。


先代(ハジメ)の愛用品であり、九重ハジメが受け継いだ遺品。けっきょく最後まで『プレデター』の一体も倒すことは出来なかったが、【303号教室列車】の『アイアンホース』の窮地を何度も救った一品である。彼女は常に袖の中に二丁お仕込んでおり、その片方を九重ハジメに、もう片方を己の“卒業”用に使用した。


「『プレデター』に使うにしても、対人間用を想定していたとしても、明らかに威力不足としか言えず、ALISの意味有りますと質問すれば、無いですねとしか答えられない物となっています。どうして製造したのか、恐らくその時全員が酒に酔っていたのでしょう」

 

 



 

【鞍真0式】

北陸聖女学園第四分校の研究物。全長5メートル、巨漢の力士のような図体をしている人型ロボットであり、その正式名称は『人間搭乗試験式人型第四世代ALIS』である。第四世代というだけあって“天馬式電池(ペガサス・バッテリー)”を使用して稼働する。


まだまだテスト段階の技術であり、ロボット本体の戦闘能力は希望の数値に達してはいないものの、ここ最近では一部で第三世代ALISの技術を転用する事によって“電池容器(バッテリー・フレーム)”が大幅に改善、希望稼働時間*40はクリアする事となり、全体の機動力も2割弱強化出来ると大進歩を遂げた。


あくまでテスト機というだけあって人間に近しい稼働を行なう事を最優先。後で他の分校や企業たちが触るの前提に拡張性に特化させており、攻撃能力も後付けによる装備だけと成っている、他にも兵器として無駄な部分が多い。とはいえチームでの討伐であれば大型種討伐を行なえた事から、この時点で実戦に耐えられるものとして、多くの関係者から夢が広がる*41と太鼓判を押されている。


実際のところ関わっている第四分校所属の教授たちにとって、本体はどこまでも天馬式電池を稼働試験をするものでしかなく、最終目標である『ペガサス』に成り代わる『第四世代ALIS』は自身たちの技術だけでは生み出せないと自覚している。よって名前の通り、これは全ての始まりを意味する0となるための鞍なのだ。

 



 

 

械刃製第三世代・剣

有効:中型種 大型種

大剣(クレイモア)の形状をした前衛向けALIS。アシスト機能もあってか、見た目とは裏腹にとても軽く振り回す事ができるため利用者は多い。リーチの長さも充分であり、巨体である『プレデター』を両断する事ができる。

 

 

械刃製第三世代・弓

有効:中型種

アーチェリーで使用するコンパウンドボウの形状をした後衛向けALIS。射程、威力ともに高い性能であるが、アシスト機能を持っていたとしても、扱うのにそれなりの技量が必要となる。

 

 

械刃製第三世代・槌

有効:中型種 大型種。

六角錐状の尖った頭をしている槌型ALIS。固い外殻を持つ『プレデター』の防御を貫通してダメージを与える事を目的として設計、生産された。剣と比べて有効打を与えられる場所が頭のみ。リーチが短いなどの事情があり、好みが分かれる。

 

 

械刃第三世代・大盾

有効:無し

長方形の大盾型ALIS。元となった武器と同じく完全に身を守るためのものとなっている。カニ型プレデターのハサミによる殴打も耐えられる防御性能を誇り。その頑強さを利用して、殴り武器として扱う『ペガサス』も少なくない。アシスト機能によって持ち感は存外軽い。表面の窪みに小型カメラが埋め込まれており、視線を遮る持ち方をすると、〈魔眼〉と無線接続が行なわれ、カメラ視点となるため視界が塞がれる事は無い*42

 

 

械刃製第三世代・片手剣&小盾

有効:小型種

西洋剣(ロングソード)逆三角盾(カイトシールド)の形状をした二種一体型ALIS。セットでひとつのALISとしてカウントされており、第三世代の活性化上昇率の基準内に収まっている。小型種を相手取る事を想定して作られており、ALISにしてはコンパクトなものとなっている。低身長の『ペガサス』には好んで使うものも多い。

 

 

械刃製第三世代・弩

有効:小型種 中型種

クロスボウの形状をしたALIS。ドラムマガジンによる自動装填(オートマチック)式。連射能力が高く、威力も充分な値を確保しており、初心者でも扱いやすいが弓と比べて射程が短く、『プレデター』の種類によっては、矢が短く急所まで届かない事が多いと、活躍の場面は限定されている。

 

 

械刃製第三世代・槍

有効:中型種 大型種

十文字槍の形状をしており、突く、斬る、刺すなど多様な攻撃が行なえる。その分、使用者にセンスが問われるため、使い熟す『ペガサス』はある種の憧れの目を向けられる。横刃は折り畳み式となっており、閉じれば普通の槍としても使用可能。

 

 

械刃製第三世代・杭

有効:大型種 独立種

杭打ち機のALIS。リボルバー構造を採用、装弾数は五発、モーターによる回転射出型。大型種など通常戦闘での打倒が困難な『プレデター』を倒す特殊兵装に近く、通常の戦闘には不向きとなっている。アルテミス女学園ペガサスは、大規模侵攻の時、もしもに備えてグループ毎に持って行く

 

 

械刃製第三世代・大太刀

有効:中型種、大型種

械刃重工お得意の刀技術を惜しみなく注ぎ込んだALIS。スタンダードモデルとして企業の顔になっている。剣と比べて使用するのに求められる技量値は高いが、切れ味が鋭く、それでいて軽く、力をそれほど必要としないため愛用する『ペガサス』はそれなりにいる*43

 

 

械刃製第三世代・太刀

有効:小型種 中型種

言ってしまえば大太刀の刀身を短くしたもの。太刀とは称しているが反りは浅く、長めの日本刀といった具合である。小振りになった分、振り回しやすく、より速度の乗った斬撃を放つ事ができる。

 

 

 

*1
全工程三秒

*2
本数を理由に愛奈は緊急時以外あまり使わない

*3
代償にもっとも高価な矢となる

*4
『一ノ太刀』

*5
『二ノ太刀』

*6
『三ノ太刀』

*7
『終ノ太刀』

*8
三ノ太刀以降は持ち手部分に仕込まれている

*9
五角形状

*10
パージ可能

*11
槍の横刃を多用

*12
円軌道の動きが多い

*13
個人の専用ALISを作るためと伝えたらドン引きされた

*14
五倍増し

*15
ルイス製ALIS比

*16
高熱蒸気も排出可

*17
ゴルゴン

*18
形状的にも

*19
デジタル機器部位は目立たないようになってる

*20
軽く振るうだけで腕が持ってかれる

*21
まじでいい迷惑

*22
生産コストが使い捨ての範囲ではない

*23
何故か香火が投げると安定距離が数倍になるので問題なし

*24
械刃グループ側は欠陥機と呼称

*25
大半の専用ALISに言えてしまう

*26
一時間経過

*27
以後二時間続く

*28
対人型生物

*29
械刃重工脅威の技術力

*30
礼無の時のもの

*31
械刃グループ会長との会談時の発言

*32
奇襲など狙いが定められない状況

*33
人型の可能性多いに有り

*34
変化の反応に違い有り

*35
撓りに寄る力を逃がす事を想定した数値

*36
弾薬消費率が低い

*37
そういうのが好きなアイアンホースによって

*38
八キロ

*39
フォークとスプーンが一体化したやつ

*40
1%上昇に付きどれだけ電力を生産できるのか

*41
拡張性が豊富

*42
慣れてないと盾を構えている事を忘れて怖い

*43
使用者数は剣型のほうが上


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