提督の憂鬱   作:sognathus

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矢矧が前回(*第二部 第12話「ヌイグルミ」参照)ヌイグルミを一緒に買いに行く約束をした件について、時間の確認をする為に提督を訪ねて来ました。



第17話 「子犬」

矢矧「大佐、例の件の予定はどうかしら。時間とれそう?」

 

提督「ああ。あのヌイグルミの件か。そうだな......」

 

提督は傍らに合った予定表をパラパラめくって確かめた。

 

提督「この日でどうだ? 午後が空いてる」

 

矢矧「いいわよ。じゃ、楽しみにしてるから」

 

バタン

 

 

矢矧が通り過ぎた廊下の影から2つの影が除いていた。

 

名取「羽黒さん見た?」ヒョコ

 

羽黒「うん。見たよ、名取ちゃん」ヒョコ

 

名取「執務室から出てきましたよね」

 

羽黒「そうだね......矢矧さん凄くうれしそうな顔してた......」

 

名取「大佐と何かあったのかな......あ」

 

羽黒「どうしたの? 名取ちゃん」

 

名取「もしかして、ですけど......」

 

羽黒「な、何......?」ドキドキ

 

名取「大佐、結婚相手に矢矧さんを選んだのかも......」

 

羽黒「ええ!? だ、だって先ずは恋人からのはずでしょ!? なのにいきなり結婚だなんて......」

 

名取「矢矧さんが提督が心に決めた相手なのかもしれません」

 

羽黒「そ、そんんぁ......私、私がもっと早く告白していれば......」ジワ

 

名取「ま、まだそうと決まったわけじゃないので......」アセアセ

 

羽黒「でも、あの幸せそうな顔......絶対そうだよぉ」グス

 

名取「た、確かめてみましょう!」

 

羽黒「え? 確かめるって大佐に直接......?」

 

名取「そうです! それしかないですよ!」

 

羽黒「でも......私、怖い......」

 

名取「私も一緒に行きますから......ね?」

 

羽黒「うん......ありがとう名取ちゃん」

 

ガチャ

 

 

提督「何を部屋の前で騒いでるんだ」

 

羽黒「ぴ、ぴぃぃぃぃ!?」

 

名取「ひゃぁぁぁぁぁ!?」

 

提督の目の前に居たのは名取と羽黒だった。

2人とも何故か半泣きで、提督の予想外の出現に動揺して為す術もなく抱き合っていた。

恐怖に怯える捨てられた仔犬の様だった。

 

提督「2人とも落ち着け。取り敢えず部屋に入れ」

 

 

~執務室

 

提督「それで、何を2人して騒いでいたんだ」

 

名取「あ、あの......」

 

羽黒「た、大佐はもう矢矧ちゃんと結婚したんですか?」

 

提督「なに?」

 

羽黒「ひっ......ご、ごめんなさい。不躾な事聞いちゃって!」

 

名取「ちょ、ちょっと気になっただけなんです。だから怒らないでください!」

 

提督「待て。怒ったりしないから、まず俺の話をちゃんと聞け」

 

名取「は、はい......」

 

羽黒「う......ぐす......はい」

 

提督「結論から言って、俺は矢矧とは......いや、現時点では誰とも結婚はしていない」

 

名取「ほ、本当ですか!?」パァ

 

羽黒「え......?」

 

提督「結婚はしていないと言ったんだ、羽黒」

 

羽黒「う......うぇぇぇん! 名取ちゃん良かったよぉぉぉぉ!」ダキッ

 

名取「ぐす......そうですね。本当に良かったですね。羽黒さん」ナデナデ

 

提督「......」(なんなんだこの空間は)

 

 

――数分後

 

提督「2人とも落ち着いたか?」

 

名取「ぐす......お見苦しいところをおみせしました。すいません」

 

羽黒「私も......ごめんなさい」

 

提督「ふぅ......それで、落ち着いたところでお前たちは俺に用があるんだろう?」

 

羽黒「はい。......大佐」

 

提督「ああ」

 

羽黒「私と名取ちゃんを大佐の恋人にしてください! 私達も結婚相手の候補になりたいです!」

 

名取「え、ええ!? わ、私も!?」

 

羽黒「名取ちゃん私だけ大佐の恋人になちゃっていいの?」

 

名取「わ、私は......」

 

羽黒「恋人になったらいつも背中を見るだけじゃなくて他にもいろいろできるよ?」

 

提督(いろいろって何だ。俺はいつも名取に背中を見られていたのか?)

 

名取「!」

 

羽黒「私恋人になるなら名取ちゃんと一緒がいいよ......ね? 一緒になろ?」

 

名取「わ、私は......なりたいです! 大佐の恋人に!」

 

羽黒「名取ちゃん......!」パァ

 

提督「2人とも恋人に慣れる前提で話を進めてるが、俺の意思は無視か?」

 

名取「こ、断わったりしてるんですか?」ウル

 

羽黒「そ、そう......なの......?」ジワァ

 

提督「いや......してない。2人ともこれからよろしく頼む」

 

提督(加賀とも金剛とも違う圧力を感じた。これは断れない)

 

羽黒「っ、大佐ぁ! ありがとうございます!」ダキッ

 

名取「わ、私も......! ありがとうございます、大佐!」ダキッ

 

提督「待て。軽巡と重巡の同時突撃は......うぐっ」




名取と羽黒は天使ですね。
弱気過ぎるのが気に入らない人もいるみたいですが、レベルが上がるにつれて内面だってしっかり成長しているはずです!(妄想)

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