提督の憂鬱   作:sognathus

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総合成績の表所が終わって次は個人成績の表彰です。
表彰台に立つのは最下位の扶桑とトップの加賀、金剛(第57話参照)です。



第61話 「表彰式②」

提督「それでは、次に個人成績最下位の者に努力賞を送る」

 

提督「扶桑、前へ」

 

扶桑「はい」

 

提督「ふぅ......」

 

扶桑「///」

 

 

雷「? どうしたんだろ2人とも」

 

山城「お姉様?」

 

 

提督「よく頑張った。お前には努力賞として個人的に用意した物を景品として贈る」

 

提督(叢雲に言われたからコレにしたが、本当にコレでいいのか?)

 

山城「はい」

 

提督「榛名、持ってきてくれ」

 

榛名「はい。......えっと、扶桑にお送りする景品は......大佐の......軍服です」

 

会場の艦娘達「!」

 

提督「こんな物で悪いが、もし俺に何かあった時の形見だと思って貰って欲しい」

 

扶桑「え、縁起でもない事言わないで下さい! でも、嬉しい♪」ボフッ、ギュー

 

扶桑「ありがとうございます! 大佐♪」キラキラ

 

提督「そうか......まぁ気に入ってくれたのならなによりだ」

 

 

扶桑「~♪ ~♪」ルンルン

 

山城「あんなに機嫌が良い姉様初めて見たわ......」

 

榛名(いいなぁ......きっとアレ、これから毎晩抱いて寝るんだろうなぁ)

 

 

提督「それでは、最後に本大会最高記録の者に最優秀賞を送る」

 

提督「加賀、金剛。前へ」

 

加賀「はい」 金剛「ハイ!」

 

提督「お前達には各々が個人的に希望するものを俺に願い出る権利を与える」

 

提督「無茶な願いでない限り、可能な範囲でそれに応える所存だ」

 

提督「もしもう願いが決まっているのならこの場で言うといい」

 

加賀「はい。決まってます」

 

金剛「ワタシもネ!」

 

提督「そうか。では、聞こう」

 

提督(嫌な予感がするぞ)

 

加賀「私と金剛さんの願いは同じなので、私が代表して言います」

 

提督「分かった」

 

加賀「大佐に私達と結婚して欲しいです。それが願いです」

 

 

会場の全艦娘達「!!!」ザワザワ

 

 

那智「なっ......」

 

Bis「なんですって!?」

 

扶桑「え......」ドサ ←服を落とした

 

龍田「へぇ......」

 

大井「......ぇ」

 

叢雲「ふむ」

 

曙「そ、それはダメよ!」

 

 

提督「......加賀、金剛」

 

加賀・金剛「はい」

 

提督「まず言っておこう。お前たちの純粋な好意は俺も嬉しく思う。これは確かだ」

 

加賀「ありがとうございます」

 

金剛「ハイ!」

 

提督「だが加賀、お前は知っているだろう。ケッコンカッコカリは成長限界に達した者にしか――」

 

加賀「はい。知っています。ですから」

 

金剛「マリッジを前提にワタシ達と恋人になってクダサイ!」

 

提督「む......」

 

 

会場の全艦娘達「!!!!」ザワザワ

 

 

Bis「そ、その手があった!」

 

扶桑「2人とも重婚は認めるってこと......? なら......」

 

那智「私達にも機会は......ある、という事......でいいんだよな」

 

大井「っ......!」ギリギリ

 

叢雲「落ち着きなさいよ」

 

龍田「ふふふふ......」ギラギラ

 

初春「お前もか」

 

比叡「お、姉様ぁ......」ブァ

 

 

提督「......」

 

加賀「それなら叶える事はできますよね?」

 

金剛「プリーズ! お願いヨ!!」

 

提督「2人とも」

 

加賀「はい」 金剛「は、ハイ!」

 

提督「手を......出してくれ。片手でいい」

 

加賀・金剛「......?」ス

 

提督「......」ギュ

 

 

提督(暖かい。これは間違いなく血だ。こいつらにも血が流れているという証拠だ)

 

提督(だが、だというのに本部は、世界は、こいつらが兵器だという。使い潰しても倫理は揺るがないと言う......)

 

提督(俺は、それが我慢ならない理解し切れない。軍人として未熟だから、冷淡になり切れないからかもしれない)

 

提督(だがそうだとしても、これは俺がこいつらを人間として扱わない事を拒否し、嫌悪する明確な意思である事は間違いのない事実だ)

 

提督(なら俺は、その事を答として今認めなければ、こいつらに示さなければ)

 

 

提督「......2人とも」

 

加賀「はい」 金剛「ハイ」

 

提督「悪いが、結婚はしない」

 

加賀「......っ」ジワ

 

金剛「大佐......!」ブァ

 

提督「落ち着け。俺が否定したのは結婚という前提だ」

 

加賀「......つまり?」

 

金剛「どういう......コト?」

 

提督「情けない話だが、この年になってまだ結婚を前提とした付き合いを誰かとしたことがない。だからいきなり言われても俺は困るんだ」

 

加賀「では......?」

 

金剛「困るから嫌ナノ?」

 

提督「嫌ではない。ただ、考えさせてくれ。お前たちと付き合いながら、2人に対する俺の思いが本物になるように」

 

金剛「そ、それじゃぁ!!」パァ

 

提督「恋人にはならないでもない」

 

加賀「......卑怯で情けない答......ですね」グス

 

提督「すまない。だが、これは偽りのない俺の今の本心であり、意思だ」

 

加賀「分かりました。私はその答、受け入れます。今は、ですが」

 

金剛「ワタシもネ!だけどゼーッタイ好きになってもうらんダカラ!」

 

提督「本当にすまないな。ありがとう」

 

提督「では、大会はこれをもって閉会とs――」

 

 

龍驤「ちょーーーっと待ったぁ!」

 

 

榛名「龍驤......さん?」

 

 

龍驤「その理屈やと、大佐はまだ誰にも好意を抱ききれてないちゅうことやな?」

 

提督「まぁ、厳密にはな」

 

金剛「そ、そんなの問題ないネ! だから今から――」

 

加賀「......」

 

龍驤「まぁ、待ちぃな。つまりそれは他にも大佐の事好いてる奴にもチャンスはあるってことやろ?」

 

 

会場の全艦娘達「!!!」ザワッ

 

 

扶桑「やっぱりそうよね!」

 

那智「......うむ!」

 

Bis「そうよね! 私達にもチャンスはあるのよね!」

 

龍田「......ふーん」

 

叢雲「やっと落ち着いたか」

 

 

龍驤「しかも2人同時に告白して、大佐もそれに対して何も反対せんかった辺り重婚は肯定ってことやろ?」

 

提督(今、俺の中で自分の評価が最低最悪になった)

 

提督「龍驤、つまり何が言いたいんだ」

 

龍驤「うちらもこれに乗る。大佐と結婚して本当に大佐のモノになりたいんや!」

 

提督「『うちら』と言ったな。他にもいるか」

 

 

Bis「わ、私やるわよ! お、落としてみせる! ......大佐を」

 

扶桑「私はもういつでもいいんですけど......もう一押し、かな?」

 

筑摩「私も! あ......私も頑張ります!」

 

榛名「は、榛名も......いいんですよね!」

 

 

その他の艦娘達「ワタシモ!ワタシモヨ!」

 

 

龍驤「ちゅーわけで、大佐。うちらもこれからあからさまに粉かけに行くかもしれへんから、覚悟しといてや!」

 

会場の艦娘達「ワァァァァァ」

 

 

金剛「ノオォォォォ! 何よコレ! 一気にライバルが増えチャッタ!?」

 

提督「加賀......」

 

加賀「なんでしょう?」

 

提督「お前の狙いはまさか、本当はこれだったんじゃないのか?」

 

加賀「......どうでしょう?」クス

 

 

叢雲「ねぇ初春」

 

初春「なんじゃ?」

 

叢雲「これでやっと遠慮なくいけるようになったわね」

 

初春「全くじゃ。大佐の奴め、本当に待たせてくれたの」

 

 

提督(全員に言質を取られたに等しいな......)

 

提督(今日は飲もう、一人だ。絶対に一人で飲もう)




お疲れさまでした。
取り敢えずキリがいいのでこれを第一部って事にします。
もうちょっと他の艦娘を登場させたかたですね。
修正するかもしれません。

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