【完結】ダイスで生き抜け宇宙世紀、一年戦争編(ジオン)   作:小倉ひろあき

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教えていただきましたが、ランキングに載っていたようです。
ありがとうございます。


第10回、あれはエース機だ

前回はコンスコンが無様に敗戦したところまででしたね。

こちらの手のひらも思わずクルクル回転してしまいました。

 

期せずしてモビルスーツ同士の戦いとなりましたが、ここから連邦の反撃が始まるということです。

かなり装備で優遇されているヌッツロース隊の任務も危険が増すことでしょう。

 

さて、10月の半ばともなれば連邦の反撃も開始され、イベントが目白押しです。

ホワイトベースはククルスドアンの島に立ち寄り、08小隊はアプラサスと遭遇、ウルフガー隊の隊長は姿を消しました。

どのくらい時間が経過したでしょうか。出目×週です。

dice1d6【4】

 

4週間……約1ヶ月、11月半ばです。

これはもう完全にあの時期ですね。

 

11月9日、オデッサ陥落です。

 

多少のズレはありますが許容範囲でしょう(ガバガバ判定)。

となれば、おのずとヌッツロースの次の判定は決まってきます。

オデッサから打ち上げられた脱出ポッドから救助要請でしょう。

 

1、地球周回軌道上のパトロール中、救助要請を受けて駆けつける(間に合った)

2、現場に向かおうとするジムを発見し交戦(運命が変わるかも?)

3、ルナツー~地球の航路をパトロール中、駆けつける(ギリギリ間に合わない)

4、ソロモン周辺のパトロール中、救助要請に駆けつける(人命救助)

5、ソロモンに待機中、救助要請に駆けつける(事後処理)

6、何も変わらない。歴史の修正力(ダイス)は非情である。

dice1d6【1】

 

うおおお! ついに原作介入です!

間に合った、つまりヅダの戦闘中に介入です。

 

 

 次々に破壊される脱出ポッド、撃墜されるザク。

 なす術もなく戦局を見守っていた第603技術試験隊ヨーツンヘイムのクルーはいら立ちを募らせていた。

 

「ボール2個小隊だぞ!? ザクは何をしているっ!!」

「あのザクはJ型です、溺れているんです!」

 

 ヒステリックに喚いていたキャデラック大尉はマイ技術中尉の言葉にハッと息を飲んだ。

 重力戦線の猛者でも宇宙用のセッティングをしなければモビルスーツを動かすことなどできはしない。その事実に気がついたのだ。

 

「第32パトロール艦隊到着まであと4分です!」

 

 オペレーターが悲痛な声をあげる。

 刻一刻と悪化する戦場、無抵抗で死んでいく同胞たち。

 次々と破壊されるポッド1つに100を超える将兵が乗っているのだ。

 その事実にキャデラック大尉の我慢は臨界に達した。

 

「ヅダの発進準備にかかれっ! 603はヅダの試験を再開する!」

「大尉、いけません!」

 

 マイ中尉は必死に諌める。

 モビルスーツヅダは試験中に死亡事故を起こした明らかな欠陥品なのだ。これを運用することは技術者として見過ごせなかった。

 

 だが、それを理由に虐殺される同胞を見捨てるなどキャデラック大尉の侠気が許さない。

 彼女は髪の色と同じく燃えるような赤心の持ち主なのだ。

 

「搭乗割りデュバル少佐、ワシヤ中尉……予備機も出せ!」

 

 キャデラック大尉の命令にマイ中尉が意見を挟もうとした、その瞬間「友軍反応です!!」とオペレーターが叫んだ。

 

「なんだと!? どこの部隊だ!!」

「サンフラワーイエローのザクIカスタム!? あれはエース機だ! 最新型のドムもいる!!」

 

 艦長のブロホノウ中佐相当官とマイ中尉が驚きで同時に声を上げた。

 友軍は猟犬のような連携でボールを追い込み1機ずつ確実に仕留めていく。

 司令塔はもちろん山吹色のザクIである。

 

『こちらは宇宙攻撃軍独立機動部隊ヌッツロース所属、モビルスーツ隊々長ブランド中尉。我々は周辺の掃討、ならびに友軍の救助を続行する。貴艦の勇戦に敬意を』

 

 エース機から、やけにクリアな通信がヨーツンヘイムに届いた。

 マイ中尉は技術者魂が刺激されたらしく「かなり通信力を強化している」と興奮気味だ。

 

「予備のヅダを準備しろ! 友軍の救助作業に向かう!」

「しかし……」

 

 キャデラック大尉はマイ中尉の意見を手で制し「パイロットは私だ」と有無を言わさずに告げた。

 

 

これですよ、これ。

原作キャラとの共闘こそが二次創作の華でしょう。

 

さて、戦闘ですが……原作準拠なら敵はジムが4機です。

パイロットもチンピラっぽいですし、ヅダとモブくんたちが負ける要素はないでしょう。

勝敗ではなく、デュバル少佐の運命をダイスで決めていきましょう。

 

1、ジオニックのザクに助けられるなど! とか言いながらジムを道連れに自爆

2、やっぱり暴走して散華

3、共闘、ヅダは撃墜される

4、共闘、ヅダは壊れるが少佐は無事

5、共闘、ヅダも活躍

6、もはやヅダに出番はないと納得して救助にあたる

dice1d6【4】

 

おおーっ、デュバル少佐生き残りましたよ!

 

 

 おびただしい味方の救助信号、それを狙った連邦の部隊。

 たった数機のボールに何千ものジオン将兵が殺されていく。

 

『これは怒り? ちがう、恐怖……このザラついた感覚、気持ち悪い!』

『アイツらっ! タダじゃすまさないからなっ!!』

 

 スギウチ軍曹とイテル軍曹はそれぞれに感情を揺さぶられながらも連邦軍のボールを急襲する。

 この2機はいわばフォワード、推力を活かして敵の編隊を切り裂いていく。

 

「第2小隊、スコアを稼げ。はぐれたカンオケを確実に仕留めろ」

 

 ブランド中尉は部下への指揮、そして周囲の索敵に専念する。

 パワー不足のザクIだが、レーダー機器類は開発中の新型よりはるかに高性能だ。その索敵レーダーは接近する連邦のモビルスーツをすでに捉えていた。

 

「こちらは宇宙攻撃軍独立機動部隊ヌッツロース所属、モビルスーツ隊々長ブランド中尉。我々は周辺の掃討、ならびに友軍の救助を続行する。貴艦の勇戦に敬意を」

 

 見慣れないモビルスーツでボールと交戦していた部隊は技術試験隊らしい。おそらくは新型のテストか何かで居合わせたのだろう。

 ロクに武装もない船と万全ではない機体で味方を庇って戦ったのだ。その勇気たるや歴戦のブランド中尉も舌をまくほどだ。

 

「そこの試作機、敵のモビルスーツが接近中だ。ここは我々に任せて友軍の救助に専念されたし」

 

 見たところ試作モビルスーツはマシンガンこそ持っているが、盾を持つ連邦のモビルスーツ相手には火力不足だ。

 だが、このパイロットはなかなか気が強いらしく『ふざけるなっ』と怒鳴り返してきた。

 

『ジオニックの、しかも旧式のザクに侮られるヅダではない!』

 

 接近する連邦の小隊に凄まじい速度で肉薄する試作機、ドムにも劣らない推力だ。

 

(それならばそれでいい、うまくやってくれよ)

 

 ブランド中尉は試作機を追う形で敵の小隊に接近する。

 単純なパワーではザクIはもはやロートル、だがやりようはある。

 

『各機、連邦のモビルスーツ小隊だ。やり方はカンオケと同じだ、散らして囲め』

 

 味方に簡単な指示を出すと、ブランド中尉はスラスターを不規則に動かし不思議な軌道で敵のモビルスーツに迫る。

 普通では考えられない無駄な動き。だが、このカスタムされたザクIは増設されたプロペラントタンクのお陰で推力剤が倍近く増量されている。

 つまり、通常では考えられないスラスターのムダ遣いを見せてもガス欠の心配しなくてもよいのだ。

 

「もらったぞ!」

 

 そのままザクIはジムの足元をスライディングでくぐり抜けるように通過し、下からマシンガンを叩き込んだ。

 ジムの機体は大破したが爆散せず、そのまま降伏信号が灯る。

 

 盾が邪魔ならば無いところを狙う。それがブランド中尉の出した結論だ。

 今回は連邦のモビルスーツ小隊が先行した試験機に気を取られたこともあり見事にハマった。

 だが、その隙を生み出した試作機はビームガンを躱しきれず何発か被弾したようだ。動きがあまりに直線的すぎる。

 

『まだヅダは戦える!』

 

 明らかに推力が落ちた片肺飛行。試験機はまだ戦う気のようだが無謀だ。さらに被弾し、もはや大破寸前である。

 そこへボールを片づけたスギウチ軍曹が両者に割って入るように急襲した。

 

『――消えろっ、アンタたちみたいなのがいるから!』

 

 スギウチ軍曹が駆るドムはバズーカとは思えない精密射撃で敵の2機を立て続けに火球へ変える。

 最後に完全に怯んだ1機をアレツ軍曹とニェット軍曹が挟み撃ちにし、ゲームセットだ。

 

「各機、このまま可能なかぎり友軍の救助に当たる。脱出ポッドは自力で動けない、ヌッツロースに係留して避難させろ。ポッドは放棄でいい。溺れているザクはパイロットごと保護しろ」

 

 大量に打ち上げられた脱出ポッドと救助信号はジオンも連邦も呼び寄せてしまうだろう。後は時間との戦いだ。

 ヌッツロースはブランド中尉の指示で可能なかぎり収容し、ソロモンへ向かう。

 

 ムサイ1隻で全てを救助するのは不可能だ。

 自分達の働きが少しでも友軍を救ったのだと信じるより他はない。

 

『これからはドムの時代か……だが、モビルスーツヅダはゴーストファイターなどではない。この重大な戦局で、確かに戦っていたのだ』

 

 最後に受信した試験機のパイロットが洩らした一言が、やけに耳に残った。

 

 

と、言うわけでデュバル少佐が生存しました!

地上部隊の救助にも参加し、ささやかですが歴史の流れに影響したかもしれません。

 

さて、デュバル少佐ですが、今後どうなっていくか運命をダイスにたずねてみましょう。

 

この後

 

1、第603技術試験隊に加わり

2、ヌッツロースに加わり

3、ツイマッドに戻り

4、ギレンの親衛隊に加わり

5、宇宙攻撃軍に加わり

6、突撃機動軍に加わり

dice1d6【6】

 

1、大活躍しました

2、生き延びました

3、負傷しました

4、捕虜となりました

5、行方不明になりました

6、戦死しました

dice1d6【3】

 

戦後は

 

1、退役し

2、国防軍に加わり

3、アクシズに渡り

4、ジオン残党に加わり

5、エウーゴに参加し

6、木星に渡り

dice1d6【6】

 

1、指導者の1人となりました

2、家族と幸せに暮らしました

3、大活躍しました

4、一般市民となりました

5、行方不明になりました

6、逮捕されました

dice1d6【5】

 

デュバル少佐は

この後キシリア配下に加わり

負傷をして一年戦争終結を迎えました

戦後は木星船団に参加しますが、その行方は一切が不明です

 

うーん、実にそれっぽいですね。それっぽくない?

 

今回はここまでです。

ダイス目が冴えて原作に介入できましたね。

次回「城之内死す」デュエルスタンバイ!

 


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