提督の憂鬱   作:sognathus

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最上と鈴谷は部屋で暇そうに過ごしていた。
最上は相変わらず壁を背にして本を、一方鈴谷は特に何をするでもなくゴロゴロしていた。

*明らかな性的な描写あり


第×48話 「姫遊び」R-15

「暑いー」

 

「暑いねー」

 

「何でクーラーつけないないのー?」

 

「鈴谷が直ぐ寒くなるからってつけななかったんじゃないか」

 

「えー、そうだっけー?」

 

「そうだよ」

 

「そっかー、じゃぁつけようかなぁ、暑いし」

 

「つけるの?」

 

「んー……。やっぱやめたー」

 

「なにそれ」

 

「モガミンはつけなくて平気ー?」

 

「そんなに動かなければ大丈夫だよ」

 

「そんなもんかなぁ」

 

「そんだもんだよ」

 

「……」

 

「……」

 

 

「だー、もうあっつーい! パンツ脱ごっ、蒸れる!」ポイッ

 

「また大佐に怒られるよ?」

 

「今日は自分で直接演習の指揮をするとか言ってたから、そうそう顔を合わす事ないよー」

 

「そうだっけ? んー、確かにそれなら会う可能性は少ないかも」

 

「最上も脱ぐ?」

 

「んー……そうだね。確かにそれなら今日会う可能性はそんなにないかもしれないしね」

 

「やったーなっかまー♪ ね、脱がせていい?」

 

「別に自分で脱げるんだけど……」

 

「なんか、ぬ・が・せ・た・い・の♪ ね、お願い」

 

「……はぁ、好きにすればいいじゃん」

 

「やっほーぅ。モガミン超サンキュー♪」

 

「はいはい。ん、早くしてね」

 

そう言うと最上はショーツを脱がし易いように曲げていた足を前に伸ばした。

 

 

「はいはーい、それじゃ鈴谷がエスコートしちゃいまーす♪」

 

「パンツを脱がせるエスコートなんて聞いた事ないよ……」

 

鈴谷は嬉しそうに最上のスカートの中に手を入れると、ショーツの端を掴んでするりとそれを脱がした。

 

「はーい、脱げましたー!」

 

「おめでとー」

 

「お、モガミン今日は青かぁ」

 

「まぁね」

 

「へぇ、特に汚れてないんだね」

 

「ちょっと……何見てるの」

 

脱がしたばかりの淡いブルーのショーツを広げてクロッチの部分を見る鈴谷に、最上は流石にちょっと嫌そうな顔をした。

 

「いや、汚れとかないかなぁって」

 

「一応かなり気を遣ってるつもりだからね。そうそう無い筈だよ」

 

「流石モガミーン」

 

「そういう鈴谷はどうなのさ」

 

「え? わたしー?」

 

「さっき脱いだやつ見せてよ」

 

「やーん、モガミンのエッチー」

 

「人のパンツ見ていてよく言うよ。早く」

 

「えっ、ほ、ホントに見るの……?」

 

鈴谷は最上がその要求を直ぐに撮り下げると思っていたらしく、予想に反してあくまで自分の下着を見せるように求めてきた事に幾分動揺した顔を見せた。

 

「何? もしかして汚れ……」

 

「ちょ、ちょっと待って……!」

 

ゴソゴソ

 

「……ふぅ」

 

「……」(これは油断してる時はあるって事かな)

 

「はいっ」

 

暫くして鈴谷は脱いだばかりの下着を最上に手渡してきた。

最上はそれを受け取り彼女がしていたにそれをジッと眺める。

 

「ん、ふーん……」ジー

 

「な、ないっしょ?」

 

「……あ」

 

「! な、なに!?」ビクッ

 

「……鈴谷はピンクかぁ」

 

「っ……ちょ、ちょっとぉ! そういうのやめてよねー!」

 

「なに? 自信なかったの?」

 

「そ、そういうわけじゃないけどさ。普段はあまり意識してないからちょっと心配で……」

 

「ふーん」

 

ビローン

 

「ちょっ!?」(そんなに広げたらもしかしたら……!)

 

最上が手にしていた下着を引き伸ばして確認し始めたので、鈴谷は予想外の行動に完全に慌てる。

 

「……ないね」

 

「……っ、はぁ」ガクッ

 

「ま、女の下着は特に目立ち易いから普通は気を遣うよね」

 

「まぁそうなんだけどさ。なんか改めてそう言われると鈴谷が普段気を遣ってないように聞こえるんですけどー?」

 

「そんなつもりはないよ? 気を付けているつもりでも実は、って事なんてざらだしね。そういう意味で鈴谷はちゃんとしてるって事が証明されたじゃないか」

 

「……それ、モガミンも当てはまってるよね」

 

「当然」

 

「はぁ、何か嬉しくないなぁ勝ったわけでもないしー」

 

「逆に負けてたら汚れてるって事じゃないか。そんな事態、断じて僕は招くつもりはないね」

 

「す、凄い女子力」

 

「鈴谷は一つ誤解している」

 

「え?」

 

「もしかして鈴谷は世間一般的に男性から“女はきれいな身体をしている”という幻想を抱かれている事を知らないのかな?」

 

「え……げ、幻想?」

 

「僕や鈴谷みたいに普段から何気に細かい所を気にしている人には関係がない話なんだけどね」

 

「う、うん」

 

「でも女も基本人間、一般的な男性の様に外見にあまり気を遣わないでいると、予想以上に粗が目立つものなのさ」

 

「あ、粗?」

 

「うん。まぁ、粗というのはちょっと言い過ぎなところもあると思うけど、女は基本外見が重視される分それが例え男性と同程度の粗でも、それが男性と比べて異常に目立って見えてしまうものなんだよ?」

 

「……はぁ」

 

鈴谷は想像した。

外見がお淑やかに見える代表の一人である扶桑に、もし男性によくあるような鼻毛の処理漏れが彼女に認められた場合を。

 

「……っ」

 

危うく笑いそうになったのを何とか止めた。

例え想像でもそれを笑ったりすると、超常的な力でそれを知覚した妹の山城に粛清される気がしたからだ。

滅多にある事ではないが、最上の言う事は実によく解った。

 

「ま、ある意味世の女性はそんな男の妄想の被害者とも言えるかもね。勿論、そのお蔭で大多数の女性が気を遣って、見栄えだけは良く見える様にしているという結果に繋がってるとも言えると思うけど」

 

 

「……」ピクッ

 

違う部屋で扶桑と一緒に提督に頼まれた資料を探していた山城は、ふと探していたその手を止めた。

 

「山城?」

 

「あ、いえごめんなさい。何か空が曇って見えた気がして……」

 

「? 今日は晴天よ」

 

「そうですよね、ごめんなさい。ちょっと呆けてたみたいです」

 

そう、窓から覗く眼前の空は蒼鮮やかな晴天。

それはまるで自分の姉の心の様に晴れやかできれいだった。

そんな青空が曇って汚れたように見えた気がしたのは、きっと何かの間違いだろう。

 

空を眺めながら山城は、そんな自分の気のせいだという思いが実は少し離れた場所で的中している事など流石に知る由もなかった。

 

 

「……」

 

「んー……、ひまー」ゴロゴロ

 

「……」

 

「……あ」ピコーン

 

ゴソゴソ……

 

「……ねぇ」

 

「うん?」

 

「何してるの?」

 

「モガミンのスカートの中覗いてるー」

 

鈴谷の言う通り彼女は最上のスカートの中にすっぱりと頭を入れてその中身を覗いていた。

 

「何で?」

 

「暇だから」

 

「暇だから鈴谷は人のスカートの中を覗くの?」

 

「んー、別に暇だから必ずってわけでもないしー。別にいいじゃん減るもんじゃないし」

 

「自尊心が削られてる気もするけど」

 

「前にクマノンとかにも見せてたでしょ?」

 

「あれは見せてたのであって、今は故意に覗かれてるんだけど。しかも至近距離で」

 

「えー、だめー?」

 

「別に見たって面白くないでしょ。鈴谷と同じモノなんだし」

 

「いやまぁ見た目は確かにね。モガミンもわたしと同じでツルツルだし」

 

「……ん、ちょっと見ながら話さないでよ。息が当たってこそばゆい」

 

「あ、ごめん。ちょっと匂い嗅いでた」

 

「……は?」

 

「だからぁ、モガミンの匂いをー――」

 

「そんな事一言聞けば分かるよ。なんでそんな事するの。汗臭いでしょ」

 

珍しく目に見えて赤面して恥ずかしそうにする最上だったが、鈴谷は彼女の言葉を気にする事もなく更に顔を近づけてその匂いを嗅ぐ。

 

「んー……すー」

 

「……っ、ちょっ……と」

 

「確かに汗の臭いはするけど、モガミン本当にきれいにしてるからそれ以外の匂いは何もしないよー?」

 

「だからってそんなとこ……。普通しないよ?」

 

「モガミンはきれいだからいいのー、普通ふつー」スーハー

 

「……」プルッ

 

 

「ね」

 

「……なに?」

 

「触っていい?」

 

「なんで?」

 

「なんかプニプニして凄く触ってみたい!」

 

「それもこの前熊野でやってなかったっけ?」

 

「ん? そうだっけ?」

 

「どうだったかな」

 

「ねー、おねがーい」

 

「だから目の前で話さ……あーもう、いいよ」

 

「やったー! モガミンマジ天使ー♪」

 

「何が面白くてそんな事するかな……」

 

「まぁまぁ気にしないでーって、さてぇ……」

 

ぷにっ

 

「ん……」ピクッ

 

人差し指と親指で敏感な場所を挟まれて最上は思わず小さな声を漏らす。

鈴谷はその感触が大層気に入ったようで、その後何度もプニプニと掴んでは離しを繰り返してその感触を楽しむ。

 

「ほーほー、これは良い触り心地ー♪」プニプニ

 

「……」(本に集中し難い……)

 

 

「ねー?」

 

「今度は何?」

 

「何か指に冷たい感触が?」

 

「何で疑問形なの。そんなの触ってる本人が一番判るでしょ?」

 

「んー、湿って……あ、凄い、糸みたい♪」クチュッ

 

「あ……ん……」

 

「モガミン感じてるー?」

 

「そこまでして感じない女はいないでしょ。判り切った事聞かないでよ」

 

「えへへ、モガミンのそういうドライなとこわたし大好きー♪ えいえいっ」クチュ

 

「は……ぁ……。んぅ……」

 

「あ、モガミンこれってアレじゃない? 真っ赤ぁ」

 

「ちょっと、それは本当に触らないでよ。本に集中できなくなるから」

 

「あ、うんそれ解る。これ気持ち良いけど刺激も凄いもんね」

 

「できればそれ以外も触るのをやめて欲しいんだけどね」

 

「うん、それ無理ー。てりゃっ」チュプン

 

「あっ……もう……て、え? もしかして鈴谷今……」

 

「あ……ごめん?」

 

今まで聞いた中で明らかに違う少し冷めた最上の声に鈴谷はびくりと反応して慌てた様子でスカートから手を引いた。

その手の指は僅かに濡れて外の光を反射して光っていた。

 

「絶対に破らないでね?」

 

「あ、うん。それは絶対にしない」

 

「……じゃぁいいよ」

 

操を大佐の為に立てるなど確認するだけ野暮というものだった。

それより中途半端な状態でやめられるのも消化不良でもやもやしてしまう。

そんな気分になるくらいならと、最上は続いて弄るのを鈴谷に許した。

 

「ほんとごめんね? ちょっと軽くだから」チュク

 

「ん……ふ……」

 

「~♪」

 

ペロンッ

 

「あっ」

 

「どうしたの?」

 

「モガミンどうしてわたしのスカート捲ったの? お尻丸見えなんだけど」

 

寝そべって最上に悪戯してい鈴谷のスカートは背中まで捲り上げられ、下着は穿いていなかったので女の小振りで色白い可愛らしい尻は当然丸見えだった。

 

「もし破ったら、一突きで鈴谷のも破る為だよ?」

 

「なにそれ、怖っ」

 

「……鈴谷気付いてないみたいだけど君も結構濡れてるから、これなら一瞬で破れるからね」

 

「あ……いやぁー……。うん、はい、気を付けます。だからマジでやらないでね?」

 

「約束を守るならね」

 

「うん、それはマジで分かってるって」

 

 

「おー」

 

「ん……?」

 

「モガミン凄いねぇ、ほら、こんなに……」

 

「それは鈴谷が弄ってるからでしょ」

 

「えーでもこれはー、うわぁ♪」ニチャ

 

「人のであまり遊ばないでよ」

 

「いやー、なんか自分のテクでここまで濡れてくれると嬉しくて」

 

「いや、それ単に鈴谷が弄り過ぎなだけだから」

 

「えー? ちょっとそれ心外だなー」プクー

 

「心外も何も事実だし」

 

「むー……あ」ピコーン

 

「今度はなにを……」

 

ペロッ

 

「~~っ、ちょ」

 

生暖かくぬめっとした感触を最上は感じた。

ビリっとした刺激が身体を貫き、最上はそれが鈴谷によるものだと瞬時に理解した。

スカートから顔を出した鈴谷は小さな舌をぺろっと出して悪戯っぽく笑っていた。

 

「えへへ。やっちゃった」

 

「やっちゃったって……鈴谷ぁ」

 

「もうここまで来たらこれくらいいいじゃない」

 

「何でしたの? そんなところじゃないでしょ?」

 

「そう? ヤる時は結構すると思うよ?」

 

「処女が何言ってるのさ」

 

「む、モガミンだってちょっとは想像してみなよ。もし大佐とそういう事することになって実際にこんなことをされたらって」

 

「そんな……大佐にそんな事……。汚いよ」

 

「だから汚くないって鈴谷言ってるじゃん。きっと大佐だってモガミンのここを見ればこうやって可愛がりたくなると思うなぁ」

 

「……可愛がるのがそれと繋がるの?」

 

「今のももさっきまでのも全部含めて愛情表現みたいなもんだよ」

 

「ふ、ふーん……」

 

「というわけでもっとしていい?」

 

「改めて率直に願いされると凄く恥ずかしいんだけど……。美味しいの?」

 

「んにゃ、ちょっとしょっぱい感じはするけど、殆ど味はしなかったよ。ネットで見た事あるけど、無味無臭はその人が健康な証拠なんだって」

 

「でも美味しくな……ああ、愛情表現だっけ」

 

「そ、だからモガミンも今のうちに鈴谷で慣れておきなよ?」

 

「まぁ、そういう事なら」

 

「流石モガミン話が分かるぅ! それじゃ許可も貰った事だし改めて……ん」ペロ

 

「あ……」ピクン

 

 

部屋の扉の隙間からその光景を眺める二つの瞳があった。

覗いていたのは三隈と熊野、二人は顔を真っ赤にしてその様子を固唾をのんで今まで見ていたのだ。

 

「「……」」

 

気付かれない様に静かに扉を閉めて少し離れた廊下まで二人は来ると、先ず熊野が頭を抱えてしゃがみながら言った。

それに続いて三隈が心配そうな口調で彼女に話し掛ける。

 

「な、何をしてますのー!? あの二人はー!」

 

「く、熊野さんこれは由々しき事態ですわよ!」

 

「え?」

 

「もしこのまま私達があの部屋に住み続けたら、知らない間に大佐の為に後生大事に守り通してきたしょ、処女を……あの方たちに奪われてしまうかもしれませんわ!」

 

「そ、そんな大佐の為にお守りしてきた操が!」

 

熊野は三隈の懸念を聞いて赤いんだか青いんだかよく分からない顔色で身を守る様に自分の身体を抱きしめる。

 

「熊野さん、ここは一時身の安全が期待できる場所に避難した方が賢明ではないでしょうか?」

 

「た、確かに。で、でも私にそんな安全な場所なんて心当たりが……」

 

「大丈夫ですわ。この私に一つだけ心当たりがありますの!」

 

「そ、それは本当ですの?」パァッ

 

 

 

「……なるほどな。それであたしらのとこに来たってワケか」

 

「はい! その辺の殿方より殿方らしい麻耶さんなら頼りになると思いましたの!」

 

「三隈さんこれは名案ですわ! 雄々しい麻耶さんと同じ部屋なら確かに私達の貞操に危険が及ぶ可能性はありませんわ!」

 

「……よく分かった。取り敢えずてめー達はそこに正座な?」

 

摩耶は目を輝かせて自分を頼って来た二人に対して、額に青筋を立たせながら隣で苦笑する鳥海から彼女の慈悲によって釘バッドからハリセンに変わったお仕置き様の道具を受け取るのだった。




何故か自分の中では百合的カップリングは「最上×鈴谷」がデフォなんですよね。
鈴谷と熊野はキャラが良く立ってるのでその陰に隠れがちですが、三隈の、熊野より天然さを感じるお嬢様や、最上の少しドライでマイペースな性格も結構好きです。

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