提督の憂鬱   作:sognathus

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提督たるもの体調管理は重要です。
食事は言うまでもなく、トレーニングによる体力作りものその一つ。
そそういうわけで提督が日課の早朝ランニングをしている時でした。


第41話 「苦手」

曙「大佐ぁー!!」トットット

 

提督「曙、お前もランニングか」

 

曙「そうよ。どっかの誰かのお蔭でなかなか出撃で体を動かせないからね」

 

提督「耳が痛い話だ」

 

曙「あ、あんま気にすんじゃないわよ。ランニングも結構あたし好きだから」

 

提督「すまないな。一緒に走るか?」

 

曙「大佐ぁ? 駆逐艦だからってあたしの体力甘く見ると後悔するわよ?」

 

提督(確かに駆逐艦は艦娘の中で一番小柄だが、一番動戦場を動き回ってるのも駆逐艦だな)

 

提督「できれば俺のペースに合わせて貰えるか?」

 

曙「それでいいのよ。了解任せて」

 

提督「準備は?」

 

曙「いつでも!」

 

提督「よし、行くぞ」

 

 

――数十分後、鎮守府通信塔前

 

提督「ふぅ。本当に凄いな。これだけ走って息一つあげないとは」

 

曙「大佐もやるじゃない。これだけ走って音をあげないなんて」

 

提督「まだ走る事自体はできるが、これ以上は体に負担がかかるからな」

 

曙「え?まだ走れるの?」

 

提督「ああ。残りの体力半々というところだ」

 

曙「本当にやるわね。あたしの予想以上よ」

 

提督「お前にそう言われると少しは自信が持てるな」

 

曙「そ、そんなお世辞を言ったって何も出ないわよ」

 

提督「本心だ。大したものだ」

 

曙「ふ、ふん。まぁせっかくだからその言葉ありがたく受け取っておくわ」

 

提督「そうしてくれ」

 

曙「うーん、でも体力に余裕はあるとは言え、汗は多少掻いちゃったわね」

 

曙「ねぇ大佐、そこの通信塔に上って少し風に当たらない?」

 

提督「何......?」

 

曙「あ、ご、ごめん。嫌だった?」

 

提督「嫌というか......曙、これから言う事はできれば他言無用でお願いしたいんだが」

 

曙「な、なに?」

 

提督「俺は、あまり高い所が好きじゃないんだ」

 

曙「え? それって苦手って事?」

 

提督「まぁ、そうだ。恥ずかしい話だが」

 

曙「へ、へぇ~。大佐も苦手なものがあるのね」ニヒヒ

 

提督「曙、今凄く嫌な笑いしてるぞ? 何を考えてる?」

 

ギュッ

 

提督「ん? なんだ。袖を持って」

 

曙「ね? ちょっとだけ」

 

提督「おい、まさか」

 

曙「怖かったらあたしに掴まってもいいから。ね、涼みたいの」

 

提督「全く......その代わり約束は守れよ?」

 

曙「当り前よ!約束は絶対に守るわ。」

 

曙「だから行こ?」

 

提督「分かった分かった。引っ張るな」

 

 

~通信塔、通信室

 

夕張「あ、大佐に曙ちゃん。こんな朝早くにどうしたんですか?」

 

曙「ランニングをして汗かいたから涼みに来たのよ」

 

夕張「あ、そうなんだ。大佐も、ですか?」

 

提督「まぁ......そうだ」

 

夕張(うん? 何だか顔色が悪い)

 

曙(本当に苦手なのね。何か、可愛いところあるじゃない)

 

夕張「大佐、調子でも悪いんですか?」

 

提督「いや......まぁ普通だ」

 

曙「あたしと同じペースで走ったから息あがっちゃってるのよ」

 

夕張「ああ、なるほど」

 

曙「ちょっと外に出るわね?」

 

夕張「今日風が少しあるから気をつけてね」

 

提督(なに......)

 

 

~通信室外

 

曙「あー、確かにちょっとだけ風あるわね」

 

提督「強くないか?」

 

曙「はい、手」ス

 

提督「む」

 

曙「握っていいわよ?」

 

提督「お言葉に甘えさせてもらおう」(ここは意地は張れないな)ギュ

 

曙「どう? 少しは落ち着いた?」

 

提督「不思議なものだな。手を握るだけで大分気分がマシだ」

 

曙「あたしのおかげかもよ?」

 

提督「そうだな。助かる」

 

曙「ちょ、ちょっとそんなに素直に感謝しないでよ」

 

提督「照れなくていい。こういう時は素直に受けた方がお互い気が楽だぞ」

 

曙「もう、ちょっと手を握ってあげたくらいで調子戻しちゃってさ。離すわよ?」

 

提督「それは困る」グ

 

曙「あ......もう、本当にしょうがないわね♪」

 

提督「ところで朝日でも観るつもりか? もう結構いる気がするんだが」

 

曙「うん? そうよ。高いところで観る夜明けは結構良いものよ。――ほら」

 

提督「ふむ......」

 

曙「ねぇ気づいている? あたし今手を離してるのよ?」

 

提督「お?」

 

曙「苦手なのを忘れるくらい綺麗でしょ?」

 

提督「そう、だな。」

 

提督「曙」

 

曙「なに?」

 

提督「また一緒に走ろう」

 

曙「いいわね! また来ましょう♪」

 

 

通信室

 

夕張(何だか二人とも良い雰囲気だなぁ)




朝の運動は良いものです。
俺も冬は寒いのが苦手だからあまりしませんが、夏とか春は偶にやったりしてます。
しかし、曙達、駆逐艦と同じペースで走ったらヤバいだろうなぁ。

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