新規実装の娘も全てお迎えできました。
やっぱり艦これのイベントは疲れますね。
「本部から作戦完了の通達が来ました。大佐、お疲れ様です」
「了解。お前もご苦労だったな。放送は?」
「はい、今マイクスイッチ入れました」
「ありがとう。んんっ、皆、既に直感している者もいるだろうが、その通りだ。本作戦は終了だ。皆、ご苦労だった」
提督の短い労いと作戦終了の通達の放送が終わると、彼がいる部屋まで段々大きくなってくる艦娘たちの歓声が聴こえてきた。
提督はその声に暫く耳を傾けると、通信機器の前に居た大淀の肩を解すように軽く、一度叩いた。
「二回目だがご苦労。お前ももう休んでいいぞ」
「いえ、まだ後処理の仕事が……」
「それは俺がこれから少し仮眠をとってすませるから大丈夫だ」
「そういうわけにはいきません。決して少ない量ではなかったはずですし」
「別に無理をしてやるとは言っていない。『ゆっくり』やるから大丈夫だ」
「……」
大淀は提督の言葉に込められた意味を頭の中で考えた。
作戦行動中は常に気を張って余裕があるとは言い難い状況なのだが、そうなっていた根本の原因がなくなれば多少の量の仕事でも腰を据えて望めるからそれほど苦ではないということなのだろう。
そう結論した大淀はそれでも提督の力になりたくて何か彼に提案できること事はないかと考えていたのだが……。
コンコンと扉を叩く音にその思考は中断させられた。
『大佐、香取です。新しく迎えました同盟国の艦娘が面会を希望しておりまして』
「そうか、分かった。入れ」
提督は入室の許可を出すと香取達が入ってくる前に大淀に目配せをして小さな声で彼女に言った。
「そういうわけだ。必要なときは呼ぶからお前も早く休め」
「……了解です」
本当は仕事を手伝いたい以外にも提督と二人で居たいという密かな狙いがあったのだが、こう言われては仕方がない。
大淀は少し不満げに頬を膨らませながら提督に従った。
「アブルッツィにグレカーレにジェーナス、だな? ようこそ我が基地へ歓迎する」
「ええよろしくね! 私、ここに来る前は日本の艦娘ばかりだと思っていたけど、意外に海外の子もたくさんいてちょっと安心したわ!」
「そうですね。妹も居ましたしリットリオさん達までいたのには驚きました」
「あたしなんてもっとビックリよ。まさかいきなり姉と妹に挟まれるなんて思ってもみなかったわ」
「はは、此処も大分日本以外の国の艦が増えていたからな。おかげで君等を迎えやすい環境になっていたというわけだ」
「あなた良い
「ありがとう。だが、君等が良ければ俺のことは大佐と呼んでくれ。此処での共通の俺の呼び方、愛称みたいなものだ」
「准将の閣下を敢えて下の階級で呼ぶくらいですから余程こちらでは親しみが込められているのでしょうね。了解しました。大佐」
「あたしもオーケーよ」
「ジェーナスも! そういう事なら no problem よ!」
「……ふぅ、元気が良いやつらだったな」
挨拶も兼ねた面会を終え、彼女たちが退室したことによって部屋に一人となった提督は椅子に深く座り直して呟いた。
(慕ってくれるのは素直に嬉しい。円滑な関係が築けそうなのもなによりだ。だからこそ……)
提督は軽く首を曲げて小さな音を鳴らすとやる気に満ちた眼をして再び呟いた。
「あいつらと国の為に頑張れるというものだな」
それから数時間ほど経った時の事。
時刻は深夜の2時過ぎ。
確かに腰を据えて余裕を持って臨むことはできたが、それだけに相応の時間がかかったことで仕事からの開放感と疲労を解すために提督が腕を伸ばしていると、徐に目の前の扉がノックもなく小さく開こうとしているのに彼は気付いた。
「誰だ?」
「っ!」
扉の向こうに居た者は提督に声を掛けられた事に純粋に驚いているようで、かといって立場を弁えているのか無言で逃げ去るということもしなかった。
「怒らないから入って来ていいぞ。誰だ?」
「すいません……」
すごすごと縮こむように部屋に入ってきたのは五月雨だった。
「気にするな。時間が時間だからそんなに礼儀を注意するつもりもない。まぁそれでも音もなく扉が開いたことには正直ちょっとヒヤリとしたがな」
「! ご、ごめんなさい! わ、わたしそんなつもりじゃ! 決して大佐を驚かすつもりなんかじゃ!」
「だろうな。お前がそんな事したことは多分今までなかったからな。廊下を歩いていたら扉の隙間の光に興味を引かれたんだろう?」
そこで駆逐艦とはいえトイレに行くところだったと言わないところが提督の紳士的な気遣いと言えた。
提督の予想は的中していたようで五月雨は彼の言葉にぶんぶんと何度も頷いて肯定した。
「ここももう少し密閉に関して考えてみるか。とはいえ、お前の夢心地を晴らしてしまって悪かった。ちょうど俺も今仕事が終わって寝ようと思っていたところなんだ」
「こ、こんな遅い時間までお疲れ様です!」
ペコリペコリと申し訳無さそうに今度は何度も頭を下げる五月雨の可愛らしい仕草に提督は精神的な癒やしを感じた。
彼はその事に密かに感謝しつつ頭をかいて立ち上がると、五月雨の前まで歩いてきた。
「……っ」
提督は少々のことでは強く叱ったりしない人物であるとは解っていても、自分の上司が目の前まで歩いてきたら流石に緊張と若干の恐怖心で五月雨は身を竦ませた。
ぎゅっと目を瞑って提督の次の行動に対して待機していた五月雨は、何か頭に心地の良い重さと暖かさを感じて閉じていた目を開けて上を見た。
「ぁ……」
そこには自分の頭の上に置かれた提督の手があった。
それをしている提督の眼は若干疲労の色が見えていたものの優しいことに変わりはなく、彼は何処か困っているような笑顔をして言った。
「大丈夫だ。明日……まぁ今日は特別に本部から全提督に休暇が出されているからな。その休みをゆっくり過ごす為にちょっと頑張っていて、それがちょうど終わったところだったというだけだ」
「そ、そうなんですか。良かったです」
「ああ。さて、五月雨。良かったら部屋まで送ってやろうか?」
「えっ」
予想外の提督の提案に五月雨は目を白黒させて焦る。
「そ、そんな悪いです。せっかくこれからお休みになろうとしていたところなのに」
「気にすることはない。お前の部屋に行く途中に手洗い場があっただろう? お前を送った後に丁度そこで顔を洗うのも良いなと思いついたんだ」
「あ、なるほど……。あ、はい。そ、そういうことでしたら大佐さえ宜しければ……」
「了解だ。じゃあ行こうか」
「あ」
五月雨は自分に差し出された掌を見て思わず提督を見た。
どうやら彼は部屋に戻るまで手まで握ってくれるらしい。
彼女は嬉しさと提督に対する申し訳ない気持ちで軽く1分ほど悩んだが、その末に手を握る方を選び、嬉しさで緩む笑顔が暫く続くことになるのだった。
「ん?」
「え?」
提督が五月雨を彼女の部屋まで送ろうとした方向とは逆の方向に五月雨が行こうとした事で二人の疑問の声が重なった。
しかし提督の方は直ぐにその疑問に対して解を導き出したようで、部屋で見せたあの困った笑顔で彼女に言った。
「あー……用が済むまで表で待たれるのは流石に恥ずかしいよな?」
「……っっ」
自分がどうして夜中に廊下を歩いていたかのか、その本来の目的を思い出して顔を真っ赤にした五月雨は、それでも
お久しぶりです。
他の作品にも言えることですが投稿間隔が大分開くようになってますね。
それでもこうしてまだ書けるだけマシなのですが。
嫌々とか辞めたいという考えが出ないし、これからもまだ続くと思います。