提督の憂鬱   作:sognathus

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今日は秋雲が秘書艦です。
秋雲はさっきからチラチラ提督を見て何かの機会を伺っているようです。
何を狙ってるんでしょう。


第27話 「理由」

秋雲「ねえねえ大佐ぁ」

 

提督「うん?」

 

秋雲「大佐いつか言ってたのよね? 胸が小さくても可愛いならそれでいい、って」

 

提督「......なんなんだ。藪から棒に」

 

秋雲「いやー前さ、わたし達駆逐艦は子供っぽいから結婚はやり難いとか言っちゃってたけど」

 

秋雲「ぶっちゃけ秋雲は姿こんななだけで、中身は結構大人だったりするわけよ」

 

提督「それで?」

 

秋雲「だ・か・ら! 大佐が胸が小さくても可愛いなら、っていうなら......秋雲もありじゃない?」ヒソ

 

提督「耳元で囁くな。加賀に教えてもらったのか」

 

秋雲「まぁいいじゃんいいじゃんそんな事ぉ。で、どう? ありでしょ? ぶっちゃけ」

 

提督「......ふぅ。確かに見た目だけで判断するのは失礼だな。それは認めよう」

 

秋雲「ならならー」

 

提督「だが、お前は軽い感じがするから恋愛の対象とし見るのは些か難しい」

 

秋雲「えーっ、そんなぁ! いや、秋雲これでも尽くす方よ? 好きな人には一途なんよ?」

 

提督「そういうのがお前は......まぁ、それがお前か」

 

秋雲「分かってんじゃーん♪」グリグリ

 

提督「仕事の邪魔をするな。あと、お前も秘書なんだからしっかり手伝え」

 

秋雲「アイサイサー。じゃま、交渉成立っと♪」

 

提督「......凄まじく気軽な交渉だったな」

 

秋雲「でも大佐受け入れてくれたっしょ? 秋雲の本気は分かってくれたでしょ?」

 

提督「お前は嘘はつかないからな」

 

秋雲「そういうこと♪ ふっふ~♪」

 

 

――昼過ぎ

 

秋雲「おっわりぃ!」

 

提督「あの量を......お前は意外に事務作業が得意なんだな」

 

秋雲「意外は余計、とは言わないっ。そういう風に見えるだろうなってのはわたしも分かってるからねぇ」

 

提督「やはり、暇さえあればスケッチブックに向かう奴は違うな」

 

秋雲「いや、流石にその表現は無理あるっしょ。いくら秋雲でもイラストのスキルを書類作成に変換する才能なんてないから」

 

秋雲「ま、紙に向かうのは好きだけどね♪」サラサラー

 

提督「何を描いているんだ?」

 

秋雲「レ級ちゃん」

 

提督「よりよってなんてものを......」

 

秋雲「え? ダメ? あの子面白いんだよー?」

 

提督「良い悪い以前に海軍としてのモラルの問題だ」

 

秋雲「そんな硬いこと言わないでよー。絶対外には漏らしたりしないからさ」

 

提督「程々にしておけよ?」

 

秋雲「アイサー! さんきゅー♪」

 

 

提督「それにしてもあいつが此処に現れてから俺たちの深海棲艦に対する印象も大分変ったものだな」

 

秋雲「あいつ? ああ、レ級ちゃんね。そうだねーまさか、襲ってきたのに悪意はないなんてねぇ」

 

秋雲「わたし達ってお互いに恨み恨まれるくらいの敵対関係だと思ってたから」

 

提督「そうだな。だがそれが......」

 

『恨みとかなんてないよー。ただ、これしかやる事がないかやってるだけ―』

 

秋雲「だもんね」

 

提督「正直あれには本当に拍子抜けした」

 

秋雲「でもあの後の大佐の言葉にもわたし達は驚かされたよー」

 

『なら俺は絶対にお前たちとは戦わない」

 

秋雲「秋雲はあれもちょっと無いと思うなー。あ、良い意味で、だけどね」

 

提督「あんないい加減な理由で宣戦布告来た事が頭にキタからな」

 

秋雲「そのあとレ級ちゃん、提督が最初してた顔と同じ顔になったと思たら急に笑い出したよね」

 

『面白い提督だね! じゃぁさ僕達と大佐との間でルール作ろうよ! 遊びの一環みたいなやつ!』

 

提督「まさか、あんな提案をしてくるとはな」

 

秋雲「いやー経緯はどうあれ、秋雲あれはあれで結構有り難いもんだと思うよ?」

 

提督「......まぁな」

 

秋雲「レ級ちゃんあんなんだけど多分あの子無茶苦茶強いよ」

 

提督「あいつが従え(?)てた戦艦や空母も全てフラグシップだったな」

 

秋雲「いや、わたし達も負けるつもりはないけどさ。ありゃ、下手したら轟沈も有り得るもんね」

 

提督「......沈んだら深海棲艦になると知ってどう思った?」

 

秋雲「ん? まぁ、最初はやっぱりショックだったよ。でもね、時間が経つにつれて直ぐに頭も冷静になってきた」

 

提督「そうだったのか?」

 

秋雲「うん。秋雲だけじゃないよ。皆そんな感じだった」

 

提督「ほう」

 

秋雲「多分皆心の何処かでは気付いてたんだろうねぇ。何となくお互いに通じるものがあるって事にさ」

 

提督「怖くはないのか?」

 

秋雲「ん? 沈んで深海棲艦になっちゃう事?」

 

提督「ああ」

 

秋雲「それはへーき。だって大佐の事、信じちゃってるからねぇ」クス

 

提督「頭が下がる思いだ」

 

秋雲「やめてよー、むず痒いじゃん♪」

 

提督「だが、その信頼には応えないとな。実際レ級達以外では問答無用で攻撃してくる深海棲艦もいる」

 

秋雲「ま、そういう降りかかってくる火の粉的なモノは払うしかないよねぇ」

 

提督「そうだ。敵の目的はどうあれ、俺たちの義務はこの海の平穏を維持することだからな」

 

秋雲「......攻略命令で自分の縄張り荒らされる深海棲艦も同じことを考えてるかもね」

 

提督「そういう恨みつらみは全て俺が受ける。その為の提督だ」

 

秋雲「お、カッコイイ♪ 流石大佐!」

 

秋雲「......でももね、わたし達も大佐の事は絶対守るから安心してよねっ」

 

提督「ああ。お蔭で俺は最近ずっと安眠できている」

 

秋雲「ぷっ。それ、つい最近そうなっただけじゃん」

 

提督「それでも信頼してるのは変わりない」

 

秋雲「艦娘冥利に尽きるねぇ♪ んじゃま、せっかく恋人にもなれた事だし、親睦の証として一緒にお風呂でも入りますか!」

 

提督「出て行け。直ぐにだ」

 

秋雲「冗談だって♪」




秋雲回でした。
秋雲可愛い、潮も可愛い、不知火も......駆逐艦は種類が多いだけあって魅力的なこもたくさんいるから困ります。

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