めだかボックス?知ってる、主人公チートの漫画だろ?   作:慧都

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『そこにあるだけ』とあるけどいない

 

「私のことは親しみを込めて安心院さんと呼びなさい」

 

「誰、あんた?」

 

自分は自宅の自室、自分のベットで睡眠をとっていたと思うのだが気が付いたら学校の教室にいた

それもご丁寧に制服まで着て

 

そして目の前の教卓の上には薄っぺらい笑みを浮かべた少女

何やら変な夢を見ているらしい

 

「だから安心院さんだと言っているじゃないか、僕は平等なだけの人外だよ」

 

黒髪ロングの少女はそういってクスリと笑う

その笑いが玲の怒りの琴線に触れる

特に理由はない、だが無性に腹が立ったのは事実だった

 

「おい、露出狂。そこに座るのは僕にスカートの中を覗かせたいからなんだな?美少女の露出狂なんて、僕からしてみればサービス以外の何物でもないんだけどね。出来ることなら膝を抱え込むようにしてくれないか、僕は肌と靴下、スカートのコントラストが好きなんだ。」

 

怒りと言っても、玲は自分から人を殴るのを良しとしない。

それにこんな状況なら、パンチラをみて怒りを発散する方が有意義だと感じたのだった

 

「おいおい、さすがの僕でもいきなり性癖について語られると困っちゃうぜ。まあ君が望むんだったら少しくらい叶えて上げてもいいかな」

 

チラッ、っとスカートを上げる安心院さん

その色香に、玲は満足そうな顔をして

 

「この痴女が」

 

「マイペース過ぎるよ君は!!」

 

安心院なじみ、7932兆1354億4152万3222個の異常性と4925兆9165億2611万643個の過負荷、合わせて1京2858兆519億6763万3865個のスキルを持つ彼女だが、いままで出会ってきた人間の中で最もペースを乱される男にツッコミを入れざるを得なくなった

これは過去3兆4021億9382万2307年生きてきた上で初めての事で、それが後にどのような事態を引き起こすのか

 

それはまた別の話としよう

 

「で、その安心院さんとやらは一体なんの用で?君の話が本当ならここは僕の夢の中なんだろう?」

 

どこからか取り出したティーセットで紅茶を飲む玲、自らの夢の中だからか念じれば物が出てくるのだろうか

 

「おいおい、規格外じゃないか球磨川玲君。いままで対峙した相手の中に君みたいなタイプはいなかったぜ」

 

人外は軽く冷や汗をかく

この教室は安心院なじみ自身の能力で作成した空間、玲の夢の中だと言っても操作権はなじみにあるはずだった

しかしそんなもの関係ないとばかりに、玲は何もないところからティーセットを始めとした紅茶セット、果てにはクッキーまでも取り出している

これは玲の異常が、なじみの1京2858兆519億6763万3865個のスキルを上回ったということに他ならない

スキルがない彼女は人間より長い時を生きただけの少女に過ぎない、玲に敵対しないようにしよう。なじみはそう思った

この世に飽きていると言っても、死にたいわけじゃ決してないのだ

 

「そろそろ本題に入ってくれないかな、用がないなら僕は帰らせて貰いたいんだけど」

 

カチャリ

 

ティーカップを置いて、なじみを見る玲

座る玲の脇では、なじみに背を向け玲のクッキーを囓る不知火半纏の姿があった

いつの間にか仲良くなったらしい二人の姿に、なじみは少し悔しさを覚えた

ただそこにあるだけの≠(ノットイコール)として存在する半纏は、いつもなじみの背後に在るだけ

いまの二人のように仲良くお茶をするなんてしたことが有っただろうか

 

「ん?何、君も一緒に食べたいの?……仕方ないなぁ、こっちにおいで」

 

視線から察したのか、玲は困惑の表情を浮かべた

そしてなじみのキラキラとした目に耐え切れず、なじみを茶会に誘う

 

「うんっ!あ、半纏それ僕にもくれないかい?…ありがとう!!」

 

外見と相応にはしゃぐなじみ、それを横目に見つつ玲は何故二人がここにいるのかの説明はいつになるんだろうと思った

 

「玲君、このクッキー美味しいよ!?」

 

……幸せそうだからいいか

 

玲は思考するのをやめた

いまはただ幸せそうな笑顔を見ていようと思う


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