提督の憂鬱   作:sognathus

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提督が書庫で本を読んでいると、整理をしていた不知火が気づいて話しかけてきました。
自分から声を掛けてくる事が珍しい相手だけに、提督は内心意外に思いながら話し返します。


第8話 「素直」

不知火「大佐、勉強ですか?」

 

提督「ん? いや、士官学校時代使ってた教科書を見てたらつい懐かしくなってな。内容を読み返して昔を思い出してたんだ」

 

不知火「そうでしたか。お邪魔しました」

 

提督「ああ」

 

不知火「......」

 

提督「......どうした?」

 

不知火「いえ、てっきり引き止められるのかと」

 

提督「特に理由もないのに引き止めたりはしないぞ?」

 

不知火「まぁ、そうですよね」

 

提督「だろう?」

 

不知火「......」

 

提督「......不知火」

 

不知火「はい」

 

提督「一人で本を読んでるのも暇だからちょっと俺に付き合ってくれないか?」

 

不知火「! 了解です。ご命令とあらば」

 

提督(駆逐艦の中では一番大人びてると思ってたんだがな......)

 

提督「さて、なにを――不知火」

 

不知火「なんでしょう」

 

提督「話し相手になるのに何故俺の隣に座る?」

 

不知火「失礼でしょうか?」

 

提督「いや、それ以前に話し難いだろ」

 

不知火「不知火は問題無いのですが......ご命令とあらば......」シュン

 

提督「いや、そのままでいい。隣り合って話すのも楽しいかもしれないしな」

 

不知火「! 大佐もそう思われますか」

 

提督「まぁ偶にはいいだろう。新しい発見があるかもしれないしな」

 

不知火「新しい発見......新しい関係......やらねば」

 

提督「一体何を意気込んでるんだ」

 

不知火「こちらの話です」

 

提督「そうか。意外に不知火はよく喋るんだな」

 

不知火「そうですか?」

 

提督「ああ。いつも物静かで必要な事のみを言う大人びた奴だと思ってた」

 

不知火「よく話す不知火は嫌いですか?」

 

提督「なんでそれだけで嫌いになるんだ、極端だぞ。別に嫌いではない」

 

提督「寧ろその意外性が魅力的に感じないでもない」

 

不知火「し、不知火が魅力的......ですか」

 

提督(さっきから答え返す度に、反応が過剰なような気がするな)

 

提督「まぁ、あまり無理に喋る事もない。素直なのが一番だからな」

 

不知火「素直な不知火ですか......先ほどの不知火とは違うのですか?」

 

提督「ん? 素直な不知火か......そうだな」

 

不知火「......」ジッ ←何かを期待するような目で見てる

 

提督「心に思ったことをちゃんと口に出せたら良いかもな」

 

不知火「心に思ったことを......」

 

提督「そうだ。お前はさっきから心の中では色々期待しながらも、その答を俺が口にするのを待っていただろ?」

 

不知火「......確かにそうでした」

 

提督「ちゃんと自覚はあったか。そういうのを自分から言えるのが素直という事だと思う」

 

不知火「大佐は素直な方が好きですか?」

 

提督「素直な反応をするお前も意外だからな」

 

不知火「という事は魅力的という事ですね」

 

提督「まぁそうなるか」

 

不知火「分かりました。これからは大佐の前では素直な不知火でいきます」

 

提督「なんで俺の前限定なんだ。普段からそうしろ」

 

不知火「......」プイ

 

提督「分かった。分かったから今は素直でいてくれ」

 

不知火「......分かりました」ソ

 

提督「なんだ眠たいのか?」

 

不知火「はい。少しだけ肩を貸して頂けないでしょうか?」

 

提督「俺は本を読んでるから気にせず寝ろ」

 

不知火「ありがとうございます。それでは......」

 

 

――数分後

 

不知火「スー...スー......」

 

提督「......意外に心地良いもんだ」




不知火はクーデレだとよく言われていますが。
俺はデレデレだと思います。
レベル99にすれば分かる筈!

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