提督は司令部に渡された作戦指示書をずっと黙って見ていた。
傍から見ても彼が悩んでいるのは明白だった。
資材が足りないんでしょ?」
足柄はそんな提督の姿を見ただけで直ぐに彼の悩みを察した。
長い付き合いである以上に自他ともに提督の事を理解している彼女ならではの直感だった。
提督は足柄の声に重い声で答えた。
「ああ、やはり弾薬が致命的だ。後に控える作戦の為に火力を抑えた後方支援を選択したのも誤りだったようだ」
「支援の部隊に気を遣って少し挽回の機会を多く与えてしまったみたいね」
「前線の奴らもそいつらに気を遣って進んで具申をしてきたからな」
「結果、結局成果は上げられず、この前段階の作戦の時点で完遂できない可能性が出てきたわね」
「力を注げば達成は可能だろう。だが、その後の作戦については恐らくは……」
「そうね。今回は離脱を決意する必要があるかもね」
提督は足柄の結論に黙って頷いた。
今回の作戦はそれほど上手く推移していなかったのだ。
別にそれが珍しいという程彼が優秀というわけではなかったが、それでもこれまで堅実に職務を全うしてきた提督からしたら軍人として、指揮官として重く責任を感じる状態だった。
「……」
言葉が出なかった。
いや、口を開けば自分の責を認める言葉が出た。
しかしそれを敢えて提督はしなかった。
今彼の目の前にいる彼女が、そして彼に従う全ての部下がそれを望んでいなかったから。
もしそんな事を言えば、直ぐに皆は提督の謝罪を否定して責は自分たちにこそあると言ってくるだろう。
だが、それでは駄目なのだ。
お互いが納得し、同じ答に至らなければ今後の彼らの関係にしこりとなって残るかもしれない。
別に完璧な関係を求めているわけではない。
だが対処できるならしたかった。
そう、提督は単に性格がやや度を越して律儀だったのだ。
「そんなに悩まないで。少し止んで、心と体を解しましょ」
足柄はそう言って慣れた様子で苦笑しながら椅子に座った提督を後ろから優しく抱き締めてきた。
背もたれ越しではあったが、彼女が屈んできたのでお互い顔は間近にあり、温もりは十分に感じる事ができた。
「……すまん」
提督はただ一言そう言った。
その短い言葉は彼のいろいろな思いが込められた一言であり、足柄は当然それを理解してこう応じる事ができた。
「いいのよ」
これも提督に負けないくらい短い言葉だったが、彼にはそれだけで十分だった。
それからただ黙って目を閉じ、顔を寄せ、温かく自分を包んでくれた彼女の腕を握りなら、提督は十分に癒された。
(この作戦だけでも満足のいく結果にしよう)
提督は足柄に感謝しながらそう決意した。
はい、現在E2のラスダンで沼っており、50回くらい出撃したところで疲れて3日ほどゲームに手を付けてませんw
一度こうなると本当にやる気を出すのは難しいものです。
下手したらこれでゲームは完全にやめてSSだけは既存のキャラだけで続けるという奇妙な事態になる可能性もあります。
さてさて……。