【完結】ダイスで生き抜け宇宙世紀、一年戦争編(ジオン)   作:小倉ひろあき

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スギウチさんは精神力が弱いのでだいぶ参っています



第13回、めぐりあい宇宙

はい、今回はスギウチ軍曹のア・バオア・クー戦です。

もはやモブくんもいませんし一年戦争も最終盤です。今回が本編最終回になるでしょう。

13回ですし1クール分ですね。

 

艦長も隊長もいないヌッツロース隊ですが、スギウチ軍曹はア・バオア・クーではどのような役割を果たすのでしょうか。

 

1、第2小隊とまとまってア・バオア・クー防衛に

2、古参兵としてバラバラに小隊長となり学徒兵を率いる

3、デラーズ艦隊に配備される

4、カスペン戦闘大隊に配備される

5、ドロス級に配備される

6、Wフィールドのグワジンに配備される

dice1d6【2】

 

ほう、やりますね……学徒兵を率いるベテラン描写は色んな作品に出てきますからね、いい線いってますよ。

学徒兵の中でも腕のいいのはザクを好むベテランと小隊を組むためにザクに、そうでもないやつは余ってるゲルググみたいな話があったような……ありましたよね?

スギウチ小隊はドムで揃えるのでしょうか。

 

まあ、それはそれとして学徒兵を率いるスギウチ軍曹ですが、もう1つくらいイベントを挟んで決戦に臨んでもらいましょう。

ラストバトルですし、多少はね。

 

1、能力覚醒(ステータス増)

2、野戦任官で昇進(ステータス微増)

3、シャアと出会う

4、デラーズと出会う

5、ア・バオア・クーでトラブル

6、新機体受領

dice1d6【6】

 

あたらしい機体を受け取ったようです。個人的にはデラーズと出会って欲しいところでしたが(ゲス顔)。

さて、どのような機体でしょうか。

 

1、モブくん専用ゲルググ

2、ブラウブロ

3、ケンプファー

4、ビグロ

5、ゲルググ

6、リックドムII

dice1d6【1】

 

おおーっ! ピンポイントで引いてきますねえ!

モブくんに用意されていた専用機を受け取ったようです。ヌッツロースに届いていたのでしょうか。

 

最終決戦前に専用機に乗り換えは実に熱い主人公ムーヴですが、ジオンの専用機って他人が乗って良いものなのでしょうか……そこがわからない。

まあ、そこらへんは『それはそれ』と言うことにしましょう。たぶんア・バオア・クーもそれどころじゃありませんよ(ガバガバ)。

 

 

「やあ、来たね」

 

 ア・バオア・クー内の宇宙港。

所々に被弾し破損したムサイ級ヌッツロースの格納庫で、スギウチ軍曹は呼び出された相手に声をかけられた。

 

「トスア伍長、まだヌッツロースにいたんですか?」

「いや、さすがに転属したけどね。軍曹に見てもらいたいモノがあるのさ」

 

 スギウチ軍曹とトスア伍長はさほど親しくはない。だが、職場を同じくした戦友であるし、ある程度の気心は知れていた。

 

「コイツさ、いまシートを外そう」

 

 モビルスーツハンガー内、トスア伍長はシートがかけたままの機体を示した。

 シートを外すと見慣れた山吹色の機体、しかも新型のゲルググだ。

 

「もともと配備予定だったらしくてね。ゴタゴタの中で予定どおり送られてきたから受領しておいたのさ。アンタのためにね」

「……使えるんですか?」

 

 本来なら出撃の予定のない機体である。スギウチ軍曹が訊ねると「まあね」とトスア伍長は苦笑した。

 

「機体は万全さ。問題はパイロットに慣熟の時間がないことだけだね」

「この新型はジオニックでしょう? ザクなら慣れてますよ」

 

 スギウチ軍曹はゲルググの腹部にあるコックピットハッチを開き、シートに滑り込む。

 システムを起動するとモノアイからビゴォォンと独特の起動音が鳴り響いた。

 

「……すごい、5倍以上のエネルギーゲインがある」

「通信周りはだいぶイジってあるよ! 見方は分かるかい!?」

 

 すばやく計器類をチェックしたスギウチ軍曹は「問題なし、やれます」とトスア伍長に応える。後はぶっつけ本番、動かして感覚を掴むしかないだろう。

 

「よーし、色を直したら部隊に送ってやるよ!」

「いえ、このままで。やってやりますよ、中尉の機体でね」

 

 左右の操縦桿やペダルを操作し、スギウチ軍曹は薄く笑う。

 それは攻撃的な、暗い笑いだった。

 

 

モブくん専用ゲルググですから強化は通信と継戦力です。胴体がレッドブラウンで他が山吹色、長短2本のブレードアンテナがトサカのように前後につき、増設されたバックパックからは2本のプロペラントタンクが生えています。

武器は普通のゲルググと変わらずビームライフルとナギナタです。

 

さて、ここからがア・バオア・クーの本番です。

ここは一年戦争最後の激戦ですからスギウチ軍曹には3連戦をくぐり抜けてもらいます。前回のソロモンはなんとも言えない中途半端な感じになってしまったので頑張ってほしいですね。

ア・バオア・クーですし、最後の1回は特別な判定にしましょう。

 

それでは1回目の判定です。

dice1d12を互いにふり、出目で勝敗を決めたいと思います。

ダイス1回目がジオン軍、2回目が連邦になります。ジオンの数字が上回れば判定成功です。

スギウチ軍曹は攻撃力、機動力、ニュータイプ能力が高いので判定に+2します

dice1d12【8】【4】

 

おお……補正込みで10対4です。これは敵全滅もありえる大勝利です。続いて敵の種類と数を決めましょう。

dice1d6を2回ふります。1つめのダイスが敵の種類、2つめが数です。

これを2度繰り返します。

 

1、ジム

2、ジムキャノン

3、ジムコマンド

4、ジムスナイパーカスタム

5、ジムスナイパーII

6、コアブースター

dice1d6

1回目【4】【2】

2回目【2】【4】

 

1回目ジムスナイパーカスタムが2機です。

これはなかなかの強敵ですね。ジムスナイパーカスタムは変な機体で、スナイパーって名前ですが狙撃用の機体ではなくエース用の高性能機です。カタログ性能ではガンダムに匹敵するのだとか。指揮官機でしょう。

それに加えてジムキャノンが4機、なかなかの布陣です。

 

かなり優勢な数字がでましたが、どんな展開になったのかをダイスで選びましょう。

 

1、改造したジム6機がものの3分ももたずに……!?

2、半数の3機を撃墜して敵を退ける

3、学徒兵を守りながら2機撃墜

4、学徒兵を守りながら粘って持ちこたえる

5、被弾したが1機撃墜

6、僚機の学徒兵がやられたが2機撃墜

dice1d6【3】

 

学徒兵に被害を出さず2機も撃墜したようです。

 

 

「各機、聞こえるか。我々の任務はこの宙域の防衛、見かけた連邦兵どもを叩きのめせば良い。簡単だ」

 

 スギウチ軍曹が指示を出すのはジェーン・ドゥ伍長とジョン・スミス伍長だ。

 両者ともゲルググに乗っているが、シュミレータ訓練の時間も不足しているありさまである。

 戦闘どころか、やっとモビルスーツを動かせる程度の腕前だ。

 

「いいか、実地で新人研修だ。盾を構え、的にならないように細かく動け。むやみに発砲するな、弾が余れば私にライフルをよこせ」

 

 僚機のゲルググからは不満げに、だが反発もせず『了解』と通信が入る。

 若いスギウチ軍曹から役立たずだと言われてプライドが傷ついたのだろう。

 

(だけど、私だって小隊長の経験なんて無い)

 

 命じたスギウチ軍曹も横柄な命令だとは思う。

 だが、彼らはスギウチ軍曹のように訓練を受ける余裕すらなかったのだ。ブランド中尉はスギウチ軍曹やイテル軍曹を見て『ロクな訓練をしていない』と顔をしかめたが、彼らを見たら何と言うだろうか。

 まともに動かせないモビルスーツなど見せかけの数を揃えるためのカカシと大差はない。

 

(怒るかな……呆れるかも)

 

 つい、懐かしい記憶を思いだし口元がゆるむ。命がけの戦いを前にして笑いが出るとは胆力のなせる技か、それともすでに何かが壊れているのか、スギウチ軍曹本人にも分からない。

 

「――来たぞ、うまく盾を使って逃げまわれ」

 

 高濃度のミノフスキー粒子、微弱なレーダーの反応。当然肉眼では見ることはできない。

 だが、スギウチ軍曹には敵の姿をハッキリ捉えていた。

 

「見える……そこだっ!」

 

 マニュアルでの射撃、ビーム光の先で火球が生まれる。

 それを確認し、スギウチ軍曹は「先ずはひとつ」と口角を吊り上げた。

 

 

では2戦目です。

dice1d12を互いにふり、出目で勝敗を決めたいと思います。

ダイス1回目がジオン軍、2回目が連邦になります。ジオンの数字が上回れば判定成功です。

スギウチ軍曹は攻撃力、機動力、ニュータイプ能力が高いですが、連戦のため判定は+1にします

dice1d12【10】【6】

 

これは強いですね、判定を含めて11対6。ツヨスギウチ1人で圧倒しています。

では先ほどと同じ要領で敵の増援を決めていきましょう。dice1d6を2回ふります。1つめのダイスが敵の種類、2つめが数です。

これを2度繰り返します。

 

1、ジム

2、ジムキャノン

3、ジムコマンド

4、ジムスナイパーカスタム

5、ジムスナイパーII

6、コアブースター

dice1d6

1回目【6】【2】

2回目【1】【3】

 

コアブースター2機に素ジムが3機です。先ほどの敵とあわせて大乱戦になりそうですね。

どんな展開になったのかをダイスで選びましょう。

 

1、ニュータイプ能力覚醒、敵を次々に撃墜

2、乱戦の中でも冷静に動き、敵を撤退させる

3、学徒兵を守りながら粘って持ちこたえる

4、一進一退の攻防。敵味方の被弾判定

5、僚機の学徒兵がやられるも敵を2機撃墜

6、僚機の学徒兵がやられ撤退

dice1d6【1】

 

スギウチ強すぎ……?

 

 

「外れる! ここか!?」

 

 スギウチ軍曹の操るゲルググはスラスターを駆使して急停止し、ジムキャノンの斉射をやり過ごす。

 そしてライフルを構えて4射、並んだジムに2発ずつ命中し、2体同時に火球と化した。

 

(離れて戦うな!)

(このオレンジ色はエースだ!)

(なんでこんなヤツが!?)

(近づいて止めろ!)

(囲んで撃ちまくれ! 数は勝ってるんだ!)

 

 なぜか先ほどからスギウチ軍曹には敵の思考が手に取るように理解できる。シャワーをあびるように敵の戸惑いや恐怖が流れ込んでくるのだ。

 

「落ちろおっ! 虫けらども!!」

 

 特攻気味に突っ込んできたコアブースターを躱し、左手のナギナタで引き裂いて火球に変える。続けざまに右手のライフルで射撃、確認せずとも離れたキャノンに命中したのが分かった。

 

「ちっ、ズレたか」

 

 外してはいない。スギウチ軍曹の射撃は正確にジムキャノンの頭部メインカメラを吹き飛ばしていた。ただパイロットを殺せなかっただけだ。

 弾切れになったライフルは捨て、味方との回線を開く。

 

「2番機、ライフルをこっちに投げてよこせ!」

『り、了解! そちらに投げます』

 

 放り投げられたライフルを掴み、そのまま射撃。ロックオンなど必要ない。そのまま吸い込まれるようにジムに命中し、盾ごと左腕が爆散する。

 この学徒兵たちはスギウチ軍曹の戦いぶりを見て早々に小隊行動を諦め、言いつけどおりに動きまわっていた。

 敵の気を散らすだけだが、それ以上は望めない。

 

(キャノンは砲撃を止めるな!)

(退け! このオレンジは無理だ!)

(何人殺られた!?)

(固まるな! 時間を稼げ!)

 

 スギウチ軍曹は読み取った思考から敵が撤退することを察知した。

 無論、逃がすつもりはない。

 

 ジムキャノンの射線に合わせ、切り離したプロペラントタンクを置いておく。

 誘爆したそれを目くらましに、一気に敵と距離を詰め接近戦を仕掛けたのだ。

 

「逃がすものかっ!」

 

 ビームナギナタを一閃。指揮官機の左足を切り飛ばし、返す刃で胴をなぎ払った。

 コックピットからの断末魔の思念を受け、スギウチ軍曹の顔が屈折した悦びで歪む。

 

「あははっ、逃げろっ! 逃げて見せろっ!」

 

 これがきっかけとなったのか、背を向けて逃げ出した連邦のモビルスーツをビームライフルが後ろから貫いていく。笑いが止まらない。たまらなく楽しいのだ、敵を殺すことが。

 

 だが、戦場で楽しい時間は続かない。スギウチ軍曹は猛烈な圧を感じ、周囲を警戒する。不吉な何かが接近してくるのだ。

 

(なんだ、この感じ……プレッシャー? いやなヤツが来る、速い!)

 

 ここでスギウチ軍曹はハンティングの手を止め、凄まじい速度で迫る『何か』に向けてライフルを構えた。

 

 

 

はい、ニュータイプ能力がメチャクチャになったスギウチ軍曹ですが、ここで最後の判定です。

 

スギウチ軍曹は白い悪魔と

 

1、交戦する

2、交戦しない

dice1d2【1】

 

交戦します。

dice1d500で300以下なら撃墜されます。450以上ならいい感じに戦えます。

dice1d500【328】

 

ギリギリ……!

ギリギリ生き残りましたか。スギウチが主人公だったのでは……?

 

 

「盾を構えろ! 邪気が来るっ!! 白い悪魔だっ!!」

 

 スギウチ軍曹が盾を構え、思わず叫ぶ。

 鋭角的な軌道で瞬く間に迫る白い機体。怪談じみたジオンの戦場話、白い悪魔だ。

 ビームライフルで狙い撃つがことごとく躱される。

 

「くっ、当たらない!?」

 

 スギウチ軍曹の狙撃を躱わすどころの話ではない。

 ビームライフルでの射撃をギリギリで見きわめ、加速しながら向かってくるのだ。明らかにビームを視認して避けている。

 

「バカな、こっちはゲルググだぞ!?」

(シャアじゃない!? だが!)

 

 思念が交差した瞬間、衝撃がスギウチ軍曹を襲う。一瞬で盾が破壊され、続けてライフルが爆散した。

 撃たれたのだ。あの高速機動中に精密射撃を行うとは人間業ではない。

 

「やらせるかっ!」

 

 ナギナタを抜いて向かい合う。

 するとスギウチ軍曹は不思議な感覚に囚われた。

 青い宇宙の中、連邦のパイロットと向き合ったような、言葉にできない交信。

 

(子供? 連邦も学徒兵を……?)

 

 なぜか、スギウチ軍曹からは連邦の少年兵の姿がハッキリと見えた。

 その少年兵もスギウチ軍曹を見て複雑な表情を浮かべている。

 

(……連邦もこんな子供が戦っていた? 私は子供を殺していたのか!?)

(この感じは……ニュータイプだ。誰かがボクを見ているんだ)

 

 時間にすれば1秒にも満たない瞬きの間だろう。だが、真のニュータイプ同士のコミュニケーションに時間の概念は無意味なのかもしれない。

 

(──ッ! シャアか!? こちらを見つけたな!)

 

 その交信も、闖入者の出現により幕を引いた。

 足のない大型のモビルスーツ、白い悪魔はそれを迎え撃つために向かったのだ。

 

「……見逃されたのか」

 

 ポツリと取り残されたスギウチ軍曹はヘルメットのバイザーを上げ、2機の争いに目を向ける。もはや肉眼ではスラスターのきらめきしか確認できない。

 

 スギウチ軍曹は自分でも理解できない何かが体から抜け落ちたのを感じ、光を見つめていた。

 

「ここはもうダメだ。ア・バオア・クーまで退くぞ」

 

 スギウチ軍曹は僚機に指示を出し、要塞まで引き上げる。

 それは事実上の停戦まで約2時間のことだった。

 

 

と、言うわけでスギウチ軍曹は生き残りました。

最後にア・バオア・クー陥落後のスギウチ軍曹はどうなったのかダイスで決めていきましょう。

 

1、降伏を認めない連邦兵に殺された

2、捕虜になった

3、最期まで連邦と交戦した

4、デラーズ艦隊と合流した

5、アクシズへ向かう艦隊と合流した

6、本国に帰還した

dice1d6【5】

 

アクシズに向かったようです。

それが彼女の意思であったか、たまたま合流したのかは分かりませんが、スギウチ軍曹の戦争はまだ続きそうです。

 

では、一年戦争終了をもって本企画は終了です。

最後に主要メンバーの『その後』を決める判定を次回おこないます。


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