その眉間にはいつもより深い皺が寄っているように見えます。
提督「......」ブス
赤城「た、大佐? どうかしました?」
提督「別に何でもない。些末な事だ」
赤城(こんな風に機嫌が悪そうな大佐は初めて見るわね。なんか子供みたいで可愛い......?)
赤城「くす。そうですか。お茶、いります?」
提督「......頂こう」
――数分後
提督「ふぅ......お前からお茶を貰うのは久しぶりだな」
赤城「ふふ。そうでしたか? お口にあってます?」
提督「ああ、美味い。それに落ち着く......」
赤城「大佐」ス
提督「ん、いいのか?」
赤城「今日は特別です」
提督「お前の前では吸わない約束してたからな。正直意外だ」
赤城「あら。ならおやめになりますか?」
提督「訂正する。嬉しい。火頼めるか?」
赤城「どうぞ♪」シュボッ
提督「ふぅ......毒の煙だが、何故こうも気分が良くなるものなのか」
赤城「そんなに良くなるものですか?」
提督「慣れたらな。ま、吸わないに越したことはないのは確かだ」
赤城「そうですか......」
提督「なんだ?」
赤城「吸ってみるか? とは言ってくれないんだな、と」
提督「ふー......我儘言って恰好つかないが、お前には吸って欲しくないな」
赤城「まぁ、大事にしてくれてるという事でしょうか?」
提督「そうだな。お前には健康であって欲しい」
赤城「ふふ、嬉しい♪」
赤城「あ、意外と言えば」
提督「ふぅー......ん?」
赤城「さっき、大佐機嫌が悪そうじゃありませんでした? 些末な事とか言ってましたけど......」
提督「ああ......軽巡たちにちょっと絡まれてな。......ふぅー」
赤城「まさかとは思いますが、反抗ですか?」
提督「それこそまさかだ。単に、なんだ。少し過激なアプローチを受けてな」
赤城「ふーん......それで機嫌が悪かったと?」
提督「おい、目が怖いぞ。意味も分からず一方的に絡まれたら誰だって気分を害するだろう?」
赤城「じゃぁ、今私とならどうです?」ズイ
提督「冗談だろ」
赤城「煙草、取り上げますよ?」
提督「お手柔らかに頼む」
赤城「ありがとございます♪ それでは......ん」
そう言うと赤城は提督の肩に寄りかかった。
提督「それでいいのか?」
赤城「え? もっと過激なのをお望みでした?」
提督「いや、意外だっただけだ。それでいい」
赤城「ふふ。お互い様ですね」
提督「こうしてると、まだこの鎮守府の主力がお前だけだった頃を思い出すな」
赤城「そうですね。今は、空母としての主力の座も加賀さんに取られてしまいましたが」
提督「皮肉か。今の状況にやはり不満か?」
赤城「いいえ。割と今の待遇でも満足してますよ。偶にこうして過ごせますし♪」
提督「......そうか」
赤城「あ、煙草終わっちゃいましたね。もう一本吸います?」
提督「いや、もうこれでいい」
赤城「そうですか。それじゃぁ......」スッ
提督「待て。吸い終わったからと言って、別に頭を離す必要はない」
赤城「いいんですか?」
提督「寧ろ和むからお願いしたいくらいだ」
赤城「ふふ、なんですかそれ。それじゃあお言葉に甘えて」
提督「どうぞ」
赤城「......」
提督「......」
赤城「ねえ、大佐」
提督「うん?」
赤城「私も......恋人......結婚の候補になりたい......な」
提督「もう何人かそう言って来てくれる奴らがいて、それを受け入れてるから今更断る事はしないが......」
赤城「ですが?」
提督「甲斐性ないぞ俺」
赤城「ふふ、そんなことはありませんよ。現に今、私を大事にしてくれているじゃないですか?」
提督「そのくらいで満足されてもな......」
赤城「あら? もっと期待してもいいんですか?」
提督「......善処しよう」
赤城「あ、逃げましたね? でも、それでいいですよ。無理することはないです」
提督「......赤城」
赤城「はい」
提督「ありがとう」
赤城「いいえ♪」
なんかあっさり恋人成立(?)しちゃいましたね。
でも赤城さんとはこのくらいの雰囲気が丁度いい気がします。
大人ですし。
赤城さんも色物扱いが多いですが、真面目な時は真面目なんですよ、多分。