提督の憂鬱   作:sognathus

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提督と最上が過ごすとある昼休み。
共に昼食を食べ終えて暇そうにしていた最上がふと、ある質問をしてきた。


第×50話 「衣装」

「僕さ、大佐にずーっと前から聞きたかった事があるんだ」

 

「ん? なんだ改めて」

 

「大佐ってさぁ、僕の格好見て何か思うところない?」

 

「思うところ?」

 

「うん」

 

「……」ジッ

 

提督は最上に問われて彼女の姿を眺めた。

だが特に変わったところは見つけられず、提督は暫く見ている内に思案気に顎と撫でる。

最上はそんな提督の様子を見て何を思ったのか彼の目の前でスカートを両手でたくし上げた。

淡い緑色の清楚な下着が提督の目に飛び込む。

 

「はい」バサッ

 

「何故スカートを捲る」

 

「ヒント」

 

「それが?」

 

提督は鳩が豆鉄砲を食らったような目で最上を見ながら訊いた。

 

「うん」

 

「その行為がか? それとも下着がか?」

 

「どっちも」

 

「どっちも?」

 

「うん」

 

「……取り敢えずもうスカートは元に戻せ」

 

「はーい」スッ

 

 

「……」

 

「そんなに悩む?」

 

暫くして最上は10分ほど経っても未だに答えが思いつかないらしい提督に痺れを切らしたのか、少々不満げに腕を組みながら彼に訊いてきた。

提督はバツが悪そうにこう答えるしかなかった。

 

「悪いが全く見当が付かないんだが」

 

「ええ、うっそぉ」

 

「さっきのはそんなに大きなヒントだったのか?」

 

「うん。もうかなり核心だったよ」

 

「ふむ……もしかして」

 

ようやく正解を聞けそうだ。

最上は内心そんなに期待していなかったが、やっと彼から答らしい言葉を貰える事に少し嬉しそうな顔をする。

が、提督の答えはやはりというか彼女の予想通り少々方向違いのものだった。

 

「あ、分かった?」

 

「恥じらいを持っていない?」

 

「……どうしてそういう答えになるかな」

 

最上は提督の答えを聞いてついに明らかに顔も不満げな表情をする。

 

「事実だろ」

 

「いや、持ってるし。流石に僕だってパンツまで脱いだら恥ずかしいし」

 

「俺はさっきの行為の事を言ってるんだがな。というかそこまでいかないと羞恥心を感じないと言う方が異常だろ」

 

「そう?」

 

「ああ」

 

「ふーん、まぁいいや。で、結局分からない? 降参?」

 

「降参する前に一つ確認したいんだが」

 

「なに?」

 

「降参したらペナルティなんかないだろうな」

 

「あっ」(その考え良いね!)

 

「……」(しまった墓穴を掘ったか)

 

「えっとね、それはあるよ」

 

「……遊びの範囲を出ない程度だろうな?」

 

「そうだね……うーん」

 

「元々決まってなかったのならない方向で頼む」

 

「あ、ちょっと待ってよ。ある、あるから。えっとね、えっとー」

 

「やはりないようだな」

 

珍しく焦る様子を見せる最上に提督は立場的優位を確信する。

ならばこのまま押し切るべし。

そう行動を決定した彼はそのまま攻勢に転じようとするが、最上はそれを悟ったらしく、提督を押し止める様に手を前に突き出しながら言った。

 

「あるって! あ、うん。じゃ、降参したら僕の言う事何でも聞く」

 

「応用が効きすぎて遊びの範囲を超えるか否かも本人の差配次第だぞそれ。ダメだ却下だ」

 

「そんなに無理言わないから、お願い!」

 

「……思いついてないんだな?」

 

「ん……認めたらこの案を受け入れてくれる?」

 

本当に最上にしては珍しい、貴重なともいえる顔だった。

彼女は本当に困った顔で、それでいてこのまま引き下がりたくないという女心と童心が一緒になったような、端的言えば凄く魅力的な顔をしていた。

恐らく無意識なのは間違いないと思われたが、更にそう言う格好が自然と上目使いだった事でその魅力は倍増しとなっていた。

 

「先に提示した俺の条件を順守するならな」

 

提督はそんな最上の様子に何故か自分が彼女を苛めているような居心地の悪さを感じて、態度を少し軟化させることにした。

彼女を愛らしく思うより前に、それに対して自分を責めるような考えになるところが実に彼らしいと言えた。

 

「約束する、絶対」

 

最上は真面目な表情でハッキリした口調で断言する。

 

「……ならいい、降参だ。で、結局正解は?」

 

「これ」ピラッ

 

「だから捲るなと」

 

再びスカートを捲る最上を提督は即座に注意するが、彼女は尚もスカートを上げながらその生地を揺らして何やらアピールしているようだった。

 

「だからこれだって」

 

「ん? これって……スカートか? 下着か?」

 

「スカート」

 

「……それを見てどう思う事があると」

 

「僕ってさ、最初は下はショートパンツだったの覚えてない?」

 

「……そう、だったか?」

 

正解を聞いて提督は考える顔をしたが覚えていないようだ。

 

「ま、期待はしていなかったけどね。流石に」

 

「悪い、本当に全く覚えてない」

 

「いいよ。大佐なら仕方ないと思うし」

 

「なんか微妙に皮肉を感じるな」

 

「ぷ……っく、まぁね」

 

「それで?」

 

「ん?」

 

「スカートとショートパンツどっちが似合うかという事か?」

 

正解こそ言えなかったものの、提督は最上が一番聞きたかった事を何と自分から訊いてきた。

こういところが鈍感そうで微妙にそうではない、場合によっては提督の質が悪い所と言えたが、少なくともその場では最上にとっては最良の言葉だった。

 

「え? あー、おー、自分からその結論に辿り着いてくれたんだ。そうだね、結局はそれを聞きたいかも?」

 

「ふむ」

 

「どう?」

 

「正直……」

 

「うん」

 

「どっちもそう印象は変わらない」

 

「ま、そう言うとは思った。じゃ、どっちが女の子らしい衣服だと思う?」

 

本当に予想通りの答えだった。

だが、故に最上はそんな答えでも苦笑する事ができた。

実に提督らしいと。

 

「それは簡単だスカートだな」

 

これは誰が訊いてもそうだろうという自信の下に提督は即答した。

 

「じゃ、スカートね」

 

「ん? 何がだ」

 

「これからもこれを穿き続ける事に決定したの」

 

「はぁ……」

 

「……はい」ピラッ

 

「やめろ」

 

「うん、ふふ……やっぱりこれにしよっと♪」

 

最上はその日3度目の注意を提督から受けながらも嬉しそうな顔をしてこれからもスカートをはき続ける事を決めたようだった。

提督はそんな彼女をなんとなく手玉に取られたような微妙な気持ちで見ていた。

 

「……」(相変わらず掴めないな)




もうすぐイベントですね。
楽しみでもあり、面倒でもあり……。
まぁ適当にします。

というか頑張る詐欺すいません。
でも消失はしませんよっ。

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