提督の憂鬱   作:sognathus

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提督の様子が気になった朝潮・若葉・野分の三人は濡れないように揃って下着姿になると、その安否を確かめる為に浴室へと入った。
辺りには湯気が立ち込め、直ぐには状況が理解できなかった。

*明らかな性的描写あり
*キャラ分けが難しかったのでセリフの前に名前あり


第×40話 「張り合い」R-15

「大佐……いるか?」ガラッ

 

野分「うわっ、湯気が多くてあまり見えない」

 

朝潮「足元気を付けてね。あ……あれ」

 

若葉「ん?」

 

朝潮「あれ、湯船よね。人影みたいなのが見える。ほら」

 

朝潮が言った通り、彼女が指を指した方向に湯気の中に薄らと人の影が見えた。

 

野分「あ、本当だ。あの……た、大佐ー!」

 

若葉「申し訳ない、少々入浴が長く思えたので様子を見に……。問題なら直ぐにもど……ん?」

 

野分「ねぇ、あれ……」

 

湯気をかき分けて浴槽に近寄った時、若葉は異変に気付いた。

湯船に浸かっていた提督が彼女達の声に反応せず、ぐったりしていたのだ。

 

朝潮「……! 大佐!」タッ

 

野分「ねぇ、大丈夫!? 大佐どうかしたの!?」

 

若葉「待て、焦っちゃだめだ。……ん、大丈夫脈は、ある」

 

朝潮「寝てる……? ううん、これだけ私達の声が近くにあるのに、反応もないし……」

 

野分「のぼせた?」

 

若葉「多分」

 

野分「取り敢えず上げよう。このままじゃ危ないよ」

 

朝潮「そうだね。若葉、そっちの腕持って。野分は身体が出たら腰を支えて」

 

若葉「了解した」

 

野分「分かったわ」

 

ざばぁっ

 

幼い外見とは言え、駆逐艦でも艦娘。

それも三人も揃えば大の男を浴槽から引き上げる事など簡単だった。

 

「……」

 

朝潮「大佐!」

 

若葉「脱衣所に運ぼう。ひとまず身体を冷まさないと」

 

野分「そうね」

 

 

「……」

 

脱衣所のベンチに寝かされても提督はまだ意識を失ったままだった。

本人は睡眠中に意識を失ったので苦悶の表情こそなかったが、その身体はのぼせたことによってすっかり火照っていた。

朝潮は提督の体温を下げる為に野分と若葉に水タオルなどを用意させて持って来させる。

 

朝潮「タオルを身体にかけて。手足は出して、足は水面気に水を張って、そう、浸けてあげて」

 

野分「水タオルはおでこと……首?」

 

朝潮「脇の辺りも良いはず。足は……水に浸かってるから腿の辺りでいいんじゃない?」

 

野分「分かった。……あっ」

 

提督の脚にタオルを乗せようとした野分だったが、その時にあるモノに気付いて真っ赤になって顔を伏せた。

 

若葉「どうした?」

 

野分「あ、いや……うぅ……」カァ

 

朝潮「どうし……あ……」カァ

 

野分が見たモノに朝潮も気付き、揃って真っ赤になる。

若葉は二人ほど動揺していなかったが気まずそうに視線を逸らしていた。

 

若葉「……」(夢中で気付かなかった。これが大佐の……)カァァ

 

野分「……あ、ごめん。取り敢えず」

 

野分が何とか気を取り直してなるべく目を逸らしながらタオルを置こうとしたが、それを何故か若葉が突然止めた。

 

若葉「待て」

 

野分「え?」

 

若葉「そ、そこは私がやろうか?」

 

野分「え」

 

朝潮「……む」

 

野分「い、いや、いいよ。これくらいは私が」

 

朝潮「顔真っ赤だよ? 恥ずかしいなら代わるって」

 

朝潮の気遣い的な言葉に何故か野分は言葉にできない対抗心が湧いた。

それを自覚すると今度はそれが何とか自分がその役目を担いたいという欲求へと心の中で変わった。

 

野分「大丈夫よ。やれるわ」

 

若葉「その割には視線を逸らしがちだ。それでは上手く置けないだろう。私なら平気だ。ちゃんと見れる」

 

野分「み、見れるって……。わ、私だって平気よ!」

 

若葉「見るだけじゃだめだ。触れても平気じゃないと」

 

朝潮「ふ、触れ……!?」

 

若葉「私は握れる」

 

ギュッ

 

野分・朝潮「!?」

 

 

若葉「……」(お、思ったより柔らかい)カァ

 

野分(つ、掴んでる……)

 

朝潮(んなにしっかり……)

 

若葉「さ、さて……。これでタオルも置いたからここもタオルで覆……」

 

多少無理をした事によりまだ手に残る生々しい感覚に顔を真っ赤にした若葉は、陰茎を握っていた手を放すと、なんとか平静を装うと努めながら当初の目的通りタオルを置こうとした。

しかし……。

 

朝潮「待って」

 

今度は朝潮が間に入って来た。

 

若葉「え?」

 

朝潮「そ、その私も触る……りたい」

 

若葉「!? な、なにを」

 

『触りたい』最早看護とは離れた率直な朝潮の欲求に若葉は驚きと共に羞恥の色に染まる。

それは野分も同じで、若葉の時以上にゆでだこの様に顔を赤くして朝潮を非難した。

 

野分「そ、そうだよ。もうタオル置いたからいいじゃない」

 

朝潮「なんか若葉だけリードしてるみたいでズルイよ……。わ、私だってできるもん」

 

若葉「そ、そういう問題じゃ……」

 

朝潮「じゃ、野分はいいんだよね」

 

野分「えっ」

 

朝潮「私と若葉にリードされても、気にしないという事よね?」」

 

野分「え、いや、それは……」

 

若葉「あの、私はあくまで看護をする上であれくらいはできという事を示したかっただけなんだけど……」

 

自分は覚悟を示すためにあのような行動をとったに過ぎない。

それを変に曲解されている感じた若葉は焦った様子で取り繕おうとした。

 

朝潮「なら私も同じことをしても問題はないよね? 私だって大佐の事慕ってるもん。あれくらいできるって示す事くらいいいよね?」

 

若葉「む……ま、まぁ……」

 

野分「ちょ、ちょっと」アセ

 

朝潮「ということで……!」

 

ニギッ

 

野分・若葉「!」

 

朝潮「……!~~っ」(何これ、柔らかい柔らかい! こ、こんなにぐにゃぐにゃしたものだったの!?)カァァッ

 

 

それから数分後。

 

朝潮「……」ニギニギ

 

野分「ね、ねぇ。もうそろそろ離しても……」

 

野分の言葉で正気に戻った朝潮はその時にやっと自分の行いに気付いて真っ赤になって手を離した。

 

朝潮「え? あ、うん。そ、そうね。あっ……」バッ

 

若葉「どうした?」

 

朝潮「せ、せっかくだからここも……」

 

否、やはりまだ正気には戻ってなかった。

 

ポヨッ

 

若葉「な!?」

 

野分「え、ちょ!?」

 

朝潮「……あ」(こ、ここも柔らかい。ぐにゃぐにゃというよりふわふわ? あ、固いのが、これが……)ボー

 

野分「……っ、ズ、ズルいよ!」

 

野分は過剰になっていく朝潮の大胆な行動についに我慢できなくなったようだ。

完全に自分が置いて行かれたような敗北感に焦った彼女は、やや強引に朝潮の横に割って入りそして……。

 

ニギッ

 

朝潮「あ、ちょっと!」

 

野分「っ、ぁ……」(な、なにこれ……これが……)カァァッ

 

若葉(何この状況……)

 

三人の中で一番まともだった若葉は一人、この状況に困惑して呆然と立ち尽くしていた。

 

 

朝潮「……」ニギニギ

 

野分「……」ムニュムニュ

 

若葉「ね、ねぇもうそろそろよさないか?」

 

朝潮・野分「えっ」

 

若葉「私が言えたことではないが、気を失ってる人にその……手を出すのはよくない……」

 

若葉の恥じらいながらも的確な指摘に朝潮と小野は慌てて提督の身体から離れた。

 

朝潮「っ、そ、そうね!」バッ

 

野分「う、うん!」バッ

 

若葉「取り敢えず体も乾いてるみたいだし、服を着せよう」

 

朝潮「わ、分かったわ。じゃぁ私が持って」スクッ

 

ネチョッ

 

朝潮「あ……」

 

朝潮は何か水に濡れた様な凄く冷たい感触はお尻に感じた。

 

野分「? どうしたの朝潮? なんなら私が持ってこようか?」スクッ

 

ニチャッ

 

野分「あ……ぅ……」

 

朝潮に気を遣って自分が代わろうと立ち上がった野分もその瞬間に、顔を真っ赤にする。

どうやら彼女も朝潮と同じ状況の様だった。

若葉はそんな二人の様子を不思議そうに見ていた。

 

若葉「二人ともどうした?」(立ち上がったと思ったら直ぐに座り込んだ?)

 

朝潮「あ、えっと……ふ、服を取りに来る前に私達も服を着ない? ね、野分?」(もしかして野分も?)

 

野分「そ、そうだね。着よ! 大佐もいつ目を覚ますか分らないし!」(朝潮……分かったわ!)

 

若葉「あ、それもそうだな。迂闊だった。それじゃ私も……」

 

最もな意見に若葉もその場を立ち上がって二人に着いて着替えようとするが、何故かそれを朝潮が止めた。

 

朝潮「わ、若葉はちょっと大佐の看病をお願いできる?」

 

若葉「え?」

 

野分「そ、そうね! 先に私達が服を着るついでに大佐の服も持ってくるからそれまでの間お願い!」

 

若葉「それは構わないが……」

 

朝潮「ありがとう! それじゃ行こう、野分!」

 

野分「う、うん! じゃ、若葉悪いけどもう少しだけそのままで大佐の事お願いね!」

 

若葉「? あ、ああ、了解だ」(なに……?)

 

一人残された若葉はキョトンとした顔で二人の行動を疑問に思いながら、その後姿を見送った。

 

 

朝潮「……ねぇ」

 

脱衣所の若葉から見えないロッカーの前まで来たところで朝潮は野分に静かに声を掛ける。

野分はその声の雰囲気に彼女が言いたい事を一瞬で理解した。

 

野分「ん……?」

 

朝潮「野分、も……?」

 

野分「あ……うん、凄いぐっしょり……。朝潮も……?」

 

朝潮「うん、ちょっとこのままじゃ……ね」

 

スルッ……

 

朝潮・野分「うわぁ……」

 

二人は凄い事になった物を見て、羞恥の声を漏らすのだった。

 

 

一方その頃若葉は……。

 

若葉「……二人とも遅いな。なぁ、大佐……♪」ナデナデ

 

小さな膝にちょこんと提督の頭を載せて幸せそうにそれを撫でていた。




なんとか少しは早めに投稿できました。

摩耶がまだ改ニになってないのに新たな改ニがもうすぐ来るそうですね。
確か吹雪や何の改ニの話も作ってないのでネタに困らないのは嬉しいのですが……。

というか新たな海外の戦艦でシャルンホストの名前が囁かれてたりしてるみたいですが、個人的には同型の姉妹艦ティルピッツがいいですねぇ。

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