提督の憂鬱   作:sognathus

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提督の親友である中佐からある荷物が届きました。
提督は荷物を見て送り主を確認すると物珍しそうな顔をして、着荷の連絡をする為に中佐に電話をしました。


第×33話 「18禁」

「アダルトビデオ?」

 

『ああ、そう。そっちに届いたか?』

 

「お前から送り物なんて珍しいと思ったらなんでまたそんなものを……」

 

提督は荷封筒から取り出したコピーされたと思われるDVDディスクを見ながら呆れた声で言った。

 

『いやぁ、正直言うとな。ただの興味本位だ。お前に見せたら面白そうだなってな』

 

「別にこの歳でそんなもの珍しいとも思わないが……」

 

『いやな? ちょっとそれが内容が特殊なやつなんだよ』

 

「特殊? ……俺はそっち方面の性癖はないぞ」

 

『何を想像したかは何となく判るから聞かないが、そういうんじゃない。どっちかというとなぁ……うーん、ネタ系か』

 

「ネタ? ……一応タイトルを教えてもらってもいいか? ネットで情報を調べてみる。それで興味を持つ内容なら観るよ」

 

『ああ、いいぞ。別に隠すつもりはなかったしな。タイトルは……』

 

 

「ふむ……」

 

「大佐、どうしたんですか?」

 

「……ちょっと、な。友人にビデオを貰ったんが」

 

「え? ビデオですか? なんです? どんなビデオです?」ワクワク

 

「訊いて後悔するなよ。アダルトビデオだ」

 

「えっ」

 

「……」

 

「え?」

 

青葉の二度の確認に、提督は居心地が悪そうに目を逸らしながら再び肯定した。

 

「本当だ」

 

「な、なんでまた……」

 

「何でもネタ的な意味で面白いと思ったから俺にも観て欲しいと思ったんだそうだ」

 

「アダルトビデオでネタって……。あ、もしかして人気のアニメのイメージ崩壊レベルのパロディものとか?」

 

「俺も最初はそういうのやもっとアレなのは想像したんだがな」

 

「もっとアレ?」

 

「お前は知らなくてもいい。それで一応気になってタイトルを教えてもらって、それを調べてみたんだが」

 

「うんうん」

 

「……そこから先は秘密だ」

 

「えー! なんですかそれ! 青葉教えて欲しいです!」

 

「ダメだ。自己責任にしても俺は個人的に見せたいとは思えないものだったからだ」

 

「そこまで言っておいてそれはないですよー。ねぇ教えて大佐!」

 

「ダメだ」

 

「教えて!」

 

「ダメだ」

 

「おし――」

 

「ダメだ」

 

「……むぅ」プクー

 

「拗ねてもダメだぞ」

 

「じゃぁタイトルだけ教えて下さい! それで自分で調べて観るかどうかは自分で判断しますから!」

 

「ダメだ。逆に興味を持って結局観た所為でトラウマにでもなったら申し訳ないからな」

 

「青葉は重巡ですからちょっとくらいの衝撃は大丈夫です!」

 

「それは物理的な衝撃の事だろう。精神的な衝撃にも強いとは限らない」

 

「青葉は心の装甲も頑丈です! だから教えてくださいよ大佐ぁ」グイグイ

 

「やめろ、服を引っ張るな」

 

「おーしーえーてー!」グイグイ

 

「……じゃぁさわりだけ見せてやる。それでダメそうならそれまでだ」

 

「やた! て、大佐も一緒に観るんですか? あ、アダルトビ……なのに?」ポッ

 

「まぁ一応な」

 

「?」キョトン

 

 

そして数分後、提督は私室に青葉を連れて再生機の電源を入れた。

時刻はまだ昼頃。

成人向けの動画を見るには幾分場違いな時間帯に思えた。

 

「さて観るか」

 

「え、部屋は暗くしないんですか?」

 

「確かに人目は忍びたいところだが、これの場合はな。まぁ観れば解る」

 

「?」

 

提督が言っている意味が解らずキョトンとする青葉を尻目に彼は再生機の再生ボタンを押した。

 

「さて……」ポチッ

 

「わくわく♪」

 

一分後

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 

ガバッ

 

「っ……ぐ……」

 

「と、止めて下さい大佐ぁぁぁ! いやぁぁぁぁ」

 

「止める。止めるから離せ」

 

ピッ

 

 

「……ひっ、うぇ……」ガタガタ

 

「だからダメだと言ったんだ」

 

「い、一体……なんなんですかアレ。アレのどこが……どこが……うぇぇぇん」

 

「……」ポンポン

 

「……大佐」

 

「ん?」

 

「人間って怖いですね……」

 

「……そうだな」

 

「あんなので興奮するなんて信じられません」

 

「中佐の奴も俺が軍人だから耐性があると判断した上で送ったんだろうな。まぁ、確かに観れない事はなかったが、流石に気分は良くなかった」

 

「……作り物ですよね?」

 

「そこは俺が保証する。経験と医学的見地からある程度説明もしてやれる」

 

「そうですか……」ホッ

 

「さて、もう昼休みも終わりだな。青葉、お前は飯とかもう済ませたのか?」

 

「あ、はい。大丈夫です。お仕事のお手伝いはできま……あ」

 

「? どうした?」

 

「大佐あの……」モジモジ

 

青葉は何に気付いたのか急にもじもじし始めた。

 

「うん?」

 

「と、トレイに行きたいです……」

 

「行ってくればいいだろう」

 

「ひ、一人が怖い……」ガタガタ

 

「まだ昼間だぞ」

 

「で、でもぉ……」ジワッ

 

「俺じゃなくても他の奴に頼めばいいだろう。せめて同性にしろ」

 

「あ……」カァ

 

(正常な思考ができない程動揺していたか)

 

「日向でも呼ぶか?」

 

「……」コクコク

 

「分かった」ピッ

 

「日向、いるか? ああ、悪いが頼みが……」

 

 

 

「……全く。大佐も可哀そうな事をするな」

 

夜、青葉の面倒を見た日向は、その労を労う為に提督に晩酌に呼ばれていた。

ソファに腰掛けた日向はどことなく呆れ顔をして酒をゆっくりと喉に通しつつ言った。

 

「一応何回も止めたんだがな。相手が青葉ならある程度先に情報を出した上で判断させた方が良かったと、今になって反省してる」

 

「確かにな。それで、私も青葉から聞いて調べたがまた随分趣味が悪い内容のアレだな」

 

「まぁな」

 

「アレでは青葉もトラウマになっても仕方ないだろう」

 

「ああ、それに関しては本当に申し訳ないと思っている」

 

「うん、そこは反省してもらわないとな。ん……それでな大佐」ジッ

 

グラスを口に運ぶ手を不意に止めて日向は提督を見つめた。

彼女の顔は酒が回った所為か少し赤くなっていたが、その目は焦点はハッキリとしており、提督をちゃんと捉えていた。

その態度はどことなく昼間の青葉のものと似ていた。

提督はそれを見て何となく予想を着きながらも敢えて確認した。

 

「どうした?」

 

「あ、いや……夜、だな」

 

「ん? ああそうだな。それが?」

 

「……その……」

 

「お前、観たのか?」

 

「まぁ……戦艦だし、大人っていうところを示したくてな」

 

「伊勢と一緒に観たのか?」

 

「うんまぁ……伊勢は冒頭で泣きながら直ぐに出て行ったよ……」

 

「そうか、じゃぁ殆ど一人で最後まで?」

 

「あ、ああ……」

 

「……大佐」

 

「……ん」

 

「そ、その頼みが……」

 

「……まぁ夜中だしな。前で待ってるだけでいいか?」

 

「あ、ありがとう」

 

日向は青くなった顔で心から安心した顔で弱く笑った。




もう観たのは随分前ですが、ああいうのって本当にピンからキリまでジャンルがありますよね。
まぁそれはエ○ゲにも言えた事ですが。

泣いて出て行ってしまった伊勢は何処へ?
多分無敵の長門お姉さんの抱き枕になってのではと、推測しますw

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