提督の憂鬱   作:sognathus

55 / 404
第四ゲーム副将戦の開始です。
出場選手は皆泳ぐのは得意みたいですが、やはりここにきても潜水艦の余裕は変わらないようです。
皆が真剣な表情で集中してる中、ゴーヤさんは気楽に高速艇の船尾で足をパタパタやってます。可愛い。
これも彼女なりの緊張のほぐし方かもしれませんね。


第53話 「水泳大会第四ゲーム②」

青葉「第五ゲームの始まりです!皆さん用意はいいですか?」

 

熊野「いつになく気合が入ってますわね?」

 

青葉「そりゃ、もう終盤ですからね! 出場する選手の気迫がこちらにも伝わってくるので、感化されずにはいられないです!」

 

熊野「確かに......皆さんの勝利に懸ける意気込みピリピリと感じますわ」

 

青葉「分かってますね! あ、それでは榛名さんお願いします!」

 

榛名「了解です!皆さん、位置に着いて下さい!」

 

出場選手一同「......」ス

 

榛名「用意はいいですか? いきますよ......」

 

榛名「スタート!」

 

ザップーン!

 

 

青葉「さあいよいよ始まりました第四ゲーム副将戦!」

 

熊野「あ!いきなりトップに踊り出た子がいますわよ!」

 

青葉「え!? 何も見えませんよ?」

 

熊野「ほら!あそこだけ、姿は見えないけど波の形が変わってます!」

 

青葉「ああっ!ホントだ!あれはゴーヤさんです! もう最初から全力で勝ちにいってるみたいです!」

 

 

ゴーヤ「皆には悪いけどここは早々に勝たせてもらうでち」

 

ゴーヤ「今一緒に泳いでる人たちは明らかに泳ぐのが上手そうち。前のイクほど余裕ぶることは......できないわ!」

 

 

翔鶴(っ速い! まるで魚雷ね! でもあれだけの速さなら運動量も相当なはず。だから息継ぎは絶対1回はある)

 

翔鶴(その時を......攻める!)

 

ズザァ

 

 

青葉「おー、翔鶴さん速いですね! 普段のおっとりしたイメージからは想像ができない凛々しさです!」

 

熊野「はぁ......翔鶴お姉様、カッコイイ......」ポー

 

青葉「お、お姉?あの......熊野さん?」

 

 

龍驤(くぅ、やっぱり翔鶴ネーサン速いなぁ......!)

 

龍驤(でもうちかて負けてられへん! 軽空母でもやればできるって......示したるんや!」

 

龍驤「......ふっ」

 

バシャァッ

 

 

青葉「おお? 龍驤さんも加速しました! これは速い! 翔鶴さんに追いつくか!?」

 

熊野「お姉様ー!頑張ってくださいましー!!」

 

青葉「熊野さん!?」

 

 

翔鶴「っ、龍驤ちゃん......! 追いついて来たわね」

 

翔鶴「でも、そう簡単にはいかなせないわよ!」

 

 

大井「まるで二人だけで戦ってるような口ぶりね」

 

那智「我々の事を忘れて貰っては困るな!」

 

 

翔鶴「貴方達......!」

 

那智「大井、着いてこれたのか」

 

大井「雷巡を甘く見ないでくれる? いつも魚雷戦しか活躍の場がないわけじゃないのよ!」

 

龍驤「ちょい待ちぃ! うちのことも忘れんなやぁぁぁ!」

 

 

青葉「こ、これは凄い! かつてない程の接戦、混戦です!」

 

熊野「こほん。そうですわね。おねえs――翔鶴さんも優れてますが、龍驤さんたちの実力も侮りがたいものがありますわ」

 

 

菊月「別に4人だけで勝負させる気はないんだがな」

 

天龍「でもゴーヤの奴はマジで何処にいるかもう分からないぞ。はえーなぁ」

 

白露「2人とも何のんきなこと言ってるのよ! 一番になりたくないの?」

 

菊月「む?」 天龍「あん?」

 

菊月「無論」

 

天龍「あったりまえだろ」

 

菊月・天龍「一番は......」「わたしだ!」「俺だ!」「あたしよ!」

 

ドォッ

 

 

青葉「あれは......混戦してる選手を追い抜いて一気に駆け上がってる集団があります!」

 

熊野「あれは、駆逐艦の子達と天龍さんです!」

 

青葉「わざと少しペースを落として泳いで混戦して動きが鈍るのを待っていたみたいですね!」

 

熊野「菊月さんはともかく、天龍さんと白露さんがそういう戦略を持っていたというのが意外ですわね」

 

青葉「いや多分、菊月ちゃんの策を理解して流れでそれに乗ったんですよ」

 

 

ズザァァ

 

翔鶴・龍驤・那智・大井「!」

 

天龍「先に行くぜぇ!」

 

菊月「勝たせてもらう!」

 

白露「いっちばーん!」

 

 

翔鶴「く、時間を浪費したせいで......でもまだ!」

 

龍驤「かぁっ、人様の横を通っていくとはええ度胸やないか!」

 

那智「油断した! だが、まだだ!」

 

大井「ちっ」

 

 

~浜辺から1キロ付近

 

ゴーヤ「ぷはっ、流石に全力で泳ぐと一回は息継ぎしないと疲れるでちね」

 

ゴーヤ「でも、もうゴールは目の前でち!」

 

 

白露「あ、あれ。ゴーヤちゃんだ!」

 

天龍「なに? お、マジだ。距離は少しあるが追いつけない距離じゃねぇ!」

 

菊月「勝負の時が来たようだな」

 

金剛「そのようネ」

 

白露・天龍・菊月「!?」

 

天龍「こ、金剛のネーサン!?」

 

菊月「一体いつから......」

 

白露「全然気づかなかった!」

 

金剛「そう? 結構ずっと近くにいたのヨ?」

 

金剛「それにしても驚きデス。まさかワタシと同じ考えの人が3人もいるなんてネ」

 

天龍「え?」

 

白露「え?」

 

金剛「え?」

 

菊月「......」

 

天龍「そ、そーだよ。俺も驚きだぜ! まさか皆同じとはな!」

 

白露「あたしは菊月ちゃんに着いてきただけだよ?」

 

天龍「えっ」

 

天龍「そ、そーか......。お、俺......とそこの2人が一緒......だったか」

 

菊月「取り敢えずもう行くぞ。後ろの集団との距離ももう殆どない」

 

白露「うわ、やっば!」

 

天龍「そ、そうだな。速くゴールに――」

 

金剛「ノンノン」

 

菊月「?」

 

金剛「この勝負ワタシの勝ちヨ」

 

天龍「なに言ってやがるまだ勝負は――」

 

金剛「今から本気を出すネ」

 

白露「そ、そうだよ!まだ負けたわけじゃ......て、え?」

 

金剛「高速の、戦艦の力......」スゥ

 

金剛「見せてあげるネ」

 

 

ドオォォォーン!

 

 

ゴーヤ「!?」

 

ゴーヤ「な、なに?」

 

 

青葉「おーーーと!姿が見えないと思っていた金剛さんが天龍さんたちと一緒にいると思っていたら......!」

 

熊野「......凄い!」

 

青葉「マリアさんの時とは違って、海を割るというよりあれは切っていますね! 海を切り裂いて我が道を作っています!」

 

熊野「あれが......戦艦の......力!」

 

 

金剛「ゴーヤ lock on ネ!」

 

ゴーヤ「なっ......」

 

金剛「さぁ一騎打ちヨ!」

 

ゴーヤ「っ......負けない!」

 

 

~浜辺

 

バシャ

 

金剛「アイムゥゥゥゥ......ウイナァァァァ!!」ガッツポーズ

 

ゴーヤ「ふふふ......完敗でち!」ヘナ

 

 

――数十分後

 

第三ゲーム結果

 

1位:金剛  15m55s

2位:伊58  15m58s

3位:龍驤  18m59s

4位:翔鶴  19m03s

5位:菊月  20m25s

6位:那智  20m31s

7位:大井  20m44s

8位:白露  25m11s

9位:天龍  25m14s

 

 

~観覧席

 

提督「......凄いなこれは」

 

叢雲「かなり見応えがあったわね」

 

提督「戦艦が潜水艦に勝ったか」

 

叢雲「違うでしょ」

 

提督「ん?」

 

叢雲「金剛がゴーヤに勝った、でしょ?」

 

提督「そうだな」

 

提督「龍驤も翔鶴に競り勝ったか」

 

叢雲「一位にはなれなかったけど、正規空母に勝てたのはかなり嬉しかっみたいね。飛び跳ねて喜んでいたわ」

 

提督「あいつもこれで自信を持つようになるといいが」

 

叢雲「そうねぇ。まぁ元々......あら?」

 

提督「どうした?」

 

叢雲「王子様、お姫様が来たみたいよ?」

 

提督「なに?」

 

タタタタタッ

 

金剛「大佐ァァァー! ワタシ、ナンバーワン取ったワヨー!」ガバッ

 

提督「ふぐっ」

 

ドタン

 

叢雲「あらあら......水着で、しかも濡れたままで押し倒すなんて」

 

叢雲「妬けるわね」クス

 

金剛「褒めて褒メテ!」スリスリムニュムニュ

 

提督「分かったから、分かったから離れろ。水着がずれてるぞ」

 

金剛「今は気にしないワ。ギュッとするデス!」ギューポヨヨン

 

提督「ぐ......苦し......」

 

叢雲「そろそろ助けてあげましょうか」




長くなってしまってすいません。
でも、今回は書いてて楽しかったです。
金剛可愛いですね!
......陸奥も可愛い話書きたいなぁ。

大会の本戦次で最後です!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。