提督の憂鬱   作:sognathus

78 / 404
「お見合い」この言葉はこの鎮守府において不穏な言葉のようです。


第15話 「ストップ」

コンコン

 

金剛「金剛デス」

 

 

提督「金剛? 入れ」

 

 

ガチャ

 

金剛「失礼するネ」

 

金剛「……」

 

提督「なんだ? こんな時間に」

 

神通「? 金剛さん?」

 

金剛「スゥ……ちょっとウェーーーーイト!」

 

提督「……」

 

神通「……」

 

神通(ちゃんとマナーを守って入ってきたこともあって、唐突な訴えとの差がシュールね……)

 

提督「うるさいぞ金剛。いきなりなんなんだ」

 

金剛「大佐、さっきワタシ聞いたヨ。ヒアリングミスじゃなかったら確かに『オミアイ』って言ってたネ!」

 

提督「……お前、今は電探系何も着けていないよな? 一体どうやって知ったんだ」

 

金剛「Love は盲目ナノヨ!」

 

神通「使い方を致命的に間違ってますよ。金剛さん」

 

提督「それで何が言いたいんだ。まぁ、大体分かるが」

 

金剛「大佐! 大佐はワタシ達と恋人になるって約束したネ! なのに他のレディとケッコンなんてワタシ許さないヨ!」

 

提督「ああ、そのことなら――」

 

金剛「大佐ァ!」ズイ

 

金剛が凄い勢いで体ごと机に乗り出してきた。

 

提督「近いぞ。あと無礼だ」

 

神通(わわ……後ろから丸見え……)カァ

 

金剛「……」シュル…パサ… スル

 

提督「おい」

 

神通「こ、金剛さん!? 何を!?」

 

金剛「もうこうなったらキセイジジツを作るしかないネ!」

 

提督「やめろ。そこで手を止めるんだ。それ以上脱いだら約束は反古にするぞ」

 

金剛「No! その約束が今 danger じゃないデスカ!」

 

神通「金剛さん聞いて、大佐は――」

 

金剛「……っ」

 

金剛は神通の言葉が耳に入っているのか、問答無用で提督の手を取ると自分の片胸に押し付けた。

 

ムニュウ

 

提督「ぬ……」

 

神通「え……」カオマッカ

 

金剛「ふふ……これでワンステップ踏み込んでしまったネ。もうここまでキタラ……」

 

そう言うと金剛は体の上下を覆ってる最後の一枚に手を掛けた。

 

加賀「そこまでです」

 

全員がドアの前に振り向くと加賀が臨戦態勢で弓を構えていた。

 

金剛「加賀……邪魔しちゃダメよ。もうワタシ引き返せないワ」

 

加賀「金剛さん落ち着いてください。大佐が私達との約束を無碍にする人だと思うんですか?」

 

金剛「でも大佐のホームからお見合いの話がきたネ! これはもう余裕ブってられないヨ!」

 

加賀「ですから落ち着きなさい。大佐は今しがたその事について説明をしようとしていましたよ」

 

金剛「言い訳なんて聞きたくナイヨ……」グス

 

神通「言い訳なんかじゃないですよ! 私、大佐の口から直接そうじゃないことを聞きましたから!」

 

金剛「え……」

 

加賀「金剛……手を放しなさい」

 

提督「金剛、お前の愛情の深さは問題だな。だが、そこまで想ってくれる事に関しては礼を言おう」

 

提督「だから離すんだ」

 

金剛「大佐……」

 

暴走によって正気を欠いていた金剛の瞳に徐々に理性の光が戻ってきた。

そして――。

 

金剛「……っ!」

 

自分が何をしているのか改めて認識した混合は顔を真っ赤にして慌てて手を離して半裸の体を隠すようにその場にうずくまった。

 

提督「ふぅ……」

 

提督はため息と共に席を立ち、静かに金剛の後ろに回ると優しく自分の上着を被せた。

 

金剛「あ……」

 

羞恥と後悔で濡れた瞳が不安げに提督を見上げた。

 

提督「落ち着いたか? なら、後ろを向いているから服装を正せ。神通手伝ってやってくれ」

 

神通「あ、はい」

 

提督「加賀」

 

加賀「はい」

 

提督「ご苦労だった。ついでに頼まれて欲しいんだが、できればお前も部屋に残って欲しい。話がある」

 

加賀「分かりました」

 

 

――数分後

 

提督「さて、始めるか。だが、その前に………」

 

金剛「ゴメンナサイ」

 

提督「これからは人の話をちゃんと聞くように」

 

金剛「ハイ……」シュン

 

提督「ならもういい。これ以上は追求しない」

 

金剛「え、もういいのデスカ?」

 

提督「できれば俺も忘れたいからな」

 

加賀「忘れてもらわなければ困ります」

 

提督「おい何故こっちに矢を向ける? 何を目くじら立ててる?」

 

神通(感情的だったとはいえ過激だった金剛さんのアプローチに焦ったのね)

 

加賀「……まぁいいです。ではお話を」

 

金剛「くす……アハハ。大佐、改めて sorry ヨ。それに加賀、本当に本当に thank you ネ」

 

加賀「……分かればいいんです」

 

提督「そうだな。もうしなければいい」

 

提督「さて、お前たちが気にしてたこのお見合いの話だが、実は結構前から何回も来ている」

 

神通「大佐はいつもそれを断ってたんですよね?」

 

提督「そうだ。ま、この年だ。親の気持ちも分からないでもないが、こういう仕事をしてるとなかなか受ける気にもなれなくてな」

 

金剛「それじゃあ今回モ……」

 

提督「断るつもりだった」

 

金剛「そうだったんデスカ。はぁ……安心しまシタ。大佐ホントにゴメンネ?」

 

提督「もういいと言ってるだろう」

 

加賀「まぁ私は信じていましたが」

 

金剛「エ?」

 

神通「?」

 

提督「どうした金剛」

 

金剛「ワタシがこの事知ったのはちょうど大佐の部屋の前を彩雲が flying してるのを見つけたからナノヨ」

 

提督「……」

 

神通「……」

 

金剛「……」

 

加賀「……それでは私はこれで」

 

提督「神通、金剛」

 

金剛「yeah!」 神通「はい」

 

提督「全力で捕獲、連行してこい」

 

加賀「くっ……!」ダッ

 

金剛「了解! ワタシの全力見せてあげるネ!」ジャキン

 

神通「那珂の前の前哨戦ですね♪」ポキポキ

 

 

~提督が一人だけになった執務室

 

提督「……」(まぁ今日も平和でなによりだ)




よくあるパターンですね。
果たして加賀さんは改二コンビの追撃を交わす事ができるのでしょうか。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。