そしてその話に誰よりも見た目明らかに反応して早速表だって行動を始めた娘がいた。
「大佐! 響とケッコンしたって本当?!」
島風が鼻息荒く勢いよく執務室に駆け込み、次いで後ろから雪風も着いてきた。
「待ってよ島風ちゃん!」
「なんだ、そんなに焦って」
「駆逐艦で1番に響がケッコンしたんでしょ?! うぅ……負けたぁぁぁ!!」
「あ、やっぱりそれ……」
何でも1番を好む性質の島風は提督が自分より先に響とケッコンしたのが悔しかったのだ。
彼の前で地団太を踏んでやり場のないもどかしさに悶えている様だった。
「島風ちゃん落ち着いて。仕方ないよ響ちゃんは対潜能力高かったからわたし達より出撃する事が多かったし……」
親友の雪風がフォローになってないようなフォローをして島風を慰める。
慰められた島風はそこでようやく落ち着いた、と思ったら今度はその場に座り込んで「次は絶対島風!」と駄々をこね始めた。
提督はどう接したものか思案しながら目の前の困った娘の対応を始めた。
「悪いがそれは保証できない。というかもう2番でも良いのか?」
「だって……せめて次は……」
「島風ちゃん、無理矢理自分を納得させちゃうと逆に後でまたモヤモヤしちゃうよ? もうちょっと考えよ?」
「雪風の言う通りだ。ここは焦らず次に自分がケッコンする理由でも考えたら良い」
雪風のナイスなフォローを提督はアシストした。
これは島風にそれなりに効果があったようで、彼女は提督の『理由』という言葉にハッとした顔で反応した。
「理由……?」
「1番じゃなかったらそれ以外にケッコンしたい理由を考えてみろ。それが決まったら順番を気にせずに頑張れないか?」
「1番以外の理由、かぁ……うーん」
(こいつ、結婚という言葉の意味を考えた事なかったな)
提督は内心呆れ半分苦笑半分の気持ちになった。
「島風ちゃん、先ずケッコンは好きな人とするのが大事なんだよ?」
「え? じゃあ大佐で良いよね!」
「うん、でもね? ケッコンはえーっと……もうちょっと強い好きになってからした方が良いかなって……」
雪風なりに考えて説明しようとしたのだろう。
しかし自分でも結婚という言葉が持つ意味を把握しきれずについ曖昧な説明になってしまった。
「強い好き?」
「えーっと、つまり……あ! 1番の好きだよ!」
「1番の好き……!」
雪風が確信を得た言葉に島風は目を見開く。
「1番の好きっていうのは、その人の事が1番大事で、1番言う事を聞いてあげたいくらいの好きだと思よ!」
「ん……」
子ども特有の結論優先の話し方に提督はちょっとついていけず唸るしかなかった。
だがそれが島風には大当たりだったらしい。
彼女は雪風の言葉に再度目を見開き息を飲むと、座り込んだまま下から提督を見上げた。
「ん?」
「……」
島風の提督を見るその瞳は、敢えて例を挙げるなら動物の赤子が生まれた直後に見た物に最も愛と依存を覚える刷り込みのような感情が篭ったものだった。
「……っ」
提督は本能で微細な危機感に似た焦りを覚えて思わず椅子に座ったまま後ろに下がりたい衝動に駆られた。
だがそんな提督の焦りを他所に、島風は我が意を得たりと言わんばかりに勢いよく立ち上がると、提督の顔を真っ直ぐ見据えてそのまま彼に飛び掛かって抱き付いた。
「じゃ、島風の1番の大佐の為に島風はケッコンしたい! 島風はそこまで絶対に頑張る!」
「島風ちゃん……!」
雪風は親友の答を見つけた姿に思わず感動して涙を滲ませた。
「……ああ」
一方提督は、相変わらず急な展開を見せる元気な駆逐艦達に今回も翻弄されてしまたったと、若干混乱する頭の中で思わずため息をつくのだった。
はい、文章短いですね。
でもまとまりが良いし、これ以上は個人的に蛇足になりそうだったのでこれで良しとしました。
……なんか前にも同じ事書いた気がする。
リアルでの島風と雪風はあまり使ってませんがそれでもレベルは80台だったと思います。
気長に育てて彼女ともケッコンをいつかしたいですね。
というか自分の艦娘のレベルうる覚えなのがいい加減気になるので、人物紹介の方の更新しなきゃな……。